沼島

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沼島
灘漁港(土生港)から見る沼島
所在地 日本の旗 日本兵庫県
所在海域 紀伊水道
座標 北緯34度10分5秒 東経134度49分33秒 / 北緯34.16806度 東経134.82583度 / 34.16806; 134.82583座標: 北緯34度10分5秒 東経134度49分33秒 / 北緯34.16806度 東経134.82583度 / 34.16806; 134.82583
面積 2.71 km²
海岸線長 9.53 km
最高標高 117.2 m
プロジェクト 地形
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諭鶴羽山から見る沼島

沼島(ぬしま)は、淡路島の南4.6kmの紀伊水道北西部に浮かぶ兵庫県南あわじ市に属する。面積2.71km²、周囲9.53km[1]、 最高地点は117.2m。瀬戸内海国立公園の一部。人口520人(2012年11月末現在)[2]。本項ではかつて同区域に所在した三原郡沼島村(ぬしまむら)についても述べる。

概要

勾玉形の島で北西側の真ん中に漁業中心の集落と沼島漁港があり、対岸の南あわじ市灘土生の土生(はぶ)港[注 1]洲本市洲本港との間を定期船で結ばれている。江戸時代末期に漁業や海運業で最も栄え、1955年昭和30年)頃までは人口2,500人ほどを擁していたが、その後は人口流出が著しい[4]

中央構造線の南側に位置するため、淡路島とは異なり全島が三波川変成帯結晶片岩によって構成され、南岸の海食崖には緑・白・黒など様々な縞模様が現れている。また珍しい同心円状褶曲(さやがたしゅうきょく)も見られる[注 2]。 崖下に磯が発達していることから磯釣りの名所でもある。

  1. ^ 正式名称は灘漁港[3]
  2. ^ 1994年発見。世界でもこことフランスの2か所でしか見られない。日本の地質百選に選定されている[5]

歴史

ぬしまむら
沼島村
廃止日 1955年4月29日
廃止理由 新設合併
南淡町、福良町沼島村南淡町
現在の自治体 南あわじ市
廃止時点のデータ
日本の旗 日本
地方 近畿地方
都道府県 兵庫県
三原郡
総人口 2,562
国勢調査1950年
隣接自治体 南淡町(航路を介して)
沼島村役場
所在地 兵庫県三原郡沼島村(大字なし)
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沿革

国産み神話

淡路島は、『古事記』では淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)と書かれ、『日本書紀』では淡路洲と書かれていて、伊弉諾尊(いざなきのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)の産んだものとされる。

この「記紀」によると伊弉諾尊・伊弉冊尊の二神が天上の「天浮橋(あめのうきはし)」に立って、「天沼矛(あめのぬぼこ)」をもって青海原をかきまわしてそのを引き上げたところ、矛の先から滴り落ちる潮が凝り固まって一つの島となった。これがオノゴロ島で、二神はその島に降りて夫婦の契りを結んで国産みを行った。初めに造られたのが淡路島で、その後次々に島を生んで日本国を造られたとされる。このおのころ島の所在地については諸説紛々としていて、そもそも架空の島であると言う説、淡路島北端の淡路市にある絵島、南あわじ市榎列(えなみ)の自凝島神社のある丘、あるいは淡路島全体であるという説もある。しかし南あわじ市には古くからおのころ島の地名があり、二神を祭る「おのころ神社」が存在するため沼島とする説もある[6]

自然と観光スポット

沼島の空中写真。
1977年撮影の3枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

ほぼ全島が瀬戸内海国立公園の特別地域に指定されている。

奇岩 - 上立神岩、屏風岩、あみだバエなど
島の南側の海岸線は太平洋黒潮をまともに受ける場所であり、奇岩・岩礁を形作っている。なかでも高さ約30mの上立神岩(かみたてがみいわ)は「天の御柱」とも言われ、江戸時代和漢三才図会には「龍宮の表門」と書き記されている。
ウミウ越冬地
11月から3月まで越冬するため、ウミウヒメウが本州北部から飛来して、島の南側の岩棚に数百羽の集団で越冬している。1971年(昭和46年)に兵庫県の天然記念物に指定[7]。ヒメウは日本国内では絶滅の危険が高いとして絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。
おのころ神社
小高い山の上にあり、この山全体がおのころさんと呼ばれる神体山である。天地創造の神である伊弉諾尊・伊弉冉尊の二神を祀っている。
沼島庭園(伊藤邸)
兵庫県下最古の石組みの庭園。別名・鶴亀庭園。足利義稙が沼島在所時に逗留した大寺(おおじ)に作庭したと言う説がある。

施設

  • 南あわじ市立沼島中学校
  • 南あわじ市立沼島小学校
  • 南あわじ市役所 沼島出張所
  • 沼島郵便局(2007年3月に集配業務を南淡郵便局へ移管)
  • 沼島漁港 - 兵庫県管理の第2種漁港で、主にアジイカタチウオなどが水揚げされている。2008年平成20年)の水揚げ量は557t、登録漁船数は128隻[8]
  • 沼島海底送水管・送電線 - 対岸の灘地区との間に2条の送水管と関西電力の送電線が敷設されている[9]
  • ハモの名産地で、島で食事が出来る店は3軒、宿泊可能な店は2軒ある。
  • 離島支援により沼島漁港に定期船の埠頭が整備され、道路も舗装され、海水浴場も整備されている(シャワー・トイレあり)。

交通

島内には信号機が存在せず、一部の工事用作業車や軽自動車を除き、島民は主に徒歩自転車で移動する[10]

沼島へは淡路島から沼島汽船を利用する。和歌山下津港徳島小松島港など本土との直接の便はない。

  • 沼島汽船
    • 洲本港 - 火・木・土のみの週3往復。所要時間52分。
    • 土生港 - 一日10往復。所要時間10分。

土生港の沼島汽船場へは、

沼島灯台

沼島灯台
沼島の位置(兵庫県内)
沼島
航路標識番号
[国際標識番号]
3461 [F5570]
位置 北緯34度10分1秒 東経134度49分7秒 / 北緯34.16694度 東経134.81861度 / 34.16694; 134.81861座標: 北緯34度10分1秒 東経134度49分7秒 / 北緯34.16694度 東経134.81861度 / 34.16694; 134.81861{{#coordinates:}}: 各ページで primary のタグは複数指定できません
所在地 兵庫県南あわじ市(沼島)
塗色・構造 白色 塔形 コンクリート造
レンズ LB型灯器(30cm),レンズ式[11]
灯質 単閃白光 毎10秒に1閃光
光達距離 18海里(約33km)
明弧 全度
塔高 12 m (地上 - 塔頂)
灯火標高 133 m (平均海面 - 灯火)
初点灯 1961年昭和36)1月28日
管轄 海上保安庁
第五管区海上保安本部
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沼島灯台(ぬしまとうだい)は、兵庫県南あわじ市にある沼島の山頂に立つ白亜塔形コンクリート造の小型灯台。港から徒歩約20分で行ける距離にある。

出典

  1. ^ 兵庫(瀬戸内海)の島嶼”. 第五管区海上保安本部 海洋情報部 (1990年). 2010年11月25日閲覧。 “沿岸域情報ハンドブック(平成2年3月刊行)”
  2. ^ 南あわじ市地区・行政区別人口世帯数” (PDF). 南あわじ市役所 市民課 (2012年12月3日). 2012年12月28日閲覧。
  3. ^ 兵庫県の港(瀬戸内海)”. 第五管区海上保安本部 海洋情報部. 2010年11月25日閲覧。 “灘漁港 第二種漁港 南あわじ市管理”
  4. ^ 沼島ってどんなところ”. 沼島漁業協同組合 (2004年). 2011年1月12日閲覧。
  5. ^ 南あわじ市 沼島観光スポット”. 南あわじ市. 2010年11月28日閲覧。
  6. ^ おのころ島神社”. 南あわじ市役所. 2010年11月28日閲覧。
  7. ^ 南あわじ市 沼島めぐりガイド”. 南あわじ市. 2010年12月2日閲覧。
  8. ^ 兵庫県/主な漁港の紹介(沼島漁港)”. 兵庫県農政環境部農林水産局漁港課 (2010年7月15日). 2010年11月28日閲覧。
  9. ^ 南あわじ市地域の主な水道施設”. 淡路広域水道企業団 (2005年). 2010年12月17日閲覧。 (PDF, 610KiB)
  10. ^ 沼島中学校について - 沼島中学校”. キッズ・ウェブ・ジャパン. 外務省. 2014年9月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月11日閲覧。
  11. ^ 航路標識技術の変遷一覧表”. 燈光会. 2015年2月28日閲覧。

関連項目

外部リンク