文部科学省における再就職等規制違反

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文部科学省における再就職等規制違反(もんぶかがくしょうにおけるさいしゅうしょくとうきせいいはん)は、2017年1月に発覚し、関係職員に対する処分が決定した一連の天下り事件について述べる[1]

事件の全容[編集]

内閣府再就職等監視委員会は、平成27年2015年)に、当時在職中の文部科学省職員が利害関係のある法人に対し求職活動を行ったこと、及び、それに関して人事課の職員がその法人に職員の情報を提供するなどの行為を行ったことについて、国家公務員法に規定する「再就職等規制」に違反する旨の調査結果をまとめた通知を同省に出した。その通知には上記の問題を隠すために再就職等監視委員会に虚偽の報告を行ったことの指摘もあった[2]

この問題を受けて、松野博一文部科学大臣は大臣訓示において「法を遵守すべき公務員の組織においてこのような事態が生じたことは誠に遺憾であり、関係した職員について厳正に処分しました。また、このような事態を招いたことについて、事務次官から責任をとって辞職する旨の申し出があり、これを承認しました。さらに、文部科学大臣として、大臣俸給6ヵ月分を返納することとしました。」と発言した[3]

天下り仲介スキーム[編集]

事件が発覚した年の2月6日に文科省が公表した調査報告によると、天下り斡旋は次のように行われた[4]

  • 仲介役・嶋貫和男(2009年7月同省人事課退職)が、虎ノ門の郵政福祉琴平ビルに一般社団法人「文教フォーラム[5]を設立。文教フォーラムを拠点に、嶋貫が同省人事課に求人情報を、同省同課が嶋貫に人材情報を提供をし合っていた。
  • 清水潔・同省元事務次官が代表の一般財団法人「教職員生涯福祉財団[7]は、文教協会に職員を出向させ、嶋貫の(実質的な)秘書を担当させその人件費も負担していた。

仲介役だった嶋貫は平成29年2月7日の衆院予算委員会の集中審議で、自身が理事長を務める「文教フォーラム」を今年度内に解散する考えを明らかにした[8]。また、「教職員生涯福祉財団」は国分正明会長、清水潔理事長、井上孝美評議員会議長、玉井日出夫副理事長、金森越哉専務理事が辞任することを発表した[9]

事件の背景[編集]

  • 2008年末に施行された改正国家公務員法は、現役職員による再就職の斡旋を禁じていた。同法施行後、同省人事課内では民間の人材斡旋機関への不信が募り、OBへの期待が高まった。嶋貫は当初、教職員生涯福祉財団の審議役の傍ら斡旋を行っていたが、これに同財団理事長が難色を示したことから、同省人事課による嶋貫への支援が強まった[4]

天下り先との関係[編集]

松野文部科学大臣は2017年2月3日衆議院予算委員会で、天下りの有無によって補助金の不公正が生じていないかどうかについても検証する方針を明かした[11]

天下り先として浮上した主な団体は大学だが、2月6日の同省調査報告では天下り先大学への行政事務で不適切な事例は浮かんでないというが、朝日新聞はその点が今後の調査の焦点となると記事を結んでいる[4]

文部科学省による調査報告[編集]

2017年3月30日、松野文部科学大臣は省内での調査結果の最終報告を行った[12]。それによれば、新たに判明したものを含めて62件の国家公務員法違反を確認、同日付で歴代事務次官8人のOBを含む幹部37人に停職や減給などの処分を実施したことを公表した[12]

各界の反応[編集]

  • 天下り問題に詳しいジャーナリスト伊藤博敏は「文科省天下り問題の背景には、文科省が最大の“利権官庁”と化している現状があります。規制緩和によって大学の数は増え続け、それを天下り先として確保している。また、年間3000億円の私学助成金の割り振りは文科省のさじ加減次第。さらに、大学などの学部新設・増設の許認可権も握っています。予算と天下り先が増え、体質は旧来のまま。その歪みが今回露見した」と発言した。[14]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 産経ニュース「文科次官きょう(20日)引責辞任 天下り斡旋疑惑で 後任は戸谷一夫審議官 文科省幹部7人を懲戒処分に」
  2. ^ 外部リンク同省HP「文部科学省における再就職等規制違反について」参照。いわく「本事案は、一昨年に、当時の高等教育局長が大学に対し、在職中に求職活動を行い、それに関して人事課の職員がその大学に職員の情報を提供するなどの事実があったものです。また、その他にも9件違法と認められる事実があり、さらに、その事実を隠すために再就職等監視委員会に虚偽の報告を行ったものです」
  3. ^ 平成29年1月20日付け 当問題に関する文科大臣の訓示
  4. ^ a b c 2017年2月7日朝日新聞1面および2面
  5. ^ 一般社団法人 文教フォーラム
  6. ^ 公益財団法人 文教協会
  7. ^ 一般財団法人 教職員生涯福祉財団
  8. ^ 「「文教フォーラム」解散へ=仲介役OBが理事長―天下りあっせん」時事通信
  9. ^ 文科出身役員ら全員辞任へ 教職員生涯福祉財団、あっせん問題 2017年2月23日 日本経済新聞。
  10. ^ 国際化拠点整備事業費補助金 参考資料4 - 文部科学省。
  11. ^ 毎日新聞2014年2月4日朝刊政治欄「文科省 天下り調査で補助金も検証 文科相」
  12. ^ a b c 文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に 2017年3月31日 日経新聞。
  13. ^ “「文書の存在確認できず」 菅義偉官房長官 重ねて否定”. 産経新聞. (2017年5月25日). http://www.sankei.com/politics/news/170525/plt1705250019-n1.html 2017年5月26日閲覧。 
  14. ^ フライデー (雑誌)2017年4月21日号 58頁「文科省天下り 黒い3次官の豪邸」

外部リンク[編集]