「天文単位」の版間の差分
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名称=天文単位| |
名称=天文単位| |
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記号=AU, au など| |
記号=AU, au など| |
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単位系=SI併用単位(SI単位で表される数値が実験的に得られるもの)| |
単位系=天文単位系、SI併用単位(SI単位で表される数値が実験的に得られるもの)| |
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定義=太陽の重力のみを受けガウス年を周期として円運動するテスト粒子の軌道半径| |
定義=太陽からのニュートン的重力のみを受けガウス年を周期として円運動するテスト粒子の軌道半径| |
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物理量=[[長さ]]| |
物理量=[[長さ]]| |
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SI=1.495 978 707 00(3){{E|11}} m| |
SI=1.495 978 707 00(3){{E|11}} m| |
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画像=[[File:Solar sys2.png|250px|太陽系]]}} |
画像=[[File:Solar sys2.png|250px|太陽系]]}} |
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'''天文単位'''(てんもんたんい、astronomical unit)は[[天文学]]で用いる[[長さの単位]]で、 |
'''天文単位'''(てんもんたんい、astronomical unit)は[[天文学]]で用いる[[長さの単位]]で、[[地球]]と[[太陽]]との平均的な距離をほぼ 1 とし、これは約1.5億[[キロメートル]]に相当する。 |
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天文単位は、[[惑星]]など[[太陽系]]内の天体間の距離を表すために一般にも広く用いられている。 さらに、太陽系内の天体の運動を表す[[天体暦]]においても、その基準となる'''[[天文単位系]]''' ([[:en:astronomical system of units|astronomical system of units]]) を構成する重要な単位のひとつである。 |
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天文単位を表す単位記号には揺れが大きく、[[国際天文学連合]] (IAU) は '''au''' を推奨するが、'''AU''' や '''a.u.''' も広く使われている。 [[国際度量衡局]]ではフランス語式に '''ua''' とするが使用例は少ない。 [[国際標準化機構]]は AU と定めている。 またドイツ語で AE, イタリア語で U.A., ロシア語で {{lang|ru|а.е.}} などのように各国語の表記にもとづいた略号が用いられることも多い。 この記事では以下、記号を用いる場合には AU を使用する。 天文単位は観測により決められる天文定数でもあり、その値を表すためには ''A'' のような定数を表す記号を用いて区別される。 |
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== 記号・定義・値 == |
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===記号=== |
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天文単位は「天文単位」とはっきり表記して用いられるほか記号でも表されるが、その表記にはゆれがある。 [[国際天文学連合]] (IAU) は記号を '''au''' とするものの<ref>{{cite conference |
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| author= Wilkins, G. A. |
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| title= The IAU Style Manual |
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| editor= McNally, D. |
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| booktitle= Transactions of the IAU |
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| year= 1989 | volume= XX B | pages= Siii–S50 |
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| conference= Proceedings of the 20th General Assembly |
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| location= Baltimore, MD |
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| publisher= Kluwer Academic Publishers |
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| isbn= 0-7923-0550-7 |
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}} ({{cite web |
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| title= SI Units |
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| work= Rules, Guidelines and Instructions for Proceedings |
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| publisher= International Astronomical Union |
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| url= http://www.iau.org/science/publications/proceedings_rules/units/ |
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| accessdate= 2010-11-07 |
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}}) §5.15 (p.S24).</ref>、[[国際標準化機構]] (ISO) や[[日本工業規格]] (JIS) は「略号」として '''AU''' とし<ref>ISO 30-1:1992<!--ISO 80000-3:2006-->, Annex A. {{cite web |
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| title= JIS Z 8202-1:2000 |
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| url= http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=835 | format= PDF |
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| accessdate= 2010-11-07 |
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}} 付属書 B (p.9).</ref>、どちらも多く用いられている。 [[国際単位系]] (SI) では「SI に属さない単位」としてフランス語 ({{lang|fr|unité astronomique}}) を略した単位記号 '''ua''' を与えているが<ref>国際単位系 (SI) 8版 (2006), 表7 (p.38).</ref>、日本や英語圏での使用例は少ない。 これら以外にも a.u. といった表記もしばしばみられる。 また上記の他に各国語の表記にもとづいた略号が用いられることも多く、例えばドイツ語では AE と表される。 |
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なお、天文単位の大きさを[[メートル]]など他の単位で表した値は、観測にもとづいて決められる[[天文定数]]でもあり、''A'' のような定数を表す記号を用いて表される。 この記事では以下、単位記号として用いる場合には AU を、天文定数として値を表す場合には ''A'' を使用する。 |
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===メートルで表した値=== |
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国際天文学連合 (IAU) 2009年天文定数では、この天文単位の大きさ ''A'' を[[メートル]]で表した値を次のように与えている。 |
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:<math>A = 1\;\mbox{AU} = 149\;597\;870\;700(3)\;\mbox{m} = 1.495\;978\;707\;00(3)\times10^{11}\;\mbox{m}</math> |
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ただし括弧内の数字は最後の桁を単位とする誤差を表す<ref>IAU 2009 General Assembly, Resolution B2. {{cite web |
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| title= IAU WG on NSFA: Current Best Estimates |
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| year= 2009 |
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| url= http://maia.usno.navy.mil/NSFA/CBE.html |
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| accessdate=2010-11-09 |
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}} {{cite journal |
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| author= Pitjeva, E. V. and E. M. Standish | year= 2009 |
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| title= Proposals for the masses of the three largest asteroids, the Moon-Earth mass ratio and the Astronomical Unit |
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| journal= Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy |
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| volume=103 | issue= 4 | pages= 365–372 |
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| doi= 10.1007/s10569-009-9203-8 |
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}} [[時刻系]]として[[太陽系力学時]] (TDB) を用いた値。</ref>。 |
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== 定義と値 == |
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=== 定義とその変遷 === |
=== 定義とその変遷 === |
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天文単位 |
天文単位は太陽と地球との距離を基準にして決められた。 地球は月や他の惑星による重力の影響([[摂動]])を無視すれば[[円]]に近い[[楕円]]を描いて太陽の周りを回っている。 この楕円軌道の長い軸の長さの半分を[[軌道長半径]]といい、この長さが天文単位とされた。 形式上、現在はこの定義は用いられていないが、差はごくわずかなものなので、厳密を求めなければ天文単位とは太陽をめぐる'''地球の軌道の軌道長半径'''、もしくは太陽と地球の間の平均距離とみなしてよい。 |
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1976年の[[国際天文学連合]] (IAU) 総会において定められた天文単位の定義はもはや地球の軌道とは関係しておらず、'''[[日心重力定数]]''' (helio­centric gravitational constant) ''GS'' と一定の関係をもつものとして決められている。 この日心重力定数とは[[万有引力定数]] ''G'' と[[太陽質量]] ''S'' との積である。 天文単位の大きさ ''A'' は、この日心重力定数の 1/3 乗(3 乗根)に比例する値として、 |
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:<math>A^3 = \left( |
:<math>A^3 = \left(\frac{D}{k}\right)^2 GS</math> |
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の関係により定められる。 ここで、''k'' は'''[[ガウス引力定数]]'''と呼ばれる観測によらず約束事として厳密に決まった定数([[定義定数]])で ''k'' = 0.017 202 098 95 である。 また ''D'' は 1 日の時間の長さを表す<ref>{{cite web |
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| title= XVIth General Assembly |
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| author=International Bureau of Weights and Measures | year=2006 |
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| year= 1976 |
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| title=The International System of Units (SI) (8th ed.) |
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| work= Resolutions adopted at the General Assemblies |
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| pages=p.126 |
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| publishers= International Astronomical Union |
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| url=http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_8_en.pdf | format=PDF |
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| url= http://www.iau.org/static/resolutions/IAU1976_French.pdf | format= PDF |
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}}</ref>。 |
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| accessdate= 2010-11-07 |
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}} Recommendation 1: IAU (1976) System of Astronomical Constants.</ref>。 |
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この天文単位の定義は、地球の代わりにおいたある仮想的な粒子の運動を基準としていると |
この天文単位の定義は、地球の代わりにおいたある仮想的な粒子(テスト粒子)の運動を基準としていると解釈できる。 いまこうしたテスト粒子が、最も単純に太陽からの[[ニュートン力学]]的な重力以外の力を受けず、重さは無視でき、その軌道は完全に円であるようなものだとする。 このとき粒子は、太陽に近ければより強い力を受けて速く公転し、遠ければより弱い力を受けてゆっくりと公転することになる。 そうした軌道のうち、[[公転周期]] ''P'' が ''P'' = (2<span style="font-family:serif;">π</span><!--font-famiy指定はブラウザの設定によりпのような字体になりにくくするため-->/''k'') ''D'' = 365.256 898 3... ''D'' となる円軌道の半径が 1 天文単位となる。 このとき ''k'' の値はテスト粒子が動く[[角速度]]を[[ラジアン]]/日で表しており、上式は[[ケプラーの法則|ケプラーの第3法則]]の関係 ''A''<sup>3</sup> (2<span style="font-family:serif;">π</span>/''P'')<sup>2</sup> = ''GS'' に他ならない。 この公転周期 ''P'' は'''[[ガウス年]]''' ([[w:Gaussian year|Gaussian year]]) と呼ばれ、地球の実際の公転周期である[[恒星年]]に近いものとなるよう定められているため、結果としてこの定義においても天文単位は地球と太陽の平均距離に近いものとなる<ref>国際単位系 (SI) 8版 (2006), 表7 注 (d) (p.38).</ref>。 |
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天体暦では、力学法則にもとづく理論的計算値が、太陽系内の天体のさまざまな観測データを最もよく説明できるように、惑星の質量([[太陽質量]] ''S'' に対する質量比)や太陽の[[扁平率]]などの天文定数を同時に決定する。 天文単位の大きさ ''A'' をメートルのような他の単位で決定することも、天体暦の構築において他の天文定数と同時に行われるが、メートルと天文単位との関係づけを行う観測データとしては近距離の惑星のレーダー測定によるものが直接的に最も威力を発揮している。 このとき暦が理論的に予測する天文単位での惑星表面までの距離 ''r''<sub>th</sub> と電波が片道で要する時間の測定値 ''t''<sub>obs</sub> とは、 |
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=== 天文単位の値 === |
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:<math>A = \frac{ct_\mathrm{obs}}{r_\mathrm{th}}</math> |
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[[国際天文学連合]] (IAU) 2009年総会では、この 1 天文単位をメートルで表した値を次のように与えている<ref name="USNO_asa_k6">{{cite web |
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の関係で結ばれることになる。 ただし、''c'' は[[真空中の光速度]]を表す<ref>荒木田・福島 (2008) pp.518–521.</ref>。 |
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| url=http://asa.usno.navy.mil/SecK/Constants.html |
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| title=2011 Selected Astronomical Constants |
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| work=The Astronomical Almanac Online |
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| publisher=Naval Meteorology and Oceanography Command, U.S. Navy |
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| accessdate=2010-05-18 |
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}} 日心重力定数を表す[[時刻系]]として[[太陽系力学時]] (TDB) を用いた値。</ref>。 |
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:<math>A = 1\;\mbox{AU} = 149\;597\;870\;700(3)\;\mbox{m} = 1.495\;978\;707\;00(3)\times10^{11}\;\mbox{m}</math> |
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ただし括弧内の数字は最後の桁を単位とする誤差を表す。 |
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===距離の例と他の単位との比較=== |
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上述のように天文単位の値をメートルのような他の単位系で決定するためには、日心重力定数を決定することと本質的に変わらない。 これは、太陽系内の天体のさまざまな観測データと、力学法則にもとづいた理論的計算値との比較によって、データを最もよく説明できる値として他の天文定数とともに決定される。 |
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天文単位の定義の変更により、元来 1 であった地球(地球・月系の重心)の軌道長半径は2000年においておよそ 1.000 002 61 AU となっている<ref>2000年の地球の軌道を楕円軌道として近似したときの値: {{cite web |
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| author= Standish, E. M. |
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| title= Keplerian Elements for Approximate Positions of the Majore Planets |
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| work= Solar System Dynamics |
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| publisher= NASA JPL |
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| url= http://ssd.jpl.nasa.gov/txt/aprx_pos_planets.pdf |
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| accessdate= 2010-11-07 |
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}}</ref>。 ただし、地球の軌道が楕円であるため、地球から太陽までの距離は一年の内に 0.983–1.017 AU 程度の範囲で変化する。 |
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太陽系内の惑星や彗星までの距離は天文単位を用いることで、概して扱いやすい大きさの値で表すことができる。 [[火星]]が最も地球に接近するときの両者の距離は 0.37 AU ほどであり、[[土星]]までは太陽からおよそ 9.5 AU、最も遠い惑星の[[海王星]]までは太陽からおよそ 30 AU である。 およそ 30 AU から 100 AU あたりまでは[[冥王星]]を初めとする[[太陽系外縁天体]]が広がるが、[[セドナ]]は[[遠日点]]が 1000 AU 近くにまで及ぶ。 |
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== 値の永年変化と増大の謎== |
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天文単位が太陽質量 ''M''<sub>☉</sub> に依存するため、太陽の質量の変化とともに天文単位の値は変化しうる。 太陽は[[核融合]]により質量の一部をエネルギーに変えて、やがて[[電磁波]]として放射し、また大気を[[太陽風]]として放出するので、1年あたりおよそ10兆分の1の比率で質量を失っていると見積もられている。 こうした減少はそのまま太陽からの重力の減少を意味し、すべての惑星の軌道半径と公転周期を増加させる。 一方、天文単位の仮想的なテスト粒子はガウス年という一定の公転周期が保障されると定義されているため、重力の減少とともに粒子は内側の軌道を取らねばならず、上述の式のように質量の減少の比率の 1/3 の比率で天文単位の大きさは減少する。 この天文単位の大きさの減少は理論上100年あたり 0.4 m ほどに相当する<ref name="Noerdlinger08">{{cite journal |
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| first=P.D. | last=Noerdlinger | year=2008 |
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| title=Solar mass loss, the astronomical unit, and the scale of the solar system |
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| journal=(preprint)<!--Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy--> |
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| volume= | pages= |
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| doi= |
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}} (arXiv: [http://arxiv.org/abs/0801.3807v1 0801.3807v1])</ref>。 |
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太陽系の外縁であり[[彗星]]のふるさとと思われている[[オールトの雲]]は数万天文単位あたりに広がっていると想定されており、通常このあたりが天文単位が用いられる限界である。 恒星間の距離を表すためには[[パーセク]]や[[光年]]が用いられる。 太陽系に最も近い恒星である[[プロキシマ・ケンタウリ]]までの 4.2 光年は天文単位に換算すれば 27 万天文単位となる。 |
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しかし、2004年にロシアのクラシンスキー ([[:en:Georgij A. Krasinsky|G. A. Krasinsky]]) らは、測定された天文単位の値がメートルに対して100年あたり 15±4 m の割合で増大しているとみられることを報告し、その後、このことは複数の位置天文学者によっても確認された。 この新たな謎の原因は明らかではなく、月や火星など近距離の天体を観測するときの電磁波の伝播に関する何らかの問題や、一定と考えられている万有引力定数の変化など、さまざまな要因について議論が行われている<ref name="Krasinsky04">{{cite journal |
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<div style="margin-left:2em">{{天文学の長さの単位}}</div> |
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| first=G.A. | last=Krasinsky | coauthors=V.A. Brumberg | year=2004 |
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| title=Secular increase of astronomical unit from analysis of the major panet motions, and its interpretation |
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| journal=Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy |
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| volume=90 | pages=267–288 |
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| doi=10.1007/s10569-004-0633-z |
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| url=http://iau-comm4.jpl.nasa.gov/GAKVAB.pdf | format=PDF |
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}}</ref><ref name="Arakida07">{{cite web |
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| author= 荒木田英禎 | date= 2007-09 |
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| title= 天文単位は永年増加するか!? 太陽系天体の精密位置測定からの新たな問題 |
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| url= http://www.jasmine-galaxy.org/pub/2007/arakida.pdf | format=PDF |
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| accessdate= 2010-05-27 |
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}}</ref><ref name="Arakida08">{{cite journal |
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| author= 荒木田英禎 | coauthors= 福島登志夫 |
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| title= 地球惑星間距離の永年的変化: 太陽系天体の精密位置計測からの新たな問題提起 |
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| journal= 日本物理学会会報 |
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| year= 2008 | volume= 63 | issue= 7 | pages= 517–523 |
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}} (NAID: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110006825784 110006825784])</ref><ref name="Noerdlinger08" />。 |
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== 天文単位の意義 == |
== 天文単位の意義 == |
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=== 太陽系のものさし === |
=== 太陽系のものさし === |
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[[ファイル:Aristarco.png|thumb|right|200px|アリスタルコスは月がちょうど半月に見えるときの地球 T から見た太陽 S と月のなす角 β を測定することによって、太陽までの距離と月までの距離の比を求めた。この比を求めるためには、地上の単位は必要としない。]] |
[[ファイル:Aristarco.png|thumb|right|200px|アリスタルコスは月がちょうど半月に見えるときの地球 T から見た太陽 S と月のなす角 β を測定することによって、太陽までの距離と月までの距離の比を求めた。この比を求めるためには、地上の単位は必要としない。]] |
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紀元前3世紀に[[アリスタルコス]]は、たくみな推論と観測により太陽は月の 18–20 倍遠くにあると結論した。 観測精度が悪くその値は実際とは大きく異なったものであったが、その幾何学的な推論は正しいものであった。 こうした比だけからは天体までの具体的な距離を知ることはできない。 しかし、太陽までの距離を天体の「ものさし」、天文単位、として長さの単位とみなすなら、アリスタルコスは月までの距離を天文単位で初めて科学的に求めたことになる |
紀元前3世紀に[[アリスタルコス]]は、たくみな推論と観測により太陽は月の 18–20 倍遠くにあると結論した。 観測精度が悪くその値は実際とは大きく異なったものであったが、その幾何学的な推論は正しいものであった。 こうした比だけからは天体までの具体的な距離を知ることはできない。 しかし、太陽までの距離を天体の「ものさし」、天文単位、として長さの単位とみなすなら、アリスタルコスは地上のものさしに頼ることなく月までの距離を天文単位で初めて科学的に求めたことになる<ref>{{cite web |
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| author= O'Connor, J. J. and E. F. Robertson |
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| title= Aristarchus of Samos |
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| year= 1999 |
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| url= http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/Biographies/Aristarchus.html |
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| publisher= School of Mathematics and Statistics, University of St Andrews, Scotland |
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| accessdate= 2010-11-09 |
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}} {{cite web |
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| author= 岩本卓也 |
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| title= 太陽までの距離: 太陽までの距離を測るアリスタルコス (Aristarchus) の実験 |
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| year= 2006 |
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| url= http://www.takayaiwamoto.com/Earth_Moon_Sun/ja_Distance_To_Sun.html |
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| accessdate= 2010-11-09 |
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}} Van Heiden (2005) pp.5–7.</ref>。 |
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17世紀の[[ヨハネス・ケプラー|ケプラー]]もまた観測データと幾何的関係を用い、試行錯誤と複雑な計算を繰り返しながら地球の軌道に対する[[火星]]の軌道をほぼ正しく再構成して見せた。 ケプラーの努力によって惑星の間の運動の相対的関係がよく記述できるようになり、ほどなく[[ニュートン力学]]によってその背後の力学的仕組みも明らかとなった。 仕組みが知られることによってケプラー的な運動との細かな食い違いを知ることもできるようになり、その後数世紀かけて[[天体力学]]は驚くほどの成功を収めることになった |
17世紀の[[ヨハネス・ケプラー|ケプラー]]もまた観測データと幾何的関係を用い、試行錯誤と複雑な計算を繰り返しながら地球の軌道に対する[[火星]]の軌道をほぼ正しく再構成して見せた。 ケプラーの努力によって惑星の間の運動の相対的関係がよく記述できるようになり、ほどなく[[ニュートン力学]]によってその背後の力学的仕組みも明らかとなった。 仕組みが知られることによってケプラー的な運動との細かな食い違いを知ることもできるようになり、その後数世紀かけて[[天体力学]]は驚くほどの成功を収めることになった<ref>{{cite web |
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| author= 庭田茂範 |
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| title= ケプラーによる地球・火星軌道決定法 |
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| work= インターネット・JAVAを利用した科学教育教材の開発と実践: 天上の法則の形成史と回転系におけるJAVA活用 |
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| publisher= 新潟大学大学院教育学研究科 |
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| year= 2000 |
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| url= http://kakuda.ed.niigata-u.ac.jp/semi/ob/thesis/99niwata_thesis2-21/space/kepler/kepler2.html |
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| accessdate= 2010-11-09 |
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}}</ref>。 |
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19世紀前半に天文学者たちが角度の1分(1° |
こうして惑星の動きは精密に予測できるようになったものの、一体それらの天体が地球からどの程度離れているかや、太陽や地球がどの程度の質量をもつのかをメートルや[[キログラム]]のような我々が地上で使っている馴染み深い単位を使って精度よく知るのにはやはり困難が伴った。 しかし、その具体的な値を精度よく知る必要もなかった。 アリスタルコスと同様に、地上のものさしに頼らなくても、太陽系そのものを基準とすれば、すなわち、メートルの代わりに天文単位を、キログラムの代わりに[[太陽質量]]を用いさえすれば惑星の動きは非常に正確に測定でき予測もできたのである。 例えば、19世紀前半に天文学者たちが角度の1分(1°の 1/60)に満たない[[天王星]]の位置の予測とのずれに頭を悩ませていたときも、それは惑星の質量やそこまでの距離が日常の単位でどれだけであるかということとは無関係の問題であり、天文学者はそのずれの原因として[[海王星]]を発見することができた。 よって、天文学にとって長さの単位として天文単位のような地上とは違う単位を用いるのは自然なことでもあり必然でもあった。 ここに天文単位が天文学で用いられてきた第一の意義がある。 |
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1809年、[[カール・フリードリヒ・ガウス|ガウス]]は、地球の軌道長半径を長さの単位、太陽質量を質量の単位、地球の 1 日を時間の単位とする単位系を与え、太陽系の運動を記述する基礎とした。 このとき導入された[[ガウス引力定数]] ''k'' は[[万有引力定数]]の平方根となるとともに、1 日あたり地球が太陽をめぐる角度を表すことになった。 この単位系が修正を受けた上で、現在用いられている国際天文学連合による1976年の'''[[天文単位系]]'''と天文単位の概念に直接引き継がれている。 この体系では、'''距離の天文単位''' ''A'' のほかに質量と時間の天文単位を定めている。 これらはガウスと同じく、'''質量の天文単位''' ''S'' として太陽質量、'''時間の天文単位''' ''D'' として 1 日、すなわち 24×60×60 = 86 400 秒を指す。 ただし普通はこれらの値が単に「天文単位」の名で参照されることはない<ref>{{cite web |
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| url=http://www.iau.org/public_press/themes/measuring/ |
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| title=The IAU and astronomical units |
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| work=Measuring the Universe, Public and Press |
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| publisher=IAU |
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| accessdate=2010-02-08 |
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}}</ref>。 |
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=== 距離の梯子 === |
=== 距離の梯子 === |
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天文単位は太陽系だけでなく、より遠くの恒星までの距離を定める長さの基準のひとつともなった。 距離を測るための最も単純明快な方法は、異なる2地点から対象を観測し、その方向の差([[視差]])と2点間の距離とから、三角形の[[幾何学]]を用いて対象までの距離を決めるという[[三角測量]]の方法である。天文学では比較的近い距離にある[[恒星]]までの距離を測る方法としてこの方法を用いる。同じ恒星を地球から1年間続けて観測すると、地球の位置が変わるため、より遠方にある背景の天体に対して対象の恒星の位置が動いて見える([[年周視差]])。この恒星の見かけの動きの最大の角度は地球の軌道の大きさと恒星までの距離で決まり、地球の軌道の大きさにほぼ対応する天文単位を用いて星までの距離を測ることができる。 この関係を用いて恒星までの距離の単位として用いられる[[パーセク]]が定義されている。 |
天文単位は太陽系だけでなく、より遠くの恒星までの距離を定める長さの基準のひとつともなった。 距離を測るための最も単純明快な方法は、異なる2地点から対象を観測し、その方向の差([[視差]])と2点間の距離とから、三角形の[[幾何学]]を用いて対象までの距離を決めるという[[三角測量]]の方法である。天文学では比較的近い距離にある[[恒星]]までの距離を測る方法としてこの方法を用いる。同じ恒星を地球から1年間続けて観測すると、地球の位置が変わるため、より遠方にある背景の天体に対して対象の恒星の位置が動いて見える([[年周視差]])。この恒星の見かけの動きの最大の角度は地球の軌道の大きさと恒星までの距離で決まり、地球の軌道の大きさにほぼ対応する天文単位を用いて星までの距離を測ることができる。 この関係を用いて恒星までの距離の単位として用いられる[[パーセク]]が定義されている。 |
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しかし、年周視差から距離を求めることができるのは近距離の天体に限られるため、より遠い距離を測るには様々な別の方法を使うことになる。その際、それぞれの手法が使える距離範囲はやはり限定されているため、年周視差で測れない距離は A という別の方法で、A で測れない距離は B の方法で、B で測れない距離は C の方法で、というように、別々の方法を用いていた。 こうした方法は測定技術が向上するとともに[[梯子]]の段のようにそれぞれの手法を「つないで」遠方の距離を決めていくことができるようになった |
しかし、年周視差から距離を求めることができるのは近距離の天体に限られるため、より遠い距離を測るには様々な別の方法を使うことになる。その際、それぞれの手法が使える距離範囲はやはり限定されているため、年周視差で測れない距離は A という別の方法で、A で測れない距離は B の方法で、B で測れない距離は C の方法で、というように、別々の方法を用いていた。 こうした方法は測定技術が向上するとともに[[梯子]](はしご)の段のようにそれぞれの手法を「つないで」遠方の距離を決めていくことができるようになった。この梯子の一段目に当たるのが地球の軌道の大きさである。(''詳細は「[[宇宙の距離梯子]]」を参照'') |
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=== 薄れる意義 === |
=== 薄れる意義 === |
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万有引力定数 ''G'' の不確かさから太陽質量 '' |
万有引力定数 ''G'' の不確かさから太陽質量 ''S'' そのものは太陽系の質量の単位としての座を明け渡す気配はないものの、現代では長さの単位に関しては地上と天体の梯子の段はひとつにまとまりつつある。 1960年代以降、太陽系の惑星や月までの距離を[[レーダー]]や[[レーザー]]、[[超長基線電波干渉法|VLBI]] を用いて直接に測定するという新しい観測技術が出現した。 これら電磁波の「ものさし」の登場によって地上の単位系の長さと太陽系の単位系の長さは今や 1 m 以下の精度で結び付けられるようになった。 これに伴って天文単位の永年変化のような、従来ほとんど無視しうるほどのものであった影響が現実問題になりつつある。 こうしたときに、太陽質量 ''S'' の値が天体の運動だけでなく「ものさし」であるべき天文単位にも影響するという現在の定義にはメリットが乏しく、天文単位の大きさをメートルに対して固定するといった近い将来の定義の見直しが避けられないという声が強くなっている<ref>{{cite web |
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| first=E.V. | last=Pitjeva | year=2005 |
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| title=High-precision ephemerides of planets — EPM and determination of some astronomical constants |
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| journal=Solar System Research |
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| volume=39 | pages=176–186 |
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| doi= 10.1007/s11208-005-0033-2 |
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| url=http://iau-comm4.jpl.nasa.gov/EPM2004.pdf | format=PDF |
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}} (trans. from {{lang|ru|''Астрономический вестник''}} '''39''': 202–213)</ref>。 これに伴って太陽質量の減少など、従来ほとんど無視しうるほどのものであった影響が現実問題になりつつあり、上述のような天文単位の増大のような新たな謎も明らかになってきている。 こうしたときに、太陽質量の減少が天体の運動だけでなく「ものさし」であるべき天文単位にも影響するという現在の複雑な定義にはほとんどメリットがなく、天文単位の大きさをメートルに対して固定するといった近い将来の定義の見直しが避けられないという声が強くなっている<ref name="Capitaine08">{{cite conference |
|||
| first=N. | last=Capitaine | coauthors=B. Guinot | year=2008 |
|||
| title=The astronomical units |
|||
| booktitle=Proceedings of the “Journées 2008 Systèmes de référence spatio-temporels” |
|||
| pages=pp.73–74 |
|||
| url=http://syrte.obspm.fr/jsr/journees2008/Capitaine2.pdf | format=PDF |
|||
}}</ref><ref name="Than08">{{cite web |
|||
| url=http://www.newscientist.com/article/dn13286 |
| url=http://www.newscientist.com/article/dn13286 |
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| |
| author= Than, K. | date=2008-02-06 |
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| title=‘Astronomical unit’ may need to be redefined |
| title=‘Astronomical unit’ may need to be redefined |
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| work=New Scientist |
| work=New Scientist |
||
| accessdate=2010-02-08 |
| accessdate=2010-02-08 |
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}} {{cite conference |
|||
| author= Capitaine, N. and B. Guinot | year=2008 |
|||
| title= The astronomical units |
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| booktitle=Proceedings of the {{lang|fr|“Journées 2008 Systèmes de référence spatio-temporels”}} |
|||
| pages= 73–74 |
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| url=http://syrte.obspm.fr/jsr/journees2008/Capitaine2.pdf | format=PDF |
|||
}} {{cite web |
|||
| author= Capitaine, N., B. Guinot, and S. Klioner |
|||
| title= Proposal for the redefinition of the astronomical unit of length (ua) through a fixed relation to the SI metre |
|||
| work= Scientific programme, Proceedings, {{lang|fr|Journées 2010 “Systèmes de référence spatio-temporels”}} |
|||
| publisher= {{lang|fr|SYRTE, l'Observatoire de Paris}} |
|||
| url= http://syrte.obspm.fr/jsr/journees2010/powerpoint/capitaine.pdf | format= PDF |
|||
| accessdate= 2010-11-08 |
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}}</ref>。 |
}}</ref>。 |
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== |
==値の永年変化と増大の謎== |
||
天文単位の定義が太陽質量 ''S'' に依存するため、太陽の質量の変化とともに天文単位の値は変化しうる。 太陽は[[核融合]]により質量の一部をエネルギーに変えて、やがて[[電磁波]]として放射し、また大気を[[太陽風]]として放出するので、1年あたりおよそ10兆分の1の比率で質量を失っていると見積もられている。 こうした減少はそのまま太陽からの重力の減少を意味し、すべての惑星の軌道半径と公転周期を増加させる。 一方、天文単位の仮想的なテスト粒子はガウス年という一定の公転周期が保障されると定義されているため、重力の減少とともに粒子は内側の軌道を取らねばならず、上述の式のように質量の減少の比率の 1/3 の比率で天文単位の大きさは減少する。 この天文単位の大きさの減少は理論上100年あたり 0.4 m ほどに相当するとされる<ref>Noerdlinger (2008).</ref>。 |
|||
一般に天文単位という場合、距離の単位としての天文単位を意味する。 しかし[[国際天文学連合]] (IAU) の1976年の体系では、距離の天文単位のほかに同じく天文単位 (astronomical unit) という呼称で時間と質量に対する特定の単位を定めている<ref name="IAU_au">{{cite web |
|||
| url=http://www.iau.org/public_press/themes/measuring/ |
|||
| title=The IAU and astronomical units |
|||
| work=Measuring the Universe, Public and Press |
|||
| publisher=IAU |
|||
| accessdate=2010-02-08 |
|||
}}</ref>。 時間の天文単位は[[SI単位系]]での1日(86 400秒)を、質量の天文単位は太陽質量を指す。 ただし普通はこれらの値が単に「天文単位」の名で参照されることはない。 これらは[[カール・フリードリッヒ・ガウス|ガウス]]が導入した歴史的な[[単位系]]の枠組みを修正の上受け継いだもので、これら距離・時間・質量の天文単位が組として太陽系の天体の運動を表すための単位系をなしている。 |
|||
しかし、2004年にロシアの[[ゲオルギー・クラシンスキー|クラシンスキー]] ({{lang|ru|Г. А. Красинский}}, [[:en:Georgij A. Krasinsky|G. A. Krasinsky]]) と[[ヴィクトル・ブルンベルク|ブルンベルク]] ({{lang|ru|В. А. Брумберг}}, [[:en:Victor A. Brumberg|V. A. Brumberg]]) は、測定された天文単位の値が実際にはメートルに対して100年あたり 15±4 m の割合で増大しているとみられることを報告した<ref>Krasinsky and Brumberg (2004).</ref>。 その後、類似の増大はアメリカの[[マイルズ・スタンディッシュ|スタンディッシュ]] ([[:en:E. Myles Standish|E. M. Standish]]) やロシアの[[エレーナ・ピチェーヴァ|ピチェーヴァ]] ({{lang|ru|Е. В. Питьева}}, [[:en:Elena V. Pitjeva|E. V. Pitjeva]]) によっても確認されている<ref>荒木田・福島 (2008) p.522.</ref>。 |
|||
== 距離の例と他の単位との比較 == |
|||
*地球の軌道長半径は約 1.000 000 11 AU<ref name="NSSDC_EarthFact">{{cite web |
|||
| url=http://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html |
|||
| first=D.R. | last=Williams | date=2009-05-20 |
|||
| title=Earth Fact Sheet |
|||
| publisher=NSSDC, NASA |
|||
| accessdate=2010-02-08 |
|||
}}</ref>。 |
|||
*[[冥王星]]は太陽から39.5AU。 |
|||
*[[木星]]は太陽から5.2AU。 |
|||
*[[月]]は地球から0.0026AU。 |
|||
この天文単位の増大という新たな謎の原因は2010年現在明らかではなく、さまざまな議論が継続している。 クラシンスキーらの報告はレーダーなどを用いた火星、金星、水星などの距離測定のデータにより得られたメートルと天文単位の関係のデータの蓄積から明らかになってきたものである。 レーダーでの距離計測は、電波の往復時間を精密に測定することで行われるので、天文単位の増加とはこの往復時間の、天体暦から予測される時間に対する非常にゆっくりとした増大と捉えることができる。 これには、天体暦の精度不足と天文単位の増大の可能性があるが、天体暦の精度は十分高いと評価され、太陽系全体がメートルに対して極めてゆっくりと拡大する天文単位の増大であると考えられた<ref>荒木田・福島 (2008) pp.521–522.</ref>。 この原因として太陽質量や万有引力定数の変化、宇宙膨張の影響などが検討されてきたが、いずれもその効果はあったとしても十分小さいと考えられており、満足な説明には至っていない。 |
|||
{{天文学の長さの単位}} |
|||
==天体の距離の探求== |
|||
== 他の単位で表した天文単位の値の決定の歴史 == |
|||
===古代ギリシアとアラビア=== |
|||
{{未検証|section=1}} |
|||
太陽や月までの距離を知る試みは古代ギリシア時代から行われてきたが、天上の単位と地上の単位とを結びつけることは容易ではなかった。 太陽と月との距離の比を求めた[[アリスタルコス]]も、それらの日常の単位での値を得ていない<ref>Van Helden (1985) p.9.</ref>。 |
|||
スロベニア語版[[:sl:Astronomska enota]]の一部を日本語化したものである。 |
|||
[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]](トレミー)と[[パップス]]は、紀元前2世紀のギリシアの[[ヒッパルコス]]が[[日食]]の見え方が各地で異なることを利用して地球の半径を基準とした月や太陽までの距離を見積もっていたことに言及している。 ヒッパルコスが求めた太陽までの距離は地球半径の 490 倍以上というものであった(実際の値は約 23 500 倍)。 この後においても地球の半径はこうした距離を測るひとつの基準となっている。 ヒッパルコスの著作そのものは現存しておらず、その具体的な算出方法は伝えられていないが、断片的言及から現在ではその巧妙な幾何学的方法がほぼ再構築されている<ref><!--再構築を行っている論文:未確認のためコメントアウト{{cite journal |
|||
{| class="wikitable" style="font-size:smaller" |
|||
| author= Swerdlow, Noel |
|||
| title= Hipparchus on the distance of the sun |
|||
| year= 1969 |
|||
| journal= Centaurus |
|||
| volume= 14 | issue= 1 | pages= 287–305 |
|||
| doi= 10.1111/j.1600-0498.1969.tb00145.x |
|||
}}-->{{cite book |
|||
| author= Neugebauer, Otto |
|||
| title= A History of Ancient Mathematical Astronomy |
|||
| volume= Book 1 |
|||
| location= New York |
|||
| publisher= Springer-Verlag |
|||
| isbn= 0-387-06995-X (3 volumes) |
|||
| pages= pp.325–326 |
|||
}} Van Helden (1985) pp.10–13.</ref>。 |
|||
やはりその著作は失われているが、[[クレオメデス]]によれば、[[ポセイドニオス]]も紀元前90年ごろに月と太陽までの距離を評価している。 ポセイドニオスは地球の影を円柱だと考え、月食の影の大きさから月が地球の半分の直径をもつとした。 さらに月の見かけの大きさと、知られていた地球の大きさから地上の単位で月までの距離を見積もった。 その 5 百万[[スタディオン]]という値は、実際より過大でその 2.1–2.6 倍となる<ref>1 スタディオンを 160–200 メートルとした場合。</ref>。 一方で太陽までの距離の見積もりは根拠に乏しい推測的なものにとどまっている<ref>Van Helden (1985) pp.13–14.</ref>。 |
|||
2世紀のプトレマイオスは『[[アルマゲスト]]』の中で、[[天球]]に囲まれた詳細な宇宙像を構築した。 プトレマイオスはアリスタルコスやヒッパルコスの方法、さらに推測をまじえ太陽や月のみならず、惑星までの距離を見積もっている。 そこでは例えば、月の平均距離が地球半径の 48 倍、太陽が 1210 倍、土星が 17 026 倍などとされた<ref>Van Helden (1985) pp.16–27.</ref>。 こうして確立された[[天動説]]の宇宙像はアラビアへと受け継がれた。 中でも9世紀の天文学者[[バッターニー|アル=バッターニー]]は9世紀にプトレマイオスの宇宙像を詳細に研究し、太陽の平均距離が 1108 倍などとしている<ref>Van Helden (1985) pp.31–32.</ref>。 これらの詳細な宇宙像はその後ヨーロッパへと伝わり、中世にかけて大きな権威をもつものとみなされることになった。 |
|||
===太陽までの距離の観測の年表=== |
|||
{{未検証|section=1|date=2010年2月}} |
|||
スロベニア語版[[:sl:Astronomska enota]]の一部を日本語化したものである。 |
|||
{| class="wikitable" style="font-size:smaller;margin-left:2em" |
|||
|- |
|- |
||
!太陽までの平均距離<sup>*</sup><br />地球の軌道長半径 |
|||
!天文単位[×10<sup>9</sup>m] |
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!観測年 |
!観測年 |
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!観測者 |
!観測者 |
||
!観測方法 |
!観測方法 |
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!出典 |
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|- |
|- |
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|月の18–20倍 |
|||
|3.7 |
|||
| |
|紀元前265年? |
||
|[[アリスタルコス]] |
|[[アリスタルコス]] |
||
|月の[[離角]]から |
|月の[[離角]]から |
||
|[a] |
|||
|- |
|- |
||
|490 地球半径 |
|||
|7.8 |
|||
| |
|紀元前136年? |
||
|[[ヒッパルコス]] |
|[[ヒッパルコス]] |
||
| |
|日食の観測から |
||
| |
|[a] |
||
<!--根拠に乏しい推測|- |
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|65 |
|||
|10 000 地球半径 |
|||
|[[紀元前90年]] |
|||
|紀元前90年ごろ |
|||
|[[ポセイドニオス]] |
|[[ポセイドニオス]] |
||
|月と太陽が同じ速度と仮定 |
|||
|月の離角から |
|||
|[a]--> |
|||
|- |
|- |
||
|1210 地球半径 |
|||
|7.7 |
|||
| |
|150年? |
||
|[[クラウディオス・プトレマイオス]] |
|[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]] |
||
|複合的な幾何学的方法 |
|||
| |
|||
|[a] |
|||
|- |
|- |
||
|1108 地球半径 |
|||
|7.1 |
|||
| |
|890年頃 |
||
|[[バッターニー|アル=バッターニー]] |
|[[バッターニー|アル=バッターニー]] |
||
|プトレマイオスの検証 |
|||
| |
|||
|[a] |
|||
<!--以下は未検証--> |
|||
|- |
|- |
||
|87.7 |
|87.7 |
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| |
|1630年頃 |
||
|[[ゴドフロイ・ウェンデリン]] |
|[[ゴドフロイ・ウェンデリン]] |
||
|アリスタルコスの方法 |
|アリスタルコスの方法 |
||
|? |
|||
|- |
|- |
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|93.8 |
|93.8 |
||
| |
|1639年 |
||
|[[エレミア・ホロックス]] |
|[[エレミア・ホロックス]] |
||
|[[金星の日面通過]] |
|[[金星の日面通過]] |
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|? |
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|- |
|- |
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|40 |
|40 |
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| |
|1665年 |
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|[[ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリ]] |
|[[ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリ]] |
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| |
| |
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|? |
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|- |
|- |
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|109.8 |
|109.8 |
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| |
|1672年 |
||
|[[ジョヴァンニ・カッシーニ]] |
|[[ジョヴァンニ・カッシーニ]] |
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| |
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|? |
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|- |
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|138.4 |
|138.4 |
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|1672年 |
|1672年 |
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|ジョヴァンニ・カッシーニ |
|ジョヴァンニ・カッシーニ<br>[[ジョン・フラムスティード]] |
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| |
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|? |
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|- |
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|1716年 |
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|[[エドモンド・ハレー]] |
|[[エドモンド・ハレー]] |
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| |
| |
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|? |
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|- |
|- |
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|138.5 (129.2) |
|138.5 (129.2) |
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| |
|1752年 (1751年) |
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|[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]] |
|[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]] |
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| |
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|? |
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|- |
|- |
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|153.1(?) |
|153.1(?) |
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|1761年 |
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|[[ジェームズ・ショート]] |
|[[ジェームズ・ショート]] |
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|? |
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|- |
|- |
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|152.500 |
|152.500 |
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| |
|1825年 |
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|[[ヨハン・フランツ・エンケ]] |
|[[ヨハン・フランツ・エンケ]] |
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|? |
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|149.50 |
|149.50 |
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| |
|1862年 |
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|[[レオン・フーコー]] |
|[[レオン・フーコー]] |
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|? |
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|146.83<br>147.32 |
|146.83<br>147.32 |
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|1862 |
|1862年 |
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|? |
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|147.49 |
|147.49 |
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|1863年 |
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|[[ペーター・ハンゼン]] |
|[[ペーター・ハンゼン]] |
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|? |
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|147,00 |
|147,00 |
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226行目: | 303行目: | ||
|[[ユルバン・ルヴェリエ]] |
|[[ユルバン・ルヴェリエ]] |
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|? |
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|- |
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|148.990<br>153.5 ± 6.65 |
|148.990<br>153.5 ± 6.65 |
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| |
|1864年 |
||
|[[カール・ポワルキー]] |
|[[カール・ポワルキー]] |
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|? |
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|1874年 |
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|[[ジョージ・エアリー]]<br>[[デービッド・ギル]] |
|[[ジョージ・エアリー]]<br>[[デービッド・ギル]] |
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| |
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|? |
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|149.84 |
|149.84 |
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|1877年 |
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|ディビッド・ギル |
|ディビッド・ギル |
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|? |
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|149.50 |
|149.50±0.17 |
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|1879年 |
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|[[アルバート・マイケルソン]]<br>[[サイモン・ニューカム]] |
|[[アルバート・マイケルソン]]<br>[[サイモン・ニューカム]] |
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|? |
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|150 |
|150.184±0.686<br>148.179±2.002 |
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|1882年 |
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|ジョージ・エアリーら |
|ジョージ・エアリーら |
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|? |
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|1889年 |
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|デービッド・ギル |
|デービッド・ギル |
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|149.670 |
|149.670 |
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|1895年 |
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|サイモン・ニューカム |
|サイモン・ニューカム |
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| |
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|? |
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|149.500 ± 0.050 |
|149.500 ± 0.050 |
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| |
|1896年 |
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|[[国際天文学連合|IAU]] |
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|[[国際天文学連合]],(パリ) |
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|? |
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|149.464 |
|149.464 |
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|1901年 |
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|デービッド・ギル |
|デービッド・ギル |
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|? |
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|- |
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|149.397 ± 0.016 |
|149.397 ± 0.016 |
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276行目: | 363行目: | ||
|[[アーサー・ヒンクス]] |
|[[アーサー・ヒンクス]] |
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|? |
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|1912年 |
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|S. S. Hug |
|S. S. Hug |
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|? |
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|149.413 |
|149.413 |
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| |
|1924年 |
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|[[ハロルド・スペンサー=ジョーンズ]] |
|[[ハロルド・スペンサー=ジョーンズ]] |
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| |
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|? |
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|- |
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|149.447 |
|149.447 |
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|1927年 |
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|[[ウィレム・ド・ジッター]] |
|[[ウィレム・ド・ジッター]] |
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|? |
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|149.462 ± 0.060 |
|149.462 ± 0.060 |
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| |
|1928年 |
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|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
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|? |
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|149.566 ± 0.034 |
|149.566 ± 0.034 |
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| |
|1929年 |
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|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
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| |
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|? |
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|- |
|- |
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|149.668 ± 0.017 |
|149.668 ± 0.017 |
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| |
|1931年 |
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|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
|ハロルド・スペンサー=ジョーンズ |
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|? |
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|- |
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|149.549 ± 0.221 |
|149.549 ± 0.221 |
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| |
|1911年–1936年 |
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|[[グリニッジ天文台]] |
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|kO Greenwich |
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|149.453 |
|149.453 |
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|1938年 |
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|ウィレム・ド・ジッター |
|ウィレム・ド・ジッター |
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| |
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|? |
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|- |
|- |
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|149.422 ± 0.119 |
|149.422 ± 0.119 |
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| |
|1941年 |
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|[[ウォルター・シドニー・アダムズ]] |
|[[ウォルター・シドニー・アダムズ]] |
||
| |
| |
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|? |
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|- |
|- |
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|149.670 |
|149.670 |
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| |
|1948年 |
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|[[ジェラルド・クレメンス]] |
|[[ジェラルド・クレメンス]] |
||
| |
|||
| |
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|? |
|||
|- |
|- |
||
|149.550 ± 0 |
|149.550 ± 0.014 |
||
| |
|1960年 |
||
| |
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|電波観測 |
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<!--天文単位の定義が変更されたため同列に並べるべきでなく、とりあえずコメントアウト|- |
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|[[ジェット推進研究所|JPL]] DE200 |
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|JPL DE403/DE405, EPM2000 |
|JPL DE403/DE405, EPM2000 |
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|bgcolor="#ffffcc"|149. |
|bgcolor="#ffffcc"|149.597 870 700<br />± 0.000 000 003<br />23 500 地球半径 |
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|colspan=4|*[a] - [http://ssd.jpl.nasa.gov/ DE200/DE403/DE405 天体暦], JPL, Pasadena |
|colspan=4|* 断りのないものは 10<sup>9</sup> km 単位<br />[a] - Van Helden (1985)<!--<br />[b] - [http://ssd.jpl.nasa.gov/ DE200/DE403/DE405 天体暦], JPL, Pasadena<br />[c] - IERS<br />[d] - [http://www.ipa.nw.ru/PAGE/EDITION/ENG/engpublish.htm EPM2000 天体暦], IAA, RAS--> |
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|} |
|} |
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== |
== 出典・注釈 == |
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{{reflist|2}} |
{{reflist|2}} |
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==参考文献==<!--本文記述において用いられ、出典・注釈から参照される文献。著者五十音ABC順--> |
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* {{cite journal |
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| author= 荒木田英禎 | coauthors= 福島登志夫 |
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| title= 地球惑星間距離の永年的変化: 太陽系天体の精密位置計測からの新たな問題提起 |
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| journal= 日本物理学会会報 |
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| year= 2008 | volume= 63 | issue= 7 | pages= 517–523 |
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}} (NAID: [http://ci.nii.ac.jp/naid/110006825784 110006825784]) |
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* {{cite web |
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| author= 国際度量衡局 編 |
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| title= 国際文書第8版 国際単位系 (SI) 日本語版 |
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| others= 訳・監修(独)産業技術総合研究所 計量標準総合センター |
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| year= 2006 |
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| url= http://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf | format= PDF |
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| accessdate= 2010-11-07 |
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}} |
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* {{cite journal |
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| author= Krasinsky, G.A. and V. A. Brumberg | year=2004 |
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| title=Secular increase of astronomical unit from analysis of the major panet motions, and its interpretation |
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| journal=Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy |
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| volume=90 | pages=267–288 |
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| doi=10.1007/s10569-004-0633-z |
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| url=http://iau-comm4.jpl.nasa.gov/GAKVAB.pdf | format=PDF |
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}} |
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* {{cite journal |
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| author= Noerdlinger, P. D. | year=2008 |
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| title=Solar mass loss, the astronomical unit, and the scale of the solar system |
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| journal=(preprint)<!--Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy--> |
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| volume= | pages= |
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| doi= |
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}} (arXiv: [http://arxiv.org/abs/0801.3807 0801.3807]) |
|||
* {{cite book |
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| author= Van Helden, Albert |
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| title=Measuring the Universe: Cosmic Dimensions, from Aristarchus to Halley |
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| publisher= University of Chicago Press |
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| year= 1985 |
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| isbn= 978-0-226-84881-5 |
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}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2010年11月9日 (火) 11:42時点における版
天文単位 | |
---|---|
記号 | AU, au など |
系 | 天文単位系、SI併用単位(SI単位で表される数値が実験的に得られるもの) |
量 | 長さ |
SI | 1.495 978 707 00(3)×1011 m |
定義 | 太陽からのニュートン的重力のみを受けガウス年を周期として円運動するテスト粒子の軌道半径 |
天文単位(てんもんたんい、astronomical unit)は天文学で用いる長さの単位で、地球と太陽との平均的な距離をほぼ 1 とし、これは約1.5億キロメートルに相当する。
天文単位は、惑星など太陽系内の天体間の距離を表すために一般にも広く用いられている。 さらに、太陽系内の天体の運動を表す天体暦においても、その基準となる天文単位系 (astronomical system of units) を構成する重要な単位のひとつである。
記号・定義・値
記号
天文単位は「天文単位」とはっきり表記して用いられるほか記号でも表されるが、その表記にはゆれがある。 国際天文学連合 (IAU) は記号を au とするものの[1]、国際標準化機構 (ISO) や日本工業規格 (JIS) は「略号」として AU とし[2]、どちらも多く用いられている。 国際単位系 (SI) では「SI に属さない単位」としてフランス語 (unité astronomique) を略した単位記号 ua を与えているが[3]、日本や英語圏での使用例は少ない。 これら以外にも a.u. といった表記もしばしばみられる。 また上記の他に各国語の表記にもとづいた略号が用いられることも多く、例えばドイツ語では AE と表される。
なお、天文単位の大きさをメートルなど他の単位で表した値は、観測にもとづいて決められる天文定数でもあり、A のような定数を表す記号を用いて表される。 この記事では以下、単位記号として用いる場合には AU を、天文定数として値を表す場合には A を使用する。
メートルで表した値
国際天文学連合 (IAU) 2009年天文定数では、この天文単位の大きさ A をメートルで表した値を次のように与えている。
ただし括弧内の数字は最後の桁を単位とする誤差を表す[4]。
定義とその変遷
天文単位は太陽と地球との距離を基準にして決められた。 地球は月や他の惑星による重力の影響(摂動)を無視すれば円に近い楕円を描いて太陽の周りを回っている。 この楕円軌道の長い軸の長さの半分を軌道長半径といい、この長さが天文単位とされた。 形式上、現在はこの定義は用いられていないが、差はごくわずかなものなので、厳密を求めなければ天文単位とは太陽をめぐる地球の軌道の軌道長半径、もしくは太陽と地球の間の平均距離とみなしてよい。
1976年の国際天文学連合 (IAU) 総会において定められた天文単位の定義はもはや地球の軌道とは関係しておらず、日心重力定数 (heliocentric gravitational constant) GS と一定の関係をもつものとして決められている。 この日心重力定数とは万有引力定数 G と太陽質量 S との積である。 天文単位の大きさ A は、この日心重力定数の 1/3 乗(3 乗根)に比例する値として、
の関係により定められる。 ここで、k はガウス引力定数と呼ばれる観測によらず約束事として厳密に決まった定数(定義定数)で k = 0.017 202 098 95 である。 また D は 1 日の時間の長さを表す[5]。
この天文単位の定義は、地球の代わりにおいたある仮想的な粒子(テスト粒子)の運動を基準としていると解釈できる。 いまこうしたテスト粒子が、最も単純に太陽からのニュートン力学的な重力以外の力を受けず、重さは無視でき、その軌道は完全に円であるようなものだとする。 このとき粒子は、太陽に近ければより強い力を受けて速く公転し、遠ければより弱い力を受けてゆっくりと公転することになる。 そうした軌道のうち、公転周期 P が P = (2π/k) D = 365.256 898 3... D となる円軌道の半径が 1 天文単位となる。 このとき k の値はテスト粒子が動く角速度をラジアン/日で表しており、上式はケプラーの第3法則の関係 A3 (2π/P)2 = GS に他ならない。 この公転周期 P はガウス年 (Gaussian year) と呼ばれ、地球の実際の公転周期である恒星年に近いものとなるよう定められているため、結果としてこの定義においても天文単位は地球と太陽の平均距離に近いものとなる[6]。
天体暦では、力学法則にもとづく理論的計算値が、太陽系内の天体のさまざまな観測データを最もよく説明できるように、惑星の質量(太陽質量 S に対する質量比)や太陽の扁平率などの天文定数を同時に決定する。 天文単位の大きさ A をメートルのような他の単位で決定することも、天体暦の構築において他の天文定数と同時に行われるが、メートルと天文単位との関係づけを行う観測データとしては近距離の惑星のレーダー測定によるものが直接的に最も威力を発揮している。 このとき暦が理論的に予測する天文単位での惑星表面までの距離 rth と電波が片道で要する時間の測定値 tobs とは、
の関係で結ばれることになる。 ただし、c は真空中の光速度を表す[7]。
距離の例と他の単位との比較
天文単位の定義の変更により、元来 1 であった地球(地球・月系の重心)の軌道長半径は2000年においておよそ 1.000 002 61 AU となっている[8]。 ただし、地球の軌道が楕円であるため、地球から太陽までの距離は一年の内に 0.983–1.017 AU 程度の範囲で変化する。
太陽系内の惑星や彗星までの距離は天文単位を用いることで、概して扱いやすい大きさの値で表すことができる。 火星が最も地球に接近するときの両者の距離は 0.37 AU ほどであり、土星までは太陽からおよそ 9.5 AU、最も遠い惑星の海王星までは太陽からおよそ 30 AU である。 およそ 30 AU から 100 AU あたりまでは冥王星を初めとする太陽系外縁天体が広がるが、セドナは遠日点が 1000 AU 近くにまで及ぶ。
太陽系の外縁であり彗星のふるさとと思われているオールトの雲は数万天文単位あたりに広がっていると想定されており、通常このあたりが天文単位が用いられる限界である。 恒星間の距離を表すためにはパーセクや光年が用いられる。 太陽系に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリまでの 4.2 光年は天文単位に換算すれば 27 万天文単位となる。
メートル(SI単位) | 天文単位 | 光年 | パーセク | |
---|---|---|---|---|
1 m | = 1 | ≈ 6.68459×10−12 | ≈ 1.05700×10−16 | ≈ 3.24078×10−17 |
1 au | ≈ 1.49598×1011 | = 1 | ≈ 1.58125×10−5 | ≈ 4.84814×10−6 |
1 ly | ≈ 9.46073×1015 | ≈ 6.32411×104 | = 1 | ≈ 3.06601×10−1 |
1 pc | ≈ 3.08568×1016 | ≈ 2.06265×105 | ≈ 3.26156 | = 1 |
天文単位の意義
太陽系のものさし
紀元前3世紀にアリスタルコスは、たくみな推論と観測により太陽は月の 18–20 倍遠くにあると結論した。 観測精度が悪くその値は実際とは大きく異なったものであったが、その幾何学的な推論は正しいものであった。 こうした比だけからは天体までの具体的な距離を知ることはできない。 しかし、太陽までの距離を天体の「ものさし」、天文単位、として長さの単位とみなすなら、アリスタルコスは地上のものさしに頼ることなく月までの距離を天文単位で初めて科学的に求めたことになる[9]。
17世紀のケプラーもまた観測データと幾何的関係を用い、試行錯誤と複雑な計算を繰り返しながら地球の軌道に対する火星の軌道をほぼ正しく再構成して見せた。 ケプラーの努力によって惑星の間の運動の相対的関係がよく記述できるようになり、ほどなくニュートン力学によってその背後の力学的仕組みも明らかとなった。 仕組みが知られることによってケプラー的な運動との細かな食い違いを知ることもできるようになり、その後数世紀かけて天体力学は驚くほどの成功を収めることになった[10]。
こうして惑星の動きは精密に予測できるようになったものの、一体それらの天体が地球からどの程度離れているかや、太陽や地球がどの程度の質量をもつのかをメートルやキログラムのような我々が地上で使っている馴染み深い単位を使って精度よく知るのにはやはり困難が伴った。 しかし、その具体的な値を精度よく知る必要もなかった。 アリスタルコスと同様に、地上のものさしに頼らなくても、太陽系そのものを基準とすれば、すなわち、メートルの代わりに天文単位を、キログラムの代わりに太陽質量を用いさえすれば惑星の動きは非常に正確に測定でき予測もできたのである。 例えば、19世紀前半に天文学者たちが角度の1分(1°の 1/60)に満たない天王星の位置の予測とのずれに頭を悩ませていたときも、それは惑星の質量やそこまでの距離が日常の単位でどれだけであるかということとは無関係の問題であり、天文学者はそのずれの原因として海王星を発見することができた。 よって、天文学にとって長さの単位として天文単位のような地上とは違う単位を用いるのは自然なことでもあり必然でもあった。 ここに天文単位が天文学で用いられてきた第一の意義がある。
1809年、ガウスは、地球の軌道長半径を長さの単位、太陽質量を質量の単位、地球の 1 日を時間の単位とする単位系を与え、太陽系の運動を記述する基礎とした。 このとき導入されたガウス引力定数 k は万有引力定数の平方根となるとともに、1 日あたり地球が太陽をめぐる角度を表すことになった。 この単位系が修正を受けた上で、現在用いられている国際天文学連合による1976年の天文単位系と天文単位の概念に直接引き継がれている。 この体系では、距離の天文単位 A のほかに質量と時間の天文単位を定めている。 これらはガウスと同じく、質量の天文単位 S として太陽質量、時間の天文単位 D として 1 日、すなわち 24×60×60 = 86 400 秒を指す。 ただし普通はこれらの値が単に「天文単位」の名で参照されることはない[11]。
距離の梯子
天文単位は太陽系だけでなく、より遠くの恒星までの距離を定める長さの基準のひとつともなった。 距離を測るための最も単純明快な方法は、異なる2地点から対象を観測し、その方向の差(視差)と2点間の距離とから、三角形の幾何学を用いて対象までの距離を決めるという三角測量の方法である。天文学では比較的近い距離にある恒星までの距離を測る方法としてこの方法を用いる。同じ恒星を地球から1年間続けて観測すると、地球の位置が変わるため、より遠方にある背景の天体に対して対象の恒星の位置が動いて見える(年周視差)。この恒星の見かけの動きの最大の角度は地球の軌道の大きさと恒星までの距離で決まり、地球の軌道の大きさにほぼ対応する天文単位を用いて星までの距離を測ることができる。 この関係を用いて恒星までの距離の単位として用いられるパーセクが定義されている。
しかし、年周視差から距離を求めることができるのは近距離の天体に限られるため、より遠い距離を測るには様々な別の方法を使うことになる。その際、それぞれの手法が使える距離範囲はやはり限定されているため、年周視差で測れない距離は A という別の方法で、A で測れない距離は B の方法で、B で測れない距離は C の方法で、というように、別々の方法を用いていた。 こうした方法は測定技術が向上するとともに梯子(はしご)の段のようにそれぞれの手法を「つないで」遠方の距離を決めていくことができるようになった。この梯子の一段目に当たるのが地球の軌道の大きさである。(詳細は「宇宙の距離梯子」を参照)
薄れる意義
万有引力定数 G の不確かさから太陽質量 S そのものは太陽系の質量の単位としての座を明け渡す気配はないものの、現代では長さの単位に関しては地上と天体の梯子の段はひとつにまとまりつつある。 1960年代以降、太陽系の惑星や月までの距離をレーダーやレーザー、VLBI を用いて直接に測定するという新しい観測技術が出現した。 これら電磁波の「ものさし」の登場によって地上の単位系の長さと太陽系の単位系の長さは今や 1 m 以下の精度で結び付けられるようになった。 これに伴って天文単位の永年変化のような、従来ほとんど無視しうるほどのものであった影響が現実問題になりつつある。 こうしたときに、太陽質量 S の値が天体の運動だけでなく「ものさし」であるべき天文単位にも影響するという現在の定義にはメリットが乏しく、天文単位の大きさをメートルに対して固定するといった近い将来の定義の見直しが避けられないという声が強くなっている[12]。
値の永年変化と増大の謎
天文単位の定義が太陽質量 S に依存するため、太陽の質量の変化とともに天文単位の値は変化しうる。 太陽は核融合により質量の一部をエネルギーに変えて、やがて電磁波として放射し、また大気を太陽風として放出するので、1年あたりおよそ10兆分の1の比率で質量を失っていると見積もられている。 こうした減少はそのまま太陽からの重力の減少を意味し、すべての惑星の軌道半径と公転周期を増加させる。 一方、天文単位の仮想的なテスト粒子はガウス年という一定の公転周期が保障されると定義されているため、重力の減少とともに粒子は内側の軌道を取らねばならず、上述の式のように質量の減少の比率の 1/3 の比率で天文単位の大きさは減少する。 この天文単位の大きさの減少は理論上100年あたり 0.4 m ほどに相当するとされる[13]。
しかし、2004年にロシアのクラシンスキー (Г. А. Красинский, G. A. Krasinsky) とブルンベルク (В. А. Брумберг, V. A. Brumberg) は、測定された天文単位の値が実際にはメートルに対して100年あたり 15±4 m の割合で増大しているとみられることを報告した[14]。 その後、類似の増大はアメリカのスタンディッシュ (E. M. Standish) やロシアのピチェーヴァ (Е. В. Питьева, E. V. Pitjeva) によっても確認されている[15]。
この天文単位の増大という新たな謎の原因は2010年現在明らかではなく、さまざまな議論が継続している。 クラシンスキーらの報告はレーダーなどを用いた火星、金星、水星などの距離測定のデータにより得られたメートルと天文単位の関係のデータの蓄積から明らかになってきたものである。 レーダーでの距離計測は、電波の往復時間を精密に測定することで行われるので、天文単位の増加とはこの往復時間の、天体暦から予測される時間に対する非常にゆっくりとした増大と捉えることができる。 これには、天体暦の精度不足と天文単位の増大の可能性があるが、天体暦の精度は十分高いと評価され、太陽系全体がメートルに対して極めてゆっくりと拡大する天文単位の増大であると考えられた[16]。 この原因として太陽質量や万有引力定数の変化、宇宙膨張の影響などが検討されてきたが、いずれもその効果はあったとしても十分小さいと考えられており、満足な説明には至っていない。
天体の距離の探求
古代ギリシアとアラビア
太陽や月までの距離を知る試みは古代ギリシア時代から行われてきたが、天上の単位と地上の単位とを結びつけることは容易ではなかった。 太陽と月との距離の比を求めたアリスタルコスも、それらの日常の単位での値を得ていない[17]。
プトレマイオス(トレミー)とパップスは、紀元前2世紀のギリシアのヒッパルコスが日食の見え方が各地で異なることを利用して地球の半径を基準とした月や太陽までの距離を見積もっていたことに言及している。 ヒッパルコスが求めた太陽までの距離は地球半径の 490 倍以上というものであった(実際の値は約 23 500 倍)。 この後においても地球の半径はこうした距離を測るひとつの基準となっている。 ヒッパルコスの著作そのものは現存しておらず、その具体的な算出方法は伝えられていないが、断片的言及から現在ではその巧妙な幾何学的方法がほぼ再構築されている[18]。
やはりその著作は失われているが、クレオメデスによれば、ポセイドニオスも紀元前90年ごろに月と太陽までの距離を評価している。 ポセイドニオスは地球の影を円柱だと考え、月食の影の大きさから月が地球の半分の直径をもつとした。 さらに月の見かけの大きさと、知られていた地球の大きさから地上の単位で月までの距離を見積もった。 その 5 百万スタディオンという値は、実際より過大でその 2.1–2.6 倍となる[19]。 一方で太陽までの距離の見積もりは根拠に乏しい推測的なものにとどまっている[20]。
2世紀のプトレマイオスは『アルマゲスト』の中で、天球に囲まれた詳細な宇宙像を構築した。 プトレマイオスはアリスタルコスやヒッパルコスの方法、さらに推測をまじえ太陽や月のみならず、惑星までの距離を見積もっている。 そこでは例えば、月の平均距離が地球半径の 48 倍、太陽が 1210 倍、土星が 17 026 倍などとされた[21]。 こうして確立された天動説の宇宙像はアラビアへと受け継がれた。 中でも9世紀の天文学者アル=バッターニーは9世紀にプトレマイオスの宇宙像を詳細に研究し、太陽の平均距離が 1108 倍などとしている[22]。 これらの詳細な宇宙像はその後ヨーロッパへと伝わり、中世にかけて大きな権威をもつものとみなされることになった。
太陽までの距離の観測の年表
この節の内容の信頼性について検証が求められています。 |
スロベニア語版sl:Astronomska enotaの一部を日本語化したものである。
太陽までの平均距離* 地球の軌道長半径 |
観測年 | 観測者 | 観測方法 | 出典 |
---|---|---|---|---|
月の18–20倍 | 紀元前265年? | アリスタルコス | 月の離角から | [a] |
490 地球半径 | 紀元前136年? | ヒッパルコス | 日食の観測から | [a] |
1210 地球半径 | 150年? | プトレマイオス | 複合的な幾何学的方法 | [a] |
1108 地球半径 | 890年頃 | アル=バッターニー | プトレマイオスの検証 | [a] |
87.7 | 1630年頃 | ゴドフロイ・ウェンデリン | アリスタルコスの方法 | ? |
93.8 | 1639年 | エレミア・ホロックス | 金星の日面通過 | ? |
40 | 1665年 | ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリ | ? | |
109.8 | 1672年 | ジョヴァンニ・カッシーニ | ? | |
138.4 | 1672年 | ジョヴァンニ・カッシーニ ジョン・フラムスティード |
? | |
1716年 | エドモンド・ハレー | ? | ||
138.5 (129.2) | 1752年 (1751年) | ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ | ? | |
153.1(?) | 1761年 | ジェームズ・ショート | ? | |
152.500 | 1825年 | ヨハン・フランツ・エンケ | ? | |
149.50 | 1862年 | レオン・フーコー | ? | |
146.83 147.32 |
1862年 | ? | ||
147.49 | 1863年 | ペーター・ハンゼン | ? | |
147,00 | 1863年 | ユルバン・ルヴェリエ | ? | |
148.990 153.5 ± 6.65 |
1864年 | カール・ポワルキー | ? | |
1874年 | ジョージ・エアリー デービッド・ギル |
? | ||
149.84 | 1877年 | ディビッド・ギル | ? | |
149.50±0.17 | 1879年 | アルバート・マイケルソン サイモン・ニューカム |
? | |
150.184±0.686 148.179±2.002 |
1882年 | ジョージ・エアリーら | ? | |
1889年 | デービッド・ギル | ? | ||
149.670 | 1895年 | サイモン・ニューカム | ? | |
149.500 ± 0.050 | 1896年 | IAU | ? | |
149.464 | 1901年 | デービッド・ギル | ? | |
149.397 ± 0.016 | 1901年 | アーサー・ヒンクス | ? | |
1912年 | S. S. Hug | ? | ||
149.413 | 1924年 | ハロルド・スペンサー=ジョーンズ | ? | |
149.447 | 1927年 | ウィレム・ド・ジッター | ? | |
149.462 ± 0.060 | 1928年 | ハロルド・スペンサー=ジョーンズ | ? | |
149.566 ± 0.034 | 1929年 | ハロルド・スペンサー=ジョーンズ | ? | |
149.668 ± 0.017 | 1931年 | ハロルド・スペンサー=ジョーンズ | ? | |
149.549 ± 0.221 | 1911年–1936年 | グリニッジ天文台 | ? | |
149.453 | 1938年 | ウィレム・ド・ジッター | ? | |
149.422 ± 0.119 | 1941年 | ウォルター・シドニー・アダムズ | ? | |
149.670 | 1948年 | ジェラルド・クレメンス | ? | |
149.550 ± 0.014 | 1960年 | パイオニア 5 | ? | |
149.592 ± 0.006 | 1961年 | 電波観測 | ? | |
149.674 ± 0.017 | 1964年 | ? | ||
149.600 | 1964年 | IAU | ? | |
149.598 ± 0.000 680 | 電波観測 | ? | ||
* 断りのないものは 109 km 単位 [a] - Van Helden (1985) |
出典・注釈
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参考文献
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- Noerdlinger, P. D. (2008). “Solar mass loss, the astronomical unit, and the scale of the solar system”. (preprint). (arXiv: 0801.3807)
- Van Helden, Albert (1985). Measuring the Universe: Cosmic Dimensions, from Aristarchus to Halley. University of Chicago Press. ISBN 978-0-226-84881-5