書留郵便

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書留郵便(かきとめゆうびん)とは、郵便の特殊取扱の一つである。略称は書留。英語ではRegisteredという。

書留は、(内国郵便においては)「一般書留」「現金書留」「簡易書留」の3種の総称である。

概要[編集]

書留は、主に、重要書類、クレジットカード、現金、チケットなど、軽量な貴重品を送付する際に利用されている。また、近年[いつ?]は中国のインターネット通販業者からの商品が主に国際書留で送付されている。

追跡番号が付いており、引受から配達までの送達過程を書面および端末データで記録するので、郵便追跡サービスでの追跡が可能である。また、万一の毀損や紛失の場合、 損害要償額の範囲内で実損額が差出人に対して補償される。

輸送中や配達中に一通でも紛失すれば速やかに発覚する仕組みになっているため、郵便局が扱う郵便物等の中で、最も取扱が厳密なサービスである。

受け取りにおいては、受領印(シャチハタでもよい)または、フルネームのサインが必要なので、必ず手渡し配達である。宅配ボックスへの配達は禁止されている。個人宅宛てならば土日祝も配達を行うが、会社学校宛ては土日祝は基本的に配達しない。

書留という名称の由来は、明治時代に局員が差出票を書き留めていたことに由来する。(差出票とは、書留を差し出す際に必要な用紙で、宛名と差出人住所氏名を記入しておき、万一の紛失等の郵便事故の際に損害賠償金を受け取る差出人を特定するために用いられる。)

なお、ゆうメールを書留とすることもできる。また、かつては「書留ゆうパック」としてゆうパックに書留を付けることができたが、2010年に後継の「セキュリティゆうパック」が新設されたため、書留ゆうパックは廃止された。

内国郵便の書留の種類[編集]

「書留」は2007年の郵政民営化以前は一般書留のみを指す言葉であったが、民営化後は「書留」とは一般書留、現金書留、簡易書留の3種の総称となった。

一般書留[編集]

現金でない極めて重要な郵便物(願書など)を送る場合に使われる。郵便物の引受から配達までの送達過程を、中継局も含めて、書面および端末データで記録する。損害賠償要償額の最高額は500万円まで設定でき、要償額が大きいほど特殊取扱料金が高くなる。最低の特殊取扱料金は要償額10万円までで430円。さらに5万円まで増えるごとに21円が加算されていく。なお、配達証明・内容証明・本人限定受取・特別送達の取扱とする場合は一般書留を併用しなければならない。郵便物への表示方法は、(配達証明等のオプションを何も併用しなければ)「一般書留」と記載するが、「書留」という記載も引き続き許容されている。追跡番号の1桁目は「1」。

現金書留[編集]

現金(日本の現行の紙幣・硬貨であって、外国の紙幣・硬貨は含まれない。また日本円でも古銭は含まれない。)を郵送する場合は現金書留でなければならない。現金を現金書留としないで普通郵便等で送ることは郵便法第17条に違反であり、発覚した場合は郵便物が差出人に窓口で返還される。郵便物の引受から配達までの送達過程を、中継局を含めて、書面および端末データで記録する。損害賠償要償額の最高額は50万円まで設定でき、要償額が大きいほど特殊取扱料金が高くなる。最低の特殊取扱料金は要償額1万円までで430円。さらに5千円まで増えるごとに10円が加算されていく。現金書留は指定の現金封筒(売価21円)に入れて差し出さなければならない。現金封筒は通常サイズの定形封筒と、のし袋ごと入れられる定形外封筒がある。現金封筒には信書など通信文の封入も可能。追跡番号の1桁目は「2」。

なお、以前は現金書留ゆうパックとしてゆうパックで現金を送ることができたが、サービスの改訂で2010年以降はゆうパックで現金を送ることができなくなった(ただし従前からの大口契約者は特例として今でも現金ゆうパックを送ることができる)。また、外貨は現金書留で送る義務はないが、外貨を現金書留として送ることもできる(レートの日本円換算で要償額を申告する)。

簡易書留[編集]

郵便物の引受と配達のみを書面および端末データで記録する。一般書留・現金書留と異なり、中継局での記録は行わない。(つまり、追跡サービスで表示される情報がその分だけ少ない。)要償額は5万円のみであり、損害賠償額は上限を5万円とした実損額である。一般書留よりも要償額が少ない代わりに料金が安い。従って、「内容品の価値が5万円以下でありながらも手渡し配達など厳密な取扱を希望する場合」に利用されている。例えば、クレジットカードや重要書類を送るのに多用されている。特殊取扱料金は一律で310円。追跡番号の1桁目は「3」または「4」。

(参考)特定記録[編集]

特定記録は書留の一種ではないが便宜上、ここで記述する。2009年3月から取り扱いが開始された。郵便物の引受に関しては書面で記録される一方で、配達に関しては受取人の郵便受箱に配達したことが書面でなく端末データで記録される。特殊取扱料金は160円。なお、日曜・祝日の配達は行わない。

(参考)配達記録(廃止済)[編集]

配達記録は書留の一種ではないが便宜上、ここで記述する。2009年2月28日に廃止された特殊取扱である。1995年に取り扱いが開始された。郵便物の引受と配達を書面と端末データで記録する点は簡易書留と同じであり、追跡サービスが利用できる。しかし書留ではないので、万一の毀損・紛失の場合に(局員の故意または明らかな過失が認められない限りは)損害賠償を請求できない。特殊取扱料金は210円。併用できる特殊取扱は速達と配達日指定のみ。クレジットカードやチケットなどを確実に届けるために大口顧客による利用が多かった。(これらは現在は事実上の後継サービスである簡易書留で送られている。)追跡番号の1桁目は「5」または「6」。

配達記録のサービス見直しの背景には、郵便事業株式会社が書留部門(簡易書留や配達記録を含む)の大幅な採算割れを看過できなくなったことがあげられる。郵便事業株式会社が公表している部門別収支では、2006年度の「速達・書留部門」は年間424億円の赤字を計上し、郵便事業全体の足を引っ張る存在となっていた。

また、社会構造の変化(共働き家庭の増加等)により、平日昼間に行われる配達記録郵便物の配達時に不在により配達できないことが多くなり、再配達となるケースが増加した。これが「利用者が増加しても利益につながらない」悪循環を招いたといわれる。クレジットカード会社などの大口顧客が、大量の郵便物を、簡易書留よりも料金が安い配達記録郵便で出していた。

郵便事業株式会社にとっては、配達記録郵便は料金を簡易書留の約半額しか取れないにもかかわらず、輸送や配達は簡易書留と同じ取扱厳密性が求められた。書留部門において、配達記録郵便の占める通数が半数に達するに至り、赤字体質のため、廃止となった。

内国郵便の書留の差出方法[編集]

  • 一般書留・簡易書留の場合

普通郵便と全く同じ方法で郵便物を作成し、郵便局に持ち込み、「簡易書留(または一般書留)でお願いします」と言うと、局員が郵便料金が計算するので、郵便料金を現金または切手で支払えばよい。その際に、一般書留の場合は希望する損害要償額を口頭で申し出る。(申し出ないと最低額の10万円となる)。なお、ポストに差し出すことは一切できない。集荷は(郵便物を大量に出す企業以外は)行わない。

  • 現金書留の場合

送りたい現金を持って郵便局に行き、郵便局でまず「現金封筒(21円)」を購入して宛名書きし、局内にある糊で封をして印鑑をおす。それを窓口に差し出し、損害賠償要償額(つまり中身の現金の額)を口頭で申し出て、料金を支払えばよい。

内国郵便の書留に付加できる特殊取扱[編集]

配達証明[編集]

配達完了次第、配達した郵便局は配達証明書という配達したことを証明する葉書を作成して差出人に郵送する。配達証明とする場合は一般書留または現金書留を併用しなければならない。特殊取扱料金は310円(ただし、差出後に配達証明を請求すると料金は430円)。

内容証明[編集]

郵便認証司が文書の内容を証明する。しばしば配達証明と併用される。

本人限定受取郵便[編集]

宛名の本人に対面で配達(または窓口交付)を行なうサービスで、家族や同居人は決して受け取れない。本人限定受取郵便とする場合は一般書留を併用しなければならない。本人確認レベル等により、下記の3つの型がある。特殊取扱料金はいずれも100円(それに加えて一般書留料金もかかる)。

基本型
この型は、宛先への配達は行わないのが特徴である。受取人は、「本人限定郵便到着のお知らせ」と本人確認書類を持って、受取人宅への配達を担当する郵便局に受け取りに行く。その際に「写真付き公的証明書(運転免許証など)が1点」または「写真の付いていない公的証明書(健康保険証など)や写真付き社員証など2点」の提示が必要となる。窓口局員は本人確認書類の提示を受け、身分証明書番号を控える。電子署名及び認証業務に関する法律に規定される最も厳格な本人確認が実施される。
特例型
この型は、郵便局に取りに行く方法のほか、宛先住所への配達も選択できるのが特徴である。受け取る際は本人確認書類として「住所・氏名・生年月日の記載がある公的証明書1点」の提示が必要で、これは顔写真が無くても構わない(つまり健康保険証1枚でも構わない)。配達員または窓口局員が身分証明書番号を控える。本人確認の根拠となる法律については他の型とは異なり明記されていないが、旧住所記載の本人確認書類でも受け取れるので、最も本人確認レベルが低い型である。近年は「特型」よりもさらに差出人にとっての利便性と本人確認レベルを高めた「特型」が新設されたため、現在は特例型はあまり利用されていない。
特定事項伝達型(特伝型)
この型は、特例型と少し似ている部分はあるが、本人確認書類の内容を郵便局が差出人に伝えるのが特徴である。
受け取り方法は、宛先住所への配達か、ゆうゆう窓口のある郵便局へ受け取りに行くかのいずれかを選択できる。必要な本人確認書類は特例型と同じであるが、本人確認書類に宛先住所と同じ住所が記載されていないと受け取ることはできない。配達完了後に郵便局は「本人確認書類の名称・記号番号・生年月日」をインターネットの郵便局会員専用サイト上で差出人に通知する。差出条件は後納契約した事業者のみであり個人差出は不可能。
主な利用として、インターネット経由でのクレジットカード入会や、ネット証券会社への入会時に送られる確認書類などが挙げられる。
犯罪による収益の移転防止に関する法律に規定される本人確認が実施される。

特別送達[編集]

民事訴訟法上の送達に用いられる。

引受時刻証明[編集]

引き受けた日付と時刻を証明する。一般書留に付けることができる。特殊取扱料金は310円。

国際郵便の書留類の種類[編集]

国際書留[編集]

基本的な特徴は、内国郵便の書留と似ている。郵便物の引受および配達を書面および端末データで記録する。配達時にサインが必要。追跡番号があるのでインターネットで追跡できる。(郵便物が海外にある間は、海外の郵便事業体のサイトで追跡するほうが詳しく分かる。)

特殊取扱料金は410円。

世界の多くの国に、(受取人が留守でなければ)約2週間で送ることができる。EMSと比較すると、安いが遅いサービスである。

大事な書類や小物商品を海外に送るのに利用されている。(国際通販事業者向けに、「国際eパケット」という国際書留利用の割安なサービスもある)

差出方法は、国際普通郵便を送るのと同様に宛名書きして、郵便局で「国際書留でお願いします」と言って差し出せばよい。国際書留専用ラベルもあるが、利用は必須ではない。

国際書留にできる輸送便は、航空便とSAL便だけである。船便書留は万国郵便条約で廃止になった。

国際書留にできる種類は、通常郵便物(書状、小形包装物など全種類)だけであり、国際小包は国際書留にできない。

万一の紛失や破損の場合は、差出人に対して6000円までの実損額が賠償される。6000円よりも高額な賠償を必要とする場合にはEMSまたは保険付を利用する。

航空書留は殆どの国宛てに利用できるが、SAL書留は取り扱っていない宛先国が多い。例えば韓国、台湾、オーストラリア、ドイツなどはSAL書留を取り扱っていない。

差出国で付与される追跡番号の頭文字は「R」(Registeredの略)。(後述の保険付通常の場合もRから始まる番号の場合が多いので注意)

保険付[編集]

保険付は、国際書留とは異なり、6000円を超える損害要償額を設定できる。損害要償額の最低額は2万円で、追加料金を払えば、最高額は(宛先国にもよるが)数十万円まで設定できる。

国際郵便で貴重品(国内外の貨幣、有価証券、貴金属)を送る場合は、必ず国際書留または保険付としなければならない。(EMSでは送ることはできない。また、貴重品は国際書留ではなく保険付に限る宛先国がある。)

保険付にすることができる種類は、「通常郵便物(ただし航空書状に限る)」と「国際小包」だけである。

保険付を取り扱っていない宛先国は多い。例えば、カナダ、イギリス、ドイツなどは保険付を取り扱っていない。アメリカも保険付通常は取り扱っていない。

保険付通常は、引き受けた後は、国際書留とほぼ同じように輸送・配達している。(外国来の保険付通常も日本では国際書留と全く区別せず配達している)。特殊取扱料金は最低460円(損害要償額2万円)。差出国で付与される追跡番号の頭文字は国際書留と同様に「R」のことが多い。

保険付小包は、引き受けた後は、普通小包とほぼ同じように輸送・配達している。特殊取扱料金は最低400円(損害要償額2万円)。差出国で付与される追跡番号の頭文字は普通小包と同様に「C」のことが多い。

国際書留・保険付に付加できる特殊取扱[編集]

受取通知(A.R.ともいう)[編集]

宛先に配達したことを差出人に書面で報告するサービス。(内国郵便の配達証明のようなもの)

引受局は、引き受けた郵便物に専用の「A.R.葉書」を貼り付ける。宛先国で配達の際に配達員がA.R.葉書を郵便物から剥がしてそれに受取人から受領サインをもらい、配達員は受領サインの脇に配達日を記入する。この葉書を配達郵便局が差出人に返送することで、正当に配達したことを受領サイン付きで報告する。

受取通知を付けるには、国際書留または保険付としなければならない。

「A.R.」はフランス語で「Avis de Réception(アヴィ・ドゥ・レセプシォン)」の略。

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]