ロテリア

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ロテリア
Lotería
Five lotería boards arranged in a fan
ロテリアのボード
別名 メキシカン・ビンゴ[1]
言語 スペイン語
運要素 高い
必要道具 カード

ロテリアLotería)は、ビンゴに類似したメキシコカードゲーム。番号の描かれたボールの代わりに絵柄の描かれたカードを利用する。全てのカードには番号が割り振られているが、多くの場合無視される。各プレーヤーには、無作為に選ばれた縦4枚x横4枚の1つのタブラ(tabla)[2]が配布される。

「ロテリア」(Lotería)は、スペイン語で宝くじを意味する。タブラは、絵が描かれた54種類のカードで構成されている。はじめに、読み手がデッキをシャッフルする。読み手はデッキからカードを1枚ずつ選び、読み上げる。カード名を読み取る前にカードに関連する詩を読み上げる場合もある。各プレーヤーはボードの上から読み上げられたカードを見つけ、チップを置くなどして目印をつける。チップには小石や瓶の王冠うずら豆(インゲンマメの一種)などが伝統的に用いられる。チップをおいたカードの形がテーブルを満たすか、縦・横・斜めの1列、もしくは「ポソ」(pozo)と呼ばれる正方形になるような中心部にある4枚といった事前に示されたパターンを満たした場合に「ロテリア!」と宣言することで勝者となる。

特に、ロテリアの伝統的な基本ルールで行われる変種に「ロテリア・デ・ポソ」(Lotería de Pozo)と呼ばれるものがある。この場合、プレイヤーはゲーム開始前「ロテリア」となることのできる縦・横・斜めの列やポソの数について決めておく。ポソには縦2x横2の4枚または縦3x横3の9枚が含まれる[3]

1996年にはロテリア・オンラインゲームとして、ロテリア・メヒカーナがオンライン対戦でできるようになった[4]

歴史[編集]

メキシコシティメキシコ国立自治大学ユニバーサム博物館でプレイされるロテリア。中南米原産のカカオについての展示の一環として。
トルーカにあるメキシコ大衆文化博物館での展示。
伝統的な勝利となる組み合わせ

ロテリアの歴史は古くまでさかのぼることができる。ゲームは15世紀イタリア王国で始まり[1]1769年スペイン帝国ヌエバ・エスパーニャ副王領[5](現在のメキシコ)へと持ち込まれた。元々、メキシコの上流階級の趣味として広まったが、次第に様々な行事によってスペインの伝統文化として定着するに至った。

ドン・クレメンテ・ジャックは1887年にゲームについてまとめた本を出版し[1]、現在の形にまとめられた。これにより、スペインの文化的アイコンの一つとしてアメリカ合衆国ヨーロッパ諸国でも人気を集めるようになった。中でも人気の商品(ロテリア・セット)は、ロテリア・レオ(Lotería Leo)、ガセラ(Gacela)、ロテリア・デ・ミ・ティエラ(Lotería de mi tierra)の3つである。

1930年代になると、カトリック教会は独自のロテリアの絵柄を考案した。これは、伝統的なロテリアの絵柄の代わりにキリスト教の絵柄を配置したものである。カトリック教会は、ロテリアに似た独自のロテリアのゲームボードを作り、人々の信仰心をさらに促進するための伝道活動に用いた[1]

カードと関連する詩[編集]

ハリスコ州チャパラカトリーナ人形。ドレスにはロテリアのカードが描かれている。

以下は、スペインで広く認知されている伝統的な54枚のカードである。各カードの名前と番号の下には、ゲームの場合によって、どのカードが引かれたかプレイヤーに伝えるために読み上げられる詩(スペイン語)を示す。ただし、他にも様々な動物やものを描いたいくつかの絵柄を持つ組み合わせが存在し、この限りではない。

Google Doodle[編集]

2019年12月9日Googleはロテリアを記念したGoogle Doodleを公開した[12]。このミニゲームでは、エル・アパチェ、エル・ボラチョ、エル・ディアブリト、エル・ゴリト、ラ・ムエルテ、エル・ネグリト、エル・ソルダド、エル・バリエンテの絵札を置き換えて、エル・アホロテ(ウーパールーパーの幼体、「アホロートル」)、エル・ブスカドル(「検索エンジン」)、ラ・コンチャ(メキシコの甘味パン、「コンチャ」)、エル・エロテ(トウモロコシの新鮮な穂)、エル・エモジ(「絵文字」)、エル・ゴロ(「キャップ帽」)、エル・グアカモレ(「ワカモレ」)、エル・ショロイツクィントレ(「毛のない犬」、メキシカン・ヘアレス・ドッグ)の絵札が登場する[要出典]。 ゲーム中に見つからないラ・スィレナとエル・グアカモレの絵札は、終了画面の背景に見ることができる。

2019年のGoogle Doodleでは日本はGoogleトップページへの表示の対象地域ではなかったが、2020年5月5日にはコロナ禍での外出自粛の呼びかけの一環として、4月26日から連日過去のGoogle Doodleのミニゲームが公開されているのに続き、「ロテリア」のDoodleも公開されることとなった。しかし、公開されているDoodleは2019年と同じく英語版のみである。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Villegas, Teresa. "History of La Lotería", www.teresavillegas.com
  2. ^ 英語の「table」(テーブル)に同じ、他のカードゲームで言うデッキにあたる
  3. ^ Lotería de Pozo”. www.maravillasoftware.com. 2018年10月20日閲覧。
  4. ^ How the Loteria Mexicana / Mexican Bingo became an online game?”. Maravilla Software. 2019年6月21日閲覧。
  5. ^ 江戸時代の日本では「ノビスパン」(濃毘数般)と呼ばれた
  6. ^ sirena」は英語の「siren」と同様、人魚サイレンを表す(サイレンの語源は人魚の鳴き声)。
  7. ^ 待つことを意味する「espera」と梨を意味する「es pera」をかけている(同音異義語)。
  8. ^ 注意を意味する「caso」と鍋を意味する「cazo」とをかけている(同音異義語)。
  9. ^ bola」ボールを意味するほかに、群衆、暴徒を意味する語。「bolón」はその最上級。
  10. ^ 鹿を意味する「venado」という語は「ve nada」(何も見ない)に通ずる。
  11. ^ 釣りでは音を出さずとも、魚の口に釣り針が引っ掛かっていることから。
  12. ^ Celebrating Lotería!”. Google (2019年12月9日). 2020年5月5日閲覧。

発展資料[編集]

外部リンク[編集]