ぼくらのの登場人物

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ぼくらのの登場人物では、鬼頭莫宏の漫画作品『ぼくらの』(およびこれを原作とするテレビアニメ、小説)の登場人物について記述する。アニメ版・小説版については、原作と重要な相違がある場合のみ記述する。アニメ版・小説版のみに登場する人物についても本項で扱う。

「ゲーム」の誘い手

ココペリ
- 東地宏樹
子供達を「ゲーム」に誘った張本人で、洞窟の住人。自らジアースを操って敵との戦闘をしながら、子供達に戦い方を一通り教え、消えていった。子供達を誘った時には変人めいた言動をしていたが、敵と戦闘していた時はその奇矯さは見られなかった。またその際、初めて登場した時にはなかった傷跡らしきものが頬にあった。初登場時にかけていたのは伊達眼鏡で、戦闘時には外しており、コダマに受け継がれた。
その素性は、「この世界」以前にジアースを使い戦っていた契約者の一人であり、同じく契約者であるマチと共に「この世界」にジアースを引き継ぎ戦い方をチュートリアルする最後のパイロットであった。なお、本名を画楽(がらく)といい、マチは「ガラ先生」と呼んでいた。
頬の傷は、荒れていた「この世界」以前のパイロットたちの諍いによって付けられていたが、「この世界」でのパイロット勧誘に支障があるとコエムシによって消されていたもの。
「ココペリ」は個人名というより引き継ぎパイロットの役名のようなものであったらしく、最終回にマチの兄(元コエムシ)がこの名を名乗っている。
ココペリという名称は、インディアンの間に伝わるカチナと呼ばれる精霊の一種に存在している。背中の曲がった笛吹き男の姿で表され、豊穣をもたらす存在であるとされる。命名に関連しているのかどうかは明言されていない。またココペリはインディアンの伝承で「最初の人間」ともされる。原作者のサイト「パズルピースは紛失中」にこの笛吹き男のオブジェの写真がある。
アニメ版:本職は学校の教師で姓は笛吹(うすい)。彼の世界の戦いで、娘の優(声:神田朱未)を含む生徒と共にパイロットとなった。優と残り二人になったところで、マチの助言により優を助命する取引を成功させるが、そうして現れた「ぼくらの」世界において14人しかパイロットを集められなかったためにコエムシの逆鱗に触れ、結局自らの世界における最後の戦いのパイロットに優を選ばせてしまう。娘を守れなかったココペリは自らが無力なゲームの駒であることを理解し、子供達にジアースの操縦を教えるため再び姿を現した。頬の傷は、コエムシに痛めつけられた時にできた傷であった。
コエムシ
声 - 石田彰
戦闘やジアースに関する情報を子供達に教える正体不明のサポーター。作品の謎を握るキーキャラクター。漫画版では握り拳大の大きさだが、アニメ版では人の頭程度の大きさになっている。素粒子のコピー(物質の転送)能力を有し、戦闘開始時には問答無用で子供達をコクピットに転送させる。ぬいぐるみのような一見ユーモラスな姿をしているが、残忍な性格で口も悪い。一人称は「オレ様」。ココペリに「こいつは信用できない」と言われていた。
嫌味や悪口を垂れ流しつつも、契約者の頼み事は基本的に断れないらしい。選出されたパイロットにコエムシが強制できるのは「戦いが始まったときにはコクピット内にいること」程度のことであり、そこから先は「無防備なまま敵の眼前に生身のパイロットを晒す」「勝利を得る直前でそれを放棄し、コクピットから逃走する」などといった行為すら支援し、また48時間の時間切れによる「二つの世界の消滅」を選択することをも煽るなど、勝敗よりもパイロットの意思を第一として尊重する行動パターンをとる。ただし都合の悪い質問を無視したりはぐらかすことはしばしばある。
目前に死を控えた搭乗者がパニックに陥るのを見るのが楽しみだが、本作の子供達には、年不相応に「戦う目的」「死ぬ意味」を理解し達観した者が多いことがいささかつまらないらしく、「頭の螺子が飛んでやがる」とこぼしている。
その正体はココペリ=画楽やマチと同じ地球の人間であり、マチの実兄。彼らの地球の最後の戦いに伴って自分達のサポーターから役割を引き継ぎ、コエムシの肉体を与えられ2人と共にジアースの引継ぎ先である「この世界」の地球に送られた。「この世界」での戦いの勝利回数に伴って再び自分達の地球の戦いがまわってくる可能性が変わるため、自分達の地球と実妹・マチを救うため職務には忠実にしている。
最終回で人間の姿に戻ってジアースのパイロットとして契約を行ない、次の地球での引き継ぎ戦のパイロット=新たなココペリとなり、佐々見にコエムシを引き継ぐ。その際には2度目に登場したココペリ(画楽)よりも大きく顔に傷を負っている。
マチの死など様々な出来事を得てその心に変化が生じたらしく、最後には苦悩しつつ戦うウシロに謝罪する言葉をかけたり、ココペリとなってからは先代ココペリとは違い、次の地球のパイロット達には最初から「パイロットになれば死ぬ」「自分も戦闘が終われば死ぬ」ことをはっきり伝えている。
「コエムシ」も「ココペリ」同様に一種の役名であり、各ロボットごとに1体のサポーターとして存在し、各々思考・口調・細かい部分のデザインは異なるがほぼ同様のフォルムを有する。作中に現われた他のコエムシも、概して性格は悪い。前述の通り、担当するチームを多く勝たせることが自分の世界が再度戦いに巻き込まれる可能性を減らすため、どのコエムシも「自らの担当するグループを一つでも多く勝たせる」という職務には忠実だが、中には充分な数を勝たせたと見るや早く仕事を終えたいためにズボラになるコエムシもいる。
モデルはジョージ秋山のマンガ『ザ・ムーン』の「糞虫」。コエムシは、ココペリと同様 カチナの一種にその名前が見られる(Koyemshi、別名:泥頭・マッドヘッド)。部族の祖先であり 道化のように振る舞うことで人を導く存在らしい。ココペリ同様に命名に関連しているのかどうかは明言されていない。コエムシの名前を聞いた子供たちの幾人かが臭そうに鼻をつまむシーンもあり、モデルの糞虫から糞→肥の連想もある。
アニメ版:本名は町史郎。元々は別の世界におけるゲームの参加者であり、そのチームを担当した黒コエムシ(声:山本圭子)に媚びへつらって自らの順番を後に回そうとするなど、卑屈で臆病な性格だった。その世界における最後の戦いのパイロットとして勝利した後、あまりの生への執着から、黒コエムシによってコエムシの身体を与えられて生きながらえた。以来、数多くの地球を訪れて「仕事」を続けている。容姿は原作版と異なり、原作よりも残忍で非道な性格として描かれている。原作とは異なり、物語終盤までその性格のまま心変わりすることがなく、最終的にはカナを無理やり契約させようとしたところをマチに射殺され、無様な最期を遂げる。
小説版に於けるコエムシについては、後述の小説版の登場人物を参照。

15人の子供たち

記載順は最後の3人を除き原作での戦闘順。アニメ版では、前半に登場する阿野万記までの設定・ストーリーは原作にほぼ準じている。

前半

和久 隆(わく たかし/ワク)
声 - 阪口大助
中学1年。明るく活発な性格で、自然学校のムードメーカー。小学生の頃は地元のサッカーチームのレギュラーであり相当な戦績を残していて、それが自慢でもあった。自分よりも優秀なサッカー少年だった父がそんなそぶりを見せもしていなかった事に気付いてからは、サッカーをする意味、生きる事の意味に悩み、中学進学と共にサッカーからは一旦身を引いている。1人目のパイロットに選ばれ、ヒーローとしての戦いに燃える。敵の戦法に悪戦苦闘しながらも無事勝利を収めるが、戦闘後にジアースから転落して不慮の死を遂げる(実際にはジアースからの転落が直接的な死因ではなく、彼の死はゲームのルールによるもので、急死により転落した)。
小説版:4人目のパイロット。そこまでの小説版の記述では、ワクが重点的に描かれている。仲間を失ったショックから戦意を喪失し、チズにそれを見透かされ「戦う理由」として身体を差し出されるが、それは拒絶する。さらに国防軍の介入により戦わなければ助かる可能性を示され、中途半端な気持ちで戦闘に突入してしまう。敵のパイロットと思われる少女は、原作でキリエがしたようにトミコローツ≪洋梨≫の外に身を晒す。少女にコズエの面影を見たワクは、少女を守ろうとして思わず味方を撃墜してしまう。その直後にチズによって殺されてしまい、戦わないまま死ぬこととなった。
小高 勝(こだか まさる/コダマ)
声 - 保志総一朗
中学1年。建設業社長の息子。家族構成は父親と兄が2人で、母親は原作・アニメ版のどちらにも登場していない(小説版では別居中という設定)。父の粗野な短所を貶しながらも、ビジネスマンとしての長所を理解し、尊敬している。現実主義者な面と、生命の弱肉強食の側面を尊重し自分や父を「選ばれた優良な命」とする偏った思考から、歳に不相応な冷静さと非道さを併せ持ち、猫をエアガンで撃つ事に飽きたらず、人を殺す経験は自分の糧となると信じている。姿を消したココペリが唯一残した伊達眼鏡を受け継いでかけている。
2人目のパイロット。戦闘時には足下を逃げまどう群衆を「ここで死ぬ運命」と一顧だにせず踏みつぶす。しかし尊敬する父親を偶然に死なせてしまった際は、流石に動揺を見せている。意志と意地は強く、父の死のショックを大きく引きずらずに勝利を得たが、選ばれた人間であったはずの父があっけなく死んでしまったことに、それまでの考え方が揺さぶられるが、その直後にゲームのルールによって何も知らないまま命を落とした。彼の死によって残りの子供達はゲームの本当のルールを知ることになる。
初期設定では「佐伯啓吾」という名前だった。
アニメ版:父の会社はデベロッパーに変更。兄は1人。
小説版:パイロットの順番変更に伴う人格の成長が著しい。かける伊達眼鏡は次兄が捨てたのを受け継いだもの。
ゲームのルールを知り、さらに殺すつもりでチズに銃を突きつけたが引き金を引けなかった経験を経て、自分の偏った思想を全面的に改める事になる。命に優劣はなく誰にとっても平等に価値がないが、だからこそ命の尊さという偽善を守る事に価値があると悟り、エアガンを捨て素直な性格になる。戦闘では自らが不利になる事を承知の上で、敵からダイチ兄妹を守り、残った仲間達に、≪人形≫という人の手に余る存在を上手に使って「一人でも多くの人を助けられる」可能性を自らの戦いで示した。
矢村 大一(やむら だいいち/ダイチ)
声 - 杉田智和
中学1年。家族思いの実直な少年で堅物。並の成年男子をしのぐ頑健な肉体の持ち主。母はおらず、また3年前に父親が失踪したため家庭は貧しい。双葉(声:戸松遥)、三太(声:井上麻里奈)、四詩(声:釘宮理恵)の弟妹3人を養うためにアルバイトに精を出す。叔父一家に親身な援助を受けており、同居を勧められているが、「父が帰れる場所を残して置きたい」という理由で断り、持ち家を住まいとして提供されている。ジアース内では椅子ではなく、ちゃぶ台を囲む座布団に座る。
パイロットに選ばれたダイチは、残り少ない時間を弟妹達と過ごすべく、アルバイト先で貰った無料チケットで妹達を連れて遊園地に行く事となったが、その日の夜明け前に敵が襲来。叔父に妹達を預けたダイチは、敵を無人の海に運んだ上で撃破に成功。ダイチの願いによってその遺体は隠されたため、戦闘終結後は行方不明扱いになった。残されたダイチの妹達は彼が守った遊園地に行く事となる。行方不明だった父は後に帰還し、残された弟妹達と再び暮らしをはじめた。
アニメ版:5人目のパイロット。戦いの後父親が戻ってきた描写はなく、彼の弟妹は最終話でウシロの父が経営するフリースクールに転入してくる(双葉とカナが同い年と判明)。三太はダイチの失踪がトラウマになり、コダマのような選民思想的思考を持つに至っている。
小説版:パイロットには選ばれていないが、原作に準ずるストーリーが「コダマ」編で描かれた。避難の際に弟や妹とはぐれてしまうが、コダマの協力を得て無事弟達と再会することができた。しかし彼らは敵性地球の住人であり、コダマの勝利後矢村兄妹は彼等の住む地球諸共、ルールによって消滅することとなる。
半井 摩子(なからい まこ/ナカマ)
声 - 井口裕香
中学1年。正義感が強く真面目な委員長タイプ。髪はポニーテール。「全員が全体の奉仕者であるべき」が口癖で、ワクにそれをからかわれたこともあり、またアンコにはその優等生ぶりを嫌われている。その背景には、売春婦である母親の美子(みこ、声:大原さやか)が世間で冷たく見られている事がある。その事情を幼い頃に理解し、自分のせいで母を悪く言われない為に模範的であろうと努力しているが、クラスメイトからは敬遠されている。お針子などの内職をして母親の手助けをしており、ミシンや縫い物が得意。
皆のユニフォームを作る費用を捻出するために自ら売春の依頼をしたが、それはどんな問題でも自分の力で解決していこうという決意の表れであった。母は、後ろ指を指される職業であっても、その運命を自分で背負った上でなお揺るぎない生き方をナカマに示す。その顛末を経て、ナカマは母のように堂々と生きる為に戦う決意をする。
敵がなぜか市民の避難を待ってくれた為に、存命している仲間のユニフォームをなんとか完成させる事ができた。その直後に自分を軽蔑していたクラスメイトの行方が分からない事を知り、ジアースの能力で彼女を捜し救った。
アニメ版:6人目のパイロット。母親はナカマを妊娠したのを機に売春婦からスナックの従業員に転職している。ナカマは母親が売春婦であったことを知らなかった。戦闘は初の敵地戦となったが、常に模範的である必要はないと考えを改めたことで、ジアースの腕をコエムシの助言を受けることなく自らの機転で切り離し、敵を撃破する。なお、ユニフォームは全員分から4着に減っている。
小説版:詳細は、阿野 摩子の項を参照。
加古 功(かこ いさお/カコ)
声 - 藤田圭宣
中学1年。家族構成は父、母、姉。甘えを絶とうと突き放す物言いをする姉とは不仲である。自然学校で出会ったチズに恋心を抱く。
キリエとは同じ中学校に通っている。2人とも同じグループから執拗ないじめを受けており、カコ本人は足が速いことで使い走りをやらされていた。それすらもさせてもらえないキリエに対し、ささやかな優越感を抱いていた。非常に自己中心的な性格で当初はゲームを軽く考え積極的であったが、ルールを知った時には混乱を見せ、自分の順番がきてからは恐怖に怯え錯乱し続ける。
ナカマの作ったユニフォームを「死に装束」と呼んでウシロと同様に着ていない。
コエムシの口車に乗せられてチズをレイプしようとするが、彼女にナイフを突きつけられ、未遂に終わる。またこれ以降キリエにチズを奪われたと思い込む。戦闘が始まってからも死への恐怖から半狂乱状態に陥り逃げるばかりで戦おうとせず、街に甚大な被害を及ぼす。闘争心をつけるためにキリエが放った言葉に激怒し、殴打し続けている所をチズに殺害され、パイロットの役目を果たさないまま絶命した。
アニメ版:3人目のパイロット。家には母・姉しかおらず、父親は何らかの理由で長い間帰宅していない。キリエ、チズと同じ中学校に通っており、チズの気を引こうと自然学校に誘った。学校でのいじめは描かれていない。ゲームの真実を知った後チズを水族館に誘うが、チズが畑飼と性的関係まで持っていた事をチズの口から聞かされ、絶望していた時にパイロットに指名された。その後チズが水族館にいるカコを見つけ、カコは原作同様彼女を襲うも抵抗され、その弾みに階段から転落して気絶し、直後に事故で死亡した。なお、アニメ最終話においてウシロは、戦うことなく散った彼に対して「もっと考える時間があれば戦えた」と考えている。
小説版:2人目のパイロット。設定は原作と同様だが、まだルールが判明していない事などから、カコの日常生活や思考が原作より詳しく描かれた。
パイロットに選ばれ有頂天になるが、軽い気持ちで放ったレーザーが、いじめグループごと大勢の学友を殺戮してしまう。錯乱した挙句に自分の街を破壊し尽くし、さらに1万人以上の被害者を出す。無様な内容ながら戦闘には勝利したが、戦闘後に真のルールを知らされ、さらなる錯乱の内に死んでいった。
余談だが、ツバサ編では中学1年生であるのに年齢が十四歳と表記されていた。
本田 千鶴(ほんだ ちづる/チズ)
声 - 高梁碧
中学1年。泣きボクロが特徴的な、清楚なお嬢様タイプの外見。人並み外れて暢気でお人好しな父、母、姉との四人家族で、家族の中ではただ一人現実的な思考の持ち主。姉を慕っている。
自分の通う中学の教師である畑飼に心を惹かれ、性的関係を持つ。しかし畑飼に裏切られ、畑飼の知り合い数人に性的暴行を受け、その模様をビデオに撮られて口止めされる。畑飼を殺して自分も死のうと決意したが、その直後に畑飼の子を宿していることを知り、犯罪歴のある母親にはなれないと一度は殺害を諦める。しかし、ジアースの力を得た事で再び畑飼への復讐を決意する。カコを殺した直後にパイロットに選ばれ、自分に性的暴行を加えた男達をその家族や周囲の避難民諸共ジアースで殺していった。だが、最後に殺そうとした畑飼の傍らに姉の姿を見て衝撃を受け、コクピットから出て姉に自分が畑飼の子を妊娠していること、畑飼を殺すつもりであることを告げる。姉は、他人を恨むと不幸になる、自分を殺してもいい、自分を殺すチズをも受け止めると諭す。復讐を断念したチズは、姉のために敵と戦う。戦闘後はキリエにナイフを託し、胎内の子に悔恨の情を語りながら息を引き取った。この後ジアースの光点の変化から、チズの子が契約者に含まれていた事が判明する。この事が、未契約者がいるという疑惑が発覚する引き金となった。
アニメ版:4人目のパイロット。性格・家族の設定・エピソードなど、大きく変更されている。輪姦などのエピソードは排除されたが、別の形で畑飼に裏切られている。畑飼と最初に性交したときに盗撮された画像をインターネットにUPされ、間を置かずに姉と畑飼が交際していた事が分かる。パイロットになってから、一度戦闘をせずに学校へ向かい、その時は女子更衣室に忍び込んでいた畑飼を殺そうとするが、姉がそこに現われて畑飼をかばったため、畑飼を殺すのは諦め、敵はすぐに倒す(コエムシも『圧勝』と言っている)。姉の幸せを願いつつ息を引き取った。妊娠については婉曲的に表現された。
小説版:短い髪型(原作の回想シーンに登場する小学生時代の髪形に近い)と家族絡みのエピソードを除けば、ほぼ原作準拠となっている。
キリエの推測(平行世界との戦い)を信じていた事もあり、凝った復讐計画になっている。庄治を誑かし陵辱した連中の行動を抑えたチズは、戦意喪失のワクを殺害した直後に操縦権を手に入れ、自分を陵辱した男達への復讐を遂行する。しかし最後に畑飼を襲う際に姉の存在に気付くのが遅れ、最愛の姉を死に追いやってしまう。このアクシデントに絶望したチズは、コダマが彼女に突きつけていた拳銃を奪い取り自殺する。次のパイロットに選ばれたチズの胎児の手により戦いは決着した。
門司 邦彦(もじ くにひこ/モジ)
声 - 宮田幸季
中学1年。整った外見と穏やかな性格で、勘が鋭い。それは細やかな観察力と優れた推理力によるもので、それを活かし戦闘では的確なアドバイスをする。ナギ(声:中村悠一)、ツバサ(声:名塚佳織)という同い年の幼馴染みがおり、幼い頃から三人で仲良くしていたが、小学6年の時にナギが重い心臓病を患いその死が近づき、3人の関係は変化する。
自分がナギの拒絶反応ゼロのフルマッチのドナーになれる事を知り、どちらか一人が生き残りツバサを手に入れる、それは自分であると喜んだが、ツバサの性格では優位な立場の自分が選ばれる可能性はなかった(しかしツバサもまたナギの手前隠していたがモジに好意を抱いており、ナギも気づいていたようだ。後にナギは二人を祝福するとツバサに伝えている)。ジアースと出会い、その力でナギを殺すことで対等になろうとも考えたが、ゲームのルールを知った後にはナギのドナーとなることを決意する。戦闘では一旦敗色濃厚となるが、自らの機転と航空国防軍の勇敢なパイロットの犠牲によって辛うじて勝利した。
なお、彼がナギのドナーとなったことは、彼の両親とナギとツバサには知らされてはいないが、ツバサはそのことに気づいているようである。今も彼の心臓はナギの中で生き続けている。
アニメ版:7人目のパイロット。両親のいない孤児であり、ツバサやナギと共に孤児院で育った。ワクとは同じ中学に通っていた。
ナギの発病は中学生になってからで、彼を殺す意志までは描かれない。敵地戦となった戦闘では、敵ロボットとの心理戦の末に読み合いに勝利。その結果、モジは敵が自分達と同じ心を持つ生物である事に気付くが、仲間達には曖昧に伝えるだけだった。
小説版:自然学校に参加しておらずパイロットでもないが、ツバサとの関係から事件に深く関わってゆく。ツバサの戦いの際にマーヤに唆されてナギを死に至らしめてしまうが、その後ツバサも死んだ事で全てを失い、心に深い傷を負う。後にマーヤからツバサの死の真相を聞かされ、自らとこの世界が存在し続けている事に絶望し、ジアースのパイロットと身分を偽ってマスメディアに姿をさらし、ジアースの戦闘を不利にするよう世論を誘導する事になる。だがマーヤの真意を知った後は深く悔い、彼女をジアースと契約させることで復讐を果たす。最後は死の世界と化した「ぼくらの」世界に残り、同じくその世界に残った人達と共に生きることを選んだ。ツバサに「性格のいいウシロ」と例えられた。
阿野 万記(あの まき/マキ)
声 - 比嘉久美子
中学1年。オタク趣味の父親の影響から、軍事・古めのアニメ・コミック・ゲームが好きで男勝りな性格。ジアースの命名者。コモとは小学校時代からクラスメートで親友であり、またカナを可愛がっている。物語開始の時点で、母が弟の出産を間近に控えていた。新たに生まれる弟への思い入れは強く、そのこともあってカナを苛めるウシロへの憤りを隠さない。そうした思いからベビーベッドをジアース内の椅子として使用しており、隣に未契約者のためコクピット内の椅子がないカナを座らせていたが、彼女の戦闘の際には、ベッドがいつものように椅子の並びの中央に移動しないという謎の不具合が起こっている(マキの本当の椅子は実はマチが座っていた椅子であり、彼女が座っていたベビーベッドは、本来チズのお腹の中の子供の椅子であった)。
2歳の時に生母が育児を放棄し、衰弱死寸前のところで救出された。男勝りな性格は、生母の冷酷な血が自分に流れている事を怖れた為でもあった。後に子供がいなかった両親に養子として引き取られる。自分が両親の実の子でないことは知っているが、かえって絆は深い。母が産気づいたときにジアースへ招集される。その戦闘の際に、敵が自分達と同じ立場の人間である事を知り、勝利を得ることを逡巡する。しかし両親と弟の未来のために敵を殺し、自らの世界に輝く命の光の群れの中に、弟が加わったのを見て逝った。
アニメ版:8人目のパイロット。「自分は養子」「弟は両親の初めての子供」と語るにとどめ、生い立ちなどのエピソードが省略されている。またジアース内の椅子はロッキングチェアに変更された。
小説版:「コモ」編の敵パイロットとして登場する。小説版「ぼくらの」世界のマキは、表立っては登場していない。

後半

切江 洋介(きりえ ようすけ/キリエ)
声 - 浅沼晋太郎
中学1年。体格は小柄で太り気味。口数が少なく内向的な性格だが芯は強く、いざという時には自ら悪役を引き受けるのも憚らない行動力を示す。洞察力や思考力に優れ、万人が等しく持つ「生きることの価値」に哲学的な思索を巡らせていく。快活な従姉に憧れていたが、彼女は今では気力を喪失して自殺未遂を繰り返している(コックピット内での椅子は、彼女の化粧台の椅子である)。
チズ戦の4日後に畑飼に会いに行き、その言動に危険と怒りを感じチズのナイフで彼を殺そうとしたが、「この人を殺していいのは自分なのか」という疑念もあり未遂に終わる。自らの生への希求が薄いという自覚、そして命の価値に差異はないとする信念から、他の地球を滅ぼしてまで生き残ることに懐疑を抱く。それを田中に打ち明け、彼女の軍人の立場からの、しかし真摯な意見を聞く。
戦闘が始まると、普段着のままで敵の前に身を晒し、敵に殺す相手を知って貰おうとする。それに呼応して姿を現した対戦相手の少女は、自らのリストカットの痕を見せる。キリエは、どちらも同じ存在であるならば、どちらも最善を尽くすことがお互いの礼儀であり、生命が背負う業と責任であることを悟り、戦いに臨んだ。
アニメ版:9人目のパイロット。失業した母親が自殺を謀った事からこの地球に失望し、世界と共に滅ぼうとするが、敵の不可解な自殺により不戦勝となりもう一度戦う事になる。その後、元気を取り戻した母親を見たキリエは戦う決意をする。そして、敵地で圧倒的な動きを見せ勝利する。またマチの正体に気がつき死に際に残りの仲間にそれを報告した。
小説版:守るべき大切な人である従姉がカコの戦いに巻きこまれて既に失われていた事から、戦意が薄い状態でパイロット選定を受けたキリエであったが、チズを陥れた畑飼を敢えて生かし、彼が生きる事そのもので彼を裁かせるために戦う事を決意。敵地での戦闘は敵トミコローツ≪蜻蛉≫のスピードに翻弄されるが、「敵も自分と同じ人間」である事を思い出し、カコとの交友から着想したハメ手(臆病風に吹かれたと思わせ騙し討ち)を実行。作戦は見事に決まり≪蜻蛉≫は大破。その後、キリエは半壊した敵のコックピットに自分を転送させ、≪人形≫を用いるのではなく敢えて自らの手で敵のパイロットである少女をチズのナイフで殺し決着を付けた。
古茂田 孝美(こもだ たかみ/コモ)
声 - 能登麻美子
中学1年。マキと同じ学校に通う。父は国防軍の軍人で一等海佐。小学生時代にはそのことが理由でクラス内で浮き、軽いいじめにあう。それを受け流せなかったために生き方が消極的になったが、戦闘を経ることで自ら主体的に生きることの喜びと世界の美しさを知り、それまで硬かったピアノの表現が格段に向上した。また大人びた顔立ちをした美少女で周囲からは母親と見間違えることもある。いじめられた時期に「父親が軍人だから」という理由で近づいてきたマキとは固い友情で結ばれている。ジアースの戦いに国防軍が介入することになったのは、コモが父に打ち明けたことがきっかけである。
戦闘ではいったん敗北寸前となるが、敵パイロットは戦闘を放棄して姿を消す。彼はコモと同年輩の娘を被災者の遺族に殺されていた。日本政府はジアースのパイロットとしてコモ一人を公表し、さらにコモが演奏するピアノの発表会の情報を流す。会場に現れた敵パイロットはコモの演奏を聴き、コモの父の拳銃の前に身をさらす。コモは父の前で全てをやり遂げた充足感の中、世を去った。
アニメ版:11人目のパイロット。父親は国会議員と設定され、名前も孝一に変わっている。父親は、ジアースの情報を国民に発表しようとした為に殺される。それに対して、敵地戦となった戦闘では、敵地の住人は戦いに協力していた。それを見たカンジは愚痴を漏らすが、コモは父が命を掛けて愛した地球のために、自分も父のように戦う決意を固める。
小説版:設定は、親友がマコになっている部分を除けばほぼ原作準拠。
敵トミコローツ≪孔雀≫のパイロットは、敵世界のマキであった。マキは度重なる戦いや自らの世界の住人による襲撃などで仲間を失い、自らも両親らと共に襲われる寸前に招集され、最後のパイロットとなっていた。共に戦っていた仲間には「敵世界のコモ」もいた。コモがパイロットである事を知ったマキは逃亡する。その事情に気付いたコモは、自らを囮としてマキと接触する。マキは、死んだマコの代わりにマコの養母の出産に立ち会う。コモは米軍迎撃に終始するが、コモの父が艦長をしている長門撃沈等の成果はあったものの、肝心の≪人形≫にはダメージを与えられなかった事に業を煮やしたアメリカは核攻撃を実行する。出産を見届けその奇跡に感謝したマキは、「この世界の」両親と弟を守る為にコモと協力して米軍のミサイルを迎撃する。その後、コモは自らマキを射殺して人形同士の戦いの決着をつけた。
往住 愛子(とこすみ あいこ/アンコ)
声 - 牧野由依
中学1年。薄い茶髪で巻き毛。父の明は有名ニュースキャスター。将来の夢はアイドルになる事で、独りアイドルごっこが趣味。その最中にコエムシに呼び出された時は、赤面しつつ怒っている。自然学校では優等生ぶるナカマを嫌っていたが、彼女が戦闘に立った際には和解している。真っ直ぐな性格のためにコエムシやカンジによくからかわれている。
パイロットに選ばれたアンコは父と話し合い、戦闘後死ぬこと以外の自らの置かれた状況を明かす。そしてジアース及びパイロットに関する重要な情報を隠蔽するための記者会見を行なう運びとなったが、その直前に別のテレビ局で偽パイロットが記者会見を行い、アンコ達は会見の機会を逸してしまう。その偽会見の内容を逆用する形で、ジアースの戦闘中に明によるコクピットからの中継が敢行される。敵の攻撃に重傷を負わされながらも、アイドルの練習で培った動きを応用して勝利をおさめた。
明は、事前にコモの父親と接触を持ったことで、娘に訪れる運命をすでに知っていた。アンコは、明とともにテレビに出るという本当の夢が叶ったことをかみしめながら、視聴者へつたなくも真摯なメッセージを遺して逝った。
アニメ版:10人目のパイロット。夢はワク曰く局アナ。カンジの事を気にしている。ジアース内での椅子(ソファ)のフットレスト部分をカナに貸している。
父の明はジアースを巡る政府財界の動きを追及しようとするが、その矢先に女性スキャンダルが発覚して番組は中止となってしまう。アンコの家はマスコミに囲まれ、自分達家族に対する世間の扱いが理不尽だと怒るアンコだったが、タモツに「力を持った人は、その分責任を取らなくてはならない」と説かれ、思い直す。そして憔悴した父に母を守るように伝えると同時に、自分もまた戦いの覚悟を決める。戦闘後はカンジの腕の中で息を引き取った。
小説版
マーヤと畑飼の手により流出してしまったジアースのパイロットリストが、よりによってアンコの父・明の手により公開されてしまう。怪獣災害被災者の追及から仲間を守るため、そのリストをアンコと明の捏造であったということにするが、その謝罪会見の直前、アウェー世界での戦闘に明および会見の撮影スタッフごと召喚されてしまう。敵トミコローツ≪灯台≫に至るまでに敷き詰められた「赤い大地」の正体はアウェー世界の人間で、それを踏みつぶさなければ接近できないよう≪灯台≫に至るまでの人間の盾となり、またアンコの情に訴えるべく「死にたくない」「負けてくれ」といったメッセージをマスゲームで伝える心理攻撃を仕掛けてくる。あまりの事態に戦意喪失するアンコだったが、明の助言を受け、敵世界の人間にアンコ自身の戦う理由を語りかけると共に、思いを新たにし非情に徹して≪灯台≫に勝つ。そして明に看取られつつ息を引き取るさなか、消え行くその世界の命の光の群れの中に、“Good luck, Zearth.”の文字を見つけた。
余談だが、小説版で“ジアース”の名称がでるのはこのアンコの話が初(命名自体は、その前話でマコによってなされていた)。
吉川 寛治(よしかわ かんじ/カンジ)
声 - 野島健児
中学1年。15人の中で最も背が高い。ウシロと同じ学校に通い、その家庭の事情も知っている数少ない友人である。両親はゼネコンに務める建築設計士であるが、超高層ビル「沖天楼」の建設に際し会社から強度計算の偽装を指示され、それを気に病んだ母はカンジが小学一年の時に落成したばかりの沖天楼から投身自殺している。また、このことがきっかけでウシロと親しくなった。下ネタを口にしてアンコの表情を歪めさせる事がままあるが、それを楽しんでいる素振りがあるように普段はひょうきんな性格である。タレ目ぎみの顔立ち、角刈りにランニングとどこかのん気で野暮ったい風体に反して判断力と洞察力に優れており、モジと同様に戦闘中はパイロットのブレーンとして適切な助言を行うことが多い。
戦闘は、敵ロボットがハワイから遠距離射撃を行なう戦法をとり苦戦となる。結果、ハワイへ赴いた関の生命反応を標的としてレーザーを放ち、関もろとも敵を破壊するしかなかった。最期は本人の希望通り沖天楼の屋上へと転送され、多くの犠牲を出した無力な自分を母と重ねつつ、ひとり眠った。自らがパイロットとしてジアースに乗り込む直前に契約していない事を明かしてくれたウシロに、マチに気をつけるよう警告していた。
アニメ版:12人目のパイロット。原作と異なり母親は生きており、当初は高層建築の仕事をしていると自ら語っていた。この設定は後に改められ、母は沖天楼内にある認知工学研究所の教授・吉川光枝となった。ウシロとは、小学生の時にウシロの父が開いた自然学校に参加したときからの友人。以来毎年夏休みにはウシロのもとを訪れていたが、中学一年の夏は目先を変えて海に行こうと、御友島の自然学校へウシロを誘う。アンコとは恋仲になった。
当初は引継ぎ戦のパイロットとしてコエムシに見込まれていたが、アンコの戦闘後コエムシの言動に怒りを爆発させたことでコエムシの怒りを買い、コモの後のパイロットとして選ばれてしまう。沖天楼前に現れた敵ロボットとの戦闘のさなか、自分達は寄せ集めの15人ではなく15人で1人だったと気付く。そして「契約を解く鍵が沖天楼にある」と解決の糸口をウシロに託し、沖天楼を守るために戦う。
小説版:核戦争による世界的な荒廃を目の当たりにし、この世界に守る価値があるのかを思い悩むことになる。その迷いを敵トミコローツ≪紅蠅≫の精神干渉能力に突かれ、「ゲーム」が存在せず「ぼくら」が理想的な成長を遂げた設定の仮想世界に落とされてしまう。
違和感を持ちながらもその状況を受け入れていくカンジだが、マーヤの干渉と拭い去れなかった違和感からその世界を拒否する。更に≪紅蠅≫のパイロットとの会話で、自分の前に死んでいった子供達を「不幸」「悲惨」と断じられた事に反発。「彼らが自らの精一杯で守ったこの世界を自分も守る」と、力の象徴であるジアースを動かして≪紅蠅≫の構築した仮想世界を打ち破った。
夢から覚めて現実世界の≪紅蠅≫を倒した後、同じ夢を視ていたウシロの吐露に許しを与え、「生きろ」という言葉を遺す。そして、自分が選んだ世界での自分の死を静かに受け入れた。
宇白 可奈(うしろ かな/カナ)
声 - 阿澄佳奈
小学4年。唯一の小学生。ウシロの妹。口数の少ない、大人しい性格をしている美少女。ゲームの契約をウシロが止めたため、描写上は明確な未契約者である。しかし戦闘では常にコクピットに呼ばれ、マキのベビーベッドに座らせてもらっている。
幼い頃から、自分がウシロと父から母を奪ってしまったと思い続けてきた。ウシロが養子である事を父に聞かされてからは、家族の絆を保つためにウシロの暴力に黙って耐えていた。そして自分は母親に会えないが、せめて兄には会わせたいと、田中にウシロの生母の捜索を依頼していた。やがて徃住明の尽力により「ウシロの母としての」田中に面会し、母としての務めを果たすよう頼んだ。
未契約者かと思われていたが、実はココペリの戦闘の後に、ひそかにコエムシを呼び出して契約を結んでおり、13番目のパイロットとなる。自らの死後のウシロを案じ、田中を実母としてウシロに会わせようと尽力したが、敵性体によって田中が殺され、その願いを完全には果たせぬまま戦闘に勝利した。遺体はウシロの希望でユニフォーム姿のまま棺に納められた。
アニメ版:兄のウシロと共に生活しており、積極的に家事もこなしている。ウシロ同様、学校には通学していない。暴力を受けているも、ウシロを慕っている。
未契約者であったが、引継ぎ者が助かるルールを知り、ウシロを救う為に契約を結ぼうとする。アンコのフットレストを椅子代わりに借りている。
アニメ版ではパイロットになっていないので死亡せず、その後、自分の仲間達のためにこの戦いを「物語」として伝えていこうと決意。最終話ではダイチの弟妹に真相を教えていた。
小説版:ゲームの契約を結んでいる。コエムシが出したのはクッション付きの椅子である。マリアは未契約者である可能性を考えていたが、それは「そうであってほしい」という願望からきたもので、実際は契約が結ばれていた。そのことをコモだけには伝えており、最期まで「ウシロの妹」として生きるため、また日本政府が幼いカナを「排除」して代わりのパイロットを充足するのを防ぐために、カナがパイロットに選ばれた時はコモが偽のパイロットとして名乗り出た。カナの若い生命力に反応し強大な力を得たジアースは、敵の反撃がないこともあって圧勝し、カナは最後まで自分がパイロットとは知らなかったウシロに、彼を残して先に逝く事を詫びて息を引き取った。
町 洋子(まち ようこ/マチ)
声 - 三瓶由布子
中学1年。そばかすが特徴。自然学校でココペリの洞窟へ行く提案をした。契約時には嫌な予感がすると言い締結を渋るそぶりを見せるが、ワクに無理矢理結ばされている。両親は漁師。兄がいるが、ウシロをなじる時に「ウチの兄貴みたい」と言ったことから、兄に対する印象は悪いようである。ジアース内では、マキが当初自分のものかと思った椅子に座っている。カナのことを気に掛けている。
実はココペリと同じ地球の人間で、コエムシの妹。ココペリと共に引き継ぎ戦を行うためこの地球に来て、契約者を捜す役割を担った。自らの世界では必要な勝利数以上の人数が登録されていたため最後までパイロットに選ばれることなく、ワクに結ばされたと思われた契約は、その時点では契約が継続中だったため無効となった。
既存の契約者がすべて死亡した後、自らの責任を果たすべくウシロと共に新たに契約を結び14人目のパイロットとなる。自らの戦いに臨む前に「ぼくら」の家族と狩田淳ニの家族の下を訪ね、兄にどこか似ていて気になっていたウシロに初恋の告白をした。だが、突如現われた暗殺者に頭部を撃たれ、植物状態となってしまう。このままでは戦闘ができないため、兄のコエムシが自ら彼女の命を絶った。彼女の死後、隔離されていたこの世界のマチはコエムシによって再びこの世界に戻って来た。
彼女の死はコエムシの心に変化を及ぼした。
アニメ版:13人目のパイロット。住まいはタバコ屋。実はコエムシ=シロウの妹であり、異世界からジアースのパイロットを集めるためにやってきた。本来の自分の世界のゲームでは、シロウがゲームへの参加=契約を認めず、ちょうどカナと同じ形でオブザーバーになった。シロウがコエムシとして転生してからは、そのアシスタントとなり、多くの世界のゲームをつぶさに見てきた。第23話でカナを契約させようとしたコエムシを射殺し、13番目のパイロットとなり(アニメの第一話でワクに無理やり結ばされた契約はコエムシが記録しなかったため、当初は無効になっていた)、沖天楼とジアースプログラムのタワーを破壊する。灼熱の地獄の中での戦闘に勝利し、ウシロらを転送した後、コエムシの亡骸のそばで息絶えた。コックピット内の椅子はタバコ屋で彼女が普段使っているものに変更されている。
小説版:マチは小説版には登場しない。
宇白 順(うしろ じゅん/ウシロ)
声 - 皆川純子(幼少期:鬼頭素世子
中学1年。常に冷静・無表情で、口数も少ない。物事に対しての関心や反応が薄いが、頭の回転は早い。また、他人の痛みに鈍感で戦闘中の仲間にも平気で暴言を吐くなど傍若無人な言動も目立つ。カコと同様にナカマの作ったユニフォームも着ない。例外的に同じ中学に通うカンジには友人として接している。カナの兄であり、彼女がゲームに参加する事を拒んだのも彼である。父親は中学校の教師をしているが、「自分も生徒の1人」と語るように、ウシロから見た親子の繋がりは希薄である。
ことある毎に妹のカナに手荒な暴力をふるう。カンジによれば、カナが産まれた時に母親が死亡した事がその理由であり、カナに死んだ母親を重ねて、彼女に当たる事で自分を遺して逝った母への不満を解消している。これに対してウシロは否定しておらず、逆に図星のような反応を見せている。ウシロは母親を「いたって事を憶えているくらい」とも語っている。マキからはカナとの血のつながりに甘えているとも言われていた。後に自身もマキ同様、親と血のつながらない養子であったことを知る。直接の原因ではなかったとはいえワクを海に落としてしまった事については後ろめたさも感じている。
実はゲームに興味を示さず契約の儀式の際プレートに触ったふりをしただけだったため、実際は契約を交わしていない未契約者であった。(ちなみに、彼が座っていたのはカナの椅子である。)カナを契約させなかったのは、彼女が楽しんでいたら腹が立つからという単純なものだった。しかしカンジ、カナの死と言葉、そして田中の実子・未来の姿に心を動かされ契約を決意し、また父にも心を開く。契約者となった彼の椅子は、実母である田中が座っていた戦闘機の椅子だった。
彼の戦闘はアウェイであったが、対戦相手のパイロットが機体を放棄してどこかへ行ってしまったため、制限時間内に相手の地球のどこかに潜むパイロットを殺すため、苦悩しながらも敵地で大虐殺を行うこととなった。その際に嘔吐して着ていた服を汚したこともあり、初めてユニフォームに袖を通して戦いに勝利し、先に逝った14人の仲間達の元へ旅立つ。
アニメ版:最後(14人目)のパイロット。カンジとは小学校時代からの友人である。カナに当たる原因は「母親の死」。原作と違い表情は豊かで、感情の起伏・口数も多い。またまれにカナを気遣う素振りも見せている。父が仕事で多忙なことに寂しさと反発を覚え、自然学校の直前にカナを連れて家出し、東京のカンジのマンションに飛び込んだ。夏休みが終わった後も中学校には通っておらず、カンジ曰く「不登校扱い」となっている。
実は田中美純の息子であったが、田中の姉夫婦である宇白家の養子となっており、カナは血縁上は母方の従妹にあたる。初期には自分勝手な発言が多かったが、仲間の死や戦いの意味を知る事により、また、カナを助けるために自分で全てを終わらせる決意をし、15人目のパイロットになった(原作と異なり、当初から契約していた)。戦いは30時間に及ぶ長丁場の末に勝利。そして、戦いの連鎖を断ち切るためにジアースをバラバラに解体し、崩れ行くジアースのマスクから最後の光が消えた。
小説版:原作より感情を見せる場面が多い。≪打筒≫との戦いの後、カナが倒れ、彼女が操縦者であった事を知る。またカナの死に関してカンジに強く叱責された事により、たった一人の妹と友人を同時に失ったと悟る。世界に絶望して雪の中を凍死寸前に陥るまでさ迷い歩いたが、マーヤの手により救出された。以後、ジアース内にある教室で、屍となったカナの傍に居続けていた。
最後のパイロットとして契約し、引継ぎ戦を行う。

国防軍

ナカマの戦いの後(アニメではコダマの後)、子供達を航空国防軍横田基地に集め事情を聴取し、当面普通の生活を送らせながら監視下に置きつつ相談相手にもなっている。ジアースの秘密を知ろうとするが、そのテクノロジーには歯が立たず、コエムシにはのらりくらりとバカにされ、敵ロボットの火力の前に多数の艦船と軍用機を喪失する。ジアースの情報を独占しその報道をコントロールしているが、公開を求める各国の要求、ジアースによる戦闘での被災者からの怨嗟、子供達に関する情報の流出で苦しい立場にある。

田中 美純(たなか みすみ)
声 - 進藤尚美
航空国防軍一尉。国防大学23期生の中では極めて優秀で、図上演習・兵棋演習では無敗を誇り、同期からは畏敬をこめて「カナタさん」と呼ばれる。交渉能力も高く、傍若無人のコエムシをして苦手と言わしめるほど。4歳の時、日米安保破棄に関係する「日乃レポート事件」で父を亡くしている。既婚であり、カナと同年齢の10歳の娘、未来がいる。10代の頃は荒れた生活を送り、そこから這い上がってきたため人生経験は豊富で、子供達の良き相談相手となる。また戦闘中は関と共にジアース内に転送され、子供達にアドバイスを送り、国防軍との連絡も務める。
旧名は佐藤美保。中学生の時に妊娠し、恩師の下に生まれた子供を預けて去った過去がある。現在の夫と結婚し田中姓を名乗るようにした際、名前も改めた。
「本田千鶴」編の後、パイロットが2人足りないことが分かり契約者となる。カナの戦いの際に戦闘機に乗ってジアースを援護するが、戦闘機から脱出したところで敵に捕まってしまい、カナの戦闘の邪魔にならぬよう自ら命を絶った。実は彼女が産んだ子供はウシロであり、ウシロは田中の自決直前にその事実を知ることになる。
中学卒業直後にウシロを出産し、これを「13年前のこと」と発言していることから、本編の時点で29歳前後とみられる。
アニメ版:2000年3月12日生まれの30歳(第18話では31歳と表記)。独身。利己主義的な政府や軍に対し、子供達を守ろうとする発言や行動が目立つ。
16歳の時にヤクザの蓮木一郎(声:津田健次郎)と出会い、高校を中退して結婚。息子を出産するが、ほどなくヤクザの抗争により蓮木と死別し、身の安全を守るために息子を姉夫婦の養子にして国防兵学校に入学した。
ジアース出現後、そのパイロットに息子であるウシロがいることを知り子供達の世話係に志願した。政府の計画を明るみに出そうとするが、その戦いに敗れ死亡する。自分がウシロの母親であることはカナにもウシロにも告白しておらず、ウシロは田中の死後それを知ることとなる。
小説版:チズとワクの抜けた穴を補うために、契約者となった。アンコの戦いの後、情報管理問題の責任を押し付けられる形で、監視役を降ろされた挙句幽閉される事となった。
その後は核による汚染で人類が住めない環境になりつつあった地球で「日乃レポート事件」を元にした地球間移民を提案、指揮する。
≪水母≫との戦いでパイロットとして戦うことになった自分の娘(マーヤ)を救うために出撃する。そして、マーヤに感謝の言葉とウシロへの遺言を伝えた後、≪水母≫のコックピットへ特攻して彼女を勝利へと導いた。
関 政光(せき まさみつ)
声 - 川田紳司
海上国防軍一尉。独身。田中とは同期。国防軍志願のきっかけはアイドル防衛隊ハミングバードに憧れたため。田中と共に契約を結び、戦闘時にはコックピットでパイロットのサポートや軍との連絡を担当する。カンジの戦いの際に自らの生命反応をもって敵に攻撃を当てるための的となり死亡した。
アニメ版:コエムシに銃を向け負傷。その後右手は義手となり、認知研への最初の協力者となる。アニメ版では死亡しない。
小説版:他作品の彼に比べてユーモラスな人物として描かれている。ワクに多くのアニメ作品を勧める、ガンダムなどのネタを口にする等、アニメオタク的な行動が多く見受けられる。
≪大烏≫戦で放たれた黴(かび)のウイルスのワクチンを手に入れるため、戦闘機で出撃するが敵側の艦載機に撃墜される。執念で≪大烏≫の急所にまで辿り着くものの、既に体はウイルスに侵されており後一歩の所で力尽きてしまう。しかし彼の身体の中でウイルスが独自の進化を果たしたことにより、結果的に相手の地球人を倒すことが出来た。
佐々見(ささみ)
声 - 木下浩之
国防省軍令局の立場からジアース関連の戦闘の対策などを立てている。国家官僚としての冷徹な部分も持つが、子供達の立場を理解し彼らが少しでも有利に戦えるよう尽力している。茫洋としてつかみ所のないキャラクターで、ジアースを見て「男の子の夢…だよなぁ」とつぶやくなどの茶目っ気も見せていたが、物語の進行に伴い、戦う子供達を支える事しかできない自らの役割へ深く苦悩していく。階級は一佐。
原作の最終回では自ら志願して新たなコエムシとなり、次の地球をサポートすることになる。(『ぼくらの 一年後の待ち人』にて彼の地球に帰ってきた)
庄治 邦夫(しょうじ くにお)
陸上国防軍一尉。ジアースの調査を要求し、拒むコエムシを拳銃で脅すが、拳銃を握る指以外を希望通りジアースに送られ負傷する。後に負傷は完治し、引継ぎ戦のパイロットとしても名乗り出るが、コエムシには存在を忘れられていた(特別ヘンでも作者に忘れられていた)。
アニメ版:登場せず。腕を負傷する役回りは関が負う。
小説版:原作と同じ立ち位置で登場するが、出番は原作より多い。
チズの復讐に協力させられた挙句、チズの姉が巻き添えで死亡した腹いせを食らい重傷を負わされてしまう。その後回復するが、彼の発言(ワクは自分が射殺した)がパイロットの「交換」を防ぐために田中がついた嘘のルールと矛盾してしまったことから、少年達を危険な状態に追い込む事となる。
原作と同様に、引き継ぎ戦のパイロットとして名乗り出る。
多手(たて)
佐々見の補佐を務める若い男性。譜めくりの経験がある。
「一年後の待ち人」で、コエムシとなった佐々見の帰りを待っていた。
古茂田 巴(こもだ ともえ)
コモの父親。海上国防軍一佐で第一艦隊旗艦「長門」の艦長。謹厳実直を絵に描いたような軍人で、コモには「父は男の子がほしかったのではないか」とさえ思われているが、かつてコモに付き合ってピアノを始めた時には、ピアノを弾くと優しい気持ちになってしまうという理由から挫折しているなど、根は人間的な人物である。
小説版:コモ編での米軍との戦いの際、乗っていた「長門」にミサイルが直撃する。しかし奇跡的に死亡は免れていた。

その他の人物

畑飼 守弘(はたがい もりひろ)
声 - 鈴村健一
チズが通う中学校の若い教師。教師は社会の礎だと言い、真面目で深い人生観を語っていたが、その実態はチズを犯すなど悪行の常習者であった。後にそれをキリエに責められた時には、それは被害者が自分で選択した結果であり、問題の原因を他人に求めてはいけない事などを、理路整然と説明してのけた。キリエに刺された時の様子を見るに、畑飼自身がそれに殉じているかは怪しいところがあるが、後に文部大臣への就任を目標に政治家の秘書になるなど、本人なりに教育への想いは真っ直ぐなものである。その一方で、チズの姉とは真剣に付き合っており、国防軍に捕縛された際には、ジアースの情報をネタに国防軍を手玉に取り自由を得るなど、底の知れない人物。最終巻付属冊子「特別ヘン」でフルネームが呼ばれた。
アニメ版:下の名前は弘之(ひろゆき)。社会科の教師でバスケ部の顧問。チズ、カコ、キリエの担任でもある。実態は、盗撮などちゃちな悪行の常習者で、学校でも問題視されている。
小説版:国防軍病院に入院までの経緯は、チズの項で語られた内容以外はほぼ原作準拠となっている。ただしすぐに釈放された(監視はついている模様)点が異なり、その後マーヤと接触を持つようになる。マーヤから提供された情報を世間に暴露するが、それがきっかけで世界各地に核弾頭が落ちる羽目になる。その後の登場はないため、生死不明。
多々良 惣二(たたら そうじ)
声 - 川島得愛
児童虐待を得意分野にする弁護士だが、ジェンダーを入れ替えた幼児プレイ専門でマゾ、すなわち自分が少女になりきって母親役から虐待されるプレイを好む性癖の持ち主。売春で金を稼ごうとしたナカマの前に客として現れるが、そのことが目的ではなく、無償で金を用立てることを申し出た。それを断られた際、ナカマに美子と同じ心の強さを感じている。
アニメ版:製薬会社のMR。営業先の産婦人科で美子と知り合った。ナカマから売春の斡旋を頼まれた、美子の知人のナベさんの頼みに応じて、客の風を装ってナカマの下へ現れる。
小説版:「美子が死亡している」「マコが阿野家の養女となっている」等に伴う変更以外は原作準拠。本人曰く、「美子さんは僕をまるで娘のように扱ってくれた」とのこと。
小田(おだ)
声 - 本多陽子
ナカマのクラスメート。小学校の頃から同級生であったが、ナカマの母のことで、自分の母と揃ってナカマを侮辱していた。男とラブホテルに滞在していて敵の襲来に気付かなかったところをナカマに救出され、卑屈な「いい子」であることを捨てたナカマに殴打されたことで、心を改める。ナカマの戦いの後、ナカマの死を自らの責任と悔い続ける美子の病室を訪れていた。
アニメ版:ホテル滞在の描写はなく、ナカマに救出されることも殴打される描写もなし。従って改心のシーンもない。
本田 市子(ほんだ いちこ)
声 - 千葉紗子
チズの4歳上の姉。人の善なる部分を信じ、悪なる部分を受け止めようとする性格で、チズからの敬愛が篤い。
アニメ版:チズとの年齢差は少なくとも7歳以上。
阿野 和宏(あの かずひろ)
声 - 保村真
マキの父。小太りの中年男性で、突き抜けたロボット系・軍事系オタクにしてコレクターだが、娘に対しては深い愛情を持って接しており、また娘からも感謝と尊敬を受けている。マキが突然いなくなった後、会社を休み必死で娘を捜し、ウシロとマチの訪問時にはすっかり痩せていた。
小説版:マコの父。下の名前は小説版で明らかになり、「特別ヘン」に引き継がれている。小説版では、「若い頃のコスプレ制作の経験からか裁縫が得意」と言う設定も追加。子供達のユニフォーム制作に貢献する事となる。戦闘の直前に真実を知って絶望するが、マコの決意を真摯に受け止めて彼女を見送り、≪白猿≫との戦闘の際にも避難せずに自宅から応援し、自分の娘の戦いを見守る。
マキの母
かつてなかなか実子に恵まれず、夫とともにマキを養女として引き取り娘として大事に育ててきた。マキの後押しで不妊治療を行っており、本作開始時点では出産間近。
往住 明(とこすみ あきら)
声 - 古澤徹
ニュースキャスターとして国民的知名度を持つ、アンコの父親。真面目な仕事一辺倒な人物だったためか、アンコがジアースと関わっている事を知るまで面と向かって話し合う事がなかった。軍の選んだ情報を報道する役割をしてしまっていることについて苦しむ。娘の死を見届けた後は、残りの子供達への協力を惜しまず、最終戦となったウシロの戦闘時にはコクピットに同乗し、カメラを持って彼の戦いを見届けた。
アニメ版:容姿や性格はアニメ版オリジナル。田中、古茂田と組んで、自らがキャスターを務めるニュース番組でジアースを巡る政府財界の動きを追及しようとしたが、自身の不倫が公になり、計画は頓挫する。
狩田 淳二(かりた じゅんじ)
ジアースのパイロットが子供であるという情報が世間に流出した後、自らをパイロットと偽ってマスコミに登場した中学二年生の少年。両親の不和を解消しようと考えての行動だったが、直後にジアースの戦闘による犠牲者の遺族によって殺された。子供達からは名前をもじって「カタリ君」と呼ばれた。この行動のために、徃住明の番組でアンコをパイロットとして発表しようとした軍の計画は潰れてしまう。が、同時に流出した自然学校参加者リストは意味を失い、結果的に子供達は彼の行動によって救われた事になる。以後、子供達に対する身辺警護は厳重となった。
田中 未来(たなか みく)
田中美純の実の娘。ウシロとの血の繋がりを持つ本当の(異父)妹。
阿野 一記(あの かずき)
マキの戦闘の後に生まれた彼女の弟。
ウシロの父
中学校教師で、かつて教え子であった田中が産んだ子(ウシロ)を養子として引き取り、後に産まれた実子のカナと共に育ててきた。ウシロとの関係はよそよそしいものであったが、彼なりに息子への愛情は持っており、ウシロがジアースに召喚されて消えた後は、ショックで自宅の物に当たり散らした上出勤することも出来なくなり、心配した教え子達が自宅に訪ねてくるまで引きこもっていた。
アラクネII(ガリア)のパイロット
敵性地球人。マキの対戦相手でアラクネII(アニメ版ではガリア)のパイロットであった男。彼との戦いで、敵の正体が判明した。戦いに敗れて死亡。
エニグマIIのパイロット
敵性地球人。原作のキリエの対戦相手でエニグマIIのパイロットであった眼鏡の少女。左腕にいくつかのリストカットの跡がある。作者のお気に入りのキャラであるらしい。アニメ版にマチの地球の人間で彼女と同じ姿をした少女=委員長(声:堀江由衣)が登場している。
ハムバグのパイロット
敵性地球人。原作のコモの対戦相手でハムバグのパイロットであった中年の男性。戦いの前日に自分の娘を特別災害の被災者に殺されてしまい、自分の地球への執着を無くしていた。戦闘では優勢を収めたが、コモに自分の娘の面影を見たためか勝利目前で戦闘を放棄して逃走する。その後、コモの演奏で彼女の地球の存亡を決めようと黒コエムシと共にコモのコンサート会場に現れ、演奏を聞いて彼女の地球を残すと決めて会場を去った。最期はコモの父・巴の手によって射殺された。登場した敵のパイロットの中で唯一彼のみが言葉を喋った。
ウシロ編の敵パイロット
敵性地球人。原作のウシロの対戦相手であった女性。頭と右目に包帯を巻いている。戦闘には敗れたが、敵のコエムシの策略によってウシロがコックピットを突き破ったのに乗じて逃亡する。最期はウシロによる無差別攻撃の中で命を落とした。

アニメ版にのみ登場する人物

榊原 保(さかきばら たもつ)
声 - 室園丈裕
暴力団「穂走会」の元構成員。田中の夫である蓮木一郎を「若」と呼び心から慕っていた。蓮木の敵討ちを果たし殺人罪で懲役20年の判決を受けたが、模範囚として10年で出所した。出所後早々に子供たちの身辺警護を依頼される。刑務所で作っていたらしく棚についてとても詳しい。ジアースの全戦闘が終わった後にはフリースクール「コナラ学園」の手伝いをしている。
古茂田 孝一(こもだ こういち)
声 - 谷口節
アニメ版におけるコモの父親。「野党の鉄の壁」と呼ばれる有力国会議員。政府を追求してジアースの秘密を明るみに出そうとする。他の議員から頑固オヤジと言われている。
吉川 光枝(よしかわ みつえ)
声 - 新田万紀子
アニメ版におけるカンジの母親。認知工学研究所教授で、ジアースのメカニズム研究を依頼される。仕事に没頭し家庭を顧みないことをカンジになじられている。コモの父や田中が財界に狙われていて殺されることも知っていたらしい。
桂木(かつらぎ)
声 - 斧アツシ
内閣調査室室長。
長谷川 豊治(はせがわ とよはる)
声 - 菅生隆之
日本財界の大物で、政界のフィクサー。ジアースを利用し、国際条約で禁止されていた無人兵器の限定的解除を画策する。古茂田孝一や田中美純を殺させた張本人のような発言がある。
宇白 要次郎(うしろ ようじろう)
声 - 樫井笙人
ウシロとカナの父親。妻の死後、山里にフリースクール「コナラ学園」を設立し運営している。兄妹への愛情は篤い。
蓮木 一郎 (はすき いちろう)
声 - 津田健次郎
「穂走会の昇り竜」と称されたヤクザ。若年ながら独自の存在感を発揮し、数々のヤクザの抗争を無血で手打ちさせることに成功する。28歳の時、当時16歳の高校生だった田中を見初め結婚して一児を授かったが、その後間もなく子分の敵討ちに出向き死亡した。ウシロに顔も趣味も似ている。

小説版の登場人物

原作の15人の子供からはダイチ、モジ、マキ(以上3人は小説版にも登場するが中心人物ではない)、ナカマ、マチの5人が省かれており、代わりに以下の4人が登場する。また、カナは原作同様一度はウシロにゲームへの参加を止められるが、マリアが隙を見て契約を結ばせる。

倉坂 梢(くらさか こずえ/コズエ)
中学1年。車椅子の少女。自然学校で積極的に介助してくれたワクと親しくなる。ハンデキャップを持ちながら何不自由なく暮らせる時代に感謝しながらも、何をしても「足が悪いのに偉い」としか評価されないという不満を抱いてもいた。パイロットに選ばれ、自分の力で世界を救えると喜ぶ。
1人目のパイロット。立つイメージを持てない為に苦戦するが、ワクのサポートと、敵が東京に攻撃をかけない事を利用しての格闘戦誘導が決め手となり快勝する。しかしその直後、ジアースの上で立ち上がり自分の足で歩いた所をワクに見せた後ジアースから転落した。この戦闘の痕跡は一切残っておらず、更に戦闘場所で見たはずの東京タワーは20年前に解体されていた。
柊 つばさ(ひいらぎ つばさ/ツバサ)
中学1年。原作のツバサと同一人物で、モジと立場が入れ替わった事以外は、人間関係等の変更はない。
モジとナギを守るために戦うが、マーヤに唆されたモジがナギを殺す様子を見てしまい、戦意を喪失する。「ナギはまだ生きている」と言うキリエの嘘により戦意を取り戻して敵を倒すが、冷たくなってゆくナギに口づけしたまま息絶えた。
阿野 摩子(あの まこ/マコ)
中学1年。原作のナカマ本人であるが、小説版の世界では、早くに母親の美子を亡くしており、そのタイミングで阿野家の養子になった。このため、小説版の主人公達の世界ではマキは登場しない。基本的な性格はナカマのものだが、育ちの違いによりオタク趣味などのマキの性格も承継している。ユニフォームを作る展開や、ベビーベッドが移動しない不具合など、ストーリーも原作のマキとナカマを統合したものになっている。
一之瀬 マリア(いちのせ マリア/マリア)
中学1年。この年齢の女子としては長身の部類。アフリカ系アメリカ人で海軍士官の父と日本人の母の間に生まれたハーフで、日米の二重国籍を有する。軍事オタクで時には「ヘンなガイジン」も演じるが、本質は歳ににつかわしくない理論家。ジアース内の椅子は、何故か畳の上に敷いた座布団。更に、彼女の要請によりコエムシに用意させた座布団に、椅子が用意されていたカナを座らせている。
第9章(マコのエピソード)で、「ベビーベッドはチズの子供の椅子」「最後にカナが座った椅子は、本当はマコの椅子」という推論から、「未契約者はカナ」ではないかと推理したが、それは「カナが未契約者であってほしい」という願望から出たものであった。パイロットの順番が回ってくると、自ら日本国籍を捨て、アメリカ人として父の居るアメリカに渡り、日米が一触即発の段階にある事態の打開を図るが如何ともし難く、肝心の≪大烏≫との戦も大統領を人質に取られたアメリカが敵への協力をした事から苦戦に陥ってしまう。関の捨て身の行為が幸運を呼び(彼の体内で変質した黴に敵がやられる)辛くも勝利した後、両親の再会を見届けながらこの世を去った。

その他

槇島 摩耶子(まきしま まやこ/マーヤ)
年齢は不詳だが、見た目は子供達と同年輩の少女。真夏の海辺に黒一色のワンピースという服装で現われ、子供達をゲームに誘い契約を結ばせる。空間を自在に行き来するなど、「魔法少女」とも言うべき能力を持ち、子供達の戦闘のアドバイザーとなる。原作での「最初に現れたココペリ」とコエムシに相当する役割を担う。≪人形≫内では、マリアの隣に座ったため空席となったカナの椅子に座っている。マリア曰く「性悪ゴスロリ女」。
子供達に対しては見下すような、そして心を見透かしているような態度を取る。また、目の前の大惨劇にも一切動じない、場違いなくらいの冷静さの持ち主でもある。一方で、ゲームのルールやその存在を全面的に肯定してはいないような一面も見せ、その際はわずかに感情のゆらぎが垣間見える。
表面では子供達の戦いに全面的に協力しているが、一方では子供達の影でモジや畑飼に接触し、またアメリカ合衆国大統領に面会し、日本がジアースを利用する「虚偽の陰謀」を示唆して日本を窮地に追い込むなど、行動原理には謎と矛盾が多い。名前は偽名で、本名は彼女が蒔いた種により軟禁状態の田中だけに「墓石に刻む名前の為」と称して教えている。
いくつものゲームを見てきたおかげか、やたらと敵の「人形」の能力について詳しい。
その素性は、別世界で生まれた田中の娘、田中未来であった。自分の地球にジアースがやってきた際に母親を戦闘途中で亡くし、そのことを嘲笑った父親違いの兄(ウシロ)を刺した。
数百もの世界をまたにかけ、ゲームのサポーターを担ってきた。実際の自分の肉体は保存され年をとっていなかったらしい。その目的はこの「ゲーム」を司っている神とでも呼ぶべき存在に挑戦することで、神が「人間」という種族に興味があるのではないかと仮定し、核戦争を起こすために暗躍したりなどして、《地球の人間を全て殺した上でゲームに勝たせる》ということを繰り返し、神に自分という存在がいるのだと認めさせ、その神と戦うことを目的とした。
しかしこの世界のモジと、信頼していたコエムシに騙されて、ついにゲームの参加者として戦うことになってしまう。母・田中を守るために戦うことを決意するが、彼女自身は相当な年月を生き続けてきたため、ジアースが思うように動かずに苦戦を強いられてしまうが、田中の犠牲によって辛くも勝利を収めた。死の直前にウシロに田中の遺言を伝え、今まで自身が犯した愚行の数々を悔やみながら死んでいった。
コエムシ
造形は基本的に原作と同じだが、若干たれ目に描かれ、顔の上半分が赤く、出っ歯のようなギミックがあり、漫画に登場する覆面泥棒といった外見。マーヤを「お嬢様」と呼び、そのアシスタントを務める。基本的な性格の悪さは原作と変わらないが、言葉遣いは慇懃であり、ジョークを飛ばす・子供達の言動に突っ込みを入れる・マコの作るコスチュームに密かに自分の分を期待するなど、愛嬌のある一面も見せる。
その正体はマーヤとは違う更に別世界の田中未来のお世話役だったようで、彼女の遺品であるリボンを頭の後ろに常に付けている。意外なことに女性。「ネクスト」以降のジアースのコエムシを引き続き勤めることになった。
≪教師≫
20代後半の男性。子供達が契約を結んだ後の最初の戦闘で戦い方を教え、姿を消した。原作での「二度目に現れたココペリ」に相当する役割で、マーヤとコエムシを「信用できない」と子供達に語ったのもココペリと同様。
ジョージ=ケンネル
3巻でマーヤが接触した、アメリカ合衆国大統領。大学時代の成績は悪く何度も落第しかかっていた。日本のアニメーションや特撮、フィギュアと言ったオタク文化を愛しており、それらが思考の基礎を成している部分が大きい。
≪大烏≫搭乗者達に脅され≪人形≫攻撃支援を余儀無くされるが、想定外の事態(関の肉薄)から脅していた当人達が持ち込んだウイルスに侵されてしまう。この醜態に対し彼が発した「墓穴を掘ったな」の一言に激昂した搭乗者のリーダーの手により射殺された。