ペンテーション

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ペンテーション (: pentation) は、テトレーションの次の、5番目のハイパー演算である。つまり、自らのテトレーションを指定された回数反復する演算である。[1]

第1から第5のハイパー演算は次のとおり。

  • 加算 (hyper1)
  • 乗算 (hyper2)
  • 冪乗 (hyper3)
  • テトレーション (hyper4)
  • ペンテーション (hyper5)

a を底、 b を層数という。

ペンテーションは底 a を固定するごとに初等帰納的関数であるが、 a を変数と見なすと初等的ではない。

ちなみにペンテーションの反復による演算(6番目のハイパー演算)はヘキセーションと呼ばれる。

計算の順序[編集]

テトレーションは結合法則を満たさないため、計算の順序を変えると値が変わってしまうことに注意。

二番目の式のように左から(下から)計算したものは、五階の下付きハイパー演算 となる。

歴史[編集]

「ペンテーション」という言葉は、1947年にルーベン・グッドスタイン英語版によって"penta-"(5)と"iteration"の二つの語から作られたものである。これは、彼のハイパー演算に対する命名規則の中の一部である。[2]

表記[編集]

ペンテーションを表すにはいくつか等価な表記がある。

名称 表記
クヌースの矢印表記
コンウェイのチェーン表記
ハイパー演算表記
バウアーズの配列表記
ハイパーE表記[3]

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ペンテーション の値は、次のように変形したアッカーマン関数の値の表の四行目から求められる。即ち、関数 を漸化式 および初期値 によって再帰的に定めるとき、 が成り立つ。[4]

ペンテーションがベースとしているテトレーションが高さ非整数の場合へ拡張されていないので、今のところペンテーション が定義されているのは整数 の場合に限られているが、その他にも一意に値が定義できるような整数が存在するかもしれない。

第三のハイパー演算(冪乗)およびそれ以上のハイパー演算と同様、ペンテーションは以下の自明な恒等式を満たす。

また、次のように定めることができる。

ペンテーションは極めて急速に値が増大するため、値を従来の表記法で書き下せるのは一部の場合に限られている。

1 1
2 4 (それはであるため。なおコンウェイのチェーン表記) 65,536
3 7,625,597,484,987
4 (8072304726028225379382630397085399030071367921738743031867082828418414481568309149198911814701229483451981557574771156496457238535299087481244990261351117桁)
5 (10102184.1257220888 桁より大きい)

脚注[編集]

  1. ^ Perstein, Millard H. (June 1962), “Algorithm 93: General Order Arithmetic”, Communications of the ACM 5 (6): 344, doi:10.1145/367766.368160 .
  2. ^ Goodstein, R. L. (1947), “Transfinite ordinals in recursive number theory”, The Journal of Symbolic Logic 12: 123–129, MR0022537 .
  3. ^ One to Infinity: A Guide to the Finite
  4. ^ Nambiar, K. K. (1995), “Ackermann functions and transfinite ordinals”, Applied Mathematics Letters 8 (6): 51–53, doi:10.1016/0893-9659(95)00084-4, MR1368037 .