カスミサンショウウオ

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カスミサンショウウオ
カスミサンショウウオ
カスミサンショウウオ Hynobius nebulosus
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
亜目 : サンショウウオ上科 Cryptobranchoidea
: サンショウウオ科 Hynobiidae
: サンショウウオ属 Hynobius
: カスミサンショウウオ
H. nebulosus
学名
Hynobius nebulosus
(Temminck & Schlegel, 1838)
和名
カスミサンショウウオ
英名
Clouded salamander

カスミサンショウウオHynobius nebulosus)は、動物界脊索動物門両生綱有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。

分布

日本固有種で、次の地域に分布する。

形態

全長9-13cm(オス9.4cm、メス9.6cm)。体側面に入る皺(肋条)は左右に13本(まれに12本)ずつ。尾は体長(頭胴長)よりも短い。背面の色彩は緑褐色や灰褐色、暗褐色で、褐色の斑点が入る。種小名nebulosusは「雲状の」の意で、英名(clouded=雲の)と同義。尾の背面外縁は黄色い個体が多い。

上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤骨歯列)はアルファベットの「V」字状。四肢はやや短く、胴体に沿って前肢(および指)を後方へ後肢(および趾)を前方に伸ばしても接することは無い。趾は5本。

卵嚢は4-8cmの紡錘状(コイル状、バナナ状とも)で、表面には明瞭な筋が入らない。

生態

丘陵にある二次林竹林などに生息し、湧水水田の周囲にある環境を好む。夜行性で、昼間は石や落ち葉の下に隠れて休む。

食性は動物食で、昆虫類クモ甲殻類ミミズなどを食べる。幼生は昆虫類、甲殻類、環形動物などを食べ、共食いもする。

繁殖形態は卵生。1-5月にや水田、水溜り、湿地、休耕田などの水深が浅く堆積物が蓄積した止水域に25-60個の卵を1対の卵嚢に包んで産む。卵は3-4月以降に孵化する。幼生は6-7月に変態し幼体になる。

人間との関係

開発による生息地の破壊、水質汚染、減反政策による乾田の増加による繁殖地の減少、人為的に移入されたアメリカザリガニ、魚類などによる捕食などにより生息数は減少している。

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

開発による生息地の破壊、水質汚染などにより生息数は激減している。奈良県の指定希少野生動植物に指定され捕獲などは禁止されている(22年4月1日)。

関連項目

参考文献

  • 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、126、191頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、290頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類・はちゅう類』、小学館2004年、17頁。

外部リンク