IND8番街線

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IND8番街線
ミッドタウンで8番街線を経由する A、C、 E系統のラインカラーは1979年からビビッド・ブルーが採用されている。
ミッドタウンで8番街線を経由する ACE系統のラインカラーは1979年からビビッド・ブルーが採用されている。
基本情報
路線網 ニューヨーク市地下鉄Bディビジョン
駅数 30
1日利用者数 1,007,933人[1]
開業 1932-1933
所有者 ニューヨーク市
運営者 ニューヨークシティ・トランジット・オーソリティ
路線諸元
路線距離 23km (14マイル)[2]
軌間 1,435mm(4フィート8インチ1/2)
線路数 2-4
電化方式 直流600V・第三軌条方式
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IND8番街線 (IND Eighth Avenue Line)は、ニューヨーク市地下鉄を構成している地下鉄路線の一つである。大型車を使用するBディビジョンに属する。

概要[編集]

1932年に市営の独立地下鉄網 (IND) の最初の路線として開業し、ニューヨーク市民には "Eighth Avenue Subway"(8番街地下鉄)として親しまれている[3][4]。路線の北端はインウッドにあるインウッド-207丁目駅、南端はブルックリン・ハイツにあるハイ・ストリート駅南側までで、大部分がセント・ニコラス・アベニューセントラルパーク・ウェスト8番街の下を通っている。総延長約23キロメートルのうち168丁目駅 - キャナル・ストリート駅間が複々線で、207丁目車庫への入出庫線を除く全区間が地下線となっている。またコンコース線6番街線クイーンズ・ブールバード線との分岐点は交差支障が起きないように立体交差化されている。

運行形態[編集]

現在8番街線にはABCDEの5系統が運転されており、このうち8番街線を基幹路線とするA、C、E系統にはビビッド・ブルー、6番街線を基幹路線とするB、D系統にはブライト・オレンジのラインカラーが定められている。

  運転時間 運行区間
ラッシュ時, 日中,
夜間
週末 深夜
NYCS A 急行 各駅停車 全区間
NYCS B 各駅停車 運休 145丁目駅 - 59丁目駅
NYCS C 各駅停車 運休 168丁目駅以南
NYCS D 急行 145丁目駅 - 59丁目駅
NYCS E 各駅停車 50丁目駅 - ワールド・トレード・センター駅

A系統は全線にわたって運行され、168丁目駅以南で急行運転を実施している。C系統は168丁目駅以南で運行される各駅停車で、ともにハイ・ストリート駅からフルトン・ストリート線に直通する。また、深夜にはC系統が運休となる代わりに、A系統が急行運転を中止して各駅に停車する。

B、D系統は145丁目駅 - 59丁目駅間で運行され、145丁目からコンコース線へ、59丁目から6番街線へ乗り入れてゆく。B系統は各駅停車、D系統は急行だが、D系統が終日運転されるのに対しB系統は平日の深夜と週末は運休となり、またコンコース線への乗り入れも2015年6月14日現在ラッシュ時限定となっている。

E系統は50丁目駅クイーンズ・ブールバード線から乗り入れてくる各駅停車で、キャナル・ストリート駅から分岐する ワールド・トレード・センター駅への支線に直通している。終日運転される。

歴史[編集]

8番街線の計画は、早くも1918年BMTブロードウェイ線14丁目-ユニオンスクエア駅 - タイムズ・スクエア-42丁目駅間が開業した直後から、当時建設中の57丁目-7番街駅から分岐しセントラル・パーク・ウェストを通ってアッパー・ウエスト・サイドワシントン・ハイツへ至る路線として検討されていた)[5]1923年8月3日にニューヨーク市予算委員会はブロードウェイ線の延長としてワシントン・ハイツ線を承認し、この路線は64丁目からセントラル・パーク・ウェスト8番街セント・ニコラス・アベニューを複々線で北上して170丁目へ、その先はフォート・ワシントン・アベニューの下を複線で193丁目に至る路線として計画された。また64丁目から南では複々線のうち一組の複線は57丁目-7番街駅でブロードウェイ線に合流し、もう一組はそのまま8番街の下を30丁目ペンシルバニア駅まで南下する計画であった[6][7]

一方でニューヨーク市長のジョン・ハイランは、それまで地下鉄を運営してきた民間企業に代わる市営地下鉄の建設を望み、1924年12月9日にニューヨーク市交通委員会は8番街線を含むいくつかの路線について予備的な承認を与えた。8番街線の主要な部分には既にBMTに対し認可されていた区間を含んでいたが、北へは193丁目から207丁目まで延長することになった。また64丁目から南についても、複々線をそのまま8番街、グリニッジ・アベニュー6番街チャーチ・ストリートと延長し、さらに複線でフルトン・ストリートを通ってイースト川を潜り、ブルックリンのダウンタウンまで延長するのが望ましいとした[8]

鍬入れ1925年3月14日セント・ニコラス・アベニュー126丁目の角で行われ[9]、そして1932年9月10日チャンバーズ・ストリート駅 -207丁目駅間が開業した。開業前には3日間にわたり乗客を乗せずに通常ダイヤで運行して開業に備えた[10]。また1933年2月1日にはフルトン・ストリート駅 - ジェイ・ストリート-ボロホール駅[11]が、3月20日にはジェイ・ストリート-ボロホール駅からの延長線としてジェイ-スミス-9丁目線(現在のINDカルバー線)[12]が開業した。

1932年の開業時点では、8番街線には急行のA系統と各駅停車のAA系統(後のK系統)の2系統が運転され、深夜と日曜日には急行は運転されなかった[10]。その後A系統は1933年2月にブルックリンまで延長され[11]、さらに同年7月1日INDコンコース線が開業[13]すると、コンコース線直通電車は急行のC系統、各駅停車のCC系統に統一され、A系統は145丁目駅以北で各駅に停車するように変更された[14]。 さらに同年8月19日INDクイーンズ大通り線が開業すると、新たに各駅停車のE系統の運行が開始された[15]

最後に大きな変更が加わったのは1940年12月15日IND6番街線が開業した時だった。AA系統はラッシュ時以外の時間帯のみ運行となり、ラッシュ時は59丁目から6番街線に直通する各駅停車BB系統に切り替えられた。CC系統はラッシュ時に59丁目駅から8番街線を南下する各駅停車として残され、加えて終日運転されるコンコース線 - 6番街線の急行はD系統に変更され、C系統はラッシュ時以外の時間帯のみ運行となった[16]。このとき確立された運行形態は、今日の急行A系統、平日のみ運転の各駅停車B系統(以前のBB系統)、各駅停車のC系統(以前のAA、CC系統)、6番街線直通急行のD系統、そしてクイーンズに向かう各駅停車E系統して今日まで受け継がれている。

INDワース・ストリート線[編集]

INDワース・ストリート線は、かつて存在した8番街線の延伸計画である。これはキャナル・ストリート駅で終わる複々線のうちの各駅停車線を延長してワース・ストリートに複線の地下鉄を通すというもので、フォーリー・スクエアチャタム・スクエア(計画ではIND2番街線と乗換可能になるはずだった)、ラットガーズ・ストリート-イースト・ブロードウェイ(計画ではINDラットガーズ・ストリート線と乗換可能になる予定だった)、ロウアー・イースト・サイド(グランド・ストリートピット・ストリートの交差点付近)、さらにウィリアムズバーグ橋を渡って、ヘイブマイヤー・ストリート、南4丁目(計画ではINDクロスタウン線と乗換可能となる予定だった)の各駅が設置される予定であった。

しかし、ワース・ストリート線の工事が行われている現場は目撃されたことがなく、工事が行われたという証拠も残されていない。今日この路線の痕跡は、キャナル・ストリート駅南側の各駅停車線にあるラッパ口のダクトと、イースト・ブロードウェイ駅の上にある未利用の地下空間だけである。

駅一覧[編集]

  • 全駅ニューヨーク市内に存在
  • ●:停車、|:通過、∥:経由しない、○:深夜のみ停車
駅名 A B C D E 乗り換え・備考 所在地
インウッド-207丁目駅           マンハッタン インウッド
ダイクマン・ストリート駅          
190丁目駅           ワシントン・ハイツ
181丁目駅          
175丁目駅          
168丁目駅       123系統
163丁目-アムステルダム・アベニュー駅        
155丁目駅        
145丁目駅   B、D系統は当駅からコンコース線へ直通 ハーレム
135丁目駅    
125丁目駅    
116丁目駅    
カテドラル・パークウェイ-110丁目駅     アッパー・ウエスト・サイド
103丁目駅    
96丁目駅    
86丁目駅    
81丁目-自然史博物館駅    
72丁目駅    
59丁目-コロンバス・サークル駅   123系統 B、D系統は当駅から6番街線へ直通 ミッドタウン
50丁目駅     E系統は当駅からクイーンズ・ブールバード線へ直通
42丁目-ポート・オーソリティ・バスターミナル駅     1233NQR系統(タイムズ・スクエア-42丁目駅)、7S系統(タイムズ・スクエア駅
34丁目-ペン・ステーション駅     ペンシルバニア駅
23丁目駅       チェルシー
14丁目駅     L系統
西4丁目-ワシントン・スクエア駅     BDFM系統 グリニッジ・ヴィレッジ
スプリング・ストリート駅       ソーホー
キャナル・ストリート駅       トライベッカ
チェンバーズ・ストリート駅     23パストレインワールド・トレード・センター駅 (パストレイン) フィナンシャル・ディストリクト
ワールド・トレード・センター駅     23系統(パーク・プレイス駅)、AC系統(チェンバーズ・ストリート駅)、パストレイン
フルトン・ストリート駅       2345JZ系統
ハイ・ストリート駅       A、C系統は当駅からフルトン・ストリート線へ直通 ブルックリン ブルックリン・ハイツ

脚注[編集]

  1. ^ MTA. “Average weekday subway ridership”. 2014年4月2日閲覧。
  2. ^ “New Subway Link Opens Wednesday”. New York Times: p. 3. (1933年1月29日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F70717F7355F1A7A93CBAB178AD85F478385F9 
  3. ^ “Old Jamaica Farm Divided for Homes”. New York Times: p. 153. (1939年10月8日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F0061EFE3F5A177A93CAA9178BD95F4D8385F9 : "the property is near the Woodhaven Boulevard station of the Eighth Avenue subway"
  4. ^ “Delaney Assails Transit Sitdowns”. New York Times: p. 26. (1943年1月31日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=FA0B14FD3C581B7B93C3AA178AD85F478485F9 : "the Jamaica inspection barn of the Eighth Avenue Subway System, in Kew Gardens, Queens"
  5. ^ “Plan a New Subway on Upper West Side”. New York Times: p. 27. (1918年3月3日). http://www.nycsubway.org/articles/nytimes-1918-broadway.html 
  6. ^ “Two Subway Routes Adopted by City”. New York Times: p. 9. (1923年8月4日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F70B10F7345416738DDDAD0894D0405B838EF1D3 
  7. ^ “Plans Now Ready to Start Subways”. New York Times: p. 1. (1924年3月12日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F60810F83E5D1A728DDDAB0994DB405B848EF1D3 
  8. ^ “Hylan Subway Plan Links Four Boroughs at $450,000,000 Cost”. New York Times: p. 1. (1924年12月10日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F70610FB3F5B12738DDDA90994DA415B848EF1D3 
  9. ^ “Will Break Ground Today for New Uptown Subway”. New York Times: p. 15. (1925年3月14日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F10710F6395B12738DDDAD0994DB405B858EF1D3 
  10. ^ a b “Gay Midnight Crowd Rides First Trains in New Subway”. New York Times: p. 1. (1932年9月10日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=FA0D13F7395513738DDDA90994D1405B828FF1D3 
  11. ^ a b “City Opens Subway to Brooklyn Today”. New York Times: p. 19. (1933年2月1日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F20B1EFC355E16738DDDA80894DA405B838FF1D3 
  12. ^ “City Subway Adds a New Link Today”. New York Times: p. 17. (1933年3月20日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F60D15F7345F1A7A93C2AB1788D85F478385F9 
  13. ^ “New Bronx Subway Starts Operation”. New York Times: p. 15. (1933年7月1日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F00D14FE385C16738DDDA80894DF405B838FF1D3 
  14. ^ Courtesy of the Board of Transportation of N.Y.C., printed in the Clarified Telephone Directories (Red Books) for New York City. Station Guide, Independent City Owned Rapid Transit Railroad (地図) (ca. 1937 ed.) 
  15. ^ “Two Subway Units Open at Midnight”. New York Times: p. 17. (1933年8月18日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F1061EFF39551A7A93CAA81783D85F478385F9 
  16. ^ “6th Ave. Tube Adds Two New Services”. New York Times: p. 27. (1940年12月5日). http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F70611F73558127A93C7A91789D95F448485F9 

参考文献[編集]