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「若者文化」の版間の差分

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== 外部リンク ==
* [http://asianbeat.com/ja/ab_about 若者文化情報WEBサイト(asianbeat)]


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2008年12月29日 (月) 15:56時点における版

若者文化わかものぶんか)とは青少年層(男女は問わず)に支持されている文化的形態や活動である。一過性の流行とは異なり、一定の持続性があるものとされる。

概説

若者文化と称される形態の、芸術音楽文学絵画など)や、各種文化的な活動は、それまで世間に広く認知されてきた「既存の」文化からは異端と見なされるような、「新しい」価値観を持っている。支持層は13歳から20代程度の青少年で、それ以外の年齢層には、それに属する事物の「良さ」は分かりにくいことが多いとされていた。

しかし近年の日本や米国を中心に、高度な文化性を示すハイカルチャーや、社会の大勢を占める支持者のいるメインカルチャーが、古臭いと見向きされなくなる一方で、価値観の多様化と世代のボーダレス化がすすみ、若者文化とそれ以外の文化の境もはっきりしなくなってきている。この部分には、若い世代が既存カルチャーを否定した後、世代交代で新規の担い手が出る一方、かつての支持者たちが加齢後もその指向を持ち続けている場合もあれば、青少年層の中にもかつてのメインカルチャーやハイカルチャーに興味を示す者、あるいは一度廃れたかつての前衛文化に関心を抱く傾向すら見られる。これには、2000年代に入って注目を集めている「ダサ未来」が挙げられよう。

ある時代の若者文化が次の時代にはハイカルチャーに転換することもありうる。たとえば、歌舞伎の語源は江戸時代の若者文化である「傾ぶく(かぶく)」より発生している。現在でこそ歌舞伎は日本のハイカルチャーの一つではあるが、当時は「悪趣味なほどに絢爛豪華を演出する前衛芸術」の一つだった。

成立の経緯

若者文化は、アメリカ合衆国では、ティーンエイジ(teenage)という概念が成立した1950年代以降に成立したと考えられている。日本では、団塊の世代が青年期に差し掛かった1960年代以降に若者文化が成立したと考えられる。なお日本の団塊世代の若者カルチャーを示す語としては、太陽族や後の暴走族の原型となる「カミナリ族」のような、世代的特長を民族異文化)に例えて形容した。この部分にも、既存文化に相容れない価値観が発生した事が伺われる。

これ以前にも若者固有の文化という形では、様々な形態が勃興を繰り返してきたが、これがメインストリームを覆すほどの力が無い部分に絡み、またメインカルチャーの担い手である大人の価値観が、社会を動かしていたと考えられる。

この若者文化が明確に定着した時代背景には、通信交通網が非常に発達したことが挙げられる。それまでは、この年齢層の青年が離れた地域に旅行することは経済的にも非常に困難であったし、また他の地域の青年がどのような生活を送っているかを知ることもまた困難であったため、同時多発的に広域で流行が進行することも無かった。しかし、道路交通網や新幹線などの長距離移動手段が成立し、若者向けの雑誌や、若者を対象にしたテレビラジオ番組が増え始めると、それらを利用して他地域の青年同士が強く影響を与え合い、独自の文化を形成することが可能になったと考えられる。

これと同時に、かつてはこれら若者世代向けの文化媒体は、当人らが経済的に豊かでは無いため商業的にあまり儲からなかった部分があるが、同時期以降には次第に若い世代が趣味余暇に充てられる時間・金銭が増大し、この層にのみ向けた商業活動も莫大な利益を生む市場を発生させ、情報発信側も関連産業の強化を行うといった余裕がでてきたと考えられる。

こうして文化の消費者と供給者の関係が成立した市場では、旧来の一過性・局地的なブームには収まらず、メインカルチャーに匹敵する「文化」としての価値が発生したといえよう。日本では、1980年代より女子大生がもてはやされ、時代が下がるにつれ女子高生、女子中学生に焦点があてられていくなど、情報発信側が、活発で感受性の強い彼女らの動向から時代の方向を見出そうとする活動もみられた。1990年代後半より普及したインターネットにより、消費者から直接的に情報を収集するなどという活動も見られる。

若者文化に関連する媒体と少子化の影響

日本では少子化により若年人口が減少しており、それに伴う若者文化関連媒体の衰退を懸念する意見がある。

これに関しては、音楽CDや週刊少年漫画雑誌など娯楽媒体の売り上げは1990年代後半に入ってから減少しており、例えば1990年代に週刊少年誌売り上げ1位だった『週刊少年ジャンプ』は650万部あった発行部数が2006年には290万部と半分以下に落ち込んでいる。テレビアニメも1980~90年代には『ドラゴンボール』『スラムダンク』といった作品が視聴率30%以上を記録していたが、現在ではテレビアニメの大部分は独立UHF放送局や深夜に追いやられ、平均視聴率は1%台にまで落ち込んでいる。

ただし2000年代のテレビアニメは全体的に発表される作品の量が増え、また当初からおたく向けなど限定された市場を目指した作品にあっては、各々の作品の視聴率のみを持って単純比較することは不可能である(上の例でも当時の大流行番組と昨今の「普通のアニメ番組」を比較している)。またコミック誌などの売上も単純に消費者が他の媒体にシフトした部分もあり、日本国内における出生数や合計特殊出生率の推移を見ても、1980年代に少年期を迎えた世代と2000年代に少年期を迎えた世代の比較では、単純に半減以下になっていると言うことはない。

なお週刊雑誌やテレビアニメが低迷しているにも拘らず、コミック単行本やアニメソフト[1]などでは逆に売り上げを伸ばしている。これは資金力の豊富な30代前後の男性がアニメや漫画といったジャンルで盛んな購買意欲を示している面も挙げられる。

こういった従来は児童や少年層(少女層含む)向けの媒体と考えられていたものが、より広い年齢層をターゲットとした作品制作に移行する傾向も日本国内では顕著であって、従来若者文化の一翼を担っていた漫画やアニメといった媒体にあっても、より対象とする世代に広い幅を取るようになっている。

このため、第二次ベビーブーム世代を中心に人口が多い1970年代生まれの世代が漫画やアニメの消費者として存在感を保っているうちは顕著な変化は見られないと考えられる。

関連項目

代表的な若者文化

脚注

  1. ^ かつての単価が高いビデオテープによるビデオソフト媒体に替わって、単価的に安くシリーズ物やボックス物として販売しやすいDVDが主流となっている。

外部リンク