W3事件
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W3事件(ワンダースリーじけん)は、1965年に漫画業界で起きた事件である。
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[編集] 概要
手塚治虫は『『週刊少年マガジン』に連載するW3』のキャラクターとしてリスのキャラクターを考案していたが、アニメ作品の『ソラン』に酷似したリスのキャラクターが登場するのを知ったため、リスをウサギに変更し1965年13号からの連載を開始したが、同誌に『宇宙少年ソラン』が連載されることを知り、『W3』は『マガジン』への連載を6回で終了した。その後、一部設定を変更し、ライバル誌であった『週刊少年サンデー』での連載が開始され完結に至った。
[編集] 事件の影響
W3事件、看板連載『8マン』の不祥事による連載中止、ちばてつやの『ハリスの旋風』の長期休載といった事態が重なり、『週刊少年サンデー』の部数50万部に対して、『週刊少年マガジン』は30万部と大差をつけられた。その責任を取る形で、マガジンの井岡秀次編集長は辞任している。それまでの手塚治虫はサンデーの中心的存在であり、『W3』は手塚の『週刊少年マガジン』初登場作品だった。この連載開始は、手塚の獲得が創刊以来の悲願だった『マガジン』編集部の要請に応えたものだったが、打ち切り事件で両者の関係は一気に悪化した。1969年と1970年に短編1作ずつを『別冊少年マガジン』に執筆したが、『マガジン』本誌は手塚と絶縁し、1974年に関係修復して読切『おけさのひょう六』や『三つ目がとおる』を載せるまで、9年間にわたり手塚漫画が『週刊少年マガジン』に登場することはなかった。
また、当時においても最大手出版社であった講談社との遺恨は、後年において手塚及び虫プロにとって蹉跌としか言えない事態となった。
井岡の後を継いでマガジン編集長に就任した内田勝は、さいとう・たかを、水木しげるといった貸本劇画で活動していた作家を積極的に起用し劇画路線を推進した裏には、W3事件での手塚への反発心があったと述べている。さらに1966年開始の『巨人の星』で梶原一騎を看板作家に掲げて以後の『週刊少年マガジン』は、青年向け路線で劇画ブームを巻き起こし、手塚に対抗していった。
[編集] 手塚治虫の発言(要約)
- 自分はテレビアニメとして自分の漫画を原作にした『ナンバー7』という作品を作成予定だったが、他の制作会社がよく似た企画を立てているということで、内容を変更して秘密機関員、星光一の活劇アニメとし、重要な脇役として超能力を持つボッコというリスを考案した。ところが、アニメ作品の『宇宙少年ソラン』にボッコと酷似したチャッピーというリスが出ているというので、リスをウサギにし、カモ、ウマを加え、更に光一の弟、真一を加え内容を大幅に変更してアニメ『W3』をなんとか形にした。その様な経過があり、『ソラン』に対する敵愾心を持っていたところに、漫画『W3』を連載していた『週刊少年マガジン』に漫画『宇宙少年ソラン』を連載するというので、漫画『W3』は打ちきった。『W3』に対しては愛着があったので、その後、筋書きを変えて『週刊少年サンデー』に最初から連載した。[1]
- 『ソラン』の連載が、『W3』と同時期に講談社の『少年マガジン』[2]で連載されるまでの経緯はほぼ同じである。その後、手塚は連載開始直後に、『ソラン』だけは載せないよう編集部に申し入れをしたが、講談社が『ソラン』の連載を始めたため、『ソラン』を載せるなら『W3』はやめると手塚が申し出たところ、講談社は『ソラン』を選択し、『W3』の打ち切りを通告してきたという。『ソラン』を勧めたスポンサーが講談社にとって上得意であることを当時手塚は認識しており、「この件では責任は誰にもない」と述べている。その一方で「くやしくて一晩泣いた」とも述べている[3]
[編集] 他の関係者の見解
- 虫プロダクション社員として脚本を執筆し、『宇宙少年ソラン』を放映したTBSにも出入りしていた、後にSF作家として活躍する豊田有恒がスパイと疑われ、これにより豊田は虫プロを離れることとなった。この件につき豊田は『日本SFアニメ創世記』(TBSブリタニカ、2000年)で、自分が犯人ではなく悪気のない他の作家のファン気質による行為が結果的に情報漏洩に繋がった、と自らの見解を述べている。
- 豊田と親しかった虫プロ文芸部の石津嵐による『秘密の手塚治虫』(太陽企画出版、1980年)
- 当時の少年マガジン編集部宮原照夫による『ビッグコミックONE』(2004年10月1日号・小学館)。
- ソランのコミカライズを担当した宮腰義勝はみなもと太郎に本件について訊ねられた際「……いやもう、何がなにやらサッパリわからんのですわ」と答えている(ゴマブックス『手塚治虫WORLD少年マンガ編これがホントの最終回だ!』より)
[編集] 関連文献
- 手塚治虫『手塚治虫アニメ選集5 W3・バンパイヤ・新宝島』(1978年、少年画報社)
- 手塚治虫『手塚治虫漫画全集 W3』3巻(1981年、講談社)
- 手塚治虫『W3』(1997年、講談社)
- 内田勝『「奇」の発想』(1998年、三五館)
- 豊田有恒『日本SFアニメ創世記 虫プロ、そしてTBS漫画ルーム』(2000年、TBSブリタニカ)
