国民の祝日

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国民の祝日(こくみんのしゅくじつ)は、日本の法律「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号 以下「祝日法」または「法」)第2条で定められた祝日である。1948年昭和23年)7月20日施行。

過去には祭日とあわせて祝祭日と呼ばれることもあったが、廃止されたため現在日本で法定の「祭日」は存在しない。

概説

「国民の祝日」は祝日法以前の祝祭日に代えて定められたもので、しばしば「祝日」と称される。祝日法第3条第1項によって、休日になる旨が定められている。

法第1条では「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」としている。

また「国民の祝日」ではない月曜日から土曜日の平日が休日になることがある(例として法第3条第2項・第3項の規定された「振替休日」・「国民の休日」)。

祝日等一覧

  • 祝日等名~適用終了年欄の背景が暗くなっているものは、期日が変更されるなどして適用されなくなった祝日である。
  • 適用開始年欄に「制定時」と記載のあるものは、1948年(昭和23年)7月20日の法律制定当初から存在する祝日である。適用終了年欄に「-」と記載のあるものは現在でもその期日に施行されていることを示す。
  • 改正により追加された祝日の適用開始年欄には、実際に初めて適用された年を記載する。法令上その祝日に関する規定が発効した年とは必ずしも一致しない。
    • (例)「国民の休日」に関する規定は「振替休日」の優先適用等があったため実際に初めて適用されたのは1988年(昭和63年)であるが、法律の条項としては1985年(昭和60年)12月27日から存在している。
  • 改正により期日が変更された祝日の適用開始年欄には期日変更前も含めた最初の適用年を記載し、変更年は備考欄に記載する。
祝日等名 期日 適用開始年 適用終了年 意義 備考
元日 1月1日 制定時 - 年のはじめを祝う かつての四方節
成人の日 1月15日 1949年
(昭和24年)
1999年
(平成11年)
おとなになつたことを自覚し、
みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます
小正月に由来。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で廃止。
1月の第2月曜日 2000年
(平成12年)
- 1999年(平成11年)までは1月15日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で施行。
建国記念の日 政令で定める日
2月11日
1967年
(昭和42年)
- 建国をしのび、国を愛する心を養う かつての紀元節
春分の日 春分
3月20日
3月21日
制定時 - 自然をたたえ、生物をいつくしむ かつての春季皇霊祭
国立天文台「暦象年表」に基づき閣議決定、前年2月1日頃に官報で暦要項として公告。
天皇誕生日 4月29日 制定時 1988年
(昭和63年)
天皇の誕生日を祝う 1989年(平成元年)の昭和天皇崩御により、今上天皇の誕生日に移行する形で廃止。
かつての天長節
みどりの日 1989年
(平成元年)
2006年
(平成18年)
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、
豊かな心をはぐくむ
昭和の日に改名する形で廃止。
名称は5月4日に新設される祝日名として引き継がれた。
昭和の日 2007年
(平成19年)
- 激動の日々を経て、
復興を遂げた昭和の時代を顧み、
国の将来に思いをいたす
昭和天皇の誕生日に由来。
1989年(平成元年)~2006年(平成18年)はみどりの日、
1988年(昭和63年)以前は天皇誕生日。
憲法記念日 5月3日 制定時 - 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する 日本国憲法施行された日。
みどりの日 5月4日 2007年
(平成19年)
- 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、
豊かな心をはぐくむ
2006年(平成18年)までは4月29日。
5月4日は1988年(昭和63年)~2006年(平成18年)の間は一部を除き「国民の休日」。
こどもの日 5月5日 制定時 - こどもの人格を重んじ、
こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する
端午の節句
海の日 7月20日 1996年
(平成8年)
2002年
(平成14年)
海の恩恵に感謝するとともに、
海洋国日本の繁栄を願う
海の記念日に由来。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で廃止。
7月の第3月曜日 2003年
(平成15年)
- 2002年(平成14年)までは7月20日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で施行。
敬老の日 9月15日 1966年
(昭和41年)
2002年
(平成14年)
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、
長寿を祝う
1965年までと2003年以降は老人の日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で廃止。
9月の第3月曜日 2003年
(平成15年)
- 2002年(平成14年)までは9月15日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で施行。
秋分の日 秋分
9月22日
9月24日
制定時 - 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ かつての秋季皇霊祭。
国立天文台「暦象年表」に基づき閣議決定、前年2月1日頃に官報で暦要項として公告。
体育の日 10月10日 1966年
(昭和41年)
1999年
(平成11年)
スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう 東京オリンピックの開会式(1964年(昭和39年))が行なわれた日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で廃止。
10月の第2月曜日 2000年
(平成12年)
- 1999年(平成11年)までは10月10日。
ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行する形で施行。
文化の日 11月3日 制定時 - 自由と平和を愛し、文化をすすめる 日本国憲法が公布された日。
また、かつての明治節
勤労感謝の日 11月23日 制定時 - 勤労をたつとび、生産を祝い、
国民たがいに感謝しあう
新嘗祭が行なわれる日。
天皇誕生日 12月23日 1989年
(平成元年)
- 天皇の誕生日を祝う 1988年(昭和63年)までは4月29日(昭和天皇誕生日)。
1989年(平成元年)、今上天皇即位につき期日変更。
振替休日 (不定) 1973年
(昭和48年)
- - 国民の祝日が日曜日となった日の平日。
初適用は1973年(昭和48年)4月30日
2007年(平成19年)の改正施行で、国民の祝日が日曜日となった日の後の最初の平日。
国民の休日 1988年
(昭和63年)
- その前日及び翌日が「国民の祝日」である平日は、休日とすると定められている 2つの祝日に挟まれた平日月曜日振替休日のため除く)。
2008年(平成20年)までの適用例は5月4日のみ。
2003年(平成15年)の改正施行で、以降の敬老の日と秋分の日に挟まれた平日に適用。
最初の適用は2009年(平成21年)9月22日
2007年(平成19年)の改正施行で、以降の5月4日に適用されない。

1996年(平成8年)からは国民の祝日が合計15日となった。これは先進国では最多であり、「ワーカホリック」ともいわれる日本の意外な一面でもある。この背景として、積極的に有給休暇を取りにくい日本の事情もある。またサービス業や24時間体制の工場、交替制勤務の職種など祝日が休日とならない職種、企業も多数存在するほか、週に2日の休日という考え方から、祝日のある週は土曜日を出勤日に設定している一般企業も多い。

なお国民の祝日に関する法律制定以来、8月に国民の祝日が設定されたことはない。大正天皇の誕生日(8月31日)は祝日として残されていない。

皇室慶弔行事に伴う休日

皇室関係の慶弔行事が行われる場合は、その年に限りそれが実施される日を特別に休日として定める、当年限りの法律が作られる。その際には、その休日を「国民の祝日に関する法律」の休日と同等なものとして扱うよう附則で定めるのが通例である[1]。国・地方自治体ではこれに沿った取扱い(閉庁や時間外手当の増額等[2])がなされるが、民間では一般企業は休日扱いとして休業するケースが多かったが交通機関では列車運行など切替えが難しく平日運転のままとした鉄道会社があったりその対応はまちまちである。

年月日
皇室慶弔行事 法律
1959年(昭和34年)4月10日 金曜 皇太子明仁親王結婚の儀 皇太子明仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律
1989年(平成元年)2月24日 金曜 昭和天皇大喪の礼 昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律
1990年(平成2年)11月12日 月曜 即位の礼正殿の儀 即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律
1993年(平成5年)6月9日 水曜 皇太子・徳仁親王の結婚の儀 皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律

休日は多数の人出が見込めるため、百貨店などの小売業は積極的に営業するのが通例である。しかし、「昭和天皇の大喪の礼」当日に限っては、弔意を優先させて休業した店舗も多かった。このような販売側の休業を受けて、製造日が厳しく問われる乳製品などの食品メーカーでは前日や前夜の生産量が記録的に少なかったところが多い。

2009年(平成21年)11月12日木曜日)の今上天皇在位二十周年の日を特別に休日とする事で早くから調整されていたが、当時の政局の混乱から天皇陛下御在位二十年を記念する日を休日とする法律案が成立しなかったため、実現には至らなかった。

廃止された日本の祝日

国民の祝日に関する法律の施行に伴い廃止されたものである。

脚注

  1. ^ 「この法律に規定する日は、他の法令の規定の適用については、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する日とする。」という文言がそれに当たる。
  2. ^ 「行政機関の休日に関する法律」(第1条第1項第2号)、「地方自治法」(第4条の2第1項第2号)、「学校教育法施行規則」(第61条第1号)等、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」(第178条第2項)、「民法」(第142条)等

関連項目

外部リンク