ハイパー演算子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ハイパー演算子(ハイパーえんざんし、hyper operator)は、加算乗算冪乗を一般化した演算のための演算子である。

表記[編集]

表記の制約のため、以後囲み文字(①,②,③,…)を丸かっこ入り文字 (n) で表すものとする。

加算演算子を上付き(1) (a + b = a (1)b)、乗算演算子を上付き(2) (ab = a (2)b)、冪乗演算子を上付き(3) (ab = a (3)b)で表し、それらを一般の非負整数nに一般化した上付き(n) (a (n) b) がハイパー演算子である。

それらを関数形式で表す hypernnを変数とした3変数関数 hyper も定義される。hyper1は加算、hyper2は乗算、hyper3は冪乗であり、さらにhyper4はテトレーション (tetration)、hyper5はペンテーション (pentation)、hyper6はヘキセーション (hexation)・・・と呼ばれる。

n = 0~4 の例は次のとおり。

hyper0は、第2被演算子 b後者関数(第1被演算子 a は無視される)とする。ただし、他の定義を使うこともある。

n > 4 の場合は次のように定める。これは n > 1 の場合全てに成り立つが、n = 1 では成り立たない。

他の表記法との関係[編集]

n ≥ 3 に対しては、クヌースの矢印表記コンウェイのチェーン表記との間に次の関係が成り立つ。

また、n ≥ 1 に対しては、Bowerの拡張演算子 (Jonathan Bowers' Extended Operator) との間に次の関係が成り立つ。

再帰的定義[編集]

次のように再帰的に定義できる。b = 0のときの例外処理がnによって違うことに注意。

実数への拡張[編集]

冪乗を指数関数に拡張したような、bn の実数への自然な拡張はなされていない。

下付きハイパー演算子[編集]

n ≥ 3(冪乗) 以上では結合律が成り立たないので、右からの優先順位が定められていて、

である。

それに対し、ハイパー演算子を下付きにすることで、優先順位を左からとする演算を表せる。つまり、

である。

ただし、下付きハイパーn+1演算子はハイパーn演算子を使って簡単に表せる、たとえば

(冪乗法則より)なので、本質的に新しい演算ではなく、下付きハイパー演算子の用途はあまりない。

外部リンク[編集]