地球外生命

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1967年に発行されたソヴィエト連邦の16コペイカ切手。地球外生命の人工衛星が描かれている。

地球外生命(ちきゅうがいせいめい、英語extraterrestrial life、略称:ET)は、地球大気圏の外に生息する生命の総称。必ずしも知的生命を示すわけではない。圧倒的多数の地球外生命は原始的なバクテリアではないかと推定されている。

概要

2012年現在、天文学者などの間では地球外生命体の存在は確認されていない。 太陽系外の知的生命については地球外知的生命体探査を参照のこと。

太陽系内

過去には大気の組成や温度などから太陽系内の他の惑星にも生命が存在しているのではないかと推測されていたことがあった。また、二十世紀の火星の観測により「運河」や「人面岩」など人為的な建造物に見える巨大構造などが発見されたことから、それが文明の存在を示すものではないかとする説がローウェルの著作や、最近では超常現象を扱う雑誌Webで唱えられたこともあった。その多くは自然の地形であったことが、マリナーマーズ・オブザーバーなどの後の詳細研究で解明されている。

その後さらに詳細な観測が進むにつれ、太陽系内に地球人以外の知的生命体が存在する可能性はないと考えられるようになったが、原始的な生命が地球以外で発生したかどうかについては結論は出ていない。特に火星については、かつて大気と液体の水を持っていたと考えられていることから、生命が発生していた可能性もある。また、1996年ギブソンらが行った報告では、火星由来の隕石に化石状の構造が認められ、生命の痕跡と考えられるとしている。ただしこの見解は統一見解には至らず、論争の的になっている(詳細はアラン・ヒルズ84001を参照)。

1970年代NASAが送り込んだ火星探査機バイキング1号および2号は火星表土のサンプルを採取し、そこに生命活動の兆候が見られるか確認する試験を行ったが、結果は生命の存在を肯定するものではなかった。2003年にイギリスが火星に送り込んだビーグル2はバイキング以来はじめての生命探査を目的とした着陸機だったが、大気圏突入後に交信が途絶えて失敗に終わった。

火星以外では、木星の衛星であるエウロパガニメデなどが注目されている。これらの天体は主に氷や岩石から出来ているが、地下には液体の水の層が存在しているのではないかと考えられている。水中にはバクテリアがいるかもしれない。また、土星の衛星タイタンも、厚い大気圏を持ち、表面に液体の炭化水素が存在していることなどから、生命の存在する天体の候補に挙げられている。

太陽系外

現在行われている研究活動の中で有名なものに、宇宙空間を通じてやってくる電波のパターンを解析することで地球外の知的存在の活動を発見しようという試みがある(詳細は地球外知的生命体探査を参照)。

グリーゼ581g

ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内に惑星が存在する可能性が高く、生命が存在することが期待されている(惑星グリーゼ581g参照)。

グリーゼ581c

発見当初は、ハビタブルゾーン内の軌道を持つ可能性が高く、生命が存在する事が可能な表面温度を持つ岩石型の惑星(スーパーアース)と期待されていたが、その後の研究では、ハビタブルゾーンの外を公転することがわかっている(グリーゼ581c参照)。

参考文献

  • 『地球外生命論争 1750-1900 』M・J・クロウ著 鼓 澄治、山本啓二ほか訳 工作舎 2001 ISBN 4-87502-347-2
  • 桜井邦朋『地球外知性体』(クレスト社)
  • 『最新地球外生命論 銀河系に知的生命を探す』(発行:学習研究社・1993年3月1日発行)

関連文献 

  • 『ますます眠れなくなる宇宙のはなし~「地球外生命」は存在するのか』佐藤 勝彦 (著)
  • 『地球外生命を求めて 』マーク・カウフマン、 奥田 祐士
  • 『太陽系外惑星に生命を探せ』観山 正見
  • 『宇宙生物学入門―惑星・生命・文明の起源』P.ウルムシュナ

関連項目