ペンシルベニア大学

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ペンシルベニア大学
ラテン語: Universitas Pennsylvaniensis
モットー Leges sine moribus vanae (Latin)
モットー (英語) Laws without morals are useless
種別 私立
設立年 1740年11月14日 (283年前) (1740-11-14)
創立者 ベンジャミン・フランクリン
資金 増加205億ドル (2021)
予算 35億ドル [1] (2020)
学長 Amy Gutmann
プロヴォスト Wendell Pritchett
教員数
4,638 [1]
職員数
2,489[1]
学生総数 21,599 (2017)[1]
学部生 10,496 (2017)[1]
大学院生 11,013 (2017)[1]
所在地 アメリカ合衆国
ペンシルベニア州フィラデルフィア
キャンパス Urban, 1,085エーカー (4.39 km2) total:
299エーカー (1.21 km2), University City campus;
694エーカー (2.81 km2), New Bolton Center;
92エーカー (0.37 km2), Morris Arboretum
スクールカラー Red and Blue[2]
   
運動競技 NCAA Division I
Ivy League
Philadelphia Big 5
City 6
ニックネーム Penn Quakers
AAU
COFHE
NAICU
568 Group
URA
公式サイト www.upenn.edu
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ペンシルベニア大学ペンシルバニア大学: The University of Pennsylvania)とは、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアに所在する私立大学1740年に設立され、アメリカ大学協会の創設メンバーの1つでもある。略称はPennUPenn

米国屈指の名門私立大学連合であるアイビー・リーグの1校である。2022年QS世界大学ランキングで世界の大学学士課程トップ校ランキング13位(東大は23位)[4]USAトゥデイ米国大学ランキングで1位[5]、USニュース米国大学ランキングでスタンフォード大学、シカゴ大学と同列のトップ6位[6]、Times米国大学ランキング(2017年)ではトップ4位[7]、Times 2018年世界大学学士課程ランキングでトップ10位 [8] (その他ランキング誌では世界4位から15位)にランクインし[8] 米国及び、世界を代表する屈指の名門大学として不動の地位を保っている。合格率 5.7% (2021年)と全米最難関大学の一つである[9]。米国の有名総合大学としては、比較的珍しく大都市に位置する都市型大学でもある。

ペンシルベニア大学は学士課程のみならず修士、博士課程に重点を置く研究型大学院大学として更に有名である。

概要

全米で初めて"University"と名付けられた教育機関であり、学部と大学院を兼ね備えた全米初の大学でもあった。設置年度(1755年)としては全米で6番目に古いとされる[10]。また、北米で最初に医学部(1765年)、全米で最初にビジネス・スクール(1881年)を設置した大学である。後述する設置経緯から、リベラルで実学重視の校風で知られる。

学術分野では経営学、医学、建築学、法律学、教育学で名高く、各専門職大学院が世界的に有名である。特に全米最古のビジネス・スクールであるウォートン・スクール(Wharton School)MBAは全米および世界ランキング1位を誇る名門である。また、会社法分野で著名なロー・スクール(Penn Law)は全米ロースクールランキングで203校中6位にランクインし[11]、いわゆるTop14の1校を形成している。また、学部課程では、2014年度の億万長者出身校ランキングで世界1位であった[12]

大学の愛称はPennまたはUPenn。日本人の間ではペン、ユーペン、ペン大と略称される。モットーは Laws Without Morals are Useless(良識のない法は無益である: Leges Sine Moribus Vanae)。ノーベル賞受賞者は36人である(大学別では世界20位[13])。

沿革

ベンジャミン・フランクリンが創設者の一人で、創立時の校名は「フィラデルフィア・アカデミー」だった。イギリス植民地の大学としてハーバード大学ウィリアム・アンド・メアリー大学セントジョンズ大学イェール大学に次いで1740年に設立され、アメリカ独立に先行する長い歴史を持っている。 独立宣言の9人の署名者と合衆国憲法の11人の署名者が大学創立と関連していた。初代理事長のウィリアム・スミス英国国教会(イングランド国教会)の司祭で、評議員の4分の3も英国国教会の関係者であったが、フランクリンの先駆的な指導のもと、意図的に特定の宗派と直接関係しないように設立されている[14][注釈 1]。フランクリンは、イェールなどの他のコロニアル・カレッジと異なり、単に聖職者を養成する機関としてではなく、従来の古典教育と神学に加えて商業と公務のための実用教育にかなう革新的な高等教育機関の創設を提唱した。他の理事の反対で実現はしなかったが、彼の提唱した教育計画は全米初の近代的リベラルアーツ・カリキュラムであった。この考えに基づき、伝統的に医学や経済学、法律学等の実学に重きが置かれた研究・教育がなされている。

ペンシルベニア大学は、ヨーロッパの大学によって開発された多くの学問領域を綜合した最初の研究機関であり、前述したように"University"と公式に名付けられた全米最初の組織でもあった。[16]1994年にジュディス・ロディンが第7代学長に就任し、アイビー・リーグの中では初めて女性の学長が誕生した。その後を継いで、2004年に現在の学長であるエイミー・ガットマンが第8代学長に就任した。

キャンパス

立地

ペンシルベニア大学考古学・人類学博物館
カレッジ・ホール前にあるベンジャミン・フランクリン像
クアッドラングル(学生寮)

1740年の設立当初は、フィラデルフィアのセンターシティにキャンパスを構えていたが、1872年に現在の場所であるセンターシティからスクールキル川(英:Schuylkill River)を渡った西側にキャンパスを移転した。現在では地区一帯がユニバーシティ・シティと呼ばれており、隣接するドレクセル大学とともに全米有数の学園都市を形成している。他の多くの大学と異なり、全ての学部・大学院が同一キャンパス内にあり、その特性から大学内での共同研究が非常に盛んである。ペンシルベニア大学病院、フィラデルフィア小児病院や、全米初の独立生物医学研究所であるウィスター研究所も同一キャンパス内に存在する。モリス・アーボレータムのように離れた場所に位置する施設もある。

見所

キャンパス内にはSEPTAの地下鉄駅(33rdと36th Street駅)と近郊電車駅(ユニバーシティ・シティ駅)がある。また、ペンシルベニア大学考古学・人類学博物館やフランクリン・フィールドなどの施設があり、観光客も多く訪れる。以下はキャンパス内の代表的な見所である。

  • ペンシルベニア大学考古学・人類学博物館: 1887年に設立されたペンシルベニア大学最古の博物館。12トンのエジプトのスフィンクスが有名。また、およそ100万点の展示物があり、この中には、シュメールのくさび形文字の粘度板(世界で最古の文字)、エジプトのミイラ、中国の皇太后が所有していた水晶玉、古代マヤの大石像、王家の墓地からの4,500年前の宝石などがある。[17]
  • フランクリンフィールド: 1895年に開かれた競技場。毎年4月には全米最古の陸上競技大会であるペン・リレーが開かれる。
  • ベンジャミン・フランクリン像: カレッジ・ホール前にある像は、大学の象徴とも呼べる像で、多くの観光客が写真を撮っていく。
  • LOVE 彫刻: ロバート・インディアナの有名な彫刻作品であるLOVEの一つ。フィラデルフィアにはセンターシティのLOVE PARKにも同じ彫刻がある。


大学構成

ペンシルベニア大学は、医学、人文科学、建築学、エンジニアリング、および教育学における草分けと認められている。北米最古の医学部、金融および会計学などで名声の高い、ウォートン・スクールと呼ばれるビジネス・スクール、さらには法律の専門教育機関であるロー・スクール(Penn Law)が特に有名である。

学部

ペンシルベニア大学は以下の4つの学部を持っている。

大学院

大学院プログラムはペンシルベニア大学における研究の中核である。以下の専門大学院は全米で常にトップクラスにランキングされている。全部で12の大学院がある。

研究

ペンシルベニア大学は、ジョンズ・ホプキンス大学ハーバード大学とともに、生物医学研究に関する重要な研究拠点である。 医科大学院は全米で最も重要とされる研究機関の一つとして存在しており、1000人を超える教授陣が在籍する。ジョンズ・ホプキンス大学についで、国立予防衛生研究所(NIH)から第2位の額の研究費が与えられており、国家最大級の研究計画を担っている。

また、約56億ドルを歳出として計上する大学でありこれはアイビー・リーグで最大の予算である。[18]

学生

学生内訳

2014年度卒業生での人種構成は、40.8%がアジア系、ヒスパニック、アフリカン・アメリカンだった。また、現在51.1%の学生が女性である。

留学生も多く、11%以上の1年生が他国からの学生である。その内訳は、2014年度卒業生ではアジア50.2%、アフリカ及び中東9.2%、ヨーヨッパ17.7%、カナダ及びメキシコ15.5%、カリブ海・中央アメリカ・南アメリカ4.8%、オーストラリア及び太平洋諸島1.1%である。留学生の合格率は、4390人中411人合格で9.4%であった。大学全体で多様性に重点を置いており、非常に多文化・多国籍なのが特色である。

2021年度フレッシュマンSATの平均点は1600満点中 1480-1570点、ACTスコアは36点満点中33-35、合格率は6%であった。


The Daily Pennsylvanian

The Daily Pennsylvanianとは、学生が独立して発行する学内新聞であり、その歴史は1885年に遡る。250人以上の学生からなり、毎週発行されている。2015年3月には、女優でブラウン大学卒のエマ・ワトソンがペンシルベニア大学大学院に入学するとの"Joke Issue"により、ネット上を騒がせた[19]

ランキング

主要世界大学ランキング

  • Tims world College Rankings:第10位(2018年)[8]

Times 米国大学ランキング

  • Tims College Rankings: 第4位[1](2017年)

Forbes 米国大学ランキング

  • Top College Rankings: 第6位 [29](2019年)

US NEWS 学部課程ランキング

  • US NEWS College Ranking: 第5位 [2](2012年)
  • 経営学部(学部課程): 第1位[3](2012年)

US NEWS 大学院ランキング

MBAは常に世界第1位から3位、医学/医療系大学院は常に全米トップ2位から5位にランキングされている。

  • 経営大学院(修士課程): 第1位[4](2020年)
  • 医科大学院: 第3位(研究部門)/ 第10位(プライマリ・ケア部門)[5] (2020年)
  • 看護大学院: 第2位 [6] (2020)
  • 獣医学大学院: 第4位 [7](2019年)
  • 法科大学院(J.D.): 第6位 [8](2022年)
  • 法科大学院(LL.M.):第2位[9]
  • 教育学大学院: 第1位[10](2022)
  • 工学応用科学大学院: 第17位[11](2020)

THE世界大学ランキング

  • 社会科学分野:第4位 [20]
  • 人文科学分野:第5位 [21]
  • 生物科学分野:第21位 [22]
  • 医学分野:第15位 [23]
  • 自然科学分野:第32位 [24]
  • 情報科学/工学分野:第26位 [25]

2022年 世界ベスト医学大学院ランキング

  • 医学大学院:第7位 (2022年) [23]

ファイナンシャル タイムズMBA世界ランキング

DI米国大学建築学ランキング

  • デザイン大学院建築学科 : 第7位 [27]

その他世界大学ランキング

  • Center for Measuring University Performance: 第4位 (2010年)[12]
  • Tims World University Rankings : 第13位(2022年)[28]
  • Tims World University Rankings: 弟10位 (2018年)[8]
  • QS世界大学ランキング:第13位(2023年)[29]
  • QS世界大学ランキング:第13位(2015年)[30]
  • QS世界医学分野ランキング:第11位(2015年)[31]
  • QS世界大学ランキング:第12位(2012年)[32]
  • 上海交通大学世界大学ランキング: 第14位 (2011年)[33]
  • NEWSWEEK世界大学ランキング: 第13位 (2010年)[34]
  • US NEWS世界大学ランキング: 第9位 (2011年)[35]

その他ランキング

  • 個人資産10億ドル以上の世界億万長者出身校ランキング: 第1位 [36]

著名人

ノーベル賞受賞者を36人、アメリカ合衆国大統領を2人輩出している。また、ウォートン・スクールは多くの著名な実業家を輩出していることから、特に財界と学界において、確固たる地位を築き上げている。

ギャラリー

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ そうした中でも、大学構内には米国聖公会のセント・メリーズ教会(St. Mary’s Church, Hamilton Village)があり、セントメリーズ・ハミルトンビレッジの学長は、ペンシルベニア大学のチャプレン事務所のアソシエイトを務めており、現在でも聖公会との深い関わりを持っている[15]

出典

  1. ^ a b c d e f Penn: Penn Facts”. University of Pennsylvania. 2020年3月15日閲覧。
  2. ^ Logo & Branding Standards”. University of Pennsylvania. 2016年4月1日閲覧。
  3. ^ The Trustees”. Office of the University Secretary, Penn (2018年1月1日). 2018年3月15日閲覧。
  4. ^ QS World University Rankings 2022” (英語). Top Universities (2021年6月25日). 2021年6月25日閲覧。
  5. ^ Overall Best Colleges
  6. ^ https://www.usnews.com/best-colleges/rankings/national-universities
  7. ^ https://www.timeshighereducation.com/rankings/united-states/2017#!/page/0/length/25/sort_by/field_overall_display_rank/sort_order/asc/cols/stats
  8. ^ a b c d http://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2018/world-ranking#!/page/0/length/25/sort_by/rank/sort_order/asc/cols/stats
  9. ^ College Consultant | Independent College Counseling” (英語). Ivy Coach. 2021年6月25日閲覧。
  10. ^ 植民地時代に創立したアメリカ合衆国の大学の一覧
  11. ^ http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/best-graduate-schools/top-law-schools/law-rankings
  12. ^ http://www.wealthx.com/articles/2014/which-universities-produce-the-most-billionaires/
  13. ^ ノーベル賞受賞者の大学別ランキング - Wikipedia
  14. ^ University of Pennsylvania『HISTORY The Office of the Chaplain』
  15. ^ St.Mary's,Hamilton Vilage『History Campus Ministry』
  16. ^ The University of Pennsylvania: America's First University
  17. ^ ペンシルベニア大学考古学・人類学美術館
  18. ^ Penn: Facts and Figures”. Upenn.edu (2009年11月24日). 2010年5月6日閲覧。
  19. ^ http://www.philly.com/philly/blogs/trending/The-Daily-Pennsylvanian-fools-the-Internet-with-Emma-Watson-Penn-rumor-in-annual-joke-issue.html
  20. ^ http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-2013/social-sciences.html
  21. ^ http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-2013/arts-and-humanities.html
  22. ^ http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-2013/life-sciences.html
  23. ^ a b World University Rankings 2016-2017 by subject: clinical, pre-clinical and health | Times Higher Education (THE)
  24. ^ http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-2013/physical-sciences.html
  25. ^ http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-2013/engineering-and-IT.html [リンク切れ]
  26. ^ MBA Rankings 2022 - Global” (英語). Top Universities. 2022年9月10日閲覧。
  27. ^ DesignIntelligence Announces Top Architecture Schools for 2017–2018
  28. ^ World University Rankings” (英語). Times Higher Education (THE) (2021年8月25日). 2022年9月11日閲覧。
  29. ^ QS World University Rankings 2023: Top Global Universities” (英語). Top Universities. 2022年9月11日閲覧。
  30. ^ QS World University Rankings® 2014/15” (英語). Top Universities. 2022年9月11日閲覧。
  31. ^ http://www.topuniversities.com/university-rankings/university-subject-rankings/2015/medicine#sorting=rank+region=+country=+faculty=+stars=false+search=
  32. ^ QS World University Rankings”. 2011年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月8日閲覧。
  33. ^ Academic Ranking of World Universities 2011
  34. ^ The Complete List: The Top 100 Global Universities
  35. ^ Explore the World's Top Universities - U.S.News
  36. ^ Which Universities Produce The Most Billionaires? - WEALTHX COM

外部リンク

座標: 北緯39度57分14秒 西経75度11分35秒 / 北緯39.95389度 西経75.19306度 / 39.95389; -75.19306