シュールストレミング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シュールストレミングの缶を開けたもの
シュールストレミングの缶を開けたもの

シュールストレミング (Surströmming) は、スウェーデンで食されている缶詰で、ニシンを塩漬けにし、缶の中で発酵させた漬物の一種である。シュールストローミング、シュールストロミング、シュルストレミングという言い方もする。その強烈な臭いから、「世界一臭い缶詰」などと呼称されることもある。

スウェーデン語でシュル (Sur) は「酸っぱい」を、ストロミン (strömming) はバルト海のニシンを意味する。

目次

[編集] 製法

通常の缶詰では、菌の繁殖・発酵は止まった状態で詰められる。しかしシュールストレミングは、春先の産卵期にある一番良い状態のニシンを獲り、の中にニシンと塩を交互に重ねて1ヶ月から2ヶ月漬け込んだ後、まだ発酵中のニシンを缶詰にして二次発酵させ、夏に食べる。解禁日は八月の第三木曜日。製品によっては気温が高いと発酵が進み過ぎてどろどろに溶けてしまうため、食べるタイミング、製品の選択に充分注意する必要がある。

発酵が半年から一年続くと、生じたガス二酸化炭素等)によって円筒形だった金属缶は丸く膨らむほどになってしまう。こうした状態の缶はスウェーデン各地のスーパーマーケットでよく見られるが、多くの航空会社では、飛行中の気圧低下により内圧の高いシュールストレミングの缶が爆発し周辺の荷物に悪臭が染み付くという被害を出す恐れがあるとして、航空機内への持ち込みを禁じているため[1]、基本的には航空機より気圧変化が少ない船舶による輸入が主流である。また、不特定多数が使用する公共の場においての開封はマナー違反として禁止されている場合が多い[要出典]

気密性が高い缶の中で二次発酵を進めているのは、Haloanaerobiumと呼ばれる嫌気性細菌の一種である。この細菌が醗酵の過程で、強い悪臭を生成している。悪臭物質として、刺激臭のプロピオン酸、腐った卵のような硫化水素、腐ったバターのような酪酸、酸っぱいにおいのする酢酸などである。

こうした発酵・保存方法の起源については、遠い昔、の値段が高かったため塩漬け食品も高く、その代用だったという説がある[要出典]

[編集] 食べ方

薄いパン(tunnbröd、トゥンブロード)にシュールストレミング、ジャガイモ、たまねぎを載せて食べる
薄いパン(tunnbröd、トゥンブロード)にシュールストレミング、ジャガイモ、たまねぎを載せて食べる

缶詰は内部で発生したガスによって缶自体が膨れている。開封する際にそのガスによって汁が勢いよく飛び出すため、屋内で開けない事が推奨されている[2]

その臭いは強烈で、魚が腐った臭い、あるいは生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭いともいわれる。臭気指数計ではくさやの6倍以上という値を示す[3]。塩気も強いため、ジャガイモニラポテトサラダトマト赤すぐり赤かぶを付け合わせにするか、スライスしたタマネギブラーナ(ヤギ乳のバターにクリームとシナモンを加えたもの)とともに硬パンに載せて食べる。また室内で食べると臭気がなかなか消えないため、屋外で食べることが多い。また、食べた後も胃の中で発酵し続けることも知られている[要出典]

主にスウェーデン北部で食べられ、南部などそれ以外の地域では消費量は少ない。

世界の臭い珍味としても知られる一方で、そのあまりに強烈な臭いで、食べ慣れない人(特に食物アレルギーを抱えてる人)が口にすると、最悪の場合、失神するケースもある[要出典]

[編集] 入手方法

以前は日本国内でも一部の商社などがシュールストレミングの輸入を行っており、通信販売のウェブサイトなどで購入できたが、2007年現在、上記の空輸禁止措置により日本での購入は非常に困難になっている。船舶による輸入も行っていないに等しい[要出典]

[編集] 脚注

  1. ^ Airlines ban 'foul' Swedish fish BBC NEWS 2006年4月1日
  2. ^ 小泉武夫『くさいはうまい』毎日新聞社、2003年、192-193頁 ISBN 4-620-31635-0
  3. ^ 小泉武夫『NHK人間講座テキスト「発酵は力なり~食と人類の知恵」』日本放送出版協会、2004年5月、ISBN 9784140841839

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク