波和二

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なみ かずつぎ

波 和二
生誕 (1933-05-19) 1933年5月19日(90歳)
日本の旗 日本 三重県尾鷲市
出身校 日本大学芸術学部中退
職業実業家
肩書き 株式会社エル・アンド・ジー(L&G)元代表取締役会長
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波 和二(なみ かずつぎ、1933年5月19日 - )は、日本の元実業家東京都新宿区に本社を置いていた、健康食品販売会社株式会社エル・アンド・ジー(L&G)(破産手続終結)の代表取締役会長。

来歴

1971年APOジャパンなる米国系マルチ商法の会社を神奈川県に設立。仲間にはかつて催眠商法を編み出した島津幸一らが居た。

自動車エンジン排気ガスを減少させ出力アップを図る」と称する装置を約25万人に販売し、鶴蒔靖夫に出資して社長本まで書かせ絶頂を誇ったが、1975年に破綻、1978年三重県警察詐欺容疑で逮捕され、実刑判決を受けた。

日本初のマルチ商法と言われた同事件では、被害者の高校生自殺するなどの騒ぎで社会問題化した。

水道水を天然水に変える魔法の石」と称する麦飯石を、全国の薬局で特約店を組織化する方法でマルチ商法を展開したが、1978年までに社長を務めていた販売会社のノザック、製造会社のノザックファクトリーが経営破綻。負債総額は60億円に達した[1]。後に、実刑判決を受ける。

麦飯石事件の仮釈放中に、エル・アンド・ジー設立を考案したとされる。1987年に設立されたエル・アンド・ジーは、当初は布団健康食品などの販売を主な事業としていた。その後、70歳にして波が「古希の天命」と称する「使っても減らない金で世界を救う」との「世界円天構想」がひらめいたとし、「円天」と呼ぶ疑似通貨を発行、「100万円を預ければ3カ月ごとに9万円を支払う」と説明の上、不特定多数の会員から多額の「協力金」と称する出資金を集めた。が、2007年1月頃から運転資金がショートし、従業員の大半を解雇、配当を現金から円天に切り替えたが、それも止まるなど企業活動は行き詰まりを見せていた。

2007年10月3日に同社は警視庁および宮城県警察福島県警察の合同捜査本部による出資法違反容疑で一斉捜索を受け、10時間に及ぶ捜査により資料を段ボール箱で1000個分以上押収された。全国約5万人から1000億円を超える資金を集めたとされ、過去最大規模のマルチ商法事件に発展するおそれがあることから、捜査本部は最終的には詐欺容疑での立件を目指すこととした。同年11月26日に同社が破産手続開始決定されたのに続き、2008年1月10日には波個人についても破産手続開始決定となった。

一斉捜索から約1年4ヵ月後になる2009年2月3日、支払い能力がないのに組織的に会員から出資金を騙取した疑いが強まったとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、警視庁と宮城、福島両県警の合同特別捜査本部は、波和二と幹部ら約20人の逮捕状を取り2009年2月5日、組織的詐欺の容疑で警視庁に逮捕される。2006年から2007年1月に間に「エル・アンド・ジー」による物販事業による収益で年36%の利息を支払うとの虚偽の説明で31人から計3億2700万円をだまし取ったとして起訴され2010年3月18日東京地裁で、求刑通り懲役18年の実刑判決が下された。波は判決を不服として東京高裁に即日控訴した。2011年2月23日、波に対し東京高裁は一審の懲役18年の実刑判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。弁護側は判決を不服として最高裁上告したものの、2012年1月10日付で棄却され実刑が確定することとなった[2]。波本人は現在、刑務所で服役中である。逮捕・起訴・実刑判決確定後も、毎日のように自らのブログ[1]にて独自の理論を展開するなどしていたが、2012年7月1日をもってブログの掲載を休止することを表明した。当事件では本人以外にも21人が起訴され、全員が一審で有罪判決を受けている。

APOジャパン・麦飯石マルチを含め、この事件で生涯三度目の実刑判決を受ける形となったが、波本人は「自分は無罪で、事件は警察・検察によるでっち上げだ」と主張し続け、事件で損害を受けた被害者に対しての謝罪やお詫びをするという反省の態度を最後まで表明することは全く無かった。

出典

  1. ^ 麦飯石販売でヤケド 薬局50店以上が倒産 手形出せばマージン 販売元だまし取る?『朝日新聞』1978年(昭和53年)5月13日朝刊、13版、23面
  2. ^ 共同通信波被告、懲役18年が確定へ 「円天」元会長、上告棄却47NEWS、2012年1月11日。 オリジナルの2012年7月6日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20120706133353/https://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011101001566.html 

関連項目

外部リンク