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宅配ボックス

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Amazon.comアメリカ合衆国で展開している宅配ボックスサービス「Amazon Locker[1][2]

宅配ボックス(たくはいボックス、英語: delivery locker)は、受取人が留守のときに宅配便や郵便物の受取を代行するロッカー型設備である。留守でも荷物を受け取れるため、平日は帰宅が遅くて宅配物を受け取るのが困難な人や、インターネット通販をよく利用する人にニーズが高まっている。近年は特にマンションの共用設備として新築物件で導入が進んでいる。またマンションとして宅配ボックスの設備がない場合や、戸建て向けの宅配ボックスやワイヤーで固定する簡易的な宅配ボックスも存在する。(利用に関しての注意点は後述)

利点

  • 不在時でも荷物を受け取れる。
  • 入浴中や炊事中など手が離せない時でも荷物を受け取れる。
  • 再配達依頼する必要がないので、再配達を待つ必要がなく外出ができる。
  • 受け取りのことを心配することなく通販で気軽に買い物ができる。
  • 配達会社の再配達業務が減るので、配達コストが下がり、CO2減少(エコ)にもなる。[3]

注意点・問題点

  • マンションやアパートに据え置きで設置されているタイプの場合、受取人が荷物を受け取らず保管期限が過ぎ、管理業者によって処分や別保管が行われる場合がある。この場合、約款次第だが保証なども受けられない場合がある。(特に旅行時等の長期不在時に問題となる)
  • 電子式タイプの場合、暗証番号は入力を複数回誤ったなど、自分の荷物でも取り出せなくなることがある
  • 誤配送、もしくは盗難にあった場合、配送業者に確認を取る必要があるが、十分な保証が受けれない場合がある(配送業者、通販サイトの約款次第)[4]
  • 宅配ボックスの利用/新規設置にについては、設置者へ管理責任が求められ、配送事業者との書面による契約が必要となる場合がある。事業者次第ではあるが、個人で宅配ボックスを設置しても事業者契約が行えず、設置した宅配ボックスの利用を断られる場合もある。[5][6][7][8]
  • インターネット上では宅配ボックスと称して据え置き型/ワイヤー式などの荷物入れ、プラスチックボックスを販売していることがあるが、簡易的な宅配ボックスだけではなく正式な宅配ボックスも利用が断られる場合があることに留意すべきである。[9]

宅配ボックスに入れることができない物品

以下の物品は、配達会社の規定、あるいは宅配ボックスメーカーの規定により、正式に、宅配ボックスへの配達は禁止されている。

  • チルド便(冷蔵便)、冷凍便
  • 生もの
  • 書留(簡易書留を含む)
  • 代金引換、着払
  • 宅配業者の正式な貴重品サービス(ヤマトのセキュリティーパッケージ、佐川のセーフティサービス、日本郵便のセキュリティゆうパック)
  • 宛先住所末尾に「宅配ボックス禁止」と書かれているとき。

※レターパックプラスは宅配ボックスに入れることができる(郵便取扱マニュアル)。

※メール便は郵便受けに配達であるが、厚くて入らない場合は宅配ボックスに入れることができる。(ただし宅配ボックスに入れて紛失しても、損害賠償は無い。)

また、以下の場合は、宅配ボックスには物理的に入れることができない。

  • 宅配ボックスが満杯のとき。後述の通り、スタンドアローン方式は管理用通信回線が接続されていないため、ボックスが満杯になりがちである。
  • 大きくて宅配ボックスに入らないとき。ならびに、入るサイズの大きいボックスが空いていないとき。
  • 宅配ボックス会社に事前に会員登録していないとき。ならびに、入庫禁止に設定しているとき。

また、以下の場合は、配達員の判断によっては宅配ボックスに入れないことがある。

  • 居住確認できない場合。すなわち、郵便受けに表札が無く、宅配ボックスの液晶画面にも名前が表示されない場合は、宛先の部屋に住んでいるという確認が取れないため、宅配ボックスには入れないことがある。
  • 重量物。重量物は住人がボックスから取り出して運ぶのに労力がかかり苦情となるため、宅配ボックスには入れないことがある。
  • 品名が無記載の場合。無記載だと生ものが入っている可能性があるため、宅配ボックスには入れないことがある。(大手通販サイトは品名が無記載のことが多い)
  • 品名が「食品」の場合。「食品」と書かれているだけだと生ものが入っている可能性があるため。また、食の安全の観点から、具体的な食品名が書かれていても宅配ボックスには入れないことがある。(住人が取り出すのが数か月後のことがあり、腐るため)
  • 配達員が新人のため不慣れで、宅配ボックスへの入庫方法が分からないとき、または、宅配ボックスの存在自体に気付かなかったとき。
  • その他、配達員の経験上、宅配ボックスに入れるとトラブルになる可能性があると判断したとき。


以上のような場合でも宅配ボックスに入れてもらうには、宛先住所の末尾に「不在時宅配ボックス希望」と書けばよい。この旨が記載された場合は客からの指示であるから、どの配達会社の配達員も極力宅配ボックスに配達するように努める(ただし書留のような入庫禁止品を除く)。住所欄に書けば確実に配達員の目に留まる。品名欄や通販サイトの備考欄に書くと配達員が見落としてしまう。

普及状況

マンション

1999年以前に建てられたマンションでは設置率が低いが、2000年以降築の物件では急速に普及が進み、新築マンションでは標準的な設備となっている。マンション情報誌の「ほしい設備」のベスト5に必ず入る設備として受け入れられている。また、新しくないマンションであっても、住民の要望によって宅配ボックスを後から導入した事例が増えている。

アパート

アパートは集合ポスト付近が狭いので設置場所確保が難しく、また管理上の問題から、宅配ボックスの設置率はかなり低い。ただし、新築アパートでは「2箱、ダイヤル式」の宅配ボックスの導入が増えつつある。

戸建住宅

戸建住宅では、価格や設置場所確保の問題から、宅配ボックスが設置される事例はこれまでかなり少なかったが、近年は設置事例が少しずつ増えている。後付で宅配ボックスを設置するユーザーも存在するが、確実に利用できるという保障が無い点には注意を要する。

種類

宅配ボックスにはいくつかの種類があり、機能や操作方法がそれぞれ異なっている。

ダイヤル式

  • 概要:宅配ボックスの初期型であり、近年はマンションではあまり見られないタイプだが、最低2箱からの製品もあるので今でもアパートで採用が多いタイプである。
  • 操作方法:宅配ボックスのそれぞれの箱の扉に3桁または4桁のダイヤルがある。配達員は荷物を入れ、ダイヤルを配達員自身がその場で決めた番号に合わせてこれを暗証番号とし、「宅配ボックスに入れました。箱番号は○番で、暗証番号は○○○○です。」という配達通知書を作成して郵便受けに投函する。受取人はダイヤルを暗証番号に合わせることで扉が開き、荷物を取り出せる。
  • メリット
    • 電気を使わないので電気代がかからない。
    • 会員登録不要なので、住民が入居したばかりでも取り出せる。
    • 導入コストが電子式よりは安い。
    • アパート向けに屋外設置が可能なタイプもある。
    • 配達員が配達直後に誤配達に気づいたときは、住民が取り出す前であれば、配達員がダイヤルを暗証番号に合わせてすぐ回収することができる。
  • デメリット
    • すぐに満杯になりやすい。荷物が長期滞留していても、何月何日から入りっぱなしなのかの記録が取れないので、管理会社による対応が難しいからである。
    • 悪意のある人がダイヤルを0000から9999まで試せば開いてしまうため、盗難対策が不十分である。
    • 配達員が暗証番号を記入漏れしたり、誤記入することがよくある。
    • 配達員が誤操作しやすい。(扉をロックし忘れるミスが特に多い)
    • ダイヤル式はトラブルが多いため、配達会社の営業所によっては使用しない規定になっている場合がある。

電子式(液晶パネル式)

  • 概要:近年主流のタイプ。
  • 操作方法:液晶画面があり、配達員は画面や音声で案内される手順に従って荷物を入れた後、「宅配ボックスに入れました」という配達通知書を郵便受けに投函する。受取人が扉を開く方法は、部屋ごとに決まっている固定暗証番号(入居時にマンション管理会社から渡された書類に書いてある)を使用するタイプと、予め住民に配布されている磁気カード等を使って扉を開くタイプの2タイプがある。
  • メリット
    • その部屋の住民だけが持っているカード等でしか取り出せないので、ダイヤル式に比べセキュリティ性が高い。
    • 何月何日に荷物を入れたという記録が内部データとして残るので、宅配ボックス会社は長期滞留の荷物を発見できる。そのため物置代わりに悪用される恐れが低い。(長期間入りっぱなしの荷物は宅配ボックス会社や管理人が回収し処分する規定になっているなど)
    • 機種によっては、受領書を内蔵プリンタで発行する機能が付いており、受領書に印字されている部屋番号に配達したという証拠になるので、確実性が高く、配達員が安心して使うことができる。
    • 機種によっては、インターホンと連携することができ、宅配ボックスに荷物が入っていると住人の宅内のインターホンから通知音が鳴る機種もある。(郵便受けを時々しかチェックしない人の取り忘れ防止になる)
    • 配達員が暗証番号を記入する必要がない。
  • デメリット
    • ダイヤル式よりも導入コストが高い。また、定期点検費用など維持コストもかかる。
    • 配達員が部屋番号入力を間違えたり、箱内センサーを外して入庫すると、住民が取り出そうとした時に「荷物はありません」と表示され、簡単には取り出せなくなる。

戸建用の場合

戸建用の場合、まだほとんど普及しておらず、配達員が戸建用宅配ボックスの操作に慣れていない者がほとんどのため、宅配ボックスが設置してあっても配達員が使用しないことがある。配達員が積極的に使用しない理由としては「宅配ボックスがあることに気づかなかった」「盗難対策や雨濡れ対策が充分とはいえない」「戸建用は使い方が製品により様々なので使い方がよく分からない」「宅配ボックスへの配達を希望しているのか分からない」などが挙げられる。また、戸建用の宅配ボックスは設置場所の理由から、小型で奥行がないボックスが多いため、小さい荷物しか入れられない問題もある。

管理方式

住民が何らかの理由で配達通知書に気づかなかった場合や、宅配ボックスから取り出す意欲がない場合に、荷物が何か月もボックスに入りっぱなしになることがあり、これを長期滞留荷物と呼ぶが、その対策としては機種によって2つの方式がある。

スタンドアローン方式(自主管理方式)

  • この方式は宅配ボックスが通信回線で宅配ボックス会社と繋がっていないので、長期滞留荷物がないかどうかのチェックはマンションの管理人が本来は行う必要がある(自主管理)。しかし、実際にはそういったチェックはマンション管理人の日々の管理業務に組み入れられていないケースが多いため、長期間取り出されない荷物の影響で空きのボックスが常に少ない状況となり、満杯になりやすく、配達員が入れたくても入れられないことが多い。管理不徹底のためにボックス満杯状態が慢性化するとマンション住民・配達員双方の大きな不満となり、物件の資産価値も下がる。
  • 現住民の名前を宅配ボックスに表示する機能がなく居住確認ができないため、転居の可能性を考慮して配達員が入庫しなかったり、転居済みの人宛ての荷物が入庫されることがある。
  • 扉が開かないなどのトラブル時に、宅配ボックス会社は遠隔操作でサポートすることができないため、マンション管理会社による翌日以降の出張対応となる。(出張作業費がかかる場合もある)
  • すべてのダイヤル式ボックスと、ほとんどのメーカーの電子式ボックスがこの方式である。

ネットワーク方式

  • この方式は宅配ボックスが通信回線で宅配ボックス会社と接続されており、長期滞留荷物がないかをオンラインで毎日自動点検する。3日間以上入りっぱなしになっている場合は、メール・電話・郵便で登録契約者宛てに通知を行う。通知してもさらに長期間入りっぱなしになっている場合は、宅配ボックス会社が強制的に取り出す。このため、長期滞留荷物の防止(=ボックスの満杯防止)に大きな効果がある。
  • この方式の宅配ボックスを利用するにあたっては、事前にインターネット等で会員登録が必要である。(名前や電話番号を登録する)
  • 液晶画面には、各住人が事前に登録した名前が表示されるので、配達員は表示された名前で居住確認を取って入庫することができ、誤配達が起こりにくい。
  • 宅配ボックス管理センターとの通話機能があり、トラブル時に24時間いつでもサポートを受けられる。例えば、配達員のミスで荷物を取り出せないときや、磁気カードを紛失したときは、遠隔操作で扉を開けてもらうことができる。
  • 管理は宅配ボックス会社への委託となるので、管理人の仕事の負担が減る。
  • スタンドアローン方式と同じサイズで機種価格を比較した場合は割高であるが、ネットワーク方式は荷物が滞留せず、満杯になりにくいためスタンドアローン方式よりも一回り小さいサイズでの運用も可能であり、実質的にはスタンドアローン方式とコストはあまり変わらないこともある。
  • 特定のメーカーの上位機種の電子式ボックスがこの方式である。

宅配ボックスに入れてくれない理由

  • 近年、インターネット通販で戸建てやマンションの玄関に設置するタイプの個人用宅配ボックスが販売されているが、主にセキュリティ(鍵の破壊、箱ごと盗難など)の問題、及び本人設置の確認が取れない(他人が設置した恐れがある)等の理由から一般的には利用を断られる。どうしても利用したい場合、事業者と契約書を交わし、紛失、破損時の責任は自己責任として配達してもらう事になるが、大手事業者との個人契約は基本的に難しく、コンビニ受取への案内をされるに留まる事が大半である。購入を検討している場合は事前に地元の事業者への確認を怠らないこと。
  • 配達会社には「宅配ボックスに入れてほしい」という要望がしばしば寄せられるが、宅配ボックスの液晶画面に名前が表示されず郵便受けにも表札が無い場合は、居住確認ができないので、宛先住所に住んでいるという保証がないため、配達員の判断によっては宅配ボックスを使わないことがある。(例えば、久しぶりに利用した通販サイトの登録住所がうっかり転居前の住所のままだったとか、転居したことを差出人が知らなかったとか、差出人が部屋番号を書き間違えていた、ということが少なくないため。)部屋番号書き間違いや宛先住所から転居済のことが時々あり、そういった荷物を誤って宅配ボックスに入れてしまうと回収が難しく、居住確認できない場合は配達員の判断にて宅配ボックスを利用しない事が考えられる。確実性を高めるため、配達員が居住確認を取れるよう、郵便受けに表札を出す、もしくは伝票に「宅配ボックス希望」と記載を行う等の配慮が考えられる。

駅などに設置された宅配ロッカー

宅配ボックスが自宅に無い人でも宅配荷物を仕事帰りに受け取れるようにするため、駅などに宅配ロッカーを設置している事例がある(コインロッカーとは異なる)。しかし、こういった宅配ロッカーは、これまでは特定の通販サイトで購入した荷物しか入れられないなど、利用可能シーンが限られているものが多かった。そこで最近は、差出人を問わずに荷物を入れられる「オープン型宅配ロッカー」(PUDOなど)が登場し、設置事例が増えつつある。しかし、自宅近所で「コンビニ受取サービス」を利用するほうが一般には持ち帰りやすいため、オープン型宅配ロッカーの需要は未知数である。

海外の宅配ボックス事情

中国

共働きが多い大都市部を中心に、近年は宅配ボックスが急速に普及し始めており、宅配ボックスメーカーは既に20社以上ある。中国でよくある仕組みとしては、配達員が配達時に受取人の電話番号を宅配ボックスに入力すると、システムが自動的に暗証番号を生成して受取人の携帯電話にSMSで暗証番号を通知し、受取人はその暗証番号を宅配ボックスに入力すると受け取れる、という仕組みが一般的である。配達員は配達通知書を手書きする必要がなく、SMSで受取人に直接通知されるので家族に荷物を知られる恐れが少なく、受取時に磁気カードも要らないという点から、日本よりも先進的な仕組みと言える。

脚注