横浜市営地下鉄グリーンライン

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横浜市営地下鉄 グリーンライン
開業初日のグリーンライン (センター北 - センター南間、2008年3月30日)
開業初日のグリーンライン
(センター北 - センター南間、2008年3月30日)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 神奈川県横浜市
種類 地下鉄
起点 中山駅
終点 日吉駅
駅数 10駅
輸送実績 47,124,904人(2014年度)[1]
1日利用者数 129,104人(2014年度)[1]
路線記号 G G
路線番号 4号線
路線色 グリーン
開業 2008年3月30日
所有者 横浜市交通局
運営者 横浜市交通局
車両基地 川和車両基地
使用車両 車両を参照
路線諸元
路線距離 13.1 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
車上一次鉄輪式リニアモーター方式
閉塞方式 車内信号式
保安装置 HD-ATCATO
最高速度 80 km/h
路線図
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
STRq
STRq
JR東横浜線
0.0 G01 中山駅
tSTRe
KDSTl ABZlg
川和車両基地
BHF
1.7 G02 川和町駅
TUNNEL1
tSTRa
tBHF
3.1 G03 都筑ふれあいの丘駅
tSTRq tKRZt tSTRlg
ブルーライン
tSTRe tSTRe
4.8 G04 センター南駅
5.7 G05 センター北駅
tSTRa tSTRa
tSTR tSTRlf
tBHF
7.4 G06 北山田駅
tBHF
8.8 G07 東山田駅
tBHF
10.3 G08 高田駅
tBHF
11.6 G09 日吉本町駅
13.0 G10 日吉駅
STRq
STRq
東急東横線目黒線

グリーンライン(正式名称:横浜市高速鉄道4号線〈よこはましこうそくてつどう4ごうせん〉)は、神奈川県横浜市中山駅 - 日吉駅間の13.1km(地下区間10.7km、地上区間2.4km)を結ぶ横浜市営地下鉄の鉄道路線である。丘陵を通ることからグリーンラインと呼ばれている。都市計画法に基づく都市高速鉄道としての名称は、「横浜国際港都建設計画都市高速鉄道第5号市営地下鉄4号線」である。駅ナンバリングで使われる路線記号はGG

2008年3月30日に開業した。Green Lineという愛称から、GLと略されることもある。

概要

本路線は「横浜環状鉄道」の一部である。2001年1月に着工され、2008年3月30日に正式開業した。車両は鉄輪式リニアモーター駆動方式が導入され、最高速度は80km/hでリニア式地下鉄では最高速度となった。またリニア式地下鉄の営業区間としては初の地上区間もある(非営業区間では福岡市地下鉄七隈線の車両基地が地上にある)。中山駅から川和町駅へ登る区間に当路線では最も急な58の勾配がある[2][注 1]

横浜線から港北ニュータウンを横断して日吉駅で東急東横線目黒線へつながる路線であるため、田園都市線へ流れている中山・鴨居付近と港北ニュータウンの通勤客が日吉経由で東横線へ流れる効果や、横浜線中山駅と港北ニュータウンの結節による横浜線沿線と港北ニュータウンの通勤通学経路の確立が期待された。

当初は2007年中に全線開業の予定だったが、日吉 - 日吉本町間の一部画地の地権者の同意が得られなかった。一時は部分開業なども検討されたが、土地収用法に基づく裁決申請が2004年12月に行われた。その後2006年11月16日に申請通り裁決され、同年12月13日付で横浜市交通局は2008年3月末に全線開業を目指すと発表した(その後、2008年1月8日に、正式な開業日を同年3月30日とすることを発表した)。

各駅には、ホームドアエスカレータおよび大型のエレベーターが設置されたほか、新たに休憩スペースが設置された。また、ステーションカラーは、各駅個別に設定され、駅の壁にはステーションカラーが電光帯2線に入った灰色ボート(ラインカラー)が設置されている。これは、電車が接近すると破線になり進行方向に流れるものであるが、機器の諸問題が解決しないことから、2011年以降使用を停止している[3]

グリーンラインには開業日から9月30日までの平日の14時から17時(当初予定)で、全国で初めて車内に「スマイルマナー向上員」が配備される。これは横浜市営地下鉄が導入している全席優先席で譲るマナーが、車内の自動放送だけでは促進されないため、車内にいる利用客に席を譲ってくれるよう向上員が声をかけ、モラルやマナーをさらに浸透させる狙いがある。また、現在は客とのトラブルを避けるために、同時に警備員も配備されている。

開業時からPASMOに対応しているが、パスネットマリンカードについてはブルーラインと接続するセンター南駅センター北駅を除き自動改札機・券売機・精算機では対応をせず、窓口精算のみ対応を行っている。

キャッチフレーズは、『人to街to暮らしをつなぐ』。

開業後1か月間の利用客数は、(通勤・通学の定期券利用者の定期券の使用期限が残っており、経路転換に時間がかかると見られることから)1日平均53,129人と低迷し事前の需要予測の1日平均104,000人(当初の予測は1日平均13万7,000人)を大幅に下回る結果[4]であった。なお当初は高田駅から日吉駅ではなく、綱島駅経由鶴見駅へ伸ばす計画であったが地元地権者等の反対により断念したため、東急バス便からの乗車人員移行予測等が下振れした。その後、1日当たりの乗車人員は、開業の2008年度は71,864人、2014年度はほぼ当初予測通りの129,104人となり[1]、港北ニュータウンへの人口集積と商業施設や企業立地による就業人口の増加に伴い、ほぼ一貫して増加傾向にある。

事故は開業以来起きていない。

路線データ

運行形態

全列車各駅に停車し、一部列車を除いたほぼすべての列車が日吉駅 - 中山駅間を通しで運転する。区間運転は早朝に車庫のある川和町発中山行きが平日4本・休日2本、センター北発日吉行きが平日1本設定されているほか、川和町駅 - 中山駅間で入出庫の回送列車が多数設定されている。

2008年3月30日の開業ダイヤ

  • 平日
    • 早朝・深夜:10 - 15分間隔
    • 朝ラッシュ時:4分20秒間隔
    • 日中:7分30秒間隔
    • 夕ラッシュ時:6分間隔
  • 土曜・休日
    • 早朝、深夜:10 - 15分間隔
    • 上記以外:7分30秒間隔

2010年4月1日からのダイヤ

開業以来初めてのダイヤ改正の内容は

  • 朝ラッシュ時の増発
  • センター北駅・センター南駅でのブルーラインとの接続改善
  • 日吉駅での東急線との接続改善
  • 毎金曜日の臨時最終列車の定期列車化
  • 利用実態に合わせた減便・修正

である。同日にはブルーラインもあわせてダイヤ改正を行った。

  • 平日
    • 早朝、深夜:10 - 15分間隔
    • 朝ラッシュ時:3分50秒間隔
    • 日中:7分30秒 - 10分間隔
    • 夕ラッシュ時:6分間隔(ラッシュのダイヤを1時間遅めに変更)
  • 土曜・休日
    • 早朝、深夜:10 - 15分間隔
    • 朝間、夕間:6分 - 8分間隔
    • 日中:7分30秒→7分30秒→15分サイクル(その後、2011年4月1日のダイヤ改正で10分間隔に変更)

車両

  • 10000形 - 開業時に4両編成15本の60両が導入された。2014年3月29日より増備車として、4両編成2本の8両が導入された。

駅一覧

駅番号 駅名 駅間キロ 累計キロ 接続路線 地上/地下 所在地
G01 中山駅 - 0.0 東日本旅客鉄道横浜線 地下 緑区
G02 川和町駅 1.7 1.7   地上 都筑区
G03 都筑ふれあいの丘駅 1.4 3.1   地下
G04 センター南駅 1.7 4.8 横浜市営地下鉄:B ブルーライン (B29) 地上
G05 センター北駅 0.9 5.7 横浜市営地下鉄:B ブルーライン (B30)
G06 北山田駅 1.7 7.4   地下
G07 東山田駅 1.4 8.8  
G08 高田駅 1.5 10.3   港北区
G09 日吉本町駅 1.3 11.6  
G10 日吉駅 1.4 13.0 東京急行電鉄TY 東横線 (TY13)・MG 目黒線 (MG13)

延伸計画

本路線は1960年代より横浜市六大事業の一環として港北ニュータウンとともに構想されてきた高速鉄道事業であり、「横浜環状鉄道」の一部として日吉駅から鶴見駅中山駅から二俣川駅東戸塚駅上大岡駅根岸駅方面へ延伸する計画がある。

2011年5月現在、横浜市内には郊外区拠点を環状型に連続して結ぶ基幹交通網に全線完成したものが無いため、グリーンライン延伸による市域一体化への期待は大きい。特に横浜市における主要な生活拠点(旧:副都心[5][6]とされる地域を接続する意味でも重要な路線である。なお環状型の交通網として唯一、都市計画道路環状2号線が存在するが、これは既成市街地エリアの外周部を環状に結ぶ幹線道路であり、郊外部を環状型に結ぶ交通網は鉄道・幹線道路共に全線完成していない。

グリーンラインの整備効果

JR横浜線中山駅東横線目黒線日吉駅を港北ニュータウンを経由して結ぶ路線であり、横浜線の多摩地域方面と横浜市都筑区の港北ニュータウンへの移動経路を確立した。また都市計画道路の整備が遅れている横浜市において渋滞等により定時性維持が困難になりつつあるバスに変わる代替輸送機関として環境負荷を下げる効果をもたらしたともいえる。

脚注

注釈

  1. ^ 国土交通省による新鉄道技術省令の解釈基準では、リニアインダクションモーター推進方式の鉄道の勾配は最大で60‰と規定されているため、基準の範囲内となっている。

出典

  1. ^ a b c 市営地下鉄 グリーンライン(駅、月別乗降車人員) - 横浜市統計ポータルサイト、2014年6月閲覧
  2. ^ 小池信之(横浜市交通局・高速鉄道本部運輸サービス課 4号線運転担当係長)「市営地下鉄4号線グリーンライン3月30日開業-人to街to暮らしをつなぐ-」『運転協会誌』第50巻第5号、日本鉄道運転協会、東京都台東区東上野1-12-2東上野関東ビル8階、2008年5月、p.1、2008年6月1日閲覧 
  3. ^ グリーンラインの流れる照明はなぜ使われないの? - はまれぽ.com
  4. ^ 横浜市営地下鉄:グリーンライン開業1か月 乗客数目標の半分 /神奈川 - 毎日新聞2008年5月29日
  5. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 平成25年3月発行。編集・発行、横浜市都市整備局企画部企画課。
  6. ^ 上大岡が副都心に選ばれた理由、そして副都心の定義とは?(はまれぽ.com 2012年8月19日)

関連項目

外部リンク