圧縮空気車

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圧縮空気車 (compressed air car) は、圧縮空気内燃機関動力とする自動車のことである。単に空気自動車 (air car) とも。走行中に空気以外の排気ガスを出さない。タタ・モーターズインド)、MDIフランス)を含む複数の企業で、試作車の開発が推進されている。

歴史[編集]

機構[編集]

ガソリンディーゼルなどの動力は、燃料と混合して燃焼しにより膨張したガスでピストンを駆動させることにより発生する。対して空気自動車の動力は、タンクに貯蔵した圧縮空気をそのまま膨張させることにより、ピストン、あるいはタービンを駆動させることにより発生する。

圧縮空気を貯蔵するタンクに関しては、すでにISO規格が存在する(ISO 11439[1])。それによると、軽量化のため炭素繊維が用いられ、30MPaの圧縮空気を貯蔵することが求められる。

ガソリンディーゼル燃料と同規模の単位体積あたりのエネルギーを貯蔵する場合、供給圧力が最初と最後で大きく変動するので、電気自動車と同じようにレギュレータを必要とする。

長所[編集]

  • 車体を軽くできる(少ないエネルギーで車体を動かせる)。
  • 高価な素材をほとんど使わない。
  • 電気自動車のように電池やモーターに使うレアメタルが不要
  • 走行時のCO2NOx排出量がゼロ。
  • 製造コストが安い。
  • 既存技術の組み合わせだけで実現できる。
    • 高圧空気タンク、エンジン、コンプレッサーなど必要な部品はすでに市販品で長い実績のあるものが存在しているため新しく技術開発する必要がなく、開発製造が容易である。

短所[編集]

  • 現状の電気式エアコンプレッサーを使って圧縮空気を作る場合はエネルギー効率がガソリン車より少し良い程度でCO2排出量の削減に大きく貢献するとは言い難い。(効率のよい圧縮空気製造方法を生み出す必要がある)エネルギーコストとして見た場合、日本では電気でコンプレッサーを動かして圧縮空気を作る場合、ガソリン税などの税金まで含めたコストとして見れば同じエネルギーを得るのに必要なコストはガソリンより安くなる。
  • FRP樹脂のボディの場合、安全性に問題。
  • 現状のタンクでは航続距離が200km程度であり、航続距離伸ばすためには圧縮空気スタンドの普及、圧縮空気タンクの拡大・複数化や小型エンジンとのハイブリッドにする必要がある。
  • 日本の場合1MPa以上の圧縮空気は高圧ガス保安法により高圧ガスとして扱われ、空気を充填する作業が高圧ガス製造とみなされる。圧縮空気スタンドは高圧ガス保安法による法規制を受けるため設置場所が限られ、高圧ガス製造保安責任者が必須となる。
  • 圧縮空気タンクの定期点検が必要となる。高圧ガス装置となるためメンテナンスには普通の自動車整備士とは別の資格が必要になり、整備技術者の確保が問題になる。
  • 交通事故などで車が爆発して搭乗者や周囲の人間を死傷させる危険性がある。30MPaの圧縮空気が充填された高圧ボンベが破裂した場合は爆弾のように爆発する危険があり、高圧空気タンクの爆発による死傷事故は実際に起きている。
  • 気温による影響が大きい、高気温では空気ボンベの内圧が高くなり危険なため安全装置が必要になるが、これは高温地域では燃料が勝手に漏れて行くことになる。逆に氷点下の地域では空気が十分に膨張せず出力や走行距離が低下する。
  • 車内の冷暖房装備などに回すエネルギーの余裕が小さく、エンジンの熱源が無いため暖房装置を使うには別途燃料が必要になるか、空気で発電機を回す必要がある。

主要メーカー[編集]

MDIとタタ・モーターズ[編集]

MDIはタタ・モーターズと提携して空気自動車の共同開発をしている。MDIではMiniCATsとCityCATsの2車種を開発中である。MiniCATsは内燃エンジンと組み合わせて1000マイル走行できる。

OneCATsの価格帯はインドでの経済開発段階の顧客に届く$5,100から$7,800での販売を目指している[2]。OneCATsのインドでの販売権はタタ・モーターズが所持しているが、低エンジン温度の問題などにより当初より計画が遅れ、2009年12月の時点で2011年の発売予定となっている[3][4]

超軽量車体はFRPと射出フォームとアルミで作られ溶接ではなく接着材で接合される予定である[5]。エンジンは純空気エンジンとデュアルエナジーエンジンの2通りを予定している。デュアルエナジーエンジンは内燃機関としても作動する[6]

クオジタービン[編集]

フランスでは、クオジタービンを使ったハイブリッドエンジンの試作品を開発中である[7]

エレクトロテック エンタープライズ[編集]

エレクトロテック エンタープライズは電気空気自動車の新技術を開発する小規模な専門家集団である。

ホンダ[編集]

ホンダは、コンセプトカー「HONDA Air」を2010年のロサンゼルスオートショーに出展した[8][9]

トヨタ[編集]

2011年9月には、コンプレッサーを手がける豊田自動織機の社員で結成されたクラブが、空気エンジン車としては世界最高となる時­速129.15kmを記録した[10]

関連[編集]

脚注[編集]