羞恥心

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クニドスのアプロディーテー
「恥じらいのヴィーナス」と呼ばれる類型を代表する、古代ギリシア彫刻作品。

羞恥心(しゅうちしん)は、自らを恥ずかしいと感じる

概要

羞恥心とは、自我自尊心の延長にある概念で、恥となる行動をしてしまった場合に感じるものである。これらでは、社会規範への適応といった行動を促すが、その一方で過度に感じる場合には、行動の萎縮などといった問題を生む。

罪悪感ないし羞恥心を測定する TOSCA-A の項目 "shame" によると、羞恥心は以下のとおり4つの下位尺度に分類される。

自己の存在が取るに足らない物と感じ、自己を否定したいと思う「全体的自己非難」、恥を感じる状況から逃げたい、もしくは恥を感じた記憶を消したいと思う「回避・隠蔽反応」、自分が周囲から孤立したと感じる「孤立感」、人に見られている、人に笑われていると思う「被笑感」である。

羞恥心はしばしば罪悪感と引き合いに出される感情である。羞恥心を感じやすい人は、罪悪感を持ちやすい人より攻撃的で、反社会的であるとする研究もある。羞恥心は、外部への帰属、他者への強い焦点、復讐といった感情や行動を発生させる屈辱感を伴い易いからである。

自分が社会的なルール常識を知らないで、ルールに違反してしまったり、自分が望むだけの成果を上げられなかったりした場合に、自分が身の置き所がなくなり、自身の内にこみ上げてくる感情情動のことと解され、これらは様々な面で、道徳人道といった概念が引き合いに出され、自身の行動を適正化させていく。

幼い子供であれば、トイレに行くのが間に合わず、お漏らしをしてしまったり、また思春期前後の世代では空腹時の腹鳴が周囲の人に聞こえてしまったり、スポーツの技量などで友達に力が及ばなかったり、集団の中での自己にいきなり焦点が当てられたりと言ったような場面で、この感情が出てくる。この感情は、集団の中の自己を意識するようになって初めて生まれてくるものである。

成人になると、性的な場面や社会的な業績、成果といったものにとりわけ関係するようになる。しかしながら慣れ、高齢化認知症の進行等に関係して薄れてくることもある。例えば明らかにモラルに違反している裏金を、常態化することで恥ずかしいとも思わずに処理したり、または羞恥プレイのような特殊な性癖に転化して、明らかに社会のルールに違反する行為などは、羞恥心の希薄化を発生させる。

脚注・出典

参考文献

  • 薊理津子「恥と罪悪感の研究の動向」『感情心理学研究』第16巻第1号、日本感情心理学会、2008年、49-64頁、NAID 130000065546 
  • 自己意識的感情尺度青年版(TOSCA-A)日本語版の作成 岡田顕宏

関連項目