コンテンツにスキップ

預言者生誕祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
預言者生誕祭
首都プトラジャヤで行われたマウルードの行進に参加するマレーシアのムスリム英語版マレー語版(2013年)
挙行者 主流のスンナ派およびシーア派のムスリム
種類 イスラーム
趣旨 ムハンマドの生誕を記念する
日付 ラビー・ウル=アウワル月12日
2025年 9月4日/5日
行事 ハムド英語版アラビア語版タスビーハ英語版アラビア語版、公道での行進、ナート英語版アラビア語版(宗教詩)、断食(サウム)、家族や社会的な集まり、通りや自宅の装飾
テンプレートを表示
預言者生誕祭 ラホール パキスタン

預言者生誕祭(よげんしゃせいたんさい、アラビア語: مولد النبي, ラテン文字転写: mawlid al-nabī マウリド・アン=ナビー)は、預言者ムハンマドヒジュラ暦による誕生日に行われるイスラム教の祭礼。スンナ派の多くはラビー・アル=アウワル月(第3月)12日を、シーア派の多くは同17日を預言者生誕の日としている。祝う対象がイスラム教の開祖ムハンマドであるために、イスラム世界において広くみられる聖者生誕祭(マウリド)のうちでも、特に盛大かつ広い地域で行われる。

概要

[編集]

犠牲祭のようにイスラム教にもともと存在する祭礼ではなく、ファーティマ朝期のエジプトで宮廷の祭礼として始められたものを起源とすると言われる。シーア派イスマーイール派)ファーティマ朝に代わってエジプトを支配してスンナ派を復興したアイユーブ朝の時代に、エジプトで活動するスーフィー教団(神秘主義教団)の儀礼に組み込まれ、王侯から一般庶民まであまねくムスリム(イスラム教徒)が参加する大祭礼へと変貌した。

預言者生誕祭はエジプトから神秘主義教団のネットワークに乗ってイスラム世界の各地に広がり、現代ではムハンマドの生誕日はイスラム世界の各地で行われ、多くのイスラム教国で祝日となっているが、もっとも有名なものは起源であるエジプトにおける預言者生誕祭である。生誕祭当より前からスーフィー教団は様々な儀礼を行って預言者を称え、祭りへの準備を行う。町々、村々、大都市のモスク前には市場、屋台、芝居小屋が立ち、砂糖菓子でできた花嫁や馬、ラクダの人形が贈答されたり、預言者を称えるの朗読やスーフィーによるズィクル(唱名)などが行われる。生誕祭の前日から当日の夜にかけてはそれぞれのスーフィー教団が教団員で大行列を組み、ムハンマドとアッラーフを称えながら行進し、祭りが終わると人々は飾られていた砂糖菓子の人形を食べる。

一方で、預言者生誕祭の開催やその祭礼の内容がクルアーン(コーラン)にもハディースにも依拠しない新しいもので、また非イスラム的な起源をもつと思われるような要素を多く含むことから、預言者生誕祭を反イスラム行為と見る厳格論もワッハーブ派などに存在する。

2023年、スーダンでの預言者ムハンマドの誕生日の行列と祝いはユネスコ無形文化遺産に登録された[1]

グレゴリオ暦での月日

[編集]

ヒジュラ暦の1年は354日でグレゴリオ暦と1年に約11日の差が発生するため、グレゴリオ暦で見ると預言者生誕祭は毎年違う日に行われるので注意が必要である。以下は預言者生誕祭(ラビー・アル=アウワル月12日)のグレゴリオ暦での日付である。シーア派ではこの5日後となる。

ヒジュラ暦グレゴリオ暦
1420年1999年6月26日
1421年2000年6月15日
1422年2001年6月4日
1423年2002年5月24日
1424年2003年5月14日
1425年2004年5月2日
1426年2005年4月21日
1427年2006年4月11日
1428年2007年3月31日
1429年2008年3月20日
1430年2009年3月9日
1431年2010年2月26日
1432年2011年2月15日
1433年2012年2月4日
1434年2013年1月24日
1435年 2014年 1月14日
1436年 2015年 1月3日
1437年 2015年 12月24日
1438年 2016年 12月12日
1439年 2017年 12月1日
1440年 2018年 11月21日
1441年 2019年 11月10日
1442年 2020年 10月29日
1443年 2021年 10月19日
1444年 2022年 10月8日
1445年 2023年 9月23日

脚注

[編集]
  1. UNESCO - Procession and celebrations of Prophet Mohammed's birthday in Sudan (英語). ich.unesco.org. 2023年12月9日閲覧。