テトレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テトレーション (tetration) とは、冪乗の次の4番目のハイパー演算である。つまり、自らの冪乗を指定された回数反復する二項演算である。

超冪(ちょうべき)ともいう。ただし、超冪は n ≥ 4 番目の一般のハイパー演算を総称することもある。

第1から第4のハイパー演算は次のとおり。

  1. 加算 (hyper1)
    a + b = a + \underbrace{1 + 1 + \cdots + 1}_{b}
  2. 乗算 (hyper2)
    a \times b = \underbrace{a + a + \cdots + a}_{b}
  3. 冪乗 (hyper3)
    a^b = a \uparrow b = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{b}
  4. テトレーション (hyper4)
    {}^b a = a \uparrow\uparrow b = \underbrace{a \uparrow a \uparrow \cdots \uparrow a}_{b}  = \underbrace{a^{a^{\cdot^{\cdot^{a}}}}}_{b}

最初の 3 つ(加算、乗算、冪乗)は正則な複素関数へと一般化できるが、テトレーションは正則な複素関数への一般化が確立できず、また初等関数とも見なせない。

テトレーションは b を固定するごとに初等帰納的関数であるが b を変数と見なすと初等的ではない。

aを底(てい)、bを高さという。

定義[編集]

任意の正の実数 a > 0 および非負整数 n ≥ 0 に対し、次のようにテトレーション na再帰的に定める。

{}^{n}a := \begin{cases}
 1 &\text{if }n=0 \\
 a^{\left[{}^{(n-1)}a\right]} &\text{if }n>0
\end{cases}

この定義から明らかなように、冪の計算は右側(指数タワー表示における右上)から行われる。これはプログラミングにおける右結合に相当する。

{}^{4}2 = 2^{2^{2^{2}}} = 2^{\left[2^{\left(2^{2}\right)}\right]} = 2^{\left(2^{4}\right)} = 2^{16} = 65536

冪は結合法則を満たさないため、計算の順序を変えると値が変わってしまう。

{}^{4}2 = 2^{2^{2^{2}}} \ne \left[{\left(2^{2}\right)}^{2}\right]^2 = 2^{2 \cdot 2 \cdot 2} = 2^{8} = 256

aと 10 が互いに素であるとき、na の最後の d 桁がオイラーの定理から求められる。

表記[編集]

テトレーションには多数の表記が存在する。テトレーションに使われる表記の中にはペンテーションやヘキセーションなど、より高次のハイパー演算の表記にも使用できるものも幾つかある。

名称 表記 説明
標準的な表記 {}^{n}a マウラー(1901)とグッドスタイン英語版(1947)により使用され、ルーディ・ラッカーの『無限と心英語版』で広まった。
クヌースの矢印表記 a \uparrow\uparrow n, a \uparrow^{2} n 矢印または添字を増やすことで拡張できる。
コンウェイのチェーン表記 a \rightarrow n \rightarrow 2 数字を増やす、またはチェーンを拡張することで拡張できる。
アッカーマン関数 {}^{n}2 = \operatorname{A}(4, n - 3) + 3 底が 2 のとき、アッカーマン関数による表記が可能。
反復指数関数 {}^{n}a = \exp_{a}^{n}(1) 括弧の数字を変えると反復指数関数になる。
フーシュマンドの表記 \operatorname{uxp}_a (n) ,a^{\underline n} テトレーションの一次近似を表す。
ハイパー演算子表記 a[4]n , H_{4}(a, n)
\operatorname{hyper}(a, 4, n), \operatorname{hyper4}(a, n)
数字を増やすことで拡張でき、一連のハイパー演算子を与える。
ASCII表記 a^^n ASCII文字のみを使用した表記。
バウアーズの配列表記 \lbrace a, b, 2 \rbrace 拡張配列表記へと一般化でき、さらにBEAFおよびバードの配列表記へと一般化される[1][2]

上の表にある反復指数関数は、一般に次のように定義されるものである。

\exp_a^n(x) = a^{a^{\cdot^{\cdot^{a^x}}}}n 個の a の上に x が乗っている)

反復指数関数の表記のうち幾つかを以下に列挙する。

名称 表記 説明
標準的な表記 \exp_{a}^{n}(x) 指数関数の表記 \exp_{a}(x)オイラーによる。反復関数の表記 f^{n}(x) もその頃から存在する。
クヌースの矢印表記 (a{\uparrow})^{n}(x) 矢印の数を増やすことで拡張できる。en:Large numbersを参照。
ガリダキスの表記 {}^{n}(a, x) 底の表記が小さくならない[3]
ASCII表記 ​exp_a^n(x)​ 標準的な表記をベースにASCII文字のみを使用した表記。
J言語表記[4] x^^:(n-1)x

[編集]

以下の表では、大部分の値が指数表記による表記すら困難なほど巨大であるため、それらの表記には底を 10 とした反復指数関数を用いた。なお小数部を持つ値はすべて近似値である。

x {}^{2}x {}^{3}x {}^{4}x {}^{5}x
1 1 1 1 1
2 4 16 65,536 2.00353 × 1019,728
3 27 7,625,597,484,987 \exp_{10}^3(1.09902) (3.6 × 1012 桁) \exp_{10}^4(1.09902)
4 256 1.34078 × 10154 \exp_{10}^3(2.18726) (8.1 × 10153 桁) \exp_{10}^4(2.18726)
5 3,125 1.91101 × 102,184 \exp_{10}^3(3.33928) (1.3 × 102,184 桁) \exp_{10}^4(3.33928)
6 46,656 2.65912 × 1036,305 \exp_{10}^3(4.55997) (2.1 × 1036,305 桁) \exp_{10}^4(4.55997)
7 823,543 3.75982 × 10695,974 \exp_{10}^3(5.84259) (3.2 × 10695,974 桁) \exp_{10}^4(5.84259)
8 16,777,216 6.01452 × 1015,151,335 \exp_{10}^3(7.18045) (5.4 × 1015,151,335 桁) \exp_{10}^4(7.18045)
9 387,420,489 \exp_{10}^2(8.56784) (3.7 × 108 桁) \exp_{10}^3(8.56784) (4.1 × 10369,693,099 桁) \exp_{10}^4(8.56784)
10 10,000,000,000 1010,000,000,000 \exp_{10}^3(10) (1010,000,000,000 桁) \exp_{10}^4(10)

微積分[編集]

高さが定数の微分[編集]

任意の正の整数 n に対し、 nx の微分は次のようになる[5]


 \frac{{\mathrm d}}{{\mathrm d}x}{}^n x
 =\frac{1}{x}\sum_{k=1}^{n}(\ln x)^{k-1}\prod_{j=n-k}^{n}{}^j x

高さが定数の積分[編集]

区間 x ∈ (0, 1] における y = xxy = xx のグラフ。

1/{{}^2 x}, {{}^2 x} の 0 から 1 までの定積分は二年生の夢英語版と呼ばれる。

\begin{align}
 \int_{0}^{1} \frac{1}{{}^2 x} \mathrm{d}x
 &= \quad \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{{}^2 n}
 &{\scriptstyle (= 1.29128599706266354040728259059560054149861936827\dots)} \\
 \int_{0}^{1} {{}^2 x} \,\mathrm{d}x
 &=- \sum_{n=1}^{\infty} {{}^2 (-n)}
 &{\scriptstyle (= 0.78343051071213440705926438652697546940768199014\dots)}
\end{align}

任意の正の整数 n に対し、nx の不定積分は次のようになる[6]

\int {}^n x {\mathrm d}x
= \sum_{j=0}^{n} \frac{(-1)^{j}(j+1)^{j-1}}{j!}b_{j}(x)
+ \sum_{j=n+1}^{\infty} (-1)^{j}a_{n,j}b_{j}(x)
+ C

ここで b_{j}(x) = \Gamma \bigl(j+1, \ln x\bigr)第2種不完全ガンマ関数)であり、aj,k は次のように与えられる。

a_{j,k}=\begin{cases}
  1            &\text{if }k=0 \\
  \frac{1}{k!} &\text{if }j=0 \\
  \frac{1}{k} \sum_{l=1}^{k} l a_{j,k-l} a_{j-1,l-1} &\text{otherwise}
 \end{cases}

拡張[編集]

テトレーションは、高さが正の整数以外の場合に拡張できる。

底が0[編集]

0の0乗が単純には定義できないため、k0 は直接には定義できないが、極限

 \lim_{n \to 0} {}^{k}n = \begin{cases}
  1 & k \in 2\mathbb{Z} \\
  0 & k \in 2\mathbb{Z} + 1
 \end{cases}

と収束するため、

 {}^{k}0 = \begin{cases}
  1 & k \in 2\mathbb{Z} \\
  0 & k \in 2\mathbb{Z} + 1
 \end{cases}

と定義する。(ここで、2\mathbb{Z}, 2\mathbb{Z} + 1 はそれぞれ偶数奇数の集合を表す。)


なお、ここで 00 が一意に決まらないにもかかわらず 20 (= 00) が定義できるのは、 abab が等しいという条件下で極限を取ったからである。

底が複素数[編集]

収束または振動する点
発散する点

複素数の累乗が可能なことから、テトレーションは複素数の底に対しても定義できる。

例えばテトレーション ni対数関数主枝を用いて定められる。このときオイラーの公式から次の式が得られる。


i^{a+bi} = e^{\frac{1}{2}\pi i(a+bi)}
= e^{-\frac{1}{2} \pi b} \left(\cos\frac{\pi a}{2}+i\sin\frac{\pi a}{2} \right)

従って任意の ni =a +bi に対して n +1i =a '+b 'i が次のように再帰的に定義できる。


\begin{align}
a' &= e^{-\frac{1}{2}{\pi b}} \cos{\frac{\pi a}{2}} \\
b' &= e^{-\frac{1}{2}{\pi b}} \sin{\frac{\pi a}{2}}
\end{align}

ここから以下の近似値が導かれる。

^n i 近似値
{}^1 i = i i
{}^2 i = i^{\left( {}^1 i \right)} 0.2079
{}^3 i = i^{\left( {}^2 i \right)} 0.9472 + 0.3208i
{}^4 i = i^{\left( {}^3 i \right)} 0.0501 + 0.6021i
{}^5 i = i^{\left( {}^4 i \right)} 0.3872 + 0.0305i
{}^6 i = i^{\left( {}^5 i \right)} 0.7823 + 0.5446i
{}^7 i = i^{\left( {}^6 i \right)} 0.1426 + 0.4005i
{}^8 i = i^{\left( {}^7 i \right)} 0.5198 + 0.1184i
{}^9 i = i^{\left( {}^8 i \right)} 0.5686 + 0.6051i

同様に値を逆向きに求めていくことで 0i =1, −1i =0 が得られる。 ni の値を複素平面上にプロットすると、点列は渦巻状に極限値 0.4383+0.3606i へと近づく。この値は n が無限大のときのものと解釈することができる。

このようなテトレーションの列に関する研究はオイラーの時代から続けられてきているものの、そのカオス的な振る舞いのために不明な所が多い。これまでに発表された研究のほとんどは、無限反復指数関数の収束について焦点を当てたものである。現在の研究は高性能のコンピュータを用いたフラクタル数式処理システムの出現に大きな恩恵を受けている。テトレーションについて分かっていることの多くは、複素力学系の一般的な知識と、指数写像の専門的な研究によるものである。

高さが無限大[編集]

e^{-e} \leq x \leq e^{1/e} における \textstyle \lim_{n \to \infty} {}^nx のグラフ

n → ∞ のとき、ある範囲の底 a に対し na は有限の値に収束するため、テトレーションは高さ無限大の場合へ拡張できる。 例えば \sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\cdot^{\cdot^{\cdot}}}}} は 2 に収束する。ゆえにこの値は 2 に等しいと言える。2 に近づく様子はある程度の高さまでテトレーションを計算することで観察される。

\begin{align}
\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{1.414}}}}}
&\approx \sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{1.63}}}} \\
&\approx \sqrt{2}^{\sqrt{2}^{\sqrt{2}^{1.76}}} \\
&\approx \sqrt{2}^{\sqrt{2}^{1.84}} \\
&\approx \sqrt{2}^{1.89} \\
&\approx 1.93
\end{align}

一般に無限反復指数関数 x^{x^{\cdot^{\cdot^{\cdot}}}} は、n が無限大に向かうときの nx の極限として定義される。これが e^{-e} \leq x \leq e^{1/e} (およそ 0.066 から 1.44)の範囲で収束することはオイラーによって示された[7]

極限値 {}^\infty x が存在するとき、これは方程式

(1)\qquad {}^{\infty}x = x^{{}^{\infty}x}

を満たす正の実数に等しい。

式(1)より x = ({}^\infty x)^{1/{{}^\infty x}} であり、このとき右辺の最大値が e^{1/e} であることから、x > e^{1/e} については極限値が存在しないことがわかる。また x \mapsto {}^\infty xy \mapsto y^{1/y} の逆関数(の分岐の下部)であることがわかる。

式(1)から、極限値 {{}^\infty z} を次のように定義することで複素数の底 z に対しても拡張される。ただし WランベルトのW関数である。

(2)\qquad {}^{\infty}z = z^{z^{\cdot^{\cdot^{\cdot}}}} = \frac{\mathrm{W}(-\ln{z})}{-\ln{z}}

高さが非正[編集]

定義より

{}^{k}n = \log_n \left\{{}^{(k+1)}n \right\}

が成り立つので、この関係を k ≤ 0 に対しても帰納的に拡張し


\begin{array}{rclclcccc}
  {}^{1}n
    & = &
  \log_{n} \left({}^{2}n\right)
    & = &
  \log_{n} \left(n^{n}\right)
    & = & 
  n \log_{n} n 
    & = & 
  n
\\
  {}^{0}n
    & = &
  \log_{n} \left({}^{1}n\right)
    & = & 
  \log_{n} n
    & & & = &
  1
\\
  {}^{-1}n
    & = &
  \log_{n} \left({}^{0}n\right)
    & = &
  \log_{n} 1
    & & & = & 
  0
\end{array}

と定義する。

ただし、定義できるのは k = −1 までで、log 0 が存在しないため k = −2 に対しては定義できず、したがって k ≤ −2 に対して定義できない。

高さが実数[編集]

テトレーションを高さ実数または複素数へ拡張する、という一般的な問題への広く受け入れられた解答は今のところ存在しない。幾つかのアプローチについて以下で述べる。

一般にこの問題は任意の実数 a > 0 に対し、実数 x > −2 で定義され、次の条件を満たす超指数関数 f (x) = xa を求めるものである。

  • f (0) = 1、f (−1) = 0
  • 任意の実数 x > −1 に対し f (x) = a↑↑(f (x −1))
  • 三つ目の条件は通常次の中のどれかである。
  • 連続性(通常は x > 0 における a, x についての連続性)
  • 微分可能性x についての 1, 2, k 回または無限回微分可能性)
  • 正則性( x についての2階微分可能性を含む)
  • 任意の実数 x > 0 に対し \displaystyle{\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} f(x) > 0}

三つ目の条件は著者およびアプローチによって異なる。実数高さへの拡張には二つの主要なアプローチが存在し、一つは正則性、もう一つは微分可能性に基づいたものである。これらの二つのアプローチは、相反する結果を導くことから互いに大きく異なるとされ、調和は難しいと考えられている。

長さ 1 の区間で xa が定義されれば、任意の x > −2 に対し容易に拡張される。

一次近似[編集]

一次近似による {}^{x}e のグラフ

一次近似(連続性のもと微分可能性を近似)は次のように与えられる。


 {}^{x}a \approx \begin{cases}
  \log_a({}^{x+1}a) & x \le -1 \\
  1+x & -1 < x \le 0 \\
  a^{\left({}^{x-1}a\right)} & 0 < x
 \end{cases}

ゆえに

近似 定義域
{}^{x} a \approx x+1 -1 < x < 0
{}^{x} a \approx a^x 0 < x < 1
{}^{x} a \approx a^{a^{x-1}} 1 < x < 2
\vdots \vdots

と以下続く。但しこの微分可能性はあくまで区分的なものである。整数 x を境に微分係数が ln a 倍されるため、(a = e の場合を除いて)整数 x において微分不可能となる。

以下は値の計算例である。

\begin{align}
 {}^{\pi/2}e &\approx 5.868... \\
 {}^{-4.3}{0.5} &\approx 4.03335... \\
 {}^{-5.264}{0.6} &\approx -5.35997... \\
 {}^{3.1}{0.7} &\approx 0.7580...
\end{align}

Ultra exponential function[編集]

フーシュマンドは ultra exponential function という関数を導入した[8]。 これはテトレーションの一次近似を表し、\mathrm{uxp}_a(x) と表記される。\mathrm{uxp}_a は、次の定理によって一意に定められる。

定理 ―  0 < a \neq 1 に対し、連続な関数 f \colon (-2, +\infty) \to {\mathbb R} が条件

  • 任意の実数 x > -1 に対し f(x) = a^{f(x-1)}
  • f(0) = 1
  • f(-1, 0) で微分可能
  • f'(-1, 0) で広義単調増加か広義単調減少
  • \lim_{x \to 0+} f'(x) = (\ln a) \lim_{x \to 0-} f'(x)

を満たすとき、f は次の方程式によって一意に定まる。


f(x)
= \exp_a^{[x]} \Bigl( a^{\lbrace{x}\rbrace} \Bigr)
= \exp_a^{[x+1]} \Bigl( \lbrace{x}\rbrace \Bigr)

但し [x]ガウス記号であり、また \lbrace{x}\rbrace = x - [x] である。

証明は、三番目から五番目の条件より f が [−1, 0] で線型となることから従う。

フーシュマンドはさらに次のような一意性定理を導いた。[要検証 ]

定理 ―  連続な関数 f \colon (-2, +\infty) \to {\mathbb R} が条件

  • 任意の x > -1 に対し f(x) = e^{f(x)}
  • f(0) = 1
  • f(-1, 0) で下に凸
  • \lim_{x \to 0-} f'(x) \leq \lim_{x \to 0+} f'(x)

を満たすとき、f\mathrm{uxp} (= \mathrm{uxp}_{e}) に等しい。

証明は先とほぼ同様である。漸化式より \lim_{x \to -1+0} f'(x) = \lim_{x \to +0} f'(x) となること、三番目の条件より f が (−1, 0) で線型となることから従う。

定理より、 x > −1 に対し f (x)= exp(f (x)) および f (0) = 1 であって、かつ(−1, +∞)で下に凸であるような関数 f は唯一 uxp のみである。f が十分微分可能であるためには (−1, 0) で極値を持つ必要がある。

より高次の近似[編集]

(微分可能性についての)二次近似は次のように与えられる。


{}^{x}a \approx \begin{cases}
 \log_a({}^{x+1}a) & x \le -1 \\
 1 + \frac{2\ln(a)}{1+\ln(a)}x - \frac{1-\ln(a)}{1+\ln(a)}x^2 & -1 < x \le 0 \\
 a^{\left({}^{x-1}a\right)} & 0 < x
\end{cases}

これは任意の x > 0 について微分可能であるが二階微分可能でない。a = e のときこれは一次近似に等しくなる。

三次近似および高次への一般化は次のように与えられる[9]

高さが複素数[編集]

複素平面上にテトレーション f=F(x+iy)を解析接続したものを描画。 |f|=1, e^{\pm 1}, e^{\pm 2}, \ldots\arg(f)=0, \pm 1, \pm 2, \ldotsを太い曲線で示した。

次の条件を満たす関数 F は一意に定まると予想されている[10]

  • F (z +1) = exp(F (z))
  • F (0) = 1
  • z →±i ∞ のとき F (z) が対数関数の不動点(およそ 0.318 ± 1.337i )に近づく
  • 実数 z < −2 を除く複素平面全域で正則

この関数 F を右図に示す。倍精度浮動小数点数近似はオンラインで公開されている[11]

正則性[編集]

テトレーションを一意に定めるためには正則性の条件が重要となる。いま、関数 F に対し関数 S を次のように構成する。

\begin{align}
 A(z) &= \sum_{n = 1}^{\infty} \sin( 2\pi nz ) \alpha_n \\
 B(z) &= \sum_{n = 1}^{\infty} \bigl(1 - \cos( 2\pi nz ) \bigr) \beta_n \\
 S(z) &= F \bigl( z + A(z) + B(z) \bigr)
\end{align}

ここで αn 、 βn は十分速く減衰する実数列であり、少なくとも実軸の近くで A (z), B (z) を収束させるとする。

この関数 SF と同様に始めの二つの条件 S (z+1) = exp(S (z)), S (0) = 1 を満たす。また αn 、 βn が十分速く 0 に近づくとき、S は正の実軸近傍で解析的となる。しかし αn 、 βn が全て 0 でない場合、S は新たに大量の特異点と不連続線を複素平面上に持つことになる。これは sin(z)、cos(z)が虚軸に沿って指数関数的に増大するためである。これらの特異点は αn 、 βn が小さければ小さいほど実軸から離れていくため、S が正則であるためには全ての αn 、 βn が 0、即ち S = F であればよい。

実解析上のテトレーションは一意的に定まらないので、複素平面への拡張は一意性に必要である。

脚注[編集]

  1. ^ Exploding Array Function
  2. ^ 配列表記(巨大数研究 Wiki)
  3. ^ Ioannis Galidakis. On Extending hyper4 and Knuth’s Up-arrow Notation to the Reals
  4. ^ Power Verb”. J Vocabulary. J Software. 2011年10月28日閲覧。
  5. ^ Edward Drake Roe, Jr. (1898). “68”. The American Mathematical Monthly 5: 110. doi:10.2307/2971013. http://www.jstor.org/stable/2971013. 
  6. ^ I. N. Galidakis, (2004). “On an Application of Lambert’s W Function to Infinite Exponentials”. Complex Variables Th. Appl. 49: 759–780. doi:10.1080/02781070412331298796. ISSN 0278-1077. http://www.math.usm.edu/lee/InfiniteExponentials.pdf. 
  7. ^ Euler, L., "De serie Lambertina Plurimisque eius insignibus proprietatibus." Acta Acad. Scient. Petropol. 2, 29–51, 1783. Reprinted in Euler, L. Opera Omnia, Series Prima, Vol. 6: Commentationes Algebraicae. Leipzig, Germany: Teubner, pp. 350–369, 1921. (facsimile)
  8. ^ M. H. Hooshmand, (2006). “Ultra power and ultra exponential functions”. Integral Transforms and Special Functions英語版 17 (8): 549–558. doi:10.1080/10652460500422247. 
  9. ^ Andrew Robbins. Solving for the Analytic Piecewise Extension of Tetration and the Super-logarithm
  10. ^ D. Kouznetsov (July 2009). “Solution of F(z + 1) = exp(F(z)) in complex z-plane”. Mathematics of Computation 78 (267): 1647–1670. doi:10.1090/S0025-5718-09-02188-7. http://www.ams.org/mcom/2009-78-267/S0025-5718-09-02188-7/S0025-5718-09-02188-7.pdf. 
  11. ^ テトレーションおよびその導関数を計算・描画するMathematicaコード