シュールストレミング

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シュールストレミングの缶を開けたもの

シュールストレミング (Surströmming [sʉ̌ːʂtrœmːɪŋ]スーシュトレンミング) は、主にスウェーデンで食べられている缶入り食品。ニシンを塩漬けにして缶の中で発酵させた、漬物の一種である。スウェーデン近郊国、ノルウェー、フィンランドの一部地域でも食卓に上がる場合があり、隣国フィンランドでは「hapansilakka」「hapankala」という名称で呼ばれている。

シュールストローミングシュールストロミングシュルストレミングスールストロミングなどとも呼ばれる。その強烈な臭いから、「世界一臭い食べ物」と評されることもある。スウェーデン語で「スール (Sur) 」は「酸っぱい」を、「ストレンミング (strömming) 」はバルト海の「ニシン」を意味する。フィンランド語のhapansilakkaも同じ意味で、hapankalaは「酸っぱい魚」を意味する。

製法[編集]

通常、缶詰は中身が加熱殺菌されている為、缶の中で菌の繁殖・発酵は起こらない。しかし、シュールストレミングは春先の産卵期にある最も良い状態のニシンを獲り、の中にニシンと塩を交互に重ねて1か月から2か月漬け込んだ後、まだ発酵中のニシンを缶詰にして殺菌しない状態のままフタがされるため、密封後も缶の中では発酵が継続している。発酵が続くとガス二酸化炭素など)によって円筒形だった缶が丸く膨らむほどになる。こうした状態の缶はスウェーデン各地のスーパーマーケットでよく見られる。なお、殺菌を行わないこの食品は缶詰の定義から外れるため、日本ではJAS法などに基づき缶詰と標記できない。

解禁日は8月の第3木曜日。製品によっては気温が高いと発酵が進み過ぎてどろどろに溶けてしまうので食べる時期、製品の選択に充分注意する必要がある。商品によって切り身のままのもの、頭や腸も使っているもの、カズノコが一緒に入っているものなどがある。匂いや味は製品ごとに差があるため、インターネット上で行われている「試食会」等のレポートでは反応に差がある事がある。

魚を(通常では耐え難いほどの臭気を発する水準まで)極度に発酵させて保存し食用に供することは、塩を得にくく通常の塩蔵保存ができなかった北欧で中世に自然発生し、14世紀頃にはすでに広まっていた。19世紀に缶詰が実用化されて以降、缶の中で発酵を継続させる形式のシュールストレーミングが出現してきた。

臭い[編集]

気密性が高い缶の中で二次発酵を進めているのは、 Haloanaerobium と呼ばれる嫌気性細菌の1種である。この細菌が醗酵の過程で、強い悪臭を生成している。悪臭物質として、刺激臭のプロピオン酸、腐ったのような硫化水素、腐ったバターのような酪酸、酸っぱいにおいのする酢酸などである。

その強烈な臭いは、魚が腐った臭い、または生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭いともいわれる。臭気指数計ではくさやの6倍以上 (8070 Au) の値を示す[1]

2014年2月、ノルウェーにて25年間に渡り放置された缶詰が小屋から発見され、爆発物処理班と缶詰の専門家が出動して処理にあたった。中身は具材の原型を留めず液体状で臭気も酷く食用に堪えられなかった。[2]

食べ方[編集]

薄いパン(トゥンブロード)を、シュールストレミング、ジャガイモ、タマネギと食べる。

缶詰は内部で発生したガスによって缶自体が膨れている。開封する際にそのガスによって汁が勢いよく飛び出し、臭いが広範囲に拡散するため、屋外(噴出を抑えるため水中も含む)で開けることが推奨されている[3]。原産地では缶を開けるための専用の小屋も存在する。指定場所以外で開封した場合、犯罪となることもある[要出典]。 また、アクアビット(北欧の蒸留酒)で洗うと3~4割臭みが減る[4]

開け方はいくつか存在するが、缶を50°くらいに傾けて缶の上部に隙間を作ったうえで開ける方法が最も一般的である。

塩気が強いので、ジャガイモニラポテトサラダトマト赤すぐり赤カブを付け合わせにするか、スライスしたタマネギブラーナヤギ乳のバタークリームシナモンを加えたもの)とともに硬パンに載せて食べる。また室内で食べると臭気がなかなか消えないので、屋外で食べることが多い。場合によっては食べる前にウォッカなどの酒類、または牛乳などで洗うこともある。

主にスウェーデン北部で食べられ、南部などそれ以外の地域での消費量は少ない。

入手方法[編集]

多くの航空会社では、飛行中の気圧低下により内圧の高いシュールストレミングの缶が破裂して周辺の荷物に悪臭が染み付く恐れがあるとして、航空機内への持込みを禁じている[5]。このため、航空機より気圧変化が少ない船舶による冷蔵輸入以外では合法的に輸入できない。

2011年現在、上記の空輸禁止措置と日本政府によるニシンの IQ (輸入割当制度)による輸入量制限などで日本国内では川口貿易のみ輸入しているが、それ以外にインターネット通信販売でも購入が可能である。

効果[編集]

シュールストレミングは目に良いとされており、白内障や緑内障防止になると言われている。民間療法ではあるが実際に効果があったという声は数多い。しかし医学界では未だに認められていない。

比較[編集]

以下の比較からも分かるように、シュールストレミングの臭さはあらゆる食品の中でも際立っている。

シュールストレミング 8070
ホンオフェ 6230
エピキュアーチーズ(缶詰チーズ) 1870
キビヤック 1370
くさや(焼きたて) 1267
鮒寿司 486
納豆 452
くさや(加熱前の干物) 447
沢庵漬け(古漬け) 430
臭豆腐 420

数字はアラバスター単位 (Au) による測定。

公式Tシャツ[編集]

2012年4月、株式会社スペースアイランドが一般公募による「シュールストレミング公式Tシャツデザインコンテストの開催を発表。シュールストレミングの日本唯一の正規輸入代理店である川口貿易が公認するTシャツとして、本コンテストでグランプリに輝いた作品が商品化された[6]。 シュールストレミングの体験者のみが購入できるという条件があり、「買ったことがある」「食べたことがある」「においを嗅いだことがある」のいずれかを満たすことが必要。

脚注[編集]

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  1. ^ 小泉武夫『NHK人間講座テキスト「発酵は力なり~食と人類の知恵」』日本放送出版協会、2004年5月、ISBN 9784140841839
    社会実情データ図録
  2. ^ Norway: Potentially explosive 25-year-old tin of fermented herring disarmed but inedible. http://www.youtube.com/watch?v=Tm2EOq0JGYo&guid=ON&app=desktop
  3. ^ 小泉武夫『くさいはうまい』毎日新聞社、2003年、192-193頁 ISBN 4-620-31635-0
  4. ^ Nicheee!『食欲の秋!世界一臭い食品の食べ方』 2011年10月28日
  5. ^ Airlines ban 'foul' Swedish fish BBC NEWS 2006年4月1日
  6. ^ “世界一臭い食品”を着こなそう!「シュールストレミング公式Tシャツ」が本日より販売開始!- 朝日新聞

外部リンク[編集]