陸上自衛隊
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a8/%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E6%B5%B7%E7%94%B0%E9%A7%90%E5%B1%AF%E5%9C%B001.jpg/250px-%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E6%B5%B7%E7%94%B0%E9%A7%90%E5%B1%AF%E5%9C%B001.jpg)
陸上自衛隊(りくじょうじえいたい 英語標記 : JGSDF、Japan Ground Self Defense Force)とは防衛庁の特別の機関のひとつで、上陸した敵を制圧もしくは上陸阻止することを主任務とする組織。制服組の長は陸上幕僚長。「陸自(りくじ)」とも呼ばれる。諸外国の陸軍とは違うとされるが、実質は陸軍と相違ない。
平成17年度防衛大綱では、人員の定数は常備自衛官148,000人、即応予備自衛官7,000人、合計155,000人である。
概説
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/47/%E9%99%B8%E8%87%AA%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%95%99%E8%82%B2%E5%9B%A3%E8%A8%98%E5%BF%B5%E8%A1%8C%E4%BA%8B.jpg/250px-%E9%99%B8%E8%87%AA%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%95%99%E8%82%B2%E5%9B%A3%E8%A8%98%E5%BF%B5%E8%A1%8C%E4%BA%8B.jpg)
1950年の朝鮮戦争勃発後、7月マッカーサー書簡により国内の治安維持を目的として、警察予備隊として創設。創設には旧陸軍軍人はまったく関与しておらず、旧内務官僚により創設された。時の総理大臣吉田茂の陸軍嫌いと旧陸軍にたいする反発から、創設当初は旧陸軍士官学校出身者の入隊は認められず、アメリカ軍事顧問団により初期の教育を受け、アメリカ陸軍式の編成・組織になった。その結果旧陸軍の歴史と断絶することになり、創設に旧海軍軍人が関与し旧海軍の伝統を重んじる海上自衛隊と比べるとその性格を異にしている。
創設当時の警察予備隊幹部は、文官や旧陸軍の幹部候補生出身者などで、旧軍の正規将校は皆無であった。部隊の指揮統率強化の必要性から、1951年になり、中佐以下の陸軍士官学校出身者の入隊がみとめられたが、大佐以上の入隊は認められなっかた。しかし1952年7月、保安隊への組織改変を前に、より軍事的組織に近づく為に、旧陸軍省や参謀本部において、大東亜戦争の指導的立場にあった、元陸軍大佐10人、元海軍大佐1人の入隊が認められた。
現在の陸上自衛隊
陸上自衛隊は歩兵その他の諸兵科をもち、70年代以降に精力的に進められた国産装備の充実等により、武器の性能および隊員の技術は諸外国と比べても遜色がない。しかし、人件費が高いことに加え、その装備は武器輸出しないために少量生産のことが多く、世界屈指の費用がかかっている。
戦車や装甲車、ヘリコプターなどを保有しており、特に89式装甲戦闘車や87式自走高射機関砲は、値段が高いためあまり採用されていない。また、唯一、陸上自衛隊は航空学生がなく、ヘリコプターのパイロットは陸曹航空操縦学生において採用している。富士総合火力演習は一般公開されており、多くの民間人も見学する。2005年3月には、老朽化したAH-1S コブラに代わり、AH-64 アパッチが就役することになっている。
90年代以降、ソ連消滅による北方脅威の減少によって日本本土で大規模地上戦が起こる可能性は減少したものの、中国の台頭による先島諸島等での島嶼部防衛、テロリズム対処やゲリラの遊撃、また阪神淡路大震災以降に特に活発になった災害派遣、海外での平和維持活動など、陸自の任務は一層増えており、北方重視であったこれまでの配備を見直して全国的な大変革を行っている最中である。具体的には師団の旅団化、市街地戦闘訓練の充実、警察や自治体との防災訓練の推進などがあげられる。
しかし、この変革に伴って戦車や火砲といった高強度紛争向け装備の大幅削減、そして隊員の削減なども同時に行われている。例えば、戦車の保有数は2005年3月現在で980両であるが、これを600両程度まで削減することになっている。実際には老朽化した戦車が多数退役する中で、高性能新型戦車を比較的少数調達していくことでこの数字を達成するのであり、同様にしてその他の装備の削減も実施される予定である。その結果として質的に向上するのは確かだが、どこまで質で量を補えるかについて疑問の声もある。この点で「スリム化」に名を借りた防衛予算削減だとの批判も起きている。
陸上自衛隊の編成
部隊の単位
陸上自衛隊の部隊の単位は、方面隊(方面総監は陸将)、師団(師団長は陸将)、旅団(旅団長は陸将補)、団(団長は陸将補)、連隊(連隊長は1等陸佐)、群(群長は1等陸佐)、大隊(大隊長は2等陸佐)、中隊(中隊長は3等陸佐又は1等陸尉)及びこれらに準ずる隊のほか小隊、分隊及び班とされている(自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)及び「陸上自衛隊の部隊の組織及び編成に関する訓令」(平成12年陸上自衛隊隊訓第25号))。
師団は師団司令部、普通科連隊、戦車連隊(一部戦車大隊)、特科連隊(一部特科隊)、高射特科大隊(一部高射特科連隊)、後方支援連隊、施設大隊、通信大隊などによって編成されている。
旅団は旅団司令部、普通科連隊、戦車隊(第12旅団にはなし)、後方支援隊によって編成されている。
現在は、平時地域配備する部隊として9個師団、3個旅団及び2個混成団が置かれ、また機動運用部隊として1個機甲師団(第7師団)、1個空挺団(第1空挺団)、1個ヘリコプター団が置かれている。