2010年のドイツグランプリ (ロードレース)

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ドイツの旗   2010年のドイツグランプリ
レース詳細
2010年のロードレース世界選手権 全18戦中第8戦
決勝日 2010年7月18日
開催地 ザクセンリンク
開催コース 常設サーキット
3.671km
MotoGP
ポールポジション ファステストラップ
スペインの旗 ホルヘ・ロレンソ スペインの旗 ダニ・ペドロサ
1:21.817 1:21.882
表彰台
1. スペインの旗 ダニ・ペドロサ
2. スペインの旗 ホルヘ・ロレンソ 3. オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー


Moto2
ポールポジション ファステストラップ
イタリアの旗 アンドレア・イアンノーネ イタリアの旗 アンドレア・イアンノーネ
1:24.982 1:25.629
表彰台
1. スペインの旗 トニ・エリアス
2. イタリアの旗 アンドレア・イアンノーネ 3. イタリアの旗 ロベルト・ロルフォ


125 cc
ポールポジション ファステストラップ
スペインの旗 マルク・マルケス スペインの旗 マルク・マルケス
1:26.053 1:28.702
表彰台
1. スペインの旗 マルク・マルケス
2. 日本の旗 小山知良 3. ドイツの旗 サンドロ・コルテセ


2010年のドイツグランプリは、ロードレース世界選手権2010年シーズン第8戦として、7月16日から18日までドイツザクセンリンクで開催された。

概要[編集]

125ccクラス[編集]

125ccクラス予選では、ポイントリーダーのマルク・マルケスがコースレコードタイムを叩き出し、4戦連続となるポールポジションを獲得した。2番グリッドには1ポイント差のランキング2位に付けるポル・エスパルガロが続いた。またランキング3位のニコラス・テロル前戦カタルーニャGPのファイナルラップでの転倒により腰椎骨折の重傷を負っており、今回現地入りしていたもののドクターストップがかかり走行できず、チャンピオン争いで大きく後れをとることとなった[1]

日曜日の決勝では、シーズン初となるウェットレースが宣言された。レース序盤はレインタイヤを選択した地元勢のジョナス・フォルガーマルセル・シュロッターがレースをリードしていたが、徐々に路面が乾いていくと両者とも下位に沈んだ。その後はマルケスとエスパルガロが後続を大きく離してマッチレースを展開していたが、残り3周となった時点でエスパルガロが転倒し、マルケスが独走で5連勝を達成した。この結果マルケスはノーポイントのエスパルガロに対し26ポイント、欠場のテロルに39ポイントの大差を付けた。

2位にはランディ・クルメナッハブラッドリー・スミスサンドロ・コルテセエステベ・ラバトら最新ファクトリーマシン勢とのバトルを制した、型落ちのアプリリアRSWを駆る小山知良が入った。これは小山にとって、2007年のマレーシアGP以来の表彰台獲得となった[2]

Moto2クラス[編集]

Moto2クラス予選では、アンドレア・イアンノーネがまたも速さを見せ、3戦連続・シーズン4度目となるポールポジションを獲得した。2番手には地元アルネ・トーデが続いた[3]

決勝レースではイアンノーネがチームメイトのガボール・タルマクシを従えて後続を大きく離していたが、レース後半はポイントリーダーのトニ・エリアスが追い上げを見せ、残り6周となったときにイアンノーネからトップを奪った。そのままエリアスは差を広げ、シーズン3勝目を達成した。

3位争いは両者ともこのシーズンからロードレース世界選手権に復帰を果たしたフォンシ・ニエトロベルト・ロルフォの2人によって展開された。決着はファイナルラップ、30歳のロルフォが31歳のニエトのオーバーテイクに成功し、自身にとって2004年スペインGP(250cc)以来となる表彰台を獲得した。

ポイントランキングでは、トップのエリアスが2位のトーマス・ルティ(今回リタイヤ)に42ポイントのマージンを築いた[4]

MotoGPクラス[編集]

MotoGPクラスでは、第4戦イタリアGP脛骨開放骨折の重傷を負い欠場していたバレンティーノ・ロッシが5戦ぶりにレースに復帰した。予想よりずっと早かった実戦復帰にライバル達は、驚きと歓迎のコメントを残した[5]

土曜日の予選では、ホルヘ・ロレンソ車がエンジントラブルによりオイルを撒いてしまい、それに乗ったベン・スピーズランディ・ド・プニエが転倒、赤旗が掲示され一時セッション中断となった。コース上のオイル処理が終わった後再開となったセッションでは、マシンを乗り換えたロレンソがトップタイムを出し、4戦連続となるポールポジションを獲得した、以下フロントロウにはケーシー・ストーナーダニ・ペドロサが続き、ロッシは5番グリッドからのスタートとなった[6]

日曜日の決勝は、9周目にハイサイドを起こしたド・プニエが転倒し、それにアレックス・エスパルガロアルバロ・バウティスタが巻き込まれて多重クラッシュが発生、赤旗中断となった。ド・プニエは転倒後にミカ・カリオに左足を轢かれてしまい、脛骨腓骨を骨折する重傷を負った。グランプリにデビュー以来一度も欠場することなく連続出場を続けていたド・プニエだったが、その記録はロッシ(230戦)、マックス・ビアッジ(201戦)に次ぐ歴代3位の191戦でストップすることとなってしまった[7]

その後、中断前の順位を元にスターティンググリッドが組まれ、30周の予定を21周に減らして再レースがおこなわれた。10周目にペドロサがトップのロレンソを抜くと、そのまま差を広げて逃げ切りシーズン2勝目を挙げた。ロッシはストーナーと3位表彰台を巡ってのバトルを展開した結果、4位で復帰初戦を終えた。ポイントランキングでは、トップのロレンソと2位ペドロサの間には依然47ポイントの大差が残った[8]

MotoGPクラス決勝結果[編集]

順位 No ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 26 スペインの旗 ダニ・ペドロサ ホンダ 21 28:50.476 3 25
2 99 スペインの旗 ホルヘ・ロレンソ ヤマハ 21 +3.355 1 20
3 27 オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー ドゥカティ 21 +5.257 2 16
4 46 イタリアの旗 バレンティーノ・ロッシ ヤマハ 21 +5.623 5 13
5 4 イタリアの旗 アンドレア・ドヴィツィオーゾ ホンダ 21 +17.158 4 11
6 58 イタリアの旗 マルコ・シモンチェリ ホンダ 21 +17.757 8 10
7 69 アメリカ合衆国の旗 ニッキー・ヘイデン ドゥカティ 21 +17.935 15 9
8 11 アメリカ合衆国の旗 ベン・スピーズ ヤマハ 21 +20.957 13 8
9 40 スペインの旗 エクトル・バルベラ ドゥカティ 21 +22.000 6 7
10 33 イタリアの旗 マルコ・メランドリ ホンダ 21 +35.217 10 6
11 65 イタリアの旗 ロリス・カピロッシ スズキ 21 +45.042 14 5
12 15 サンマリノの旗 アレックス・デ・アンジェリス ホンダ 21 +45.204 17 4
Ret 36 フィンランドの旗 ミカ・カリオ ドゥカティ 0 アクシデント 11
NC 14 フランスの旗 ランディ・ド・プニエ ホンダ 第2レースにスタートできず 7
NC 19 スペインの旗 アルバロ・バウティスタ スズキ 第2レースにスタートできず 16
NC 41 スペインの旗 アレックス・エスパルガロ ドゥカティ 第2レースにスタートできず 9
NC 5 アメリカ合衆国の旗 コーリン・エドワーズ ヤマハ 第1レースでリタイヤ 12
  • グリッドは赤旗中断前の第1レースのもの。アレックス・アスパルガロとアルバロ・バウティスタは赤旗掲示後5分以内に自走でピットに戻れなかったため、再スタートが認められなかった。

Moto2クラス決勝結果[編集]

順位、 No ライダー Bike 周回 タイム/リタイヤ グリッド Pts
1 24 スペインの旗 トニ・エリアス モリワキ 29 41:57.745 3 25
2 29 イタリアの旗 アンドレア・イアンノーネ スピードアップ 29 +3.297 1 20
3 44 イタリアの旗 ロベルト・ロルフォ スッター 29 +6.574 12 16
4 10 スペインの旗 フォンシ・ニエト モリワキ 29 +6.781 17 13
5 17 チェコの旗 カレル・アブラハム FTR 29 +7.396 11 11
6 2 ハンガリーの旗 ガボール・タルマクシ スピードアップ 29 +9.555 5 10
7 50 オーストラリアの旗 ダミアン・カドリン ポンス カレックス 29 +9.697 22 9
8 77 スイスの旗 ドミニク・エガーター スッター 29 +11.373 9 8
9 65 ドイツの旗 ステファン・ブラドル スッター 29 +13.152 7 7
10 68 コロンビアの旗 ヨニー・エルナンデス BQR-Honda 29 +13.726 14 6
11 25 イタリアの旗 アレックス・バルドリーニ ICP 29 +15.802 16 5
12 16 フランスの旗 ジュール・クルーセル スッター 29 +17.666 31 4
13 8 オーストラリアの旗 アンソニー・ウエスト MZ-RE ホンダ 29 +25.927 19 3
14 61 ウクライナの旗 ウラジミール・イワノフ モリワキ 29 +26.476 28 2
15 19 ベルギーの旗 ザビエル・シメオン モリワキ 29 +26.626 25 1
16 53 フランスの旗 バレンティン・デビーズ ADV 29 +27.465 36
17 14 タイ王国の旗 ラタパー・ウィライロー ビモータ 29 +29.007 18
18 48 日本の旗 富沢祥也 スッター 29 +42.961 8
19 11 日本の旗 手島雄介 モトビ 29 +43.141 30
20 59 イタリアの旗 ニッコロ・カネパ フォースGP210 29 +43.277 39
21 9 アメリカ合衆国の旗 ケニー・ノエス プロモハリス 29 +43.580 35
22 71 イタリアの旗 クラウディオ・コルティ スッター 29 +44.171 23
23 32 ドイツの旗 サッシャ・ホンメル カレックス 29 +52.382 29
24 21 ロシアの旗 ウラジミール・レオノフ スッター 29 +1:04.234 37
25 55 スペインの旗 エクトル・ファウベル スッター 29 +1:19.211 27
26 88 スペインの旗 ヤンニック・ゲーラ モリワキ 29 +1'23.078 41
27 41 ドイツの旗 アルネ・トーデ スッター 29 +1:28.151 2
Ret 63 フランスの旗 マイク・ディ・メッリオ スッター 28 アクシデント 20
Ret 35 イタリアの旗 ラファエレ・デ・ロサ テック3 25 棄権 24
Ret 39 ベネズエラの旗 ロベルティーノ・ピエトリ スッター 24 アクシデント 38
Ret 3 イタリアの旗 シモーネ・コルシ モトビ 19 アクシデント 6
Ret 95 カタールの旗 マシェル・アル・ナイミ BQR-Honda 17 棄権 40
Ret 45 イギリスの旗 スコット・レディング スッター 10 棄権 15
Ret 6 スペインの旗 アレックス・デボン FTR 10 棄権 10
Ret 12 スイスの旗 トーマス・ルティ モリワキ 9 アクシデント 21
Ret 40 スペインの旗 セルヒオ・ガデア ポンス カレックス 7 アクシデント 32
Ret 60 スペインの旗 フリアン・シモン スッター 3 アクシデント 4
Ret 72 日本の旗 高橋裕紀 テック3 1 アクシデント 13
Ret 4 スペインの旗 リカルド・カルダス ビモータ 0 アクシデント 26
Ret 5 スペインの旗 ホアン・オリベ プロモハリス 0 アクシデント 34
Ret 52 チェコの旗 ルーカス・ペセック モリワキ 0 アクシデント 33

125ccクラス決勝結果[編集]

順位 No ライダー Bike 周回 タイム/リタイヤ グリッド Pts
1 93 スペインの旗 マルク・マルケス デルビ 27 41:28.274 1 25
2 71 日本の旗 小山知良 アプリリア 27 +17.578 7 20
3 11 ドイツの旗 サンドロ・コルテセ デルビ 27 +18.263 4 16
4 12 スペインの旗 エステベ・ラバト アプリリア 27 +19.098 9 13
5 38 イギリスの旗 ブラッドリー・スミス アプリリア 27 +19.713 3 11
6 14 フランスの旗 ヨハン・ザルコ アプリリア 27 +44.976 8 10
7 99 イギリスの旗 ダニー・ウェブ アプリリア 27 +53.243 10 9
8 7 スペインの旗 エフレン・バスケス デルビ 27 +53.302 6 8
9 50 ノルウェーの旗 ストゥーラ・ファーガーハウグ アプリリア 27 +53.589 22 7
10 61 ドイツの旗 ダニエル・カーセイニンガー KTM 27 +1:05.078 26 6
11 35 スイスの旗 ランディ・クルメナッハ アプリリア 27 +1:13.484 5 5
12 32 イタリアの旗 ロレンツォ・サヴァドーリ アプリリア 27 +1:13.719 25 4
13 5 フランスの旗 アレクシ・マスボー アプリリア 27 +1:21.679 14 3
14 78 ドイツの旗 マルセル・シュロッター ホンダ 26 +1 Lap 15 2
15 63 マレーシアの旗 ズルファミ・カイルディン アプリリア 26 +1 Lap 20 1
16 94 ドイツの旗 ジョナス・フォルガー アプリリア 26 +1 Lap 11
17 84 チェコの旗 ヤコブ・コーンフェール アプリリア 26 +1 Lap 16
18 86 ドイツの旗 Kevin Hanus ホンダ 23 +4 Laps 30
Ret 44 スペインの旗 ポル・エスパルガロ デルビ 24 アクシデント 2
Ret 60 オランダの旗 ミシェル・ファン・デル・マルク ランブレッタ 23 棄権 23
Ret 53 オランダの旗 ジャスパー・イウェマ アプリリア 16 棄権 12
Ret 15 イタリアの旗 シモーネ・グロツキー アプリリア 15 アクシデント 17
Ret 68 ドイツの旗 Toni Finsterbusch KTM 15 アクシデント 18
Ret 26 スペインの旗 アドリアン・マルティン アプリリア 14 アクシデント 19
Ret 87 イタリアの旗 ルカ・マルコーニ アプリリア 10 棄権 27
Ret 69 フランスの旗 ルイ・ロッシ アプリリア 8 棄権 24
Ret 62 ドイツの旗 マーヴィン・フリッツ ホンダ 7 棄権 29
Ret 85 ドイツの旗 Eric Hübsch アプリリア 6 棄権 28
Ret 72 イタリアの旗 マルコ・ラバイオリ ランブレッタ 4 アクシデント 31
Ret 23 スペインの旗 アルベルト・モンカヨ アプリリア 2 アクシデント 13
Ret 39 スペインの旗 ルイス・サロム アプリリア 0 棄権 21

脚注[編集]

参考文献[編集]


前戦
2010年のカタルーニャグランプリ
ロードレース世界選手権
2010年シーズン
次戦
2010年のアメリカグランプリ
前回開催
2009年のドイツグランプリ
ドイツの旗 ドイツグランプリ 次回開催
2011年のドイツグランプリ