日本の鉄道信号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
BYR color wheel.svg この項目ではを扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。

この項目では、日本の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」における鉄道信号の信号・合図標識のうち、信号について説明する。この省令において信号は、係員に対して、列車または車両を運転するときの条件を現示するものと定義している。

この項目で特に断りなく白灯と書いてある場合は、厳密な純白ではない(概ね白熱電球色である)。

概要[編集]

日本では、当初イギリスから技術を取り入れて鉄道を発展させたため、イギリス流のルートシグナルの考えが基本になっている。しかし、その後鉄道の発展の中での技術的な必要性に迫られたり、アメリカの技術的な影響を受けたりして信号システムを改良してきた結果、現在の信号の方式はルートシグナルとアメリカ流のスピードシグナルの概念を混在させたものとなっている。 信号の方式としては「地上信号方式」と「車内信号方式」の2つに大別されるが、更に「地上信号方式」を区分すると「腕木式機械信号機」と「色灯式電気信号機」の2つに区分される[1]。しかし、腕木式機械信号機は現在、ほとんど使用されていない[1]

信号機[編集]

腕木式信号機 小坂鉄道小坂駅(現在は廃止)

古くは手動での信号リバー操作に連動して動作する腕木式信号機が用いられたが、日本国内で現存するものはわずかであり、ほとんどが色灯式信号機に移行している。

2005年6月28日にJRで最後まで腕木式信号機が残っていた八戸線陸中八木駅の腕木式信号機が色灯式に置き換えられJRのすべての駅から腕木式信号機が消滅し[2]、腕木式信号機の残存箇所は津軽鉄道金木駅五所川原駅の場内信号機のみとなった。国鉄や大手私鉄の大都市路線ではおおよそ1960年代、ローカル線や中小私鉄でも1980年代には自動化され廃止される例が多かったが、一部のローカル線や私鉄では2000年代初期まで使われていた。また、相対的に列車本数が少ない貨物線や専用線では、自動化にかかる費用との兼ね合いで、ごく最近まで腕木式信号機を使用し続けている例が見られた。例えば福島臨海鉄道では2015年まで、小坂製錬小坂線は2009年の路線廃止まで使われ続けていた。

常置信号機[編集]

沿線や車両基地内などに一定の場所に常置して信号を現示する場内・出発・閉塞・入換信号機のことである。日本では列車は左側通行を基本とするため、原則としてその線路の直上または左側に設置する[3]。線路が2つ以上隣接している場合は線路の配列順に設置して所属する線路が判別できるようにしている。また、場内・出発・閉塞・遠方信号機の信号現示の確認可能の距離は600 m以上を原則とし、地形などの特別の理由がある場合には200 m以上としている。進路表示機・入換信号機・中継信号機の信号現示の確認可能の距離は200 m以上とし、誘導信号機の信号現示の確認可能の距離は100 m以上としている。

信号現示の種類と現示方式[編集]

主信号機の現示方式(「○灯式」は灯球の総数)。抑速信号は省略。
以前には単灯式(一灯式)の信号機が存在したが、1990年代に消滅したためここでは記していない。四灯式・五灯式には現示パターンが異なるので、便宜上AとBで区別する。この違いからAを「警戒(現示)型」、四灯式Bを「減速(現示)型」、五灯式Bを「高速進行(現示)型」と呼ぶ場合がある。六灯式でも警戒信号の現示は可能だが現時点では警戒信号の現示できるものは設置されていない。
信号機の現示と車両位置のイメージ図(五灯式A)
車両の位置や場内・出発信号機の現示により、閉塞信号の現示が変化する。なお実際は、先行列車との距離を保つため赤信号(停止指示)は2つ以上連続している。

日本の鉄道においては現示方式により、1閉塞区間を運転条件とする二位式と2閉塞区間以上を運転条件とする三位式の2つの種類があり、二位式の場合は「緑色」と「赤色」の二色を基本的な現示とし、三位式は「緑色」と「橙黄(とうおう)色」と「赤色」の三色を基本的な現示とした色灯式信号機を採用している。道路信号に似ているように見えるが、点灯の順番が逆(緑→赤→黄→緑)であったり、点灯している色の組み合わせ(信号現示)によってその先の閉塞区間の制限速度を表示することが道路信号との最大の違いである。なお、速度制限標識が近くにあれば、その区間の制限速度と信号現示の制限速度を比べ、低い方に従う[4]

色灯色信号機は、単灯形と多灯形があり、多灯形は2 - 6つの電球(=二-六灯式)を使用している。電球には、フィラメントとLEDの2種類があり、前者の方は、フィラメントが二重に取付けられており、どちらか片方が切れても消灯することがなく、片方が切れた場合は、信号指令に警報が出され、すみやかな交換が可能となっている。後者の方は、電球の直径150mmの中にLED電球が288個取付けられており、長寿命[5]で全断芯が起こりにくく、輝度が半減するまで10年かかると言われており、フィラメント電球が半年から1年で交換する必要があるのに対して、かなりの省力化となる。また、LED電球は1灯ごとにユニット単位で交換が可能である。その他にも、フィラメント電球では、規定の電圧で点灯した時に800m先からでも視認できるように、内側の色レンズと外側の透明レンズの2枚構成としており、太陽光線が電球の正面から当たった場合に信号の誤認を防ぐため、電球には反射板が取付けられていない。

二灯式には、黄と赤の組み合わせもあり、これは進行信号を現示する必要がない路線終着駅手前の場内信号機や待避線進入用の場内信号機など、注意信号の制限速度以下の減速を必要とする場所に設置されている。また、養老鉄道養老線など、路線最高速度が注意信号の制限速度 (65km/h) とほぼ同等の場合、閉塞信号として利用されることもある。現在廃止されているが単灯式もあった。灯球にLEDを使った四灯式には、五灯式と同じ5現示を現示できるものも存在する。一部の進行信号・減速信号を現示しない信号機では緑色灯が、また、注意信号を現示しない三灯式(本来二灯式を使用するが、二灯式の信号を用いない線区がある)では橙黄色が省略されることがある。その場合、空きの場所には灯球1個分のスペースが設けられている。二灯を同時に点灯させる現示の際には視認性を確保するため、灯火間を二灯以上離すのが原則となっており、高速進行信号は灯球を三灯離している。

信号機には現示を背景から分離し見やすくするため、後ろに背板を取り付けており、その形状は場内・出発・閉塞信号機は丸形、#従属信号機である遠方・通過信号機は角形である。ただし信号が複数設置され干渉する場合や、背板を設置すると建築限界を支障する場合、干渉・支障がある部分を切り取った形状となっている背板を設置する。さらに信号機が日光を背にする場所においては信号機とは別に背板の後ろに当たるところに遮光用の構造物を設置するが、逆に地下線やトンネル内など、背景が暗く、そもそも背板の必要性が無い場所においては背板が省略され灯具のみが設置される。また、豪雪地帯では灯具に雪避けの囲いが設けられることがある。

各信号現示の制限速度は鉄道事業者や路線により異なる。

高速進行[編集]

高速進行現示(GG現示)は緑色灯を2灯現示し、130km/hを超える速度での進行を指示する。京成成田スカイアクセス線で採用されており、「スカイライナー」で現示する。

1997年に開通した北越急行ほくほく線で初めて導入されたが、当初は130km/hをこえ140km/hまでであった。その後、1998年12月から150km/hに、2002年3月からは160km/hに引き上げられたが、2015年3月の北陸新幹線開業に伴う特急「はくたか」は廃止されたが、京成成田スカイアクセス線では2010年から採用されている。これは大手私鉄としては初めてかつ唯一の採用である。

高速信号現示には六灯式と五灯式があり、3灯の間隔を空けて緑2つを点灯させる「高速進行」が制限なし(路線最高速度160km/h)、緑1つの「進行」が制限130km/hを示す。

北越急行では自動列車停止装置であるATS-P形のトランスポンダ車上子、京成は列車選別装置の車上子からの信号を地上側で受信(北越急行では3閉塞手前)して、130km/h以上での進行が可能な場合に進行現示から高速進行現示に切り替えている。

進行現示[編集]

進行現示(G現示)は緑色灯を1灯現示し、その現示箇所を越えて進行することができる。ほくほく線と京成成田スカイアクセス線では130km/h以下での進行を指示する。速度制限はないが、路線ごとに定められた最高速度および標識等による制限には従わなければならない。なお、車内信号機を使用して運転する場合は、信号現示の速度以下で進行することができる。

抑速現示[編集]
抑速信号現示

抑速現示(YGF現示)はフリッカー信号とも言われ、緑色灯と橙黄色灯の減速信号の現示を1分間に80回点滅させて、105km/h以下への減速を指示する。1995年京浜急行電鉄京急本線品川駅 - 横浜駅間の最高速度を105km/hから120km/hに引き上げる際、閉塞区間を信号機の移設・増設、閉塞数を変更せずにブレーキ距離を確保するために導入された。これにより、抑速現示による速度制限を受けている状態では従前の進行現示と同等の距離で停止でき、最高速度の向上が可能となった。また、2010年開業の京成成田スカイアクセス線にも導入されたが、これに先立ち、全区間共用区間となる北総鉄道北総線にも2009年に先行導入されている。

減速現示[編集]

減速現示(YG現示)は、YGF現示のすぐ下位、Y現示のすぐ上位に当たる現示で、緑色灯と橙黄色灯を現示し、次の信号機に注意信号または警戒信号の現示があることを予期して、50km/h-85km/hでの進行を指示する。

注意現示[編集]

注意現示(Y現示)は橙黄色を1灯点灯させ、次の信号機に停止信号もしくは警戒信号の現示または停止位置があることを予期して、40km/h - 65km/hでの進行を指示する。

警戒現示[編集]

警戒現示(YY現示)は橙黄色を2灯現示し、次の信号機に停止信号の現示または停止位置があることおよび、閉塞区間が短く過走余裕距離が短いなど停止信号の冒進が許されない場合に現示し25km/h - 30km/h以下での進行を指示する。

停止現示[編集]

停止現示(R現示)は赤色灯を1灯現示し、その信号機を超えて進行してはならないことを指示する。ただし、信号機故障などにより運転指令からの指示があれば停止現示を超えて運転することができる。(無閉塞運転を参照)また、信号機に併設の誘導信号機や入換信号機の現示があれば、停止現示を超えて運転することができる。

主信号機[編集]

主信号機は、その信号機が防護する(他の列車がいないことを保証する)防護区間を持つ。主信号機の防護区間を、信号機の「内方」と呼ぶ。主信号機よりも手前側は「外方」と呼ばれる。ただし、非自動閉塞方式の場合の出発信号機は防護区間を持たず、信号機の先の進路が開通しているか(分岐器が正しい方向に開通しているか)を示すだけである。非自動閉塞方式の場合は信号機が進行でも、通票がなければ(通票等を用いない連査閉塞式・連動閉塞式・双信閉塞式は除く)駅を出発することができない。

場内信号機[編集]
近鉄古市駅の第二場内信号機(停止現示)
単灯の信号機は誘導信号機

列車に対して停車場内への進入の可否と開通している進路を指示し、停車場内外の境界を示す信号機[6]。後述の閉塞信号機とは違い場内信号機は駅の管理下であり駅長の意思を表す信号機なので、この信号機には逆らって無閉塞運転をすることが許されない(絶対信号機)。複数の進路がある場合、主本線・副本線それぞれで信号機を設け、副本線の信号機は主本線のものの下位に設ける[6]。この信号機は対向分岐器の先端軌条または、背向分岐器の車両接触限界から外方に100 m以上離れた位置に設けられる[6]。ただし、列車の駅間最高速度が100 km/h以下の場合は80 mまでに縮小できる[6]

なお、車内信号が採用されている区間でも閉塞区間を示す必要があるため、代替として場内標識が設置される[7]。 腕木式によって設置する場合は、赤色地の方形板に白色の帯線を入れた羽が用いられていた(出発信号機も同様)[8]

待避線や折り返し設備のない駅には場内信号機の代わりに、閉塞信号機(事業者によっては、場内相当の閉塞信号機と呼ばれる)が設置されている場合もある。こうした駅のことをかつての地方鉄道建設規程から停留所と呼ぶことがある。


出発信号機[編集]
小田急電鉄相模大野駅の出発信号機(進行現示)

列車に対して停車場内から出発の可否と開通している進路を指示し、停車場での停止位置の限界を示す信号機[9]。設置位置は対向分岐器のトングレールまたは背向分岐器の車両接触限界の手前である[9]。もし、線路の間隔などの問題で所定の場所に出発信号機を設置できない場合は「列車停止標識」を設置しなければならない[9]。複数の進路がある場合、通過する列車が存在しない場合は進路表示機を用いて1機の信号機のみで設置が可能である(通過する列車が存在する場合は進路の数に応じた信号機を設置しなければならない)[9]。なお、転てつ機が無い線路や、転てつ器が常時鎖錠されている場合は設けないこともある[9]。 列車に乗務する車掌から出発信号機がカーブなどで視認できない場合は出発反応標識がホーム上に併設される[10]。また、車内信号が採用されている区間でも閉塞区間を示す必要があるため、代替として出発標識が設置される[7] 腕木式によって設置する場合は、赤色地の方形板に白色の帯線を入れた羽が用いられていた(場内信号機も同様)[8]

閉塞信号機[編集]
小田急電鉄下北沢駅(地上時代)の第0閉塞信号機(減速現示)
JR西日本の一部線区の閉塞信号機

閉塞信号機は自動閉塞式の区間で、分岐器や線路の交差などが存在しない閉塞区間の始端に設けられる自動の信号機である[11]。閉塞信号機が設置される数や建植される位置は運転曲線や現地での地形などを考慮して設定される[12]。 閉塞信号機は場内信号機や出発信号機と同様の形状をしており、これらと区別を図るため「閉そく信号機標識」が設置される[11]

閉塞信号標識により表示された閉塞信号機は以下のように区別される。

  • 場内信号機の外方より第一閉塞信号機、第二閉塞信号機、第三閉塞信号機…と区別される場合(次駅に列車が近づくにつれ数字が減ってゆく)
  • 路線の距離程に固有番号を組み合わせた番号にして区別される場合

動作は前方の信号機と連動しているため、場内・出発信号機と違って人為的操作はできない。ある閉塞信号機がどのような現示をするかは、その内方の列車の有無と信号現示によって左右される。

高密度運転区間の停車場では、場内信号機と出発信号機の間での運転時隔(列車どうしの時間的な間隔)を短縮する目的で「0号閉塞信号機」が設けられることがある[11]


誘導信号機[編集]
誘導信号機の例 (灯列式・場内信号機の下の斜め2灯)

通常1閉塞には1列車しか入れない。これによって鉄道は安全を保っている。しかしこのルールを守っている限り、2つの列車(車両)が連結することはできない(2車両共には当該閉塞に入れないので連結しようがない)。駅構内の入換においては操車係の誘導により車両を移動することは可能であるが、頻繁に併結作業が行われる場合は業務の効率化を目的に誘導信号機が設置される[13]。この誘導信号機の進行現示がある場合は特例として1閉塞に2列車(または1列車1車両)が入れるようになり、時速15 km/h以下の速度で先着する列車の近くまで進むことができる[14]

誘導信号機は場内信号機または入換信号機の下部に併設される[15]。入換信号機に併設される誘導信号機はすべて色灯式である[15]。誘導信号機による誘導を受けた列車は、15km/h以下で進行することができる。

灯列式と色灯式の2種類があり、どちらも普段は消灯している。列車を進入させる場合だけ点灯する。灯列式では斜め45度に白灯を2つ点灯させる。色灯式では黄灯を点灯させる。

入換信号機[編集]

車両基地や駅構内などで入換作業を無誘導によって行うために設けられる信号機[16]。運転中の列車には使われない。入換信号機は防護区間を持つ、その防護区間には軌道回路が設けられる[16]。入換信号機の内方は45km/h(非鎖錠ポイントを通過する場合は25km/h)以下で進行することができる。

入換信号機を用いた入換運転ができる区間の終端には車両停止標識または車止標識が設置される[16]

灯列式と色灯式の2種類存在する[17]。国鉄やその後継のJRでは灯列式の信号機を使用している[18]。その一方で、私鉄は旧地方鉄道法に基づいて事業者が様式や点灯方式を定めて使用することになっていた[18]

灯列式の信号現示
信号現示 2位式 3位式
停止信号 白色灯水平
(白・赤色灯水平)
白色灯水平
注意信号 なし 白色灯斜め
進行信号 白色灯斜め 白色灯垂直

なお、灯列式の入換信号機では停止信号を誤認する事象が多かったため、2006年(平成18年)頃から一部の鉄道事業者で停止灯を赤色にしたものが設置されはじめた[19]。(写真参照。なお進行信号時は白色灯2灯で表示される)。

新幹線では、地上信号機と称し、灯列式を使用している。ATC車内信号現示機能に入換モードとしての入換信号現示機能が無い線区では、駅毎には非常入換え用として、車両基地では通常用として建植されている。

灯列式の場合は、入換標識と同一の機構を利用するため、淡紫色灯の入換信号機識別標識が添装される[11]。ただし、新幹線鉄道においては規則が逆になり、入換信号機に相当する「地上信号機」を入換標識として運用するために入換標識識別標識が用いられる[20]

入換信号機の場合では閉塞信号機と同じく防護区間があるため、自動閉塞区間と同様に軌道回路が連続して設けられる[16]。入換標識は鉄道信号ではなく鉄道標識に分類され防護区間がない。

なお、鉄道事業者によっては入換信号機識別標識を省略し、入換信号機の白色灯を紫灯とすることで入換標識としていたり、「入換」「入換標識」などと引き上げ線の番線を表示をしている例もある。

従属信号機[編集]

従属信号機とは、ある信号機の現示に連動して、その信号機の現示を予告するための信号機である。従属信号機は主信号機とは異なり、防護区間は持たない。

鉄道車両は自動車と違い、ブレーキをかけても減速するのに時間がかかるので、高速で走行中に警戒信号・停止信号を認めて減速・停止しようとしても減速が間に合わず、速度超過や信号冒進(停止現示の信号機の内方に冒進すること)を招くことがある。そのため信号機から離れた場所で予告信号を出し、前方の信号に従うことができる速度まで減速するよう、運転士に注意を促す。

遠方信号機[編集]
遠方信号機(減速現示)は背板を四角にして場内信号機と区別している

自動閉塞以外の方式を採用する線区において、見通しが悪いか通過する列車が存在する場内信号機に対して設置される[21]。従属信号機であるが、その内方では主信号機と同様に現示による制限がかかる。

遠方信号機は単線の駅間1閉塞とした自動閉塞式(特殊)方式を採用の線区においても設置される。なお駅間に閉塞信号機がある自動閉塞の採用線区では中継信号機がその代わりを務める。

場内信号機の現示とそれに従属する遠方信号機の現示との対応は原則として以下の通りである[22]

遠方信号機の現示 場内信号機の現示
注意信号 停止信号
減速信号 警戒信号・注意信号
進行信号 進行信号

遠方信号機は停止を現示することはないため、停止の赤色灯は存在しない。また、場内信号機が停止現示の場合は遠方信号機は注意信号を現示し、それ以外の場合は場内信号機のうち停止現示以外のものの現示に従属する。

減速を現示する遠方信号は、対応する四灯の色灯信号機と同じ配列を用い、赤灯の位置が空きとなる。注意・進行のみを現示する遠方信号には、主に二灯式の赤を橙黄に替えたものが用いられる。いずれの場合も、背板は(存在する場合)四角形とし、通常の主信号機と区別される。 腕木式によって設置する場合は、矢形で黄色地の方形板に黒色の帯線を入れた羽が用いられていた(通過信号機と同様)[8]

通過信号機[編集]

非自動区間の2位式信号方式の区間で、通過列車が存在する停車場の場内信号機の下に設置される[21]。この信号機は出発信号機に従属し、列車に対して通過の可否を示すものである[21]。通過列車が存在する主本線に対してのみ設置され、通過に使用できない副本線に対しては設置されない[23]。 この信号機は非自動の2位式信号方式(特に腕木式信号機)の区間で、通過列車が運転する停車場で設置されていたが、遠方信号機に減速現示を加えて通過の可否を容易に判断できるようなってきたことから廃止が進んでいる[24]。 腕木式によって設置する場合は、矢形で黄色地の方形板に黒色の帯線を入れた羽が用いられていた(遠方信号機と同様)[8]。腕木式の通過信号機は、主に優等列車が存在する線区では優先的に自動閉塞化、色灯式信号機への交換が行われ、早期に消滅していった[25]

出発信号機の現示とそれに従属する通過信号機の現示との対応は以下の通りである。なお、場内信号機の現示にも影響される。

場内信号機の現示 出発信号機の現示 通過信号機の現示
停止信号 問わない 注意信号
進行信号 停止信号 注意信号
進行信号 進行を指示する信号 進行信号

なお、通過信号機は停止を現示することはないため、停止の赤色灯は存在しない。出発信号機が複数の場合は、出発信号機1機に対し通過信号機を1機ずつ設置する。

中継信号機[編集]
中継信号機の設置例
中継信号機(灯列式)
中継信号機の高速進行現示
(北越急行ほくほく線)

中継信号機は、自動閉塞・特殊自動閉塞を行う区間において、場内・出発・閉塞の各信号機に従属して、地形などで主体となる信号機が確認困難な場合にその確認距離を補う目的で設ける信号機のことである[26]。曲線が長く続くなどの場合、複数の中継信号機を設置することもある[27]

灯列式
3つの白色灯の配列によって主体の信号機の現示が分かる[28]
中継信号現示 配列 主体の信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯垂直 進行信号
制限中継信号 白色灯左下向き45度 減速信号・注意信号・警戒信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号
中継信号機.JPG

通常の色灯式の信号機と区別を付けるため、原則として灯列式が用いられる[25]

新幹線鉄道では、地上中継信号機と称し、主体の地上信号機を中継している。

信号現示 配列 主体の地上信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯左下向き45度 進行信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号
中継信号機(色灯式)
色灯式
地下線などで、円形の中継信号機を設置することが困難な場合は、通常の色灯式信号機に中継信号標識(常に点灯している紫色灯1つ)を設けて中継信号機とすることがある[28]。この場合は主体の信号機と同じ現示をおこなう(重複現示)。地下鉄での灯列式中継信号機の場合、かえって照明と紛らわしくなるおそれがあるため色灯式を用いても良いとされている[25]


信号附属機[編集]

場内信号機、出発信号機および入換信号機に付属するもの。

進路表示機[編集]

複数の番線や複数の路線が出入りしている停車場では、場内信号機・出発信号機の上部に「冠(かんむり)」と呼ばれる識別票を取付けて、何番線への場内信号機か、何番線からのまたはどの路線への出発信号機かを区別して、通常1つの進路につき1基ずつ設置するが、スペースが確保できない等の事情により進路数と同じ数の信号機を設置することが困難な場合、1つの信号機で複数進路への信号現示を行う。このときにどの進路への進入を許可するかを表示するのが進路表示機である。

主体となる信号機が停止現示の場合は消灯している[28]

表示方法には、設置位置からの相対的な位置関係で進路を表示する灯列式(最大で3方向まで対応)と、開通している線路の番線や矢印を表示する方式がある。3進路以上ある場内信号機に対して進路表示機(多進路用)として進路を数字で表示するものも使用されている。いずれも灯列の形状や文字により進路の開通状態を表示するもの。場内信号機用に進路3進路用または進路表示機(多進路用)、出発信号機用に進路2進路用が使われる[29]。また、入換信号機に進路表示機として線路3進路用、信号用表示器(多進路用)が使われる。

なお、民鉄では文字、数字、矢印を表示する進路表示機の設置が多い[30]

進路予告機[編集]
進路予告機(灯列式)
進路予告機番線表示灯

場内信号機や出発信号機で進路が2方向以上に分かれている場合、特に高速で走行する列車は分岐器の手前にある信号機の現示に応じて円滑な運転取扱いが困難であると懸念される[31]。そのため、分岐箇所の信号機の更に手前の信号機で予め開通している線路を予告するものである[31]。白色灯を2つ設置する場合、最大で3進路まで予告が可能である[31]

右図では、進路が主要な線路より右方に開通しているときを表示している。

点灯状態 分岐方向
本線と左右に
3分岐する場合
本線と左のみ
分岐する場合
本線と右のみ
分岐する場合
左右両方が点灯 本線が開通 本線が開通 本線が開通
左側の1つだけ点灯 左方に開通 左方に開通 なし
右側の1つだけ点灯 右方に開通 なし 右方に開通

進路数が多い場合は数字などで開通している進路を示す方法が採られることがある[30]。また、事業者によっては進路に対応するバーを表示する方法なども採用されている[30]。 なお、主体の信号機が停止現示の場合は進路予告機は消灯する[30]


常置信号機に関する用語[編集]

進行を指示する信号[編集]

警戒現示・注意現示・減速現示・進行現示・高速現示・誘導信号は、その信号現示を越えて運転することができることから、進行を指示する信号ともよばれる。なお、信号現示が消灯している場合は、その信号機が現示可能な最も制限される現示として扱われる。つまり、停止信号を現示することができる信号機が故障して一部でも点灯しない場合は、列車はその信号機の外方で停止することになる。

絶対信号機と許容信号機[編集]

出発信号機・場内信号機・入換信号機は駅の管理下にある信号機で、駅長が駅への進入および駅から出発する許可を表す信号機なので、その停止現示を超えて前進すると、異線進入、列車の脱線、列車同士の衝突の恐れがあるため、手信号で誘導される時以外は、この信号機の信号現示には絶対に逆らえない。このような信号機を絶対信号機と呼ぶ。閉塞信号機は、場内・出発信号機と違い、駅間にあり、線路は一本の道で分岐線がなく、故障の際には誘導する係員を派遣するのにかなりの時間がかかるため、1分以上停止しても信号が停止信号の場合には、信号機又はその設備の故障と考えて、無閉塞運転・閉塞指示運転の条件つきで停止現示を超えて前進するとが許されており、絶対信号機に対しこちらは許容信号機とされる。また、最近では場内信号機の故障などの場合において、輸送指令の指示で出発信号機の外方(信号機の手前)まで、場内信号機を超えて前進することが可能となり、場内指示運転と呼ばれている。また、絶対信号機は一般的に連動装置によって制御されており、手動で介入して操作[32]もできることから「半自動信号機」とも言われており、許容信号機は一般的に在線状況によって自動的に現示が変化して、手動で介入して操作できないことから「自動信号機」とも言われている。

車内信号機[編集]

車内信号機

車内信号機とは、停車場に進入・進出する列車および、閉塞区間に進入する列車または入換運転をする車両に対して信号を現示するもの。山手線・京浜東北線、新幹線地下鉄など自動列車制御装置 (ATC) を使用している路線で使われる車両の運転台にある信号機である。一般的に、信号の現示は指示される速度が数字などで表示される[33]

1つの区間の信号現示は、その区間に列車が進入することで表示される[33]。そのため、地上信号方式と比べて1区間ずれた形となっている[33]

臨時信号機[編集]

工事や災害などで一時的に列車の速度を制限する必要がある場合に臨時に設置される[34]。見た目は信号機とは思えない形をしているが、信号機として扱われている[34]。以下3種類の信号機があるが、それを1組にして使用される[35]

徐行予告信号機[編集]

この先に徐行信号機が設置されていることを予告するもので、徐行信号機の400m手前に設置される[35]。白の三角形に黒の小さい三角を組合わせたもので表され、その下には規制速度が表示される。事業者によっては白の部分を蛍光オレンジにしているところもある[36]。見通しが良い場合は省略されることがある[30]

徐行信号機[編集]

速度を制限する区間の始点に設置される[35]。白いふちの付いた黄色い円盤で表され、その下には規制速度が表示された「徐行速度表示板」が設置されている[30]

徐行解除信号機[編集]

速度を制限する区間の終点に設置される[35]。白いふちの付いた緑色の円盤で表される。ただし速度制限解除標識と同じく、列車の最後尾が徐行解除信号の設置位置を過ぎるまで、徐行を続けなければならない。例えば編成長160mの列車は信号設置位置から160m進まないと、徐行制限速度以上に加速する事ができない。また運転士の負担を軽減するため、運転士の位置から見て、何両編成の列車の最後尾が徐行解除信号を過ぎたかを表す「徐行解除目標」の標識(例えば10両編成なら、緑のふちが付いた白い三角形の白地の部分に「10」などと書かれた標識)を設置しているケースも存在する[37]。なお、徐行区間の途中で徐行速度が変更される場合は、この信号を設置せず連続して徐行信号機を設置する[38]

信号機の使用停止と現示停止[編集]

信号機の使用停止
(信号機の前面に白色の木片等を×形に取り付けたり信号機を側方に向けた例)

鉄道信号機が使用されない場合、「×印を信号機に付ける」「信号機を線路に対して横に向ける」といった措置が行われる[39]。この措置は、信号機が故障による消灯(この場合、列車を緊急に停止させなければならない)を受け止められないようにするためである[39]


手信号[編集]

信号機が故障したときや信号機が設置されていない場合に、手旗合図灯を用いて信号を現示する。手信号には、以下の種類がある。

代用手信号[編集]

出発・場内信号機やそれにあたる車内信号機が故障で使用することができないときに、それら主信号機の代用として使用する。通称、手代。なお、駅の「代用手信号現示位置」と書かれた所が現示位置となり、臨時手信号によって現示する。また、出発・場内信号機の設置している場所に係員を派遣することが困難な場合は出発・場内信号機に手信号代用器を常設しており、臨時手信号の代わりに手信号を現示する[40]

手信号代用器は、他信号機のように地上信号機に常設されている常設型の他に、使用する時だけ持ち込み設置する可搬型の物がある。また、新幹線鉄道に建植される手信号代用器には進行現示の一灯のみしかない進行手信号代用器という物もある。この代用器の場合、単独現示では無く併設される地上信号機と共に使用される。

通過手信号[編集]

通過信号機を使用することができないときに、その代わりに使用する[38]。信号の種類は「進行」のみである[38]

臨時手信号[編集]

代用手信号・通過手信号を用いる以外で特に手信号を現示する必要がある場合の手信号[38]。信号の種類は「停止」「徐行」「進行」の3種類あり、特に停止の場合は現示の方法も多様である[38]

停止手信号
閉塞に関係なく列車を緊急に停止させる場合や信号機故障の際に列車をそこで抑止(停止)させておく場合に使用するものである。昼間は赤色旗、夜間は赤色灯が使用される。
徐行手信号
線路支障などで列車の速度を落させて運転させる場合に使用するもので、保線係員により現示される。昼間は赤色旗と白色旗または蛍光色黄緑色を絞ったまま頭上で交差させ、夜間は白色灯と赤色灯を交互に点灯させる。
進行手信号
信号機故障や工事などの場合に列車を進行させる場合に使用されるものである。昼間は緑色旗、夜間は緑色灯が使用される。

特殊信号[編集]

特殊信号は、突発的な事象によって列車を緊急的に停止させるときに用いる[35]。種類と現示方式として以下のものがある。

発炎信号[編集]

信号炎管の赤色火炎により停止信号を現示するもの[38]。係員が携帯する携帯用信号炎管、列車の屋根上に設置している車両用信号炎管、踏切付近などに設置している地上用信号炎管の3つがある。信号炎管は自動車用の「緊急保安炎筒(いわゆる発炎筒)」とは別のものである。この信号炎管は運転台や踏切警士の詰所に常備される[38]

また発炎信号は、列車に対して停止する限界を示す必要のある場合(例えば、伝令法で救援列車を運転し故障列車の手前に停止する時、救援列車を停止させる限界を示す)に使用することができる。

不点火を考慮して炎管を2つ同時に使用するよう求められており、別の列車が接近した際は再点灯する必要がある[41]。 踏切内の押しボタンで発火させるタイプもある[42]。しかしこのタイプは発炎時には補充する必要があること、また沿線で火災を起こす可能性があることから順次、点滅型の特殊信号発光機に置き換えられている[41]

発報信号[編集]

無線通信による警報音で停止信号を現示するもので防護無線ともよばれることもある。乗務員が人身事故などの非常時に、乗務員室に搭載された列車防護無線装置のボタンを押下することにより無線を発報し、半径約1km周辺の列車がその無線を受信することにより警報音を発する。

発光信号[編集]

赤色灯の明滅により停止信号を現示するもの。

特殊信号発光機[編集]

特殊信号発光機。左は回転形(I形)、中は点滅形(II形)。回転形が発光すると右の画像のようになる。 特殊信号発光機。左は回転形(I形)、中は点滅形(II形)。回転形が発光すると右の画像のようになる。
特殊信号発光機。左は回転形(I形)、中は点滅形(II形)。回転形が発光すると右の画像のようになる。
LED型特殊信号発光機(II形) LED型特殊信号発光機(II形)
LED型特殊信号発光機(II形)

落石雪崩強風踏切などに対して警戒を要する地点(支障箇所)に設けられる装置[40]特発(とくはつ)と略される場合もある。私鉄では踏切非常警報機踏切非常警報灯と称する場合もある。平常時は滅灯しており、異常発生時に点灯して停止信号が現示される[40]。支障箇所から800 m以上の視認距離を確保できるよう設置される[40]。この視認距離は、異常時にのみ緊急で停止信号が現示されることから、通常の信号機の600 mに200 mの余裕を加えたものである[43]

現示方式は、五角形に並んだ赤色灯が連続2灯ずつ反時計回りに回転しながら点灯する「回転形」(I形)のほか、棒状に点滅する「点滅形」(II形)が代表例である[40]。「点滅型」は、従来主流であった「軌道回路短絡器と信号炎管の組み合わせ」による列車防護に代わる方法として、1989年(平成元年)に製品化されたものである[44]。信号炎管の取付台にそのまま取り付けられる形状である[44]私鉄では、赤色灯を4灯または2灯同時に点滅するものや、踏切が正常に動作していることを示す遮断反応灯(動作反応灯)と一体の機構となっている例がある[41]

特殊信号発光機は、さまざまな使用用途がある。

使用用途 機能
踏切用 非常ボタンの取り扱いや踏切内に自動車などが立ち往生した際に、踏切を挟むようにして設置されている踏切障害物検知装置が自動車を検知し、停止信号を現示する。
落石警報用 危険がある崖下に落石検知線等を張り、これが切れると落石検知として停止信号を現示する。
強風用 橋梁上に、規定の風速より高い強風が吹いたときに停止信号を現示する。
ホーム用 ホーム用は主に場内信号機付近に「ホーム中継」として設置され、ホームの列車非常停止警報装置や転落検知マットに連動して停止信号を現示する。
限界支障用 複々線区間等列車の運転本数が多い区間に設置して、列車の脱線事故等が発生した際に二次災害が起こらないよう事故を検知して停止信号を現示する。
携帯用 携帯用信号炎管の代替として、線路内作業員や列車見張員が行う列車防護のために用いられ、赤色LEDの明滅により停止信号を現示する。

この他、長大トンネル箇所などでトンネル支障による事故から列車を防護するためトンネル入口に設置しているもの、工事用、船が橋梁に衝撃しその影響で線路が歪んだことを検知する橋梁偏位用などもある。

発雷信号[編集]

信号雷管を列車が踏んだ際の爆音により停止信号を現示させるもの[38]。停止位置は必ず発雷信号による停止現示の内方になる[38]。しかし、近年では防護無線等の発達により使用されなくなっている。

沿革[編集]

1872年明治5年)の鉄道開業から場内信号機や遠方信号機の建植が行われ、現在の「進行」「注意」「停止」はそれぞれ「無難」「注意」「危害」と称されていた[45]。しかし、これは手旗の代用として用いられており、腕木が下がっている「無難」と腕木が上がっている「危害」を遠くから見えるようにした[45]。これは「セマフォア相図柱」と呼ばれている[45]。その後、腕木末端が魚尾型(主信号機)もしくはV字型(従属信号機)の腕木式信号機が用いられ始めた[45]

その後、地方で鉄道が開業するが米国式(北海道)やドイツ式(九州)のような違いや、官営鉄道でも東西で方式に違いがあった[46]。そのため、初期の鉄道信号機の広がりは様々な方式が折衷する中で混乱が見られたといわれている[46]。そのため、1901年(明治34年)の「鉄道信号規程」によって官民ともに全て統一された[45]。また、その直前の1900年(明治33年)には進行を示す信号を白色から緑色に変更している[47]。なお、出発信号機が本格的に運用されるようになるのは大正時代に入ってからである[48]

1904年(明治37年)に甲武鉄道で日本初の直流軌道回路による自動閉塞式を採用した際、米国のUSS社から輸入した円板式信号機(バンジョー型信号機)が使用された[49]。また、現在見られる多灯式色灯信号機が用い始めたのは京阪電気鉄道であり、これは米国のUSS社から輸入して1915年(大正4年)から使用開始となった[50]官鉄における色灯式信号機の採用は1920年代(大正10年代)以降であり、東京 - 有楽町が最初であった[49]。 自動閉塞式の導入につれて、当時主流であった機械式の腕木式信号機の可動部分が故障しやすいという欠点が目立ち始めた[51]。そして、色灯式信号機は視認性も良く、保守作業の手間もかかりにくいとして鉄道信号の主流となっていった[51]

その後は現示数の増加や電球の改良などの若干の変化があったが、大きな変化は無かった[19]

1990年(平成2年)に信号機の筐体の軽量化が図られ、1995年(平成7年)4月には阪神淡路大震災の復旧として大阪 - 神戸間で日本初のLED式色灯信号機が導入された[52]。また、白色LEDの開発により入換信号機識別標識に用いられる月光色の表現が可能となったため、2002年(平成14年)以降に入換信号機のLED化が行われるようになった[19]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 296.
  2. ^ 「JR最後の腕木式信号機(八戸線陸中八木駅)を廃止」、『鉄道ジャーナル』第467号、鉄道ジャーナル社、2005年9月、 100頁。
  3. ^ 吉武勇 2006, p. 39.
  4. ^ 例として信号が注意〔45km/h〕表示で速度制限標識が35km/hであれば、速度制限標識に従う。反対に信号が減速〔75km/h〕表示で速度制限標識が100km/hであれば、信号の速度制限に従う。
  5. ^ ガリウムナイトライド系で7万 - 10万時間。
  6. ^ a b c d 吉武勇 2006, p. 40.
  7. ^ a b 吉武勇 2006, p. 55.
  8. ^ a b c d 日本鉄道電気技術協会 2007, p. 44.
  9. ^ a b c d e 吉武勇 2006, p. 42.
  10. ^ 坂本衛 2004, pp. 84-85.
  11. ^ a b c d 吉武勇 2006, p. 43.
  12. ^ 吉武勇 2006, pp. 43-44.
  13. ^ 磯兼雄一郎・井上孝司 2010, p. 256.
  14. ^ 坂本衛 2004, p. 77.
  15. ^ a b 湯川徹二 2004, p. 42.
  16. ^ a b c d 吉武勇 2006, p. 46.
  17. ^ 日本鉄道電気技術協会 2007, p. 42.
  18. ^ a b 日本鉄道電気技術協会 2007, p. 46.
  19. ^ a b c 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 298.
  20. ^ 吉武勇 2006, p. 56.
  21. ^ a b c 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, p. 307.
  22. ^ 旧鉄道運転規則第190条
  23. ^ 坂本衛 2004, p. 74.
  24. ^ 吉武勇 2006, p. 47.
  25. ^ a b c 鉄道ピクトリアル編集部 1998, p. 38.
  26. ^ 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, pp. 307-308.
  27. ^ 磯兼雄一郎・井上孝司 2010, p. 247.
  28. ^ a b c 湯川徹二 2004, p. 43.
  29. ^ 吉武勇 2006, p. 49.
  30. ^ a b c d e f 湯川徹二 2004, p. 44.
  31. ^ a b c 吉武勇 2006, p. 50.
  32. ^ この操作を梃子扱いという。
  33. ^ a b c 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 49.
  34. ^ a b 磯兼雄一郎・井上孝司 2010, p. 258.
  35. ^ a b c d e 坂本衛 2004, p. 82.
  36. ^ 磯兼雄一郎・井上孝司 2010, p. 259.
  37. ^ 磯兼雄一郎・井上孝司 2010, p. 261.
  38. ^ a b c d e f g h i 湯川徹二 2004, p. 45.
  39. ^ a b 鉄道ピクトリアル編集部 1998, p. 39.
  40. ^ a b c d e 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 309.
  41. ^ a b c 日本鉄道電気技術協会 2007, p. 142.
  42. ^ 湯川徹二 2004, p. 46.
  43. ^ 吉武勇 2006, p. 52.
  44. ^ a b 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 168.
  45. ^ a b c d e 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, p. 302.
  46. ^ a b 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, p. 300.
  47. ^ 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, p. 303.
  48. ^ 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, pp. 302-303.
  49. ^ a b 日本鉄道電気技術協会 2015, p. 11.
  50. ^ 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 2014, p. 11.
  51. ^ a b 白土義男 1998, p. 21.
  52. ^ 日本鉄道電気技術協会 2015, pp. 298-299.

参考文献[編集]

  • 白土義男「信号システムの移り変わり」、『鉄道ピクトリアル』第655号、1998年7月1日、 19-27頁。
  • 鉄道ピクトリアル編集部「出発進行!信号システムの初歩の初歩」、『鉄道ピクトリアル』第655号、1998年7月1日、 33-39頁。
  • 坂本衛 『鉄道施設がわかる本』 山海堂、2004年2月23日ISBN 4-381-10495-1
  • 湯川徹二「線路際の魅力 ”かぶりつき”入門」、『鉄道ピクトリアル』第754巻、2004年11月16日、 41-53頁。
  • 吉武勇 『鉄道の運転保安設備』 日本鉄道運転協会、2006年9月15日
  • 『鉄道電気読本』 日本鉄道電気技術協会、2007年5月28日
  • 磯兼雄一郎・井上孝司 『標識と信号で広がる鉄の世界』 秀和システム、2010年4月3日ISBN 978-4-7980-2581-0
  • 電気鉄道技術変遷史編纂委員会 『電気鉄道技術変遷史』 オーム社、2014年11月25日
  • 『鉄道信号』 日本鉄道電気技術協会、2015年1月27日ISBN 978-4-904691-39-7

関連項目[編集]

外部リンク[編集]