農業委員会

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農業委員会(のうぎょういいんかい)は、日本の市町村に置かれる行政委員会地方自治法のほか、農業委員会等に関する法律に規定されている。

職務[編集]

その職務は、別に法律の定めるところにより、農地等の利用関係の調整、農地の交換分合その他農地に関する事務を執行する(地方自治法第202条の2第4項)ことである。

委員会[編集]

  • 農業委員会は、各市町村に1つの委員会を置くのを原則とするが、その区域内の農地面積が200ヘクタール未満(北海道では800ヘクタール未満)の場合には委員会を置かないことができ、市町村の区域又は農地面積が著しく大きい場合で政令で定めるものは、市町村の区域を2つ以上に分けて、各々の区域に農業委員会を置くことができる。
  • 農業委員会は次に掲げる委員により組織される。
    • 公選委員 ~40人(定数は各市町村の条例で定める。下限はなし。ただし、選任委員より多い人数が必須)
    • 選任委員 省令で定める農業協同組合農業共済組合が組合ごとに推薦した理事または組合員1人、土地改良区が推薦した理事または組合員1人(区域内に土地改良区が複数ある場合は協議して1人を選出)、当該市町村の議会が推薦した農業委員会の所掌に属する事項につき学識経験を有する者4人以内(4人以下の定数とするには条例制定が必要)を市町村長が選任する。なお、選任による委員には、後述の被選挙権は不要である。
  • 委員の選挙
    • 農業委員の選挙は市区町村の選挙管理委員会の管理により行われる。このため農業委員の身分は特別職地方公務員となっている。
    • 選挙にあたっては政令で定める基準に従い、区域内に複数の選挙区を設けることができる。
  • 選挙権被選挙権
    • 農業委員の選挙権及び被選挙権は農業委員会法第8条により、区域内に住所を有する20歳以上の者のうち、10アール以上(北海道では30アール以上)の農地について耕作の業務を営む者またはその同居の親族・配偶者等に限られる。公職選挙法が一部準用されるが、同法9条・10条1項は準用されないため、国籍条項はない。
    • 農業委員の選挙人名簿は毎年1月1日時点で上記の要件を満たす者を本人からの申請に基づいて登載し、3月31日をもって確定する。以後1年間は確定した選挙人名簿に基づいて選挙等が行われる。
  • 委員の任期
    • 選挙による委員 3年
    • 選任による委員 選挙による委員の任期満了の日または推薦団体の理事等でなくなった日まで
  • 会長・部会
    • 農業委員会に会長が置かれ、また、選挙委員の定数が21人以上の場合は委員会の下に農地部会を置くことができる。
    • 部会の所掌に属せられた事項に関し、部会の議決をもって、当該農業委員会の決定とする。

委員会の位置付け、設置の背景[編集]

一般に都市部に居住している者には馴染みが薄いものであるが、教育委員会などと同様、市町村単位で設置が義務付けられている。主に、農地売買や農地転用に際し、農地の無秩序な開発を監視・抑止する役目を担っている。原則として、一般的に農地は農家要件を満たさない者への所有権移転等は認められず(新規就農など、所有権移転等により農家要件を満たす場合は認められるケースもある)、都市計画の用途指定区域にある農地を除き簡単に宅地などへ地目変更できない(用途指定区域の農地についても届出は必要)。このことは、農業委員会が許可しないためである。その背景には、農地は個人所有の不動産でありながら国民の大切な食料を生産する公共的役目を持つ一面も有しているからである。よって、所有者の個人的意志のみで勝手に売買処分や地目の変更はできず、一定の制限が課せられているかわりに、固定資産税などは低く抑えられている。

複数の農業委員会が設置されている市町村(2006年9月1日現在)[編集]

()内は農業委員会数

農業委員会が設置されていない市区町村(2008年1月1日現在)[編集]

農業委員会が設置されていない市区町村において、農地法などにより農業委員会の権限に属せられた事務は市区町村長が行うことになっている(農地法90条1項等)。

手続きの代行[編集]

農業委員会に対する手続きには様々な種類があり、要件や添付書類も複雑なことから、下記の資格者が代行して行うことができる。

弁護士
法律上の争いに関する事務として農業委員会に対する手続きを行うことは、弁護士のみが行うことができる。(弁護士法72条、昭和15年4月6日大審院判決ほか判例多数)
司法書士
過去に許可又は届出がされている場合や農地でないと判断される場合等、権利移転の効力が既に発生している場合に、権利に関する登記申請に添付する目的で農業委員会に対する証明書類の交付請求書を作成することは、司法書士のみが行うことができる。(司法書士法第73条、昭和39年9月15日民事甲第3131号法務省民事局長回答)
土地家屋調査士
既に現況地目が変更されている場合に、地目変更登記申請に添付する目的で農業委員会に対する証明書類の交付請求書を作成することは、土地家屋調査士のみが行うことができる。(土地家屋調査士法第68条、昭和51年4月7日法務省民三第2492号法務省民事局長回答)
建築士(一級建築士・二級建築士・木造建築士)
農業委員会に対する手続きが建築に関係する場合は、上記弁護士・司法書士・土地家屋調査士のみが行うことができる場合を除き、建築士が行うことができる。(建築士法第21条、平成5年3月17日建設省住宅局建築指導課回答)
行政書士
上記弁護士・司法書士・土地家屋調査士のみが行うことができる場合及び建築士が行うことができる場合を除き、農業委員会に対する手続きは行政書士のみが行うことができる。(行政書士法第19条)

その他[編集]

2011年3月に発生した東日本大震災で「東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律」が制定され、災害によって農業委員会委員選挙事務が困難と予想される場合に選挙の延期を可能とすること等が規定されている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]