ジェラルド・R・フォード級航空母艦

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ジェラルド・R・フォード級航空母艦
艦級概観
艦種 航空母艦原子力空母
艦名 海軍功労者。一番艦はジェラルド・R・フォード大統領に因む。
建造期間 2009年 - 建造中
就役期間 2016年(計画)
建造費 51億USドル
前級 ニミッツ級航空母艦
次級 最新
性能諸元
排水量 満載:101,600 t
全長 333 m
全幅 41 m
吃水
機関 A1B加圧水型原子炉 2基
蒸気タービン 4基
推進器 4軸
速力 最大30+ノット(56+ km/h)
乗員 操艦:2,180名 - 航空団:2,480名
兵装 ファランクス CIWS 3基
ESSM 短SAM8連装発射機 2基
RAM 近SAM21連装発射機 2基
レーダー AN/SPY-3 多機能型(3面) 1基
搭載機 CTOL機 + ヘリコプター 75機
F/A-18E/FF-35CE-2C/DEA-18GMH-60R/SX-47

ジェラルド・R・フォード級航空母艦(ジェラルド・R・フォードきゅうこうくうぼかん、Gerald R. Ford class aircraft carrier)は、アメリカ海軍原子力空母の艦級。

本級は CVNX 、CVN-21 の名称で次世代の航空母艦として開発が進められてきた。この「X」は「開発中」を意味し、「21」は船体番号ではなく「21世紀」を意味した。ニミッツ級の船体設計を基礎として建造される。

概要

船体設計の特徴としては、A1B新型原子炉を含む多くの新型機材の採用、レーダーによる捕捉を妨げるためのステルス技術の導入、電磁式カタパルト、新型の着艦制動装置、操作人員の省力化が挙げられる。アメリカ海軍は最新技術の投入および広範囲なオートメーション化により、乗員の削減、将来的な空母運用コストの低減が図れるとしている。

1番艦の建造は2009年に開始され、2015年竣工を予定している。建造を担当するのは、アメリカ合衆国において原子力空母の建造および燃料棒交換を唯一行うことのできるニューポート・ニューズ造船所である。建造費用としては研究開発に費やされた50億ドルを含む、80億ドルが推測されるが、今後の増減も考えられる。

フォード級の特徴

  • ステルス性配慮の船体
  • 50年間交換不要の新型原子炉A1B(米Bettis社製第一世代空母用原子炉)
  • 小型アイランド(新型二波長帯レーダーと複合マスト)
  • 将来拡張余裕としての5%空間マージン
  • ニミッツ級比2倍の航空機兵器搭載能力
  • 電磁式カタパルト
  • 新型アレスティング装置
  • パッシブ・ジェット・ブラスト・デフレクター
  • より広い飛行甲板
  • エレベーター減数(ニミッツ級4基、フォード級3基)
    • 右舷のエレベーターが2基に減ったが、アイランドを下げたため航空機のハンドリングが改善され、出撃回数がニミッツ級の120回/日から160回/日に増えた
  • 操艦人員の削減
    • 操艦人員(ニミッツ級3,200人、フォード級2,180人)
    • 航空要員(ニミッツ級2,480人、フォード級2,480人程度を想定)
    • 総乗員(ニミッツ級5,680人、フォード級4,660人)
  • 発電能力3倍 (ニミッツ級6.4万kw、フォード級19.2万kw)
  • 個艦防御ミサイル
  • シルエット
    • これまでの米海軍の空母に比して艦橋が小型化されかつ位置がかなり後方にずらしてあり、かつ左右対称のシルエットが特徴である。これは飛行甲板の有効利用とステルス性の向上のためにである。

同型艦

10艦の建造が計画され[2]、ニミッツ級と同じくニューポート・ニューズ造船所が建造を担当している。現在3艦の建造が進行または予定されている。

一方で、アメリカ議会予算局は2013年の連邦支出削減報告書で、本級の建造を2番艦で中止することで、178億ドルが節約できると指摘している。[3]

艦番号 艦名 起工 進水 就役 備考
CVN-78 ジェラルド・R・フォード
USS Gerald R. Ford
2009年
11月13日
2013年
11月9日
2016年
予定
CVN-65の後継艦
CVN-79 ジョン・F・ケネディ
USS John F. Kennedy
2015年
8月22日
2018年
予定
2020年
予定
CVN-68の後継艦
CVN-80 エンタープライズ
USS Enterprise
2018年
予定
2023年
予定
2025年
予定
CVN-69の後継艦

命名

キティホーク級航空母艦アメリカ」の退役軍人協会(乗務経験者で組織される)は、本級の1番艦であるCVN-78を「アメリカ」と命名するよう運動を行ってきたが、最終的にはジェラルド・フォード第38代大統領の名が命名されることとなった。なお「アメリカ」の名は、アメリカ級強襲揚陸艦の1番艦であるLHA-6につけられた。

同様に2番艦であるCVN-79についても、命名について様々な憶測や提案がなされた。2007年12月7日には、ハリー・ミッチェル英語版下院議員真珠湾攻撃66周年記念式典において、CVN-79を「アリゾナ」と命名することを提案した。また一部では、CVN-65 エンタープライズが本級の一番艦であるCVN-78 ジェラルド・R・フォードに置き換えられる形で退役する予定であることなどから、CVN-79を「エンタープライズ」と命名するよう求める請願署名をネット上で募る動きもあった[4]。しかし2011年5月29日、レイ・メイバス英語版海軍長官は、CVN-79が「ジョン・F・ケネディ」と命名される予定であることを発表した[5]。「ジョン・F・ケネディ」の名は2007年に退役したキティホーク級の4番艦CV-67以来2代目となる。

2012年12月1日、CVN-65 エンタープライズの退役式典において、レイ・メイバス英語版海軍長官は、CVN-80が「エンタープライズ」と命名されることを発表した[6]。「エンタープライズ」の名は同艦で9代目となる。

出典

  1. ^ 「海外艦艇ニュース 米海軍が時期空母にレーザー・ガンを装備」『世界の艦船』第821集(2015年9月号) 海人社
  2. ^ “CVN-77 Delivery Moved To December, Newport News On Track For January Commissioning”. Defense Daily. (2008年). オリジナルの2012年7月8日時点におけるアーカイブ。. http://archive.is/iuRx 
  3. ^ 「海外艦艇ニュース 米議会予算局による国防費削減案」『世界の艦船』第793集(2014年3月号) 海人社
  4. ^ Signatures for A Petition to name the next United States Navy nuclear powered aircraft carrier the USS ENTERPRISE”. 2009年11月8日閲覧。
  5. ^ Navy Names Next Aircraft Carrier USS John F. Kennedy”. 2011年5月30日閲覧。
  6. ^ Navy’s Next Ford-Class Aircraft Carrier to be Named Enterprise”. 2012年12月2日閲覧。

外部リンク