クラリネットをこわしちゃった

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クラリネットをこわしちゃった」(仏語原題:J'ai perdu le do あるいは J'ai perdu le do de ma clarinette)は、フランス語の歌曲を基にした日本の童謡。原曲となったフランス語版もしばしば同じ邦題で呼ばれる。本項では、原曲および、その派生メロディを持つ他言語版の歌曲についても記載する。

文献によっては「クラリネットこわしちゃった」と表記される。

フランス語版[編集]

クラリネットを題材とした子供の歌「J'ai perdu le do」として知られているが、作詞者・作曲者ともに不明で、フランスの歌として親しまれているが、発祥地がフランスに求められるかどうかも定かではない。歌詞は、クラリネットを上手に演奏できない子供に対し、父親が指導するという内容で、長短が異なる数パターンのメロディと歌詞がある。

著名な録音としては、1958年にフランスのフィリップス・レコードから発売された、フランスの歌手リュシエンヌ・ヴェルネ(Lucienne Vernay)とレ・キャトル・バルビュ(Les Quatre Barbus)の共演によるEP『Rondes et chansons de France No 4(フランスのロンドと歌 第4番)』に収録されたものなどがある。

原曲は、「La chanson de l'oignon(玉葱の歌)」と呼ばれる行進曲とされ、1800年のマレンゴの戦いナポレオンの軍隊が士気を上げるために歌ったとする説がある[1]。「玉葱の歌」の歌詞はクラリネットとは無関係だが、サビの「Au pas, camarade / Au pas, camarade / Au pas, au pas, au pas」は共通している。これは「戦友よ共に進もう」という行進曲風にも、「(パパが演奏する)リズムに合わせて演奏しなさい」という楽器の手ほどき風にも、解釈できるという。

フランス語以外[編集]

ポルトガル語版[編集]

ポルトガル語圏では「Eu Perdi o Dó da Minha Viola(私はギターのドの音を失った)」という童謡として親しまれている。歌詞は「ド」「レ」「ミ」...の音階名と同じ発音を語頭に持つ単語を使った言葉遊びになっている。なお、この場合の「viola」は、擦弦楽器ヴィオラではなく、ポルトガル語におけるギターのやや古い呼称である。

スペイン語版[編集]

スペイン語圏では「Mi Granja(私の農場)」または「La Granja(農場)」という遊び歌として知られている。歌詞はフランス語版やポルトガル語版とも異なっていて、農場でさまざまな動物たちが鳴いている様子を歌う内容になっている。

スウェーデン語版[編集]

スウェーデンではメロディの後半が、「Små grodorna(小さな蛙)」という夏至祭の踊りの歌として親しまれている。

日本語版[編集]

クラリネットをこわしちゃった
J'ai Perdu le do
ダークダックス楽曲
収録アルバム 石井好子とダーク・ダックスによる「フランス子供の歌」
リリース 1959年11月
規格 EPレコード(7インチ)
ジャンル 童謡
時間 1分29秒
レーベル キングレコード
作詞者 石井好子(訳詞)
作曲者 フランス童謡
石井好子とダーク・ダックスによる「フランス子供の歌」収録順

粉ひきのお寝坊さん
Meunier, tu dors
(歌:石井好子とダークダックス)
(第1面-2)
クラリネットをこわしちゃった
J'ai Perdu le do

(第1面-3)
ロレーヌの田舎娘
En passant par la Lorraine
(歌:石井好子とダークダックス)
(第2面-1)

日本では、石井好子による詞のヴァージョンが知られており、その内容はフランス語版「J'ai perdu le do」をおおまかになぞったものである。 歌詞中サビの部分「オーパキャマラド(Au pas, camarade)〜」はフランス語のままである[2]。これについて訳詞者の石井好子は、原語のリズム感を重視したと語っている[2]

石井好子がパリに在住していた当時、入手したフランスの子供の歌のレコードを子供に聴かせているうちに自身もフランスの子供の歌に興味を持ちはじめ[2]、日本へ帰国した後ダークダックスとのレコード企画のために日本語詞を書き下ろした[2]。ダークダックスの歌唱版は1959年11月発売の2枚組EP『石井好子とダーク・ダックスによる「フランス子供の歌」[3]』(キングレコード AEA-23〜24)に「クラリネットをこわしちゃった」の邦題で収録された[4]後、NHKの『みんなのうた』で放送された(後述)。編曲は『石井好子と〜』収録版ではダークダックスと寺島尚彦、『みんなのうた』版では服部克久。その後、さまざまな歌手がカヴァーしており、水木一郎[5]山野さと子版、熊倉一雄島田祐子によるデュエット版、ひばり児童合唱団版などが存在する。

ハッチポッチステーション』では、グッチ裕三とグッチーズが「クラリネットを壊しちゃった〜ステインアライブ」という形で歌唱・演奏した[6]

2003年には伊藤秀志のシングル「大きな古時計 ZuZuバージョン」のカップリングで、「クラリネットをこわしちゃった ZuZuバージョン」として秋田弁でカバーされた。

また、インディーズではあるが、1980年代のニューウェイブバンド人生石野卓球がリーダーを務め、ピエール瀧も在籍していた)が代表曲「オールナイトロング」の中でメロディと石井好子の日本語詞[7]を使用した。

ダイコクドラッグ』の店内放送で替え歌が使われている[8]

みんなのうた[編集]

みんなのうた
クラリネットこわしちゃった
歌手 ダークダックス(*1、*2とも)
作詞者 石井好子
作曲者 フランス童謡
編曲者 服部克久
映像 アニメーション
映像制作者 久里洋二(*1、*2とも)
初放送月 1963年2月-3月(*1)
1972年12月-1973年1月(*2)
再放送月 2005年8月-9月(地上波、*1)
2006年8月16日
2006年11月12日
2007年1月1日(以上 懐かし、*1)
2014年1月(お楽しみ枠、*2)
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  • 『みんなのうた』での初放送は1963年2月から3月にかけて行われた[9]
  • 表記は「クラリネットこわしちゃった」(「を」が付いていない)。
  • 放送では2番と3番の間に、調子が外れたクラリネット・ソロ(「ぼく」が演奏しているという設定)が挿入された。
  • アニメーションは久里洋二が手がけた。映像はモノクロで、バンク使用が多かった。
  • 1972年12月から1973年1月にかけて、ダークダックスの歌はそのままで、映像をカラーに変えたリメイク版が放送された[10]。アニメーション担当は引き続き久里洋二だったが、「ぼく」「犬」のキャラクターが一新され、さらに「パパ」が追加。バンクも前作より少なかった。
  • 双方とも長期にわたって再放送されなかったが、まず第1作が、地上波で2005年8月に、衛星第2テレビの『なつかしのみんなのうた』で2006年8月16日・同11月12日2007年1月1日に、再放送、一方、リメイク版は「みんなのうた発掘プロジェクト」により映像が提供され、「みんなのうたお楽しみ枠」限定で2014年1月に実に41年振りに再放送された。なお、1988年1月22日NHK総合で放送された『ビデオギャラリー』の「『みんなのうた』特集」では、リメイク版のイントロ(クラリネットによる調子外れの音階)と1番が放送されたことがある。

脚注[編集]

  1. ^ Bataille de Marengo
  2. ^ a b c d 唄いつぐ-親から子へ 急場しのぎで訳した「クラリネットを…」 シャンソン歌手 石井好子(3)、『産経新聞』2006年6月21日。(日本子守唄協会
  3. ^ 「ダーク・ダックス」の表記はジャケット表記のママ
  4. ^ タイトル通り石井好子とダークダックスの共演作品だが、「クラリネットをこわしちゃった」はダークダックスの単独歌唱。
  5. ^ コンピレーションCD「続・よいこの童謡 ベスト50」「水木一郎 キッズ ソング・ベスト!」(ともに日本コロムビア)などに収録。
  6. ^ 2001年発売のCD『ハッチポッチステーション 〜What's Entertainment?〜』に収録。「ステインアライブ」は映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の主題歌で、一般的な日本語表記は「ステイン・アライヴ」。
  7. ^ 石井の訳詞による部分は「どうしよう」の繰り返し部分のみ(サビ部分は原語のままであるため)であるが、「オールナイト~」について石井の許可が下りず、DJ OZMAによるカバーが見送られた経緯がある。(人生 (バンド)#歴史を参照のこと)
  8. ^ 兵庫慎司の「ロックの余談」 ダイコクドラッグの歌、rockinon.com、2011年3月10日 18:15。
  9. ^ クラリネットこわしちゃった(1963年版) - NHK みんなのうた
  10. ^ クラリネットこわしちゃった(1972年版) - NHK みんなのうた

外部リンク[編集]