指数表記

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指数表記(しすうひょうき、: exponential notation, E notation, scientific notation)は、の表記方法の1つである。主に非常に大きな、または非常に小さな数を表記する場合に使われる。

表記方法[編集]

任意の有理数を、次の形式で表現する。負の数の場合は、先頭にマイナス符号を付ける。

R は、m および e基数であり、m有理数e整数である。m仮数 (mantissa)、e指数部 (exponent) と呼ぶ。基数を10進数で表現することが多いので、 通常 R = 10 である。

例えば、

仮数部(m )は、3桁ごとにスペース(正確には thin space)を挟むのが通例である。ただし、小数点の後の数字列が4桁の場合やスペースの後の数字列が4桁の場合は、1桁だけ分けるためのスペースを挿入しないのが普通である[1][2]

例えば、

コンピュータにおける表記では、仮数部と指数部の間に記号"e"または"E"を挟む。この表記法は、JIS X 0210-1986(情報交換用文字列による数値表現)[3]に規定されている。

  • 例: -1.234e-5  (-1.234×10-5と同じ)
  • 例: -8.984E+8  (-8.984×108と同じ) 

指数表記の使用の拡張として、単位記号の表記にも用いられる。例えば、

正規化[編集]

指数表記の表す数値と同じ数を、1 ≦ m < 10 となるような m を用いた表現にすることを正規化と呼ぶ(Normalized numberも参照)。

  • 例: 267.8948 × 1011 = 2.678 948 × 1013 (左辺を正規化したものが右辺)

なお、JIS X 0210-1986(情報交換用文字列による数値表現)においては、上記と異なり、0.1 ≦ m < 1 となるような m を用いた表現を「正規形」と定義していることに注意[4]

  • 例:正規形 :+0.61902E+04

使用[編集]

陽子の質量は、0.000000000000000000000000001672621898(21) kg であり、電子の質量は、0.000000000000000000000000000000910938356(11) kg である。このような通常の表記では、両者の質量の比較が非常にしにくい。これに対して、指数表記であれば、前者は 1.672621898(21)×10^−27 kg であり、後者は 9.10938356(11)×10^−31 kg となって比較が容易である。このため、科学技術分野においては数値の表記として指数表記が多用される。

工学の分野では、指数部(e)の値として、3, 6, 9, 12, 15, −3, −6, −9, −12 など 3 の倍数を用いることが多い。これはSI接頭辞は103毎の倍数となっているものを使用することが推奨される(SI接頭辞#使用法)ため、換算が容易であるからである。

  • 例:地球の赤道周長  4.007512×10^7 m であるが、40.07512×10^6 m の方が好まれる。40.07512 Mm(メガメートル) = 40075.12 km と換算が容易である。

なお、定義定数そのものを表記する場合は次の例のように、指数表記にしないことが多い。

  • 例:光速度 299792458 m/s[5] (2.99792458×10^8 m/s としない。)
  • 例:天文単位(au) 149597870700 m[6]1.49597870700×10^11 としない。)

リュードベリ定数のように、慣例的に指数表記にしない物理定数もある。

脚注[編集]

  1. ^ 国際単位系(SI)国際文書第8版(2006) 日本語版 pp. 45–46
  2. ^ 実例として、国際単位系(SI)国際文書第8版(2006) 日本語版 p. 38 表7(SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位)中、時間の自然単位、長さの原子単位.ボーア(ボーア半径)0.529 177 2108 (18) 10-10 m
  3. ^ JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現
  4. ^ JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現、7.5 、p. 5
  5. ^ 光速度 CODATA 2014
  6. ^ 国立天文台、理科年表2016、p. 371、2015年11月30日発行
  7. ^ Rydberg constant CODATA Value 2014
  8. ^ von Klitzing constant CODATA Value 2014

関連項目[編集]