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'''外国人'''(がいこくじん)とは、ある[[国家]]の[[国民]]から見て、その国家の[[国籍]]を有しない者のこと。日本においては、[[国籍法]]第四条に「日本国民でない者(以下「外国人」という。)」とあり、日本国民とは「日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。」とある<ref>{{Cite web | url = https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000147 | title = 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号) | website = e-Govポータル | accessdate = 2009-09-03 }}</ref>。また、外人(がいじん)とも呼ばれる<ref>「外人は、外国人を略した俗語」(類語研究会『似た言葉使い分け辞典』、創拓社出版、1991年、652 ページ より引用)</ref><ref group="注">「外人墓地」や「外人部隊」など公的な名称としても使われる。</ref>。
'''外国人'''(がいこくじん)とは、ある[[国家]]の[[国民]]から見て、その国家の[[国籍]]を有しない者のこと。外人(がいじん)とも呼ばれる<ref>「外人は、外国人を略した俗語」(類語研究会『似た言葉使い分け辞典』、創拓社出版、1991年、652 ページ より引用)</ref><ref group="注">「外人墓地」や「外人部隊」など公的な名称としても使われる。</ref>。


居住国の市民権を持たない者の権利の基盤に関しては、私的所有物の不当な没収やはく奪などを受けた場合に出身国政府である主権国家がその外交的保護権の行使として自国民の保護などを求める対外的市民権(external citizenship)、市民権を持たない居住者にも保障される外国人の権利(aliens'rights)、永住市民権保持者に認められる定住外国人の権利(denizenship)、人として保障される普遍的人権(universal personhood)などがあり内容には差異がある<ref name="karatani">{{Cite journal |和書 |author=柄谷 利恵子 |authorlink= |title=国境を越える人と市民権 グローバル時代の市民権を考える新しい視座を求めて |url=https://doi.org/10.4057/jsr.56.309|journal= 社会学評論|volume=56 |issue=2 |publisher=日本社会学会 |date=2005 |pages=309-328 |naid= |ref=}}</ref>。
== 概要 ==
「[[外国]]」人といっても、通常は、外国の国籍を有しているか否かではなく、自国の国籍を有しているか否かを問題にする([[日本]]の[[国籍法 (日本)|国籍法]]でもこの定義である)。そのため、自国との[[多重国籍]]者は外国人に含まれず、[[無国籍]]者や、国家と認められていない地域の市民は外国人に含まれる。


== 歴史 ==
外国人は一般に、就職や財産の所有、参政権などにおいて制約を受けるが、基本的な[[権利]]については多くの国で保障されている。外国人は[[帰化]]してその国の[[国籍]]を得て[[国民]]になれば、国民としての全ての権利を基本的には享受できるようになる。ただし旧国籍法下の日本、[[アメリカ合衆国]]など帰化国民の権利(主に[[被選挙権]]、公務就任権)を一部制限する国も存在する。
18世紀後半の[[フランス人権宣言]]や[[アメリカ合衆国憲法]]の[[権利章典]]は外国人の人権も含めて「人権」を規定する立場をとった<ref name="kondo" />。しかし、国民国家の成立やナショナリズムの高揚により、19世紀に制定された多くの憲法では自国の「国民」(共和制における市民、君主制における臣民)の権利を保障する傾向が強まった<ref name="kondo" />。


[[第二次世界大戦]]後は戦下の悲惨な経験から、人間の尊厳に基づく「人権」を追求する傾向がみられるようになり、人権のルネッサンスと呼ばれた<ref name="kondo" />。
外国人は滞在期間中、母国ではなく滞在する国の法律に従うことが求められ([[治外法権]]が認められている在外公館などを除く)、[[外国人登録制度|在留外国人登録]]することが義務づけられている。犯罪を犯した外国人は[[国外追放]]される場合がある。1950年前後の[[マッカーシズム]]([[赤狩り]])時代のアメリカでは政治的理由で多くの[[共産主義|共産主義者]]、[[アナキズム|無政府主義者]]の外国人が国外追放された。


[[国際人権規約]]のうち[[1966年]]の[[市民的及び政治的権利に関する国際規約]](自由権規約)は、おおむね「すべての人」の権利を定めるが、[[外国人参政権|参政権]]と公務就任権は「市民」の権利として定められており外国人には保障されていない<ref name="kondo" />。ただし、永住者などに一定の参政権を保障している国もあり、自由権規約委員会ではその場合には定期報告書への記載するよう締約国に求めている<ref name="kondo" />。
外国人は[[犯罪]]歴や病歴、出身国によって入国を拒否される場合がある(アメリカにおけるナチ関係者の入国拒否)。交戦中の国の場合、敵国の国民は入国拒否され、時には収容所へ[[隔離]]・収容されることもある。[[ギリシャ]]内にある[[アトス自治修道士共和国]]は宗教上の理由から女性と21歳未満の男性を特定の日を除いて入国を禁じている。


[[1985年]]には国連で「在住する国の国民でない者の人権宣言」が採択された<ref name="kondo">{{Cite web |author=近藤敦|url= https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100331943.pdf |title=外国人(移民)と人権 |publisher=外務省|work=国際協力と人権 変容する国際社会と「これから」の国際協力をみすえて(特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)) |accessdate=2023-05-06|pages=26-27}}</ref>。ただし「在住する国の国民でない者の人権宣言」は「宣言」ににとどまり国際的拘束力はない<ref name="kondo" /><ref name="karatani" />。
外国人は、滞在先の国で迫害を受けたりした場合には、母国に助けを求めることがある。例えば、1913年にアメリカで可決された[[カリフォルニア州外国人土地法|外国人土地所有禁止法]]に対して当時の日本の大使が日系[[移民]]を保護するために抗議している。その一方で、外国人にとって滞在先の国は母国における政治的[[迫害]]や[[貧困]]から逃れる場、[[難民]]をかくまってくれる場になることもある。


[[1990年]]には「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」(移民の権利保護条約)が制定されたが、発効までに10年以上を要し、国民を送り出している国を中心に批准され、外国人の受け入れの多い国では一般に批准されていない<ref name="kondo" /><ref name="karatani" />。
== 永住外国人、定住外国人 ==

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== 各地域における制度 ==
多くの政府は、旅行客などの短期間の滞在者と長期間滞在して就業する外国人とを区別し、後者により多くの権利を享受できるように配慮している。居住資格を得た外国人その国の国民と同等の権利を享受できる。ただし、[[外国人参政権]]、公務就任権、福祉サービス(特に現金受給型のもの)の受給権などは制限されることが多い。
=== イギリス ===
イギリスでは国籍は生地主義を基本としている<ref name="mitsubishi">{{Cite web |author=三菱UFJリサーチ&コンサルティング|url= https://www.moj.go.jp/content/001235911.pdf |title=諸外国における外国人受入制度に係る調査・研究報告書 |publisher=法務省|work=|accessdate=2023-05-06}}</ref>。ただし、1981年英国国籍法制定後は、イギリス本土生まれであっても、両親が本土生まれのイギリスの国籍者または定住者に限り自動的に市民権が付与されている<ref name="mitsubishi" />。

=== ドイツ ===
ドイツでは法制度上「外国人」は、EU加盟国の国籍を持つ外国人(EU市民)と、それ以外の国籍の外国人(第三国国籍者)に分けられている<ref name="mitsubishi" />。EU市民の出入国管理及び滞在については、EU自由移動法に定められている<ref name="mitsubishi" />。

連邦領域における外国人の滞在、職業活動及び統合に関する法律(滞在法)第2条により、[[ドイツ連邦共和国基本法]]第116条第1項のドイツ人の定義(ドイツ国籍を有する者、または1937年12月末以前に現在のドイツ国の領域内に、ドイツ民族に属する亡命者もしくは難民またはその配偶者もしくは子孫として受け入れられている者)に該当しない者が外国人にあたる<ref name="mitsubishi" />。

=== 日本 ===
日本においては、[[国籍法]]第四条に「日本国民でない者(以下「外国人」という。)」とあり、日本国民とは「日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。」とある<ref>{{Cite web | url = https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000147 | title = 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号) | website = e-Govポータル | accessdate = 2009-09-03 }}</ref>。


法律上、「[[永住]]」と「[[定住]]」は区別される<ref>[http://fukuoka-visa-assist.com/news/633/ 「定住者」と「永住者」の違いとは?]</ref>。また、日本では永住者は制度上、[[一般永住者]]と[[特別永住者]]に区別されている。
法律上、「[[永住]]」と「[[定住]]」は区別される<ref>[http://fukuoka-visa-assist.com/news/633/ 「定住者」と「永住者」の違いとは?]</ref>。また、日本では永住者は制度上、[[一般永住者]]と[[特別永住者]]に区別されている。
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{{Main2|• 戦前から日本国に居住している[[平和条約国籍離脱者]](朝鮮人・韓国人及び台湾人)とその子孫を対象とする制度で永住する外国人|特別永住者}}
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== 英訳 ==
英語では foreigner や alien と表現される。[[ジーニアス英和辞典]]における alien の項目では、alien は法律上の公式的な言葉で、foreigner が一般的と解説されている。法律上の表現も国によって異なり、米国では alien も foreign national も使われているが、英国では alien ではなく foreign national が使われている。また、英語圏では alien の一般的な意味は「宇宙人」や「異星人」なので注意が必要である{{要出典|date=2017年6月27日 (火) 02:24 (UTC)}}。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2023年5月6日 (土) 22:26時点における版

外国人(がいこくじん)とは、ある国家国民から見て、その国家の国籍を有しない者のこと。外人(がいじん)とも呼ばれる[1][注 1]

居住国の市民権を持たない者の権利の基盤に関しては、私的所有物の不当な没収やはく奪などを受けた場合に出身国政府である主権国家がその外交的保護権の行使として自国民の保護などを求める対外的市民権(external citizenship)、市民権を持たない居住者にも保障される外国人の権利(aliens'rights)、永住市民権保持者に認められる定住外国人の権利(denizenship)、人として保障される普遍的人権(universal personhood)などがあり内容には差異がある[2]

歴史

18世紀後半のフランス人権宣言アメリカ合衆国憲法権利章典は外国人の人権も含めて「人権」を規定する立場をとった[3]。しかし、国民国家の成立やナショナリズムの高揚により、19世紀に制定された多くの憲法では自国の「国民」(共和制における市民、君主制における臣民)の権利を保障する傾向が強まった[3]

第二次世界大戦後は戦下の悲惨な経験から、人間の尊厳に基づく「人権」を追求する傾向がみられるようになり、人権のルネッサンスと呼ばれた[3]

国際人権規約のうち1966年市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)は、おおむね「すべての人」の権利を定めるが、参政権と公務就任権は「市民」の権利として定められており外国人には保障されていない[3]。ただし、永住者などに一定の参政権を保障している国もあり、自由権規約委員会ではその場合には定期報告書への記載するよう締約国に求めている[3]

1985年には国連で「在住する国の国民でない者の人権宣言」が採択された[3]。ただし「在住する国の国民でない者の人権宣言」は「宣言」ににとどまり国際的拘束力はない[3][2]

1990年には「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」(移民の権利保護条約)が制定されたが、発効までに10年以上を要し、国民を送り出している国を中心に批准され、外国人の受け入れの多い国では一般に批准されていない[3][2]

各地域における制度

イギリス

イギリスでは国籍は生地主義を基本としている[4]。ただし、1981年英国国籍法制定後は、イギリス本土生まれであっても、両親が本土生まれのイギリスの国籍者または定住者に限り自動的に市民権が付与されている[4]

ドイツ

ドイツでは法制度上「外国人」は、EU加盟国の国籍を持つ外国人(EU市民)と、それ以外の国籍の外国人(第三国国籍者)に分けられている[4]。EU市民の出入国管理及び滞在については、EU自由移動法に定められている[4]

連邦領域における外国人の滞在、職業活動及び統合に関する法律(滞在法)第2条により、ドイツ連邦共和国基本法第116条第1項のドイツ人の定義(ドイツ国籍を有する者、または1937年12月末以前に現在のドイツ国の領域内に、ドイツ民族に属する亡命者もしくは難民またはその配偶者もしくは子孫として受け入れられている者)に該当しない者が外国人にあたる[4]

日本

日本においては、国籍法第四条に「日本国民でない者(以下「外国人」という。)」とあり、日本国民とは「日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。」とある[5]

法律上、「永住」と「定住」は区別される[6]。また、日本では永住者は制度上、一般永住者特別永住者に区別されている。

脚注

注釈

  1. ^ 「外人墓地」や「外人部隊」など公的な名称としても使われる。

出典

  1. ^ 「外人は、外国人を略した俗語」(類語研究会『似た言葉使い分け辞典』、創拓社出版、1991年、652 ページ より引用)
  2. ^ a b c 柄谷 利恵子「国境を越える人と市民権 グローバル時代の市民権を考える新しい視座を求めて」『社会学評論』第56巻第2号、日本社会学会、2005年、309-328頁。 
  3. ^ a b c d e f g h 近藤敦. “外国人(移民)と人権”. 国際協力と人権 変容する国際社会と「これから」の国際協力をみすえて(特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)). 外務省. pp. 26-27. 2023年5月6日閲覧。
  4. ^ a b c d e 三菱UFJリサーチ&コンサルティング. “諸外国における外国人受入制度に係る調査・研究報告書”. 法務省. 2023年5月6日閲覧。
  5. ^ 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)”. e-Govポータル. 2009年9月3日閲覧。
  6. ^ 「定住者」と「永住者」の違いとは?

関連項目