鬼界カルデラ
鬼界カルデラ(きかいカルデラ)は、薩摩半島から約50km南の大隅海峡にあるカルデラ[1]。薩南諸島北部にある薩摩硫黄島、竹島がカルデラ北縁に相当する。薩摩硫黄島はランクAの活火山に指定されている。
地形[編集]
カルデラは東西約21km、南北約18km楕円形であり、約7,300年前の噴火で形成された内側のカルデラと、それ以前に形成された外側のカルデラの二重となっている。カルデラ底部の水深は400-500m、海底には多数の海底火山があり起伏に富んだ地形になっている。カルデラ外輪山として竹島、硫黄島が海面上にある。硫黄島の硫黄岳、稲村岳、及び昭和硫黄島は後カルデラ火山。外輪山の矢筈岳、硫黄島西部の平坦部は先カルデラ火山。硫黄島から南東方向の中心部付近には海底の高まりがあり、後カルデラ火山活動によって形成された中央火口丘と推定される。このうち一つの浅瀬は海面上にあり、3つの岩礁からなっている。神戸大などの研究チームが2016年から2017年にかけて行った海底調査では直径約10km、高さ約600m、体積約40km3の溶岩ドームを確認した[1] [2]。
主な噴出物[編集]
- 約96万年前
- 約63万年前
- 約14万年前
- 約9万5000年前
- 約16,000-9,000年前
- 約9,000-7,300年前
- 約7,300年前(暦年補正)
- 船倉(幸屋)降下軽石(K-KyP):体積は約20km3(12.8km3 DRE)。
- 船倉火砕流
- 竹島(幸屋)火砕流(K-Ky):体積は約50km3。広く薄く分布しているのが特徴の火砕流堆積物(low-aspect ratio pyroclastic flow)で、このような特徴の火砕流としてはAso-4(90ka), タウポ火砕流(18ka)が知られる[4]。
- 鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah):幸屋火砕流のco-ignimbrite ash fall. 体積は約100km3(幸屋火砕流と合わせて84km3 DRE)。国内では宮城県以南に分布する広域テフラ。
- 合計総体積約170km3(96.8km3 DRE)[注 1][5][1]。
- 約7,300年以降(後カルデラ火山)
有史以降の火山活動[編集]
- 1934年(昭和9年)-1935年(昭和10年):硫黄島から約2km東方で海底噴火。
- 直径約300m、標高約50mの昭和硫黄島が形成された。
- 1936年(昭和11年):薩摩硫黄島の硫黄岳で噴煙を観測。
- 1988年(昭和63年):薩摩硫黄島の硫黄岳で噴煙を観測。
- 1999年(平成11年)-2004年(平成16年):薩摩硫黄島の硫黄岳で断続的に噴火。
研究史[編集]
昭和初期に付近の島々を調査した地質学者の松本唯一は、ここに巨大なカルデラが存在していることを指摘し鬼界ヶ島にちなんで鬼界火山と名付け[6]、1943年に鬼界カルデラとして学会に提唱した。1976年にはアカホヤと呼ばれていた地層がこのカルデラを起源としていることが確認された[7]。2016年から2017年かけて行われた海底調査の結果、直径約10km、高さ約600m、体積約30km3にもなる巨大な溶岩ドームが確認され、現在も活発な噴火活動が続いている。
日本ジオパーク[編集]
2015年9月4日に、三島村・鬼界カルデラジオパークとして「日本ジオパーク」に認定された[8][9]。
脚注[編集]
- ^ 資料によっては6,300年前と記載しているものがある。これは、放射性炭素年代測定で暦年補正を行っていない場合の年数である。また、食料を求めて火山灰の無い地域へ移り住み絶滅を免れたとする説もある。西日本、特に九州の先史時代から縄文初期の文明も、この噴火で絶滅したと考えられている。
出典[編集]
- ^ a b c 鬼界カルデラに特大の溶岩ドーム 超巨大噴火後に形成か 朝日新聞、2017年3月31日閲覧。
- ^ 巽好幸; 鈴木桂子; 松野哲男; 市原寛; 島伸和; 清杉康司; 中岡玲奈; 中東和夫 et al. (2018-02-09). “Giant rhyolite lava dome formation after 7.3 ka supereruption at Kikai caldera, SW Japan”. Nature Scientific Reports. (Macmillan Publishers) 2018年2月9日閲覧。.
- ^ a b 伊藤ほか「屋久島に分布するテフラのU-Th-Pb年代測定から推定された鬼界カルデラの活動史」『第122年学術大会(2015長野) セッションID: R3-O-4』、日本地質学会、2015年、 doi:10.14863/geosocabst.2015.0_107、2017年5月8日閲覧。
- ^ 藤原 誠、鈴木 桂子「幸屋火砕流堆積物及びその給源近傍相のガラス組成と堆積様式」『火山』第58巻第4号、2013年、 489-498頁、 doi:10.18940/kazan.58.4_489、2019年11月21日閲覧。
- ^ “Question #5960”. 火山についてのQ&A集. 特定非営利活動法人日本火山学会. 2007年5月18日閲覧。
- ^ 「鹿児島湾の特異性」『九州山岳 第2号』 [要ページ番号]
- ^ 『火山灰は語る』 Ⅳ 富士テフラの間から発掘された九州の巨大噴火 163頁-208頁
- ^ “日本ジオパークに栗駒など3地域 世界への白山手取川推薦見送り”. 47NEWS (時事通信). (2015年9月4日) 2015年9月5日閲覧。
- ^ “三島村・鬼界カルデラがジオパークに 認定の報に大きな拍手”. 読売新聞. (2015年9月5日) 2015年9月5日閲覧。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 町田洋『火山灰は語る - 火山と平野の自然史』蒼樹書房、1979年。ISBN 978-4-7891-1017-4。
- 松本唯一「鹿児島湾の特異性」『九州山岳 第2集』新島章男編、朋文堂、1942年。全国書誌番号:46049440、NCID BA67622601。
- 『日本人はるかな旅2 巨大噴火に消えた黒潮の民』NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編、NHK出版〈NHKスペシャル〉、2001年9月。ISBN 978-4-14-080624-1。
- 『日本の地形7 九州・南西諸島』貝塚爽平ほか編、東京大学出版会、2001年12月。ISBN 978-4-13-064717-5。
- 町田洋、新井房夫『新編火山灰アトラス - 日本列島とその周辺』東京大学出版会、2003年9月。ISBN 978-4-13-060745-2。
外部リンク[編集]
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