コンテンツにスキップ

Windows Imaging Component

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Windows Imaging Component (WIC)
Microsoft Windows コンポーネント
詳細
標準提供 Windows Vista
Windows XP Service Pack 3
.NET Framework 3.0
およびそれ以降
関連コンポーネント
Windows Image Acquisition

Windows Imaging Component (WIC) はComponent Object Modelに基づいた画像コーデックのフレームワークであり、Windows VistaおよびWindows XP Service Pack 3以降で導入されたもので、デジタル画像および画像のメタデータを処理する。これにより、WICを利用したアプリケーションはインストールされた画像形式のコーデックによるサポートが自動的に得られるようになる。

画像コーデックを使用してサードパーティーの画像形式にシステム全体で対応できる点において、GDI+、DirectShowACM英語版VCMなどの技術に類似している。加えて、Windows Presentation Foundation (WPF) のアプリケーションは自動的にインストールされた画像コーデックをサポートする。ハイエンドのデジタルカメラで使用されるRAW画像形式のコーデックもWICを利用してサポートを追加することが可能である[1]

WICによってアプリケーション開発者はあらゆる画像形式での画像処理を単一で共通のAPIで、特定の画像形式に対する前提知識を必要とせず処理可能になる。

またWIC用のコーデックを記述することによって、すべてのWICネイティブアプリケーション、.NET 3.x以降のマネージアプリケーション[注釈 1][2]、およびWPFアプリケーションでその画像形式をサポートすることが可能になる。

WICにはWindows 7Windows 8Windows 8.1Windows 10にて新機能が追加されている[3]

機能

[編集]

Windows Imaging Componentはピクセルフォーマットやメタデータを実行時に自動的に検出するような拡張可能な画像コーデックのアーキテクチャを提供する。これは画像ファイルに含まれる任意のメタデータの読み書きをサポートしており、認識されていないメタデータの編集中にこれを保護することができる。実行中、32ビット毎チャネル以上の高色深度の画像データを保持し、改良されたハイダイナミックレンジイメージの生成パイプラインをWindows Vista上に構成する。

Windows Imaging ComponentはWindows カラー システムをサポートしている。これはWindows Vistaでのインターナショナル・カラー・コンソーシアムのV4-compliantなカラーマネージメントシステム技術である。

コーデック

[編集]

デフォルトではWindows VistaはJPEG, TIFF, GIF, PNG, BMPHD Photoのエンコーダ、デコーダ、 ICO (icon image file format) のデコーダをサポートしている。また2009年現在、一部のカメラメーカー[4]とサードパーティ[5][6]はプロプリエイタリなRAW画像のWICコーデックやMacのようなRAW画像のサポートをWindows 7とVistaにすでに提供している[7]

2011年7月には、マイクロソフトによって大きな拡張が加えられ、現在の多くのデジタルカメラへのコーデックパックを規定した[8]

メタデータ

[編集]

WICはメタデータとしてExchangeable Image File (Exif)、PNG textual metadata、image file directory (IFD)、IPTC Information Interchange Model英語版、そしてExtensible Metadata Platform (XMP) といったフォーマットをサポートしている。また、WICはサードパーティによるメタデータ拡張フレームワークの実装を含む。

メタデータフォーマットのサポートはコーデックごとに行われる。例えばネイティブなJPEGコーデックはXMPをサポートしているが、GIFPNGではサポートされていない[9]

採用

[編集]

MicrosoftでのWICの使用

[編集]

Windows Vistaにおいて、WindowsエクスプローラーWindows フォト ギャラリーのビューアーはWindows Imaging Componentに基づいており、それゆえにWICコーデックが対応している画像を表示・整理することができる。

Windows 7以降では、Windows Media Center (Windows 7 Home Premium 以上のエディションで利用可) でWICが有効化される。GDI+グラフィックスライブラリは、多くのネイティブアプリケーションや.NET 2.0環境下のSystem.Drawingによって利用されているが、WICの上に構築されている[要出典]。とはいえ、GDI+はサードパーティあるいは外部のコーデックをロードしない。WICのソフトウェアスタックは大規模な改良が行なわれ、現在はスレッド独立 (free threaded) となり、すべての組み込みおよび外部のコーデックもまたオペレーティングシステムに搭載されている。スレッド独立であることもまた、Windows 7を対象とする新しいコーデックのための要件である[10]

WICは、スタンドアロンのダウンロード版として、あるいは.NET Framework 3.0の一部として、Windows XP上でも利用可能である[11]Microsoft PowerToys for Windows XP は "Photo Info" としても知られ、Windowsエクスプローラーから画像のメタデータの閲覧や編集を可能にするが、これもまたWICを利用している[12][13]

Microsoft Expression Design のインポート・エクスポート機能は、WIC Expression Media Service Pack 1 に完全に基づいており、のちに RAW カメラフォーマットと HD Photo も WIC を使って追加で対応している[14][15]

サードパーティのサポート

[編集]

2007年において、いくつかのサードパーティ製画像処理ソフトウェア (画像編集、画像管理、画像ビューアー) が、WICを使っている。

FastPictureViewer は、スタンドアロンのシンプルなサードパーティー製画像ビューアーで、WICを使ってHD PhotoおよびRAWカメラフォーマット (NRW, NEF, CR2, DNG) とともに標準的な画像形式をサポートしている。Adobe Photoshop用の実験的なWICインポートプラグインも、FastPictureViewer のWebサイト上で見つけることができる[16]

IMatch英語版は、バージョン 3.6.0.76 から WIC に対応するようになった。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ WICラッパーとして、System.Windows.Media.Imaging名前空間に対応コンポーネントが用意されている。

出典

[編集]
  1. ^ WIC Guidelines for Camera RAW Image Formats - Win32 apps” (英語). docs.microsoft.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2021年4月25日 - ウェイバックマシン
  2. ^ System.Windows.Media.Imaging Namespace” (英語). docs.microsoft.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2023年12月9日 - ウェイバックマシン
  3. ^ What's New in WIC - Win32 apps” (英語). docs.microsoft.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2021年4月25日 - ウェイバックマシン
  4. ^ Codecs for Windows”. Microsoft. 2008年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2009年9月8日 - ウェイバックマシン
  5. ^ Ardfry Imaging, LLC”. www.ardfry.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2021年2月28日 - ウェイバックマシン
  6. ^ FastPictureViewer Codec Pack: PSD, CR2, NEF, DNG RAW codecs (and more) for Windows 8.x Desktop, Windows 7, Windows Vista and XP”. www.fastpictureviewer.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2012年4月4日 - ウェイバックマシン
  7. ^ How to add Mac-like RAW image support to Windows 7, Vista, XP”. Downroad squad (2009年10月21日). 2009年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月19日閲覧。 Archived 2009年10月24日, at Archive.is
  8. ^ Microsoft Camera Codec Pack (16.0.0652.0621)”. Microsoft Download Center. 2011年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2012年4月13日 - ウェイバックマシン
  9. ^ WIC Metadata”. MSDN. Microsoft. 2008年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月25日閲覧。 アーカイブ 2008年4月6日 - ウェイバックマシン
  10. ^ Windows 7 Developer White Papers: Windows Imaging Component Codec Guidelines for Camera RAW Image Formats (PDC 2008)"”. 2011年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月27日閲覧。 アーカイブ 2011年2月1日 - ウェイバックマシン
  11. ^ Download WIC for Windows XP”. Microsoft.com (2006年11月9日). 2007年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月25日閲覧。 アーカイブ 2010年9月7日 - ウェイバックマシン
  12. ^ Photo Info shell extension for Windows Explorer[リンク切れ]
  13. ^ Download details: Microsoft Photo Info, Internet Archive
  14. ^ DAM for Creatives”. Microsoft blogs (2007年9月12日). 2008年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月25日閲覧。 アーカイブ 2008年7月5日 - ウェイバックマシン
  15. ^ Expression Media Service Pack 1”. Help & Support. Microsoft (2007年9月29日). 2007年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月25日閲覧。 アーカイブ 2012年10月20日 - ウェイバックマシン
  16. ^ FastPictureViewer Professional | Download Page”. www.fastpictureviewer.com. 2022年3月19日閲覧。 アーカイブ 2012年8月27日 - ウェイバックマシン

外部リンク

[編集]

利用可能なWIC用コーデック: