劣等感

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劣等感(れっとうかん、: Inferiority complex)とは、他人に対して自分が劣っていると感じる事。劣等コンプレックス(れっとうコンプレックス)とも称される。

概要[編集]

これは主に人間精神)に発生する感覚である。人間は成長の過程で自我を発達させるが、この段階で他人との競争意識が生まれ、その競争面での挫折の結果が劣等感とみなされる。劣等感はこれを抱く人を憂鬱(暗く沈んだ気持ち)にさせるが、同時に克服することで更なる展望を生む。多くの場合、児童青少年は様々な劣等感を抱いている。しかしそれらは成長途上における苦しみであるといえる。

なお一般にはコンプレックスとも形容されるが、心理学用語としてのコンプレックスは、アドラーが提唱したインフェリア・コンプレックス(日本でのコンプレックスとはおおかた、これに該当し、劣等コンプレックスと和訳される)を指す場合もあるが、複合的な心理作用による様々な状態を指す言葉でもあり、また心理学用語上のコンプレックスは分析心理学上のフェティシズムに近い概念でもある。このため日本で日常的に、大衆によって使われるコンプレックスとは、前述した「劣等コンプレックス」の略語か、見方によっては和製英語の一種とも言える。

劣等感の元になる特徴など[編集]

劣等感を催させる個人の特徴(個性や身体的なもの)には、様々なものが挙げられる。場合によっては、それが複合的に作用して劣等感を生む劣等コンプレックスの要因となる場合もある。

ただし劣等感の中には、偏見によるいわれなき誹謗を真に受けて、思い悩んでいるケースも見られる。場合によっては、社会の中で有利に働くような特徴に対して嫉妬した周囲から中傷され、これに劣等感を抱くケースもあり、人それぞれである。

比較的多く見られる傾向としては、出自によるもの、健康問題、容姿関連や、知的能力コミュニケーション能力関連、あるいは趣味嗜好性癖が社会的に受け入れられにくいなどの当人の指向性と社会的風潮の不一致といった要素が見られる。

解消の手段[編集]

劣等感を抱くことは自我にとっては好ましい状況でないため、往々にしてなんらかの方法で解決しようとする欲求を生む。解決の手段としては、以下のような行動が見られる。

  • 反応1
    • 努力による改善
    • 他の、得意とする分野で優位性を持つことで解消する
    • 劣等感に対する認識を変える(認知療法
  • 反応2
    • 劣等感を抱くこと自体を否定せず、肯定もしない。
    • 何等かの合理的な理由付けをするなどして諦める
    • コンプレックス産業の提供するサービスを利用する
  • 反応3
    • 優位性を持っている相手を貶すことで自分を慰める
    • 自分より下位にあると考える相手を貶めて自分を慰める
    • 抑圧して意識しないようにしてしまう
    • 自棄を起こして逃避する

解消できない場合には適応障害に陥ることもある。この部分に関しては防衛機制の項も参照して欲しい。

なお一般に自身の属性としては劣等感の対象にされやすいものでも、それをうまく利用することも可能である。例えば不細工は、これを個性の一端として表現することにも利用される。

注意点[編集]

劣等感は過度に感じる事で心理的に非常な負担(→ストレス)となる。これが成長途上の、しばしば時間などが勝手に回復させてくれるような物ならまだしも、時間の経過で変化しなかったり、むしろ悪化するようなものはその人の精神を蝕み、抑うつ状態となる場合がある。そのような状態での周囲の激励(自助努力の辛辣な強要・根性論の一種)は、当人のストレスを増大させ場合によっては自殺の原因にもなるため、医学上の禁忌とされている。

またしばしば劣等感によるストレスは、嫉妬心として矛先を他者へあてつけ、場合によっては凶悪犯罪の動機となるケースも少なくない。拡大自殺はその最たる例である。ただし、同じ劣等感を抱える者が多数団結しデモクラシーを起こすことにより社会を刷新し続けた事例も、史実上枚挙に暇がない。

関連項目[編集]