公示送達
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
公示送達(こうじそうたつ)とは、意思表示の相手方を知ることができないとき、又は相手の所在が不明であるときに、公示の手続きを行うことで、相手に意思表示が到達したものとみなす制度である。
2026年5月21日から、公示の方法はインターネットによることが原則となった。
民事分野
[編集]日本では民法第98条に公示による意思表示の方法が定められており、民事訴訟法の規定を適用することとなっている。民事訴訟法では、第110条以下にその要件・方法等が示されている。
訴訟事件・競売事件などでは、手続き上、債務者又は所有者に送られる文書が本人に送達されることが必要となるが、行方不明のため不送達になったとき等は、係争裁判所・競売の執行裁判所に対して公示送達の申立を行う。一定期間公示されることで、到達したものとみなされる。
公示送達ができる場合
[編集]公示送達は、以下の場合に、当事者からの申立て、または、裁判所の命令(訴訟遅延を避けるために必要がある場合)により、裁判所書記官が行う。
手続
[編集]- 原則として、当事者からの公示送達の申立てが必要である(民事訴訟法110条1項柱書)。
- 簡易裁判所において意思表示の公示送達の申立を行う。この場合、相手方が不明の場合は申立者の住所地の簡易裁判所、相手方の所在が不明の場合は相手方の最後の住所地の簡易裁判所が申立先になる(民法第98条第4項)。
- 公示は、2026年まで主として裁判所の掲示板に掲示することで行ってきたが、デジタル技術を活用する国の施策の一環で、2026年5月21日以降はインターネットによることが原則となった[1]。合わせて官報への掲載[2]と、裁判所窓口での書類交付(裁判所書記官は書類を保管し、いつでも相手方に交付できるようにする)、窓口モニターでの閲覧が必要である(民法第98条第2項)。
- 公示(官報掲載)から2週間(外国において送達すべき場合は6週間)経過した場合、送達の効果が発生する。
- 当事者が裁判に出頭しない欠席裁判となる場合、通常は相手の主張する事実を争わないものとみなされるが(擬制自白)、公示送達により呼び出された当事者には擬制自白は適用されない(民事訴訟法第159条第3項但書)。
刑事分野
[編集]日本の刑事訴訟では、公示送達は認められていない(刑事訴訟法第54条)。
行政
[編集]行政が行う公法上の事務においても、公示送達の制度があり、詳細はそれぞれ根拠法令によって規定されている。
- 税関係
例えば、税を滞納した人や法人に対して、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場が督促状を発送するが、宛先不明で戻って来る場合がある。住民基本台帳等を調べてもなお所在が不明な場合は、公示送達の手続きを行うことになる(国税については国税通則法第14条、地方税については地方税法第22条の2、東京都都民税条例第17条、千代田区特別区条例第6条など)。
- 公示は、2026年まで税務署など官公署の掲示板に掲示することで行ってきたが、民法改正に合わせて関係法令が改正されており、2026年5月21日以降はインターネットによることが原則となった。
- 税法では、公示から7日を経過すると文書が到達したものとみなされる。
- 国民健康保険法なども税法を準用しており、公示送達の規定がある。
- その他
例えば、許可の取り消しといった不利益処分を行う場合は、聴聞などの手続きが必要になる。相手方が所在不明などの場合も公示送達が行われる(行政手続法第15条、第31条)。この場合もインターネットによることが原則となっており、公示から2週間経過すると文書が到達した物とみなされる。
課題
[編集]- インターネットでの公示により、個人情報が拡散することが懸念されている。公示送達を行うウェブサイトでは個人情報保護についての注意書きを掲載している[3]。