杉浦康平

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
杉浦康平

杉浦 康平(すぎうら こうへい、1932年9月8日 - )は、日本のグラフィックデザイナーアジア図像学研究者、神戸芸術工科大学名誉教授、同大学アジアンデザイン研究所(RIAD)所長。

意識領域のイメージ化で多元的なデザイン宇宙を切り開き、レコードジャケットポスターブックデザイン、雑誌デザイン、展覧会カタログデザイン、ダイアグラム、切手などの第一線で先端的かつ独創的な活躍を展開。また、「マンダラ 出現と消滅」展や「アジアの宇宙観」展、「花宇宙・生命樹−−アジアの染め・織り・飾り」展など、アジアの伝統文化を展覧会企画構成および斬新なカタログデザインで紹介するとともに、マンダラ、宇宙観を中核とする自らの図像研究の成果を『かたち誕生』ほかの幾多の著作をとおして精力的に追究している。

主な経歴と賞[編集]

  • 1932年 東京都に生まれる
  • 1955年 東京藝術大学建築科卒。高島屋の宣伝部に入ったが、そのとき制作した「LP JACKET」が1955年第5回日本宣伝美術賞を受賞し、約半年で独立
  • 1960年 東京で開催された「世界デザイン会議」にパネリストとして参加
  • 1960年 東京オリンピック(1964年)のシンボルマーク指名コンペ6人の中に選ばれる(亀倉雄策が入選)[1][2][3][4]
  • 1961年 東京画廊のカタログデザイン始まる
  • 1961年 「音楽会ポスターを中心とする一連のグラフィックデザイン」によって第7回毎日産業デザイン賞(現毎日デザイン賞)受賞 
  • 1964年 ドイツ・ウルム造形大学に客員教授として招聘される(〜65年にかけて3ヶ月。66〜67年にも1年間招聘される)
  • 1968年 ロンドンICAギャラリーで開催された日本現代美術展「蛍光菊」(Florescent Chrysanthemum)の会場構成、アートディレクション
  • 1968年 東京造形大学視覚デザイン科で教鞭をとる
  • 1968年 第4回造本装幀コンクールで最高賞の文部大臣賞受賞(『日本産魚類脳図譜』築地書館
  • 1969年 第5回造本装幀コンクールで文部大臣賞を連続受賞(『雲根志』築地書館)
  • 1971年 第2回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞(『闇のなかの黒い馬』河出書房新社
  • 1973年 第8回造本装幀コンクールで3度目の文部大臣賞受賞(『日夏耿之介全集』河出書房新社)
  • 1972年 ユネスコ・東京出版センター(現ユネスコ・アジア文化センター)から依頼を受け、アジア活字開発調査のため、タイ、インド、インドネシアなどアジア諸国を初めて訪問
  • 1972年 NHKの委嘱で、イタリア賞参加映像作品「In Motion」を武満徹と共同制作(主演はツトム・ヤマシタ)
  • 1977年 第12回造本装幀コンクールで4度目となる文部大臣賞受賞(『伝真言院両界曼荼羅』平凡社)
  • 1978年 パリ装飾美術館で開かれた「間=MA」展にポスター・カタログデザインで参加(企画構成=磯崎新ほか)
  • 1979年 「京劇」訪日公演企画、斬新なスタイルを取り入れたカタログをデザイン
  • 1980年 高野山大学と毎日新聞社のラダック仏教美術調査・取材隊に同行し、その成果は「マンダラ 出現と消滅」展企画構成に結実(西武美術館、毎日新聞社ほか主催)
  • 1981年 「熱きアジアの仮面」展(国際交流基金ほか)、インド仮面舞踏「神々の跳梁」などを展示構成・デザイン
  • 1982年 「アジアの宇宙観+マンダラ」展(国際交流基金)を企画構成
  • 1982年 ブータン王国切手デザインの依頼を受け、同国を取材旅行
  • 1982年 文化庁芸術選奨新人賞受賞
  • 1982年 ライプツィヒ装幀コンクール特別名誉賞受賞(『伝真言院両界曼荼羅』)
  • 1985年 インドIIT, IDC(インド工科大学産業デザイン研究所)においてデザイン・ワークショップ開催 
  • 1987年 神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科教授に就任(〜2002年)
  • 1987年 インド古典音楽「ラーガ・香絃花」コンサートを企画
  • 1992年 「花宇宙・生命樹」展企画構成とカタログデザイン(国際交流基金ほか主催)
  • 1997年 毎日芸術賞受賞(毎日新聞社
  • 1997年 紫綬褒章を受章
  • 2004年 雑誌デザインの集大成「疾風迅雷」展(東京、ギンザ・グラフィック・ギャラリーほか)とその作品集デザイン(DNPグラフィックデザイン・アーカイブ)。「疾風迅雷」展は2005年に韓国のパジュ、2006年に中国の北京深圳、2007年以降、南京成都ほか中国各地を巡回
  • 2005年 織部賞受賞(岐阜県主催)
  • 2006年 高野山大学の委嘱で、5面スクリーンによる映像作品「法界宇宙」を制作
  • 2007年 「マンダラ発光——杉浦康平のマンダラ造本宇宙」展開催(クリエイティブワールドライブ2007実行委員会、東京国際フォーラム)とその作品集デザイン
  • 2009年 中島健蔵賞特別賞受賞(現代音楽への貢献)
  • 2010年 神戸芸術工科大学アジアンデザイン(RIAD)所長に就任
  • 2010年 アジアンデザイン研究所第1回国際シンポジウム「動く山・山車——あの世とこの世を結ぶもの」を企画・開催
  • 2011年 ブックデザインの集大成「杉浦康平・脈動する本」展開催(武蔵野美術大学美術館・図書館)とその作品集デザイン

主要作品[編集]

レコード/CDジャケット[編集]

ポスター[編集]

  • 1959年 「ストラヴィンスキー特別演奏会」
  • 1960年 「第1回東京現代音楽祭1960」
  • 1972年 「第8回東京国際版画ビエンナーレ展」
  • 1979年 「中国京劇院訪日公演」
  • 1983年 「国立歴史民俗博物館開館記念」
  • 1984年 「伝統と現代技術——日本のグラフィックデザイナー12人展」
  • 1991年 「富山県立山博物館開館記念」
  • 1992年 「花宇宙・生命樹展」
  • 1992年 「江差追分」(北海道江差町)

雑誌デザイン[編集]

  • 1960年 『音楽芸術』(~1963年、音楽之友社
  • 1966年 『SD』(〜1968年、鹿島出版会
  • 1968年 『都市住宅』(〜70年、鹿島出版会)
  • 1970年 『季刊銀花』(〜2002年、文化出版局
  • 1971年 オブジェマガジン『遊』(〜79年、工作舎)
  • 1972年 『ASIAN CULTURE』(〜87年、ユネスコ・アジア文化センター)
  • 1975年 『エピステーメー』(第Ⅰ期〜79年、第Ⅱ期1984〜86年、朝日出版社
  • 1980年 『噂の眞相』(〜2004年、噂の眞相社)

ブックデザイン[編集]

シンボルマーク[編集]

ダイアグラム[編集]

  • 1969年 「時間軸変形地図」(『週刊朝日』)
  • 1973年 「犬地図」(『遊』第6号掲載、工作舎)
  • 1973年 『平凡社百科年鑑』ダイアグラム(~78年、平凡社)
  • 1983年 「味覚地図」(『週刊朝日百科 世界の食べ物』の「目で見る世界の食文化」)

切手[編集]

  • 1972年 西ドイツ政府発行「札幌冬季オリンピック」
  • 1983年 「ブータン王国記念切手」

映像作品[編集]

  • 1972年 「IN MOTION」武満徹(作曲家)と共同制作(NHKイタリア賞参加作品)
  • 2006年 「法界宇宙」高野山大学、松下講堂の5面スクリーン上映のための作品
  • 2004年~「ブックデザイン小宇宙」杉浦のブックデザイン紹介のための映像作品群(協力=新保韻香、栄元正博)

TVプログラム[編集]

  • 1979年「わたしのデザイン探検」全4回(NHK女性手帖)
  • 1996年「かたち誕生」全12回(NHK人間大学)

主要著作と作品集[編集]

  • 『ヴィジュアルコミュニケーション』(+松岡正剛、講談社、1976年)
  • 〈万物照応劇場〉シリーズに『日本のかたち・アジアのカタチ』(三省堂、1994年)、『かたち誕生』(日本放送出版協会、1997年)、『宇宙を呑む』(講談社、1999年)、『生命の樹・花宇宙』(日本放送出版協会、2000年)、『宇宙を叩く』(工作舎、2004年)
  • 『文字の宇宙』(+松岡正剛、写研、1985年)、『文字の祝祭』(同、1995年)
  • 『円相の芸術工学』『ふと…の芸術工学』『めくるめきの芸術工学』ほか(編著)、〈神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ〉(工作舎、1995年~2001年)
  • 『アジアの本・文字・デザイン−杉浦康平とアジアの仲間たちが語る』(トランスアート、2005年/DNPアートコミュニケーションズ、2010年)
  • 『文字の美・文字の力』(誠文堂新光社、2008年)
  • 〈杉浦康平デザインの言葉〉シリーズ(ともに工作舎)に『多主語的なアジア』(2010年)、『アジアの音・光・夢幻』(2011年)、『文字の霊力』(2014年)
  • 『疾風迅雷——雑誌デザインの半世紀』(トランスアート、2004年)
  • 『マンダラ発光——杉浦康平のマンダラ造本宇宙』(クリエイティブワールドライブ2007実行委員会、2007年。2011年にDNPアートコミュニケーションズから再刊)
  • 『動く山・アジアの山車』 神戸芸術工科大学アジアンデザイン研究所シンポジウムシリーズ(左右社、2012年)。企画・編集
  • 『杉浦康平・脈動する本——デザインの手法と哲学』(武蔵野美術大学 美術館・図書館、2011年)
  • 『靈獣が運ぶ──アジアの山車』(齊木崇人=監修・杉浦康平=企画・構成(工作舎、2016年)
  • 『表裏異軆 杉浦康平の両面印刷ポスターとインフォグラフィックス』(新宿書房、2017年)。神戸芸術工科大学 ビジュアルデザイン学・赤崎正一編

作品・デザイン資料の所蔵先[編集]

杉浦のほとんどの作品、デザイン資料は、武蔵野美術大学美術館図書館に所蔵されている。

主要デザイン協力スタッフ[編集]

中垣信夫、辻修平、海保透、鈴木一誌、赤崎正一、谷村彰彦、佐藤篤司ほか

脚注[編集]

関連[編集]

  • 日本のグラフィックデザイナー
  • ブックデザイナー(装幀家)
  • ダイアグラム(インフォグラフィックス)
  • タイポグラフィー
  • ヴィジュアルコミュニケーション論
  • 知覚論
  • 図像学
  • マンダラの宇宙観
  • 音楽論
  • 神戸芸術工科大学

外部リンク[編集]