タギング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
初期の頃のタギング(1997年8月に渋谷駅近辺で撮影)
既に数年は経過していたと思われる

タギングtagging)とは街のあちこちに見られるスプレーペンキで描かれた落書きの一種で、特に個人や集団のマーク(目印)とされるものを描いて回る行為・またはそれによって描かれたモノである。米国カリフォルニア州サンディエゴのインペリアルビーチから発祥した文化である。

  • この行為はストリートアートの一種とされる場合もある。ただ異なる方向性もみられるため、本項ではあまり述べない。ストリートアートの項を参照。

概要[編集]

これらは古くストリートギャングなどの縄張りの誇示に用いられたサイン(デザイン化された英単語や共通した様式を持つイラスト等)を指すが近年では意味の無い単なる落書き化やファッション化が激しく、個人的な存在主張の発露・低年齢化の傾向も感じさせる。

なおこの行為はその描かれた内容に関わらず公共または個人財産を汚損しているため、器物損壊の範疇にて取り締まられる。このため、これらタギングを行う個人やグループらは深夜などの人通りが絶えた時間にゲリラ活動的に神出鬼没で「作品」を残すケースも多いとされる。

その一方で既存の都市景観という1つの美意識の結果を損なうこと、当該地域が管理されておらず犯罪に無関心な地域との印象を与え犯罪を誘発する傾向が認められる(割れ窓理論)ため、ヴァンダリズムと判断される。

海外の事例[編集]

米国などに於いてストリートギャングに代表される未成年者を主な構成員とするギャングの下位組織は、常に麻薬パーティー券の販売地域を巡って他の同種集団と利害関係の衝突を繰り返している。

この支配地域の獲得に絡んで度々発生する死傷者を出すような抗争はあまり大っぴらにやると上位組織によって切り捨てられる危険を伴うため、無言の勢力圏誇示活動を増やす傾向が強まり、また一定地域の支配権を黙認し合う緩やかな協定も発生する。こうして支配地域に関する境界をタギングによって示すようになったといわれている。

またタギングに添えられたメッセージが取引に絡む符丁(隠喩を含んだ暗号合言葉)となっており、それらストリートギャングの提供する商品(武器暴力・麻薬や売春などの違法なものがほとんどだが)の売買に利用され警察組織の摘発を逃れる隠れ蓑にもなっているという。

日本での動向[編集]

日本では1970年代ヒッピー文化に代表される非暴力的アナキズムによるストリートアート活動も見られたが、1980年代後半よりチーマーに代表されるストリートギャングを真似たモラトリアム・ファッションが流行した一環で都市圏でこれらストリートアートやタギングが散見された。

1990年代にはその中でも特に人目を引く芸術性のあるものがインターネット上で度々取り上げられたり、各種メディア上に登場していた。こうして1990年代末頃より日本の全域に拡散していったが、次第に見苦しい・芸術性に欠けるタギングが日本各地の街の随所で増殖するようになった。

従来のタギング行為では主に道路脇やガード(鉄道高架)下の壁面などに描かれており大きく分けての3種の系統が見られ、これらの中には描いた個人・グループの遊び心がふんだんに含まれストリートアートの影響が色濃く見られた。アートを思わせる物はグラフィティと呼ばれ、タギングとは全く別の物である。タギングの定義は主に名前・縄張り主張・メッセージの為だけに書かれる、ただの印(マークサイン)。

  • 何色ものスプレーペンキを駆使したアート系
  • 見る者を悩ませる不可解タギング系
    • ビル壁面に大きく描かれるなど、場所や方法が不可解な物
    • 多人数が壁にへばり付いているかのように見える奇妙な物
  • メッセージをユーモラスにデザイン化した表現系

またこれらのタギング行為と平行してアーケード街等では店主などに依頼され無機的なシャッターに丹念に装飾されたタギング風のロゴやストリートアートを施し街の景観を向上させていたグループも存在した一方、暴走族らによる乱雑な難読漢字を用いた当て字メッセージが存在しこれらは溜まり場となった公園廃屋の壁面などに描かれていた。

過渡期の1990年代末になるとデザイン化された英単語のみによるマーキング系が街の目立つ所に出現、特に目立つよう多色な物に混じって単色で描かれた物が増える傾向が見られるようになった。

2000年代に入ってこれらタギングは更に乱雑な物が増加する傾向が著しく、既に判読不能なまでに崩されたアルファベット(しかもスペル間違いなど明らかに芸術性の無いもの)が目立ち個人商店のシャッターや電信柱・家屋の壁などに書き散らされるに至り街の景観を損なっている。

一方、これら増殖した雑多なタギングを消す市民活動も存在し活動家等は「美的センスの無い物が増えて余計に腹が立つ」「今が良ければいいという刹那的な印象を受ける」と粗雑なタギング行為に不快感や失望感をあらわにしている(落書きの項も参照)。

所有者の許可を得ないこれらの行為は、他人の所有物(橋脚など公共施設も含む)を破壊する器物損壊行為に相当する。2007年には大阪アメリカ村でタギング等の消去を地域コミュニティで行った直後、タギングが即座になされ、かかる行為が地域に対する挑戦とみなされ当該落書きを行った20代の者3人が器物損壊容疑で逮捕された。

関連項目[編集]