ジョロウグモ

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ジョロウグモ
Nephila-clavata-f-eating-and-2-m.jpg
Nephila clavata
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: クモ綱 Arachnida
: クモ目 Araneae
: アシナガグモ科 Tetragnathidae
: ジョロウグモ属 Nephila
: ジョロウグモ N. clavata
学名
Nephila clavata L.Koch1878
和名
ジョロウグモ(女郎蜘蛛)
幼体と亜成体は複雑な斑模様を持つ。写真は亜成体。

ジョロウグモ(女郎蜘蛛、 上臈蜘蛛、学名 Nephila clavata)は、クモ綱クモ目アシナガグモ科に属するクモである。夏から秋にかけて、もっとも目立つクモである。北海道を除く日本朝鮮台湾中国に分布する。

日本のジョロウグモ属のクモとしては、南西諸島以南にさらに大きなオオジョロウグモ (N. pilipes) が生息する。

名前は女郎に由来すると一般的には考えられているが、一方で上臈(じょうろう)から来ているとも言われている。

目次

[編集] 生物的特徴

体長は雌で17-30mm、雄で6-13mm。雌の腹部には幅広い黄色と緑青色の横しま模様があるのが特徴であり、腹部下面に鮮紅色の紋がある。雄は雌に比べて小さく、色も褐色がかった黄色に濃色の縦じま模様である。

春に孵化し、雄で7回ほど、雌で8回ほど脱皮を繰り返して成体となる。成熟期は9-10月ごろで、この時期に交尾が行われる。交尾は雌の脱皮直後や食餌中に行なわれる。これは、交尾時に雌が雄を捕食してしまう危険があるため。10~11月ごろに産卵、樹木や建物等に白色の卵嚢をつくり、卵で冬を越す。幼虫は春に孵化し、まどいと呼ばれる集団生活を送った後、糸を使って飛んで行くバルーニングを行う。

ジョロウグモはJSTX-3というを持っており、興奮性神経の伝達物質であるグルタミン酸を阻害する性質がある。ただし、一匹がもつ毒の量は微量であり、人が噛まれたとしても機械的障害もない場合がほとんどである(ただし、オオジョロウグモの場合は軽度の機械的障害が起こる場合があるので注意が必要)[1][2]

[編集] ジョロウグモの網

ジョロウグモの網全景
網目の一部

ジョロウグモの網は、とても大きく、直径1mくらいのものもある。横糸が黄色いので、光が当たると金色に光って見える。

ジョロウグモの網は、いわゆるクモの網として、普通に知られている網の形、円網の一種だが、特殊な部分がたくさんある。円網は、ふつう、外側に「枠糸」があり、その枠の中に、中心から放射状にのびた「縦糸」と、同心円を描くように(実際には螺旋)張られた「横糸」からなり、横糸に粘液がついているものである。隣り合った縦糸の間の空間は扇形になり、そこに張られる横糸は、当然ながら中心から遠いほど長くなる。

ところが、ジョロウグモの網の場合、それぞれの縦糸間の横糸の長さが、中心近くでも、外側でもそれほど変わらない。これは、ジョロウグモの縦糸が、外に行くにつれて二又に枝分かれするように張られているからである。

横糸は黄色で、5~6本おきに間隔が開いているため、まるで楽譜のように見える。横糸の間隔をよく見ると、透明なジグザグの横糸が入っている。これは、横糸を張る前に張られる「足場糸」が残っているためである。この楽譜模様・ジグザグ模様は作りたての新しい網にはハッキリと見て取れるが、古くなり形が崩れるとただの格子模様になってしまう。横半分だけを作り直す習性もあり、このため 左右で模様が若干異なる網も見られる。

また、上の方に、横糸の張られていない縦糸の間がある。つまり、ジョロウグモは、横糸を張るときにぐるぐる回るのではなく、往復運動だけで横糸を張る。しかも、下の方で往復を繰り返すので、網全体は下へ伸びた形になっている。

網全体を見れば、円網に近い中心の網の前後に、立体的な補助の網を持っているのも特徴。

[編集] ジョロウグモをめぐる動物群集

ジョロウグモの網の端の方や、前後の補助の網に、仁丹のような銀色の粒の形のクモが見つかることがある。これはシロカネイソウロウグモといい、網に捕らえられたジョロウグモが相手にしないような小さな昆虫を拾って食べているとも言われている。南の地域では、一回り大きくて朱色のアカイソウロウグモも見掛ける。

また、枠糸の間に、小さなアシナガグモの幼虫が網を張ることがある。小型のクモは、狭いところでしか網を張れないから、枠糸を利用すれば、広い空間に出ることができる。つまりジョロウグモの網が小型のクモのための足場として利用されている。

ジョロウグモの摂食中の餌には、小さなハエが集まって、クモの反対側から餌をしゃぶっているのを見掛けることもある。

[編集] ジョロウグモとコガネグモ

かなり多くの地方でジョロウグモと同様に黄色の斑紋を持つ大型のコガネグモ類(コガネグモ科)も含めて「ジョロウグモ」と呼んでいるので注意を要する。次のように違いははっきりしているので、見分けるのは簡単である。

ジョロウグモ
夏以降に成熟し、秋に産卵する。網は大きくて下に長い馬蹄形で、白い帯はつけない。腹部は長い楕円形で、黄色と灰青色の横帯模様。
コガネグモ
初夏から夏にかけて成熟し、卵を産んで死んでしまう。網は標準的な円網で、そこにX形に白い帯(かくれおび)をつける。腹部は丸みを帯びた五角形に近く、黄色と黒の横帯模様。

なお、コガネグモには数種の近似種がいる。

[編集] 和名

文献にはジョロウグモの名は江戸時代から見られ、方言や誤用を含め、以下のような種を表していた[3]

和漢三才図会』の「ぢょらうぐも」は、内容や漢訳「絡新婦」からして Nephila clavata のこととされるが、他にはArgiope と思われる記載がされた文献もある。

1907年岸田久吉Nephila clavata にジョロウグモの和名を当てた。しかし1916年山鳥吉五郎Argiope bruennichii(現在の和名はナガコガネグモ)がジョロウグモであるとした。最終的に、岸田の命名が広まり現在に至る。

[編集] 脚注

  1. ^ 一寸の虫にも十分の毒 著者:川合述史 出版社:講談社 ISBN 4061542303 P.134-158
  2. ^ 新版 日本の有害節足動物 -生態と環境変化に伴う変遷 著者:加納六郎 篠永哲 出版:東海大学出版会 ISBN 4486016335 P.217
  3. ^ 八木沼健夫大熊千代子平嶋義宏『クモの学名と和名―その語源と解説』 ISBN 4873782589

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

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