木村秋則
きむらあきのり 木村秋則 | |
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生誕 | 1949年11月8日 青森県弘前市(旧・中津軽郡岩木町) |
国籍 | ![]() |
出身校 | 青森県立弘前実業高等学校 |
職業 | 農業 |
著名な実績 | 世界初の無農薬・無施肥リンゴの栽培に成功 |
配偶者 | 木村美千子 |
公式サイト | http://www.akinori-kimura.com/ |
木村秋則(きむら あきのり、1949年11月8日 - )は、世界で初めて無農薬・無施肥のリンゴの栽培に成功した日本の農家。株式会社木村興農社代表取締役。
自然栽培への経緯[編集]
生い立ち[編集]
1949年に、青森県岩木町(現弘前市)の三上家の次男として生まれた。青森県立弘前実業高等学校商業科を卒業し上京、トキコ(現日立オートモティブシステムズ)に入社し原価管理課に配属された[1]。
1971年に帰郷、リンゴ栽培を中心とした農業に取り掛かる[2]。22歳でリンゴ農家の木村家の養子になって美千子と結婚。農薬に過剰反応する美千子をきっかけに、福岡正信の著作『自然農法』を参考にして無農薬のリンゴ栽培を考え出す。農薬をまく回数を年10回以上を5回、翌年には3回、翌年に1回に減らした。収穫量は落ちたが、農薬の経費が浮いたので、収益は悪くなかった。
自然栽培[編集]
1978年から本格的にリンゴ無農薬栽培に挑戦したが、日本の温帯湿潤な気候で無農薬で育てることは困難を極めた。通常5月中に咲く花がようやく9月に咲き、果実は結実することなく小梅程度の大きさにとどまった。さらに害虫を手作業で駆除するなどの毎日の手入れも相当な労力だった。しかし、それだけ苦労を重ねても数年は実がなることもなく、10年近くにわたって収入のない状態が続く。そのような状況にあっても、自給のために育てた他の作物での無農薬・無施肥栽培において良好な成果をあげつつ、木村は少しずつリンゴの栽培方法に改良を重ねていった。
最終的に木村を助けたのは、大豆の根粒菌の作用で土作りを行ったかつての経験だった。土の中の根張りをよくするため大豆を利用した木村のリンゴの木は年々状態が上向いていった。1986年にはようやくリンゴの花が咲き、実も通常通りつくに至った。こうして木村が確立した無農薬・無施肥でのリンゴの栽培方法は、従来の農家から不可能とされてきたことであり、弘前大学農学生命科学部の杉山修一[3] は「恐らく世界で初めてではないか」と評している。
技術の普及活動[編集]
木村は、国内外において自ら確立した技術の普及に努めており、韓国では無農薬栽培を指導した貢献をたたえられ、2009年11月、京畿道名誉市民、聞慶市名誉市民として表彰された。2011年指導した実験田のある石川県能登地域と新潟県佐渡市が国連食糧農業機関(FAO)によって世界重要農業資産システム(GIHAS:ジアス)に認定される。石川県羽咋市では、『第1回全国自然栽培フェアinはくい』が開催された。
このほか西日本では、すでに2010年より NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会 が木村を招聘し、岡山県の推奨米である「朝日米」の栽培について、自然栽培による農業指導を受けながら生産・流通を始め、2011年には桃の試作栽培にも着手。消費者・生産者の双方へ「自然栽培」の啓発活動を精力的に進めている。
舞台[編集]
彼の人生にもとづいた舞台『りんご―木村秋則物語―』が上演された。長野博が演じる。演出、栗山民也。2010年11月10日-14日、東京のル・テアトル銀座で初演。
その他[編集]
- 本人曰く、畑でUFOをよく見かけたことがあり、なおかつ宇宙人に拉致されたこともあったという。[4]
- 2006年12月7日放映NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀 「りんごは愛で育てる~農家・木村秋則」』[5]
- 現弘前実業高等学校の農業科は藤崎校舎に有し、木村が高校生だった頃はその前身が藤崎園芸高等学校であった。木村の出身高校は旧弘前実業高等学校商業科である。2008年に藤崎園芸及び旧弘前実業が統合した。
- 木村が話したリンゴづくりへの情熱にいたく感動した岩合光昭が、「この話、本にした方がいいですよ」と話した3年後に奇跡のリンゴ(映画)の元となる本が出版されている。[6]
著書[編集]
- 『百姓が地球を救う 安全安心な食へ農業ルネサンス』東邦出版 ISBN 978-4809410123 (発行日 2012年2月16日)
- 『奇跡を起こす 見えないものを見る力』扶桑社 ISBN 978-4594064860 (発行日 2011年9月22日)
- 『お役に立つ』生き方 ~10の講演会から~ 東邦出版 ISBN 978-4809408984(発行日 2010年10月15日)
- 『木村秋則と自然栽培の世界』(編著)日本経済新聞出版社 ISBN 978-453216749-3(発行日 2010年6月25日)
- 『あなたの人生に「奇跡のリンゴ」をつくる本』小学館 ISBN 978-409366542-1(発行日 2010年4月14日)
- 『リンゴの絆 “奇跡”を支えた真実の人間ドラマ』主婦と生活社 ISBN 978-439113864-1(発行日 2010年2月)
- 『すべては宇宙の采配』東邦出版 ISBN 978-480940804-5(発行日 2009年7月23日)
- 『リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46 )』日本経済新聞出版社 ISBN 978-453226046-0(発行日 2009年5月9日)
- 『自然栽培ひとすじに―無農薬・無肥料の技と心』創森社 ISBN 978-488340203-8(発行日 2007年1月20日)
共著[編集]
- 高野誠鮮・木村秋則 共著『日本農業再生論「自然栽培」革命で日本は世界一になる! 』講談社ISBN 978-4062203548(2016年12月14日)
関連書籍[編集]
- 杉山修一 『すごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学』ISBN 978-4344983069 幻冬舎 (発行日 2013年5月30日)
- 小原田泰久 『木村さんのリンゴ 奇跡のひみつ(ムー・スーパー・ミステリー・ブックス)』学習研究社 ISBN 978-405404449-4(発行日 2010年3月10日)
- 石川拓治 『奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』幻冬舎 ISBN 978-434401544-9(発行日 2008年7月)
- 茂木健一郎・NHK「プロフェッショナル」制作班編、『プロフェッショナル仕事の流儀 12 』日本放送出版協会 ISBN 978-414081197-9(発行日 2007年5月)
注釈[編集]
- ^ 日経ビジネス人文庫『リンゴが教えてくれたこと』掲載の略歴による。
- ^ 帰郷して農業に従事した初めのころは、土地の広い諸外国のような機械による大規模栽培をこころざし、アメリカ製の大出力トラクターを利用してトウモロコシ栽培を行っていた(木村は、会社員時代には経理を担当しており、農業においても効率重視を標ぼうしていた)。自然栽培を志すきっかけとして、妻の体調のこととともに、農薬・肥料代も浮くようになるとの考えもあった。減農薬では比較的うまくいっていたものの、無農薬に切り替えてから八方塞状態となり、木村は自身の考え方や取り組みの大転換に迫られていく。やがて、大出力トラクターも売却することになる。
- ^ “教員紹介”. 弘前大学農学生命科学部植物生態学研究室. 2012年10月29日閲覧。
- ^ 『すべては宇宙の采配』準拠。
- ^ “「りんごは愛で育てる~農家・木村秋則」”. NHK (2006年12月7日). 2013年5月30日閲覧。
- ^ 岩合光昭公認サイト『デジタル岩合』に掲載。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 農業ルネッサンス (@agrirenaissance) - Facebook
- NOP 木村秋則•奇跡のリンゴを作り出す農学校プロジェクト(日本テレビ) (@108168962588720) - Facebook
- 木村秋則-Akinori Kimura-|自然栽培実践塾@はくい
- 木村秋則-Akinori Kimura-|自然栽培実践塾@はくい (@akinorikimura.hakui) - Facebook
- NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会
- NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会 (@okayama.AKshizensaibai) - Facebook
- NPO法人 木村秋則自然栽培に学ぶ会
- 一般社団法人 新潟自然栽培研究会