送達

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

送達(そうたつ、service)とは、裁判所が正式に裁判の関係者に対して、訴訟に関する書類を送付することをいう。 ただし、法律用語としてのみ使われるわけではなく、法律用語として使用されない場合、単にものを送り届ける事をいう。 本項では、法律用語としての送達について解説する。

日本法における送達[編集]

裁判所が裁判権の作用として、当事者その他の訴訟関係人に対し、法定の方式に従い、訴訟上の書類を交付し、又は交付を受ける機会を与えることをいう(民事訴訟法98条以下、刑事訴訟法54条)。刑事訴訟については、刑訴法54条において、民事訴訟法の規定が原則として準用される旨が規定されているため(公示送達を除く)、以下では民事訴訟について解説する。

送達は、裁判所の職権として行われるが、裁判所書記官が取扱い(民訴法98条2項)、原則として、郵便または執行官が実施機関となる(民訴法99条1項)。なお、民事訴訟において、訴訟代理人間がFAX等で準備書面等を送るが、これは、「送付」(民事訴訟規則47条。実務上「直送」という。)であって「送達」ではない。

目的[編集]

訴訟上の書類を、確実に当事者その他の訴訟関係人に届けることが目的である。訴訟上の期間の計算は、かかる送達が終わらなければ進行しない場合も多い。

送達は、訴訟上必須の手続となることから、郵便などによって送達ができない場合は、やむを得ず最終手段として公示送達(裁判所に公示することによって送達が終わったとする手法、民訴法110条)を用いることも許される。

送達場所と送達方法[編集]

  • 交付送達(民事訴訟法101条、103条1項)
通常は名宛人の住所居所に特別送達による書留郵便によって送達する。就業場所であってもかまわない。名宛人が私書箱を保有する場合でもそこには留め置かれず、必ず配達される。ただし、民事訴訟の当事者は、送達場所を自ら届け出ることが義務づけられており、届出があった後は、当該届出のあった送達場所に送達しなければならない。上述の「送付」の場合も、この送達場所に送付する。
  • 出会送達(民事訴訟法105条)
特別送達による書留郵便が不在で配達郵便局返戻となり郵便局窓口で交付した場合など、名宛場所以外で当事者と出会った場所で送達された場合。
  • 補充送達(民事訴訟法106条1項)
名宛人でなくとも、同居人または使用人その他の従業者であって「相当のわきまえのある者」に交付した場合。
  • 差置送達(民事訴訟法106条3項)
名宛人の住所、居所において、名宛人が正当な理由なく受領を拒否するときに通常送達すべき場所に書類を差し置く場合。

上記送達実施機関は郵便に従事する職員または執行官(民事訴訟法99条)であり、送達報告書は公務員として作成の公文書となる(民事訴訟法109条)。

  • 裁判所書記官による送達(民事訴訟法100条)
裁判所に出向いた当事者および訴訟代理人に送達する場合。
  • 書留郵便等に付する送達(民事訴訟法107条1項)
名宛人あて送達に不奏功の場合、民事訴訟法の所定の要件を満たすと裁判所書記官が判断したときに実施し、書留郵便または民間信書便によって発送したときに送達完了とみなす方式。実際に名宛人が受領したかどうかは問わず、送達機関は発送した裁判所書記官となる。
送達場所が知れない場合などの民事訴訟法110条の場合、裁判所書記官が、申立てによって、名宛人あて書類を裁判所に掲示することによる送達方式。2週間経過後は送達の効力が生じる(民事訴訟法112条1項)。名宛人が実際に書類を受領したかどうかは問わない。公示送達の場合は、擬制自白は成立しない(民事訴訟法159条3項ただし書)。