波和二
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波 和二(なみ かずつぎ、1933年5月19日 - )は、東京都新宿区に本社を置いていた、健康食品販売会社株式会社エル・アンド・ジー(破産手続中)の代表取締役会長。
来歴
1944年12月、1200人以上が死亡・行方不明になった東南海地震に被災。
- APOジャパン
1971年、「APOジャパン」なる米国系マルチ商法の会社を神奈川県に設立。仲間にはかつて催眠商法を編み出した島津幸一らが居た。
「自動車のエンジンの排気ガスを減少させ出力アップを図る」と称する装置を約25万人に販売し、鶴蒔靖夫に出資して社長本まで書かせ絶頂を誇ったが、1975年に破綻、1978年に三重県警察に詐欺容疑で逮捕され、実刑判決を受けた。
日本初のマルチ商法と言われた同事件では、被害者の高校生が自殺するなどの騒ぎで社会問題化した。
- 麦飯石マルチ
「水道水を天然水に変える魔法の石」と称する麦飯石を、全国の薬局で特約店を組織化する方法でマルチ商法を展開、1978年に実刑判決を受ける。
- エル・アンド・ジー
麦飯石事件の仮釈放中に、エル・アンド・ジー設立を考案したとされる。1987年に設立されたエル・アンド・ジーは、当初は布団、健康食品などの販売を主な事業としていた。その後、70歳にして波が「古希の天命」と称する「使っても減らない金で世界を救う」との「世界円天構想」がひらめいたとし、「円天」と呼ぶ疑似通貨を発行、「100万円を預ければ3カ月ごとに9万円を支払う」と説明の上、不特定多数の会員から多額の「協力金」と称する出資金を集めた。が、2007年1月頃から運転資金がショートし、従業員の大半を解雇、配当を現金から円天に切り替えたが、それも止まるなど企業活動は行き詰まりを見せていた。
2007年10月3日に同社は警視庁および宮城県警察、福島県警察の合同捜査本部による出資法違反容疑で一斉捜索を受け、10時間に及ぶ捜査により資料を段ボール箱で1000個分以上押収された。全国約5万人から1000億円を超える資金を集めたとされ、過去最大規模のマルチ商法事件に発展するおそれがあることから、捜査本部は最終的には詐欺容疑での立件を目指すこととした。同年11月26日に同社が破産手続開始決定されたのに続き、2008年1月10日には波個人についても破産手続開始決定となった。
一斉捜索から約1年4ヵ月後になる2009年2月3日、支払い能力がないのに組織的に会員から出資金を騙取した疑いが強まったとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、警視庁と宮城、福島両県警の合同特別捜査本部は、波和二と幹部ら約20人の逮捕状を取り2009年2月5日、組織的詐欺の容疑で警視庁に逮捕される。2006年から2007年1月に間に「エル・アンド・ジー」による物販事業による収益で年36%の利息を支払うとの虚偽の説明で31人から計3億2700万円をだまし取ったとして起訴され2010年3月18日、東京地裁で、求刑通り懲役18年の実刑判決が下された。波は判決を不服として東京高裁に即日控訴した。2011年2月23日、波に対し東京高裁は一審の懲役18年の実刑判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。弁護側は判決を不服として最高裁に上告したものの、2012年1月10日付で棄却され実刑が確定することとなった[1]。逮捕・起訴後も、毎日のように自らのブログ[1]にて独自の理論を展開するなどしている。当事件では本人以外にも21人が起訴され、全員が一審で有罪判決を受けている。
APOジャパン・麦飯石マルチを含め、この事件で生涯三度目の実刑判決を受ける形となった。
思想的背景
- 「あかりの感情」と「くらやみの感情」
ブログ上で「あかりの感情」と「くらやみの感情」という二つの相反する心的概念を想定し、対立する二つの感情をもって、成功する人間とそうでない人間の違いや、人間の行動様式を説明しようとする(「あかり人生 基本篇」)。目的を持ちながら全く反対の結果を掴む人間の原因の大半は、感情操作能力不足なのだと説く。
波の言う「あかりの感情」と「くらやみの感情」に気付かない人間が、金銭のみならず愛情、健康面においても反対の結果を掴んでしまうという。波自身はこの感情操作能力を、全人類に取得させる目的で生まれてきたのだと自分自身で思い込み、天命と信じ行動しているのだという。
- 野良犬とカップルの逸話
波は、20代前半頃に「分析心理学」に凝っていたと述べ、「野良犬とカップルの逸話」を挙げている。
ある日、日比谷公園のベンチで読書をしていた波青年の隣に、カップルが座る。女性が飲み物を買うため場を立ち、男性だけになったときに一匹の野良犬が男性の前を通りがかる。男性は食べ物を差し出し、野良犬を自分のもとに来させようと何度も呼びかける。が、野良犬は無言である。男性が食べ物を上げるよ、と言った瞬間に突然野良犬は突然吠え出す。驚いた男性が立ち上がると、野良犬は素早く逃げる。ところが男性が座ると再び吠えるのだ。これに怒った男性は女性のハンドバッグを持ち、野良犬を追いかける。波の視界から彼らの姿は消え去るが、しばらくすると二人は戻って来る。ところが、女性は手にしていた飲み物を投げ捨て、さらに男性からハンドバッグをひったくって去っていく。男性は放心し、ベンチにいつまでも座りきったままだ。
この光景を目にした波は、男性と野良犬の心理を分析して見せる。本心では食べ物をくれる人間を求めているのに、過去の人間不信が募り飼い犬のように愛くるしく振舞うことができず、そのためまたも人間から暴力を受けさらに人間不信を深めた野良犬と、自らのとった態度が元で野良犬の人間不信を益々深め、恋人さえ失う結果になった男性ともに、欲望が「くらやみの感情」にすり替わった結果だと説く。そして、この野良犬とカップルの男性の関係が往々にして人間同士の間でも行われており、それこそが浮世だと結論づける。
「あかりの感情」は、欲望であり、欲望こそが愛、信念、ロマン、情熱、性のエネルギーの根源である説き、欲望を達成しようとするときに発生する感情こそが生命エネルギーとなり、自信と決意を呼び起こし、行動や能力となり目的を達成できるように人間はできているのだと説く。
語録
- 「マルチは禁断の木の実に似て、麻薬のようなものだ」(APOジャパン解散時の発言)
- 「エジソンも一万回失敗してペテン師と呼ばれていた」(この言葉を口癖に会員を募っていた)
- 「もし、被告にされても円天はのびてゆく」
- 「円天を好きな人は使っていくんじゃない?」(波)、「会長は嫌いなんですか?」(記者)、「僕は使う必要がないと言っているの」(波)(報道番組「真相報道 バンキシャ!」の取材に応じた際の発言。このとき、波自身は給料は円天ではなく日本円でもらっていると話した)
その他
- 愛車は黒のベンツでナンバーは自らの名前にちなみ「・・73」。
- 前述したように、APOジャパン・麦飯石マルチ、円天詐欺で三度も実刑判決を受けているが、その度に服役しても出所後に大規模詐欺を繰り返した。円天詐欺での実刑判決(第一審・第二審)を受けた後も自らのブログで独自の理論を展開し、犯行についても無罪を主張し、事件で損害を受けた被害者に対しての謝罪やお詫びをするという反省の態度を全く見せなかった。無罪判決が下されるまで高裁・最高裁で徹底抗戦する意思をブログで表明していたが、先述のとおり有罪判決が確定することとなった。
出典
- ^ “「円天」波和二被告、懲役18年確定へ”. 読売新聞. (2012年1月11日) 2012年1月11日閲覧。