航空事故調査局 (イギリス)

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航空事故調査局
Air Accidents Investigation Branch
組織の概要
設立年月日1915
管轄イギリスとその海外領土
人員49
行政官
  • Crispin Orr(航空事故主任調査官)
上位組織Department for Transport(運輸省)
ウェブサイトhttp://aaib.gov.uk

イギリスの航空事故調査局英語: Air Accidents Investigation BranchAAIB)は、イギリスの航空事故調査機関。AAIBの調査官は3つの専門に分けられており、第一指揮順位機長を経験したものはOperations Inspectorとして、操縦系統に習熟しているものはEngineering inspectorとして、アビオニクスに詳しいものはFlight Recorder Inspectorとして調査にあたる。AAIBは運輸省の支部で、ハンプシャーファーンバラ空港に本拠地を置く。

沿革[編集]

イギリスにおける航空事故調査の始まりは1912年[1]イギリス飛行クラブが発行したサリーにあるブルックランズで発生した死亡事故英語版にまつわる報告書にさかのぼる[2]

AAIBは1915年にイギリス陸軍航空隊内に設置されたAccidents Investigation Branch(AIB)が前身となる。George Bertram Cockburn英語版[3]は事故調査官となり、戦争省の軍事航空局長(英語: Director General of Military Aeronautics)に直接報告を行っていた[4][5]

第一次世界大戦の終戦後、民間航空局は空軍省を設立し、AIBはその傘下となると同時に、民間および軍事すべての航空事故を調査することとなった[6]

第二次世界大戦後は、民間航空省が設立されAIBもその傘下となった。しかし、イギリス空軍の事故調査にあたるなど実情に変化はなかった。

その後貿易産業省などいくつかの省のもとで調査を続け[要出典][7]、AIBは1983年運輸省傘下となる。1987年11月には名称を現在の航空事故調査局英語: Air Accidents Investigation Branch、AAIB)に変更する。2002年には、運輸省の一部門として改組された[8]

組織[編集]

AAIBには49名の職員がいる[9]

  • 航空事故主任調査官
  • 航空事故副主任調査官
  • それらの調査官の下で調査にあたる6分野の調査官

また、AAIBの調査官は下記の3つのうちいずれかの役割を担うことになる。

  • 運航調査官 - 有効な定期運送用操縦士資格と第一種航空身体検査証明の合格が求められ、固定翼機やヘリコプターを適切に操縦できる技術や、幅広い航空知識が必要とされる。
  • 構造調査官 - エンジニアリングの学位またはエンジニアとしての5年以上の実務経験が求められ、現代の航空機に対する知識と経験が必要とされる。
  • フライトレコーダー調査官 - 電子工学の学位または航空工学関連のエンジニアとしての8年以上の実務経験が求められ、現代の航空機に対する知識と経験が必要とされる。

調査に対して行政的な支援を行う調査支援ユニット、また事故の一報を伝える情報ユニットと、管理責任者も置かれる。

AAIBの行政スタッフは運輸省の職員であり、英国の公務員英語版ガイドラインにより雇用される。

調査[編集]

AAIBは「事故」あるいは「重大インシデント」の2つのカテゴリに沿って調査を行う。「事故」は、致命傷や重傷を負った人がいるなど人命にかかわるものや、航空機が損傷したり構造に異常が発生している、あるいは行方不明になるなどの全損の場合にあたる。「重大インシデント」は、事故につながるようなインシデントを言う。

AAIBはイギリスとその海外領土で発生した民間航空機の事故と重大インシデントの調査について責任をもつ[8]アンギラバミューダ諸島イギリス領ヴァージン諸島ケイマン諸島ジブラルタルフォークランド諸島モントセラトタークス・カイコス諸島がその海外領土となる[10]

そのほか、国外での事故調査であっても、英国籍の航空機や英国で作られた航空機、英国の航空会社の事故調査や、事故調査国から要望のある場合は調査にあたる[11]

本部[編集]

AAIB本部

AAIBの本部はファーンバラ (ハンプシャー)エルダーショットの間にあるファーンバラ・ハウスに置かれ[12][13][14]、建物はファーンバラ空港の敷地内に位置する[15]。およそ1.75ヘクタールの敷地に3つの建物と駐車場が置かれ[16]、ファーンバラ空港の主滑走路の南にある林の中にある[17]。AAIBの建物はL形をしており、2階建てのオフィスビルと格納庫がある[15]。建物にはオフィスと音響に関する研究所、レクチャー用のシアターが設けられている[18]

2012年より、敷地内に鉄道事故調査局の支部が置かれている[要出典]

出典[編集]

  1. ^ Hradecky, Simon (2012年6月8日). “United Kingdom's Air Accident Investigation Board celebrates 100 years of air accident investigation”. The Aviation Herald. 2012年6月10日閲覧。
  2. ^ “Brooklands accident”. Flight (8 June 1912): 513. http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1912/1912%20-%200513.html 2012年6月10日閲覧。. 
  3. ^ The London Gazette, 27 October 1916
  4. ^ Supplement to the London Gazette, 7 January 1918
  5. ^ Turner, Charles Cyril (1972) The Old Flying Days, page 72, Arno Press ISBN 0-405-03783-X
  6. ^ Route to Egypt Losses Enquiry, Hansard, 30 October 1919 vol 120 cc914-5W
  7. ^ "Turkish Airlines DC-10 TC-JAV Report on the accident in the Ermenonville Forest, France on 3 March 1974." (Archive) Accidents Investigation Branch. Retrieved on 29 April 2012.
  8. ^ a b Welcome to the Website of the AAIB”. AAIB. 2014年4月25日閲覧。
  9. ^ AAIB Organisation”. 2013年4月28日閲覧。
  10. ^ Aircraft Accident Investigation in the UK Overseas Territories”. Air Accidents Investigation Branch. 2016年5月31日閲覧。
  11. ^ ICAOの規則では、事故の発生した国か地域の調査機関が事故調査の責任を負うとされる
  12. ^ "Additional information." Air Accidents Investigation Branch. Retrieved on 2 May 2010. "Air Accidents Investigation Branch Farnborough House Berkshire Copse Road Aldershot Hampshire GU11 2HH"
  13. ^ "Department for Transport travel plan: Annexes." Department for Transport. Retrieved on 19 October 2010. "They are based at Farnborough House, Berkshire CopseRoad, Aldershot, Hants."
  14. ^ "The AAIB interim report." BBC. Friday 24 December 1999. Retrieved on 30 September 2010. "The cockpit voice recorder was recovered from the wreckage and was successfully replayed at the AAIB headquarters at Farnborough."
  15. ^ a b "DIRECTORATE OF ENVIRONMENTAL SERVICES REPORT NO.PLN0548 SECTION C." Rushmoor Borough Council. 20 July 2005. Retrieved on 19 October 2010. "The site is to the north of the Basingstoke Canal and comprises a separate compound within the Farnborough Airport boundary, adjoining its southern end. The land is occupied by a number of structures including a large hangar and a two storey flat roofed office building with an L-shaped footprint, together with areas of hard surfacing, used by the Department of Transport's Air Accident Investigation Branch (AAIB)."
  16. ^ "Key sites background document Archived 13 June 2011 at the Wayback Machine.." Rushmoor Borough Council. 16 (18/24). Retrieved on 30 September 2010.
  17. ^ "Rushmoor Local Plan Review (1996-2011) Archived 27 September 2011 at the UK Government Web Archive." Rushmoor Borough Council. 126 (2/39). Retrieved on 30 September 2010.
  18. ^ "air accident investigation branch (aaib)." (Archive) Lana Design. Retrieved on 19 September 2012.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  1. ^ 英国・公的機関改革の最近の動向”. 内閣官房. 2020年7月2日閲覧。