「悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲」の版間の差分

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『'''悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲'''』(あくまじょうドラキュラ ダークナイト プレリュード、英題: ''[[:en:Castlevania Legends|Castlevania Legends]]'')は、[[1997年]][[11月27日]]に日本の[[コナミデジタルエンタテインメント|コナミ]]から発売された[[ゲームボーイ]]用[[アクションゲーム|横スクロールアクションゲーム]]。
『'''悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲'''』(あくまじょうドラキュラ ダークナイト プレリュード、英題: ''[[:en:Castlevania Legends|Castlevania Legends]]'')は、[[1997年]][[11月27日]]に日本の[[コナミデジタルエンタテインメント|コナミ]]から発売された[[ゲームボーイ]]用[[アクションゲーム|横スクロールアクションゲーム]]。


同社による『[[悪魔城ドラキュラ]]シリーズのゲームボーイ用ソフト3作目。主人公のソニア・ベルモンドを操作し、亡き祖父の仇討ちとしてドラキュラ伯爵す事を目的としている。「バーニングモード」や「ソウルウェポン」などの新要素追加されている事特徴
[[ゴシック]][[ホラー]]アクションゲーム『[[悪魔城ドラキュラ]]シリーズのゲームボーイ用ソフト3作目。主人公は、シリーズ初の女性主人公となる17歳少女ソニア・ベルモンド<ref group="注釈">それまでのシリーズにもゲーム途中で使用可能になり選択して使える女性プレイキャラクターはいたが、単独女性主人公はソニアが初である。</ref>。ヴァンパイアハンターのソニアを操作し、鞭を武器に怪物が巣食う悪魔城に乗り込み魔王ドラキュラ伯爵倒を目的とするステージクリア型アクション(ステージ内には多少の分岐要素もあ無敵能力「バーニングモード」や精霊の力の「ソウルウェポン」という新要素追加されており、アイテム収集によってエンディング変化するマルチエンディング方式。キャッチコピーは「ドラキュラの歴史、今ここに始まる。」


開発は[[コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ|コナミコンピュータエンタテインメント名古屋]]が行い、プロデューサーは『[[アウトバースト]]』([[1993年]])を手掛けた福井博幸、ディレクターは『[[がんばれゴエモン 黒船党の謎]]』(1997年)を手掛けた山下幸紀、音楽は『がんばれゴエモン 黒船党の謎』を手掛けた岡田蘭および岩田陽一が担当している
単色ゲームボーイであるが、対応している[[スーパーファミコン]]用周辺機器の[[スーパーゲームボーイ]]だと画面は13色カラーになり独自のピクチャーフレームが付く。開発は[[コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ|コナミコンピュータエンタテインメント名古屋]]、プロデューサーは福井博幸、ディレクターは山下幸紀、音楽は岡田蘭および岩田陽一。


== ゲーム内容 ==
== ゲーム内容 ==
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''「[[悪魔城ドラキュラ]]」および「[[ドラキュラ伝説]]」「[[ドラキュラ伝説II]]」の項のゲームシステムに関する記述も参照''
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基本的なシステムはゲームボーイ版の前作『ドラキュラ伝説』1・2両作を踏襲している2D横スクロールのステージクリア型アクションであり、特徴だったロープにつかまっての上下移動や、鞭が2段階パワーアップで火球が発射されるなどが引き継がれている。本作ではしゃがみ歩きも可能である。
主人公は、シリーズ初の女性主人公となる17歳の少女ソニア・ベルモンド<ref group="注釈">それまでのシリーズにもゲーム途中で使用可能になり選択して使える女性プレイキャラクターはいたが、単独女性主人公はソニアが初である。</ref>。ソニアがヴァンパイアハンターとして、鞭を武器にモンスターが巣食う悪魔城に乗り込み、魔王ドラキュラ伯爵打倒に立ち向かう2D横スクロールのステージクリア型アクション。本作のシステム的な特徴としては、一定時間無敵状態になってパワーアップする「バーニングモード」と、精霊の力をサブウェポンとして使用する「ソウルウェポン」があり、ステージ内には多少の分岐もあってトラップ部屋や隠しステージなどもあり、コレクションアイテムの収集によってエンディングが変化するマルチエンディング方式が採用されている。キャッチコピーは、「ドラキュラの歴史、今ここに始まる。」。[[スーパーファミコン]]用の周辺機器の[[スーパーゲームボーイ]]に対応しており、スーパーゲームボーイでプレイすると画面は13色カラーになって独自のピクチャーフレームが付く。


基本的なシステムはゲームボーイ版の前作『ドラキュラ伝説』1・2両作を踏襲しており、特徴だったロープにつかまっての上下移動や、鞭が2段階パワーアップで火球が発射されるなどが引き継がれている。本作ではしゃがみ歩きも可能である。ステージ数は全6面で<ref group="注釈">ステージ5の途中にある6番目の隠しステージは行かなくてもゲームクリアできる。</ref>、1つのステージが前作より長めに作られている。本作は『[[悪魔城ドラキュラXX]]』のようなちょっとしたステージ探索要素持っており、ステージ内には分かれ道があってルートが分岐しているところもある。隠しステージやトラップ部屋もある。そしてステージのどこかにあるコレクションアイテム(シリーズ定番のサブウェポンを集めることでエンディングが分岐変化する。
ステージ数は全6面で<ref group="注釈">ステージ5の途中にある6番目の隠しステージは行かなくてもゲームクリアできる。</ref>、1つのステージが前作より長めに作られている。本作は『[[悪魔城ドラキュラXX]]』のようなちょっとしたステージ探索要素持っており、ステージ内には分かれ道があってルートが分岐しているところもある。隠しステージやトラップ部屋もある。そしてステージのどこかにあるシリーズ伝統のサブウェポンとなるコレクションアイテムを集めることでエンディング内容が分岐変化する。


ソニアの基本武器はシリーズ伝統の鞭だが、サブウェポンは精霊の力をサブウェポンとして使う「ソウルウェポン」となっており、ソニアが一定時間無敵状態になってパワーアップする「バーニングモード」と共に本作のシステム的な特徴となっている。
=== ゲームモード ===
ゲームスタート時にゲームセレクトとして難易度を「スタンダードモード」か「ライトモード」か選べる。スタンダードモードは標準で、ライトモードは鞭が2段階パワーアップした状態でスタートする。本作には得点という要素はないが、クリアするまでに倒した敵の数がエンディングで「HIT SCORE」として表示される(HIT SCOREはセーブされない)。ゲーム途中から再開してプレイする場合は、前作はパスワード方式だったが、本作にはバッテリーバックアップが搭載されセーブ・ロード機能が付いている。セーブはステージ間でのみ可能。


'''バーニングモード'''は、ソニアの潜在能力を引き出す特殊能力で、体力ゲージの下のバーニングゲージを消費することで発動できる。発動中は一定時間無敵状態になってダメージを受けなくなり、攻撃力・移動スピード・ジャンプ力といったソニアの身体能力が2倍になる。発動後は、次のステージに行くか、ミスしてリスタートになるまで再使用できない。
'''バーニングモード'''は、ソニアの潜在能力を引き出す特殊能力で、体力ゲージの下のバーニングゲージを消費することで発動できる。発動中は一定時間無敵状態になってダメージを受けなくなり、攻撃力・移動スピード・ジャンプ力といったソニアの身体能力が2倍になる。発動後は、次のステージに行くか、ミスしてリスタートになるまで再使用できない。


'''ソウルウェポン'''は、本作でのサブウェポンに相当し、精霊の力を借りるという魔法のようなものになっている。道中でアイテムとして任意に取得するのではなく、ステージボスを倒していくことで解放され自動的に追加されていく。ハートを消費して使用するのは従来通り。攻撃や回復など5種類あり、風、水、炎、聖、魔の順で入手できる(魔は隠しウェポン)。セレクトボタンで表示される特殊アイテム画面で選択して随時切り替え可能。
'''ソウルウェポン'''は、本作でのサブウェポンに相当し、精霊の力を借りるという魔法のようなものになっている。道中でアイテムとして任意に取得するのではなく、ステージボスを倒していくことで解放され自動的に追加されていく。ハートを消費して使用するのは従来通り。攻撃や回復など5種類あり、風、水、炎、聖、魔の順で入手できる(魔は隠しウェポン)。セレクトボタンで表示される特殊アイテム画面で選択して随時切り替え可能。

=== ゲームモード ===
ゲームスタート時にゲームセレクトとして難易度を「スタンダードモード」か「ライトモード」か選べる。スタンダードモードは標準で、ライトモードは鞭が2段階パワーアップした状態でスタートする。本作には得点という要素はないが、クリアするまでに倒した敵の数がエンディングで「HIT SCORE」として表示される(HIT SCOREはセーブされない)。ゲーム途中から再開してプレイする場合は、前作はパスワード方式だったが、本作にはバッテリーバックアップが搭載されセーブ・ロード機能が付いている。セーブはステージ間でのみ可能。


=== アイテム ===
=== アイテム ===
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=== 世界観 ===
=== 世界観 ===
本作のストーリーは、発売当時は悪魔城ドラキュラシリーズ最古であり<ref group="注釈">本作のパッケージ箱裏より。「今明かされるドラキュラ伝説の過去」とも書かれている。</ref>、「ドラキュラの歴史の全てはここから始まっていく」<ref>「コナミマガジン」(コナミが発行していた無料情報誌)VOL.4より</ref>という触れ込みで発売された。インターネットのサイトでは1999年に作成された悪魔城ドラキュラシリーズサイトの作品ストーリー年表には本作も記載されていたが、2005年に作成されたシリーズサイトの作品ストーリー年表ページには記載されていない<ref group="注釈">シリーズ作品紹介ページ本作も紹介されている。</ref><ref group="注釈">ゲーム誌「[[ゲームサイド]]」2009年2月号では、Wii用ソフト『[[悪魔城ドラキュラ ジャッジメント]]』([[2009年]])の[[五十嵐孝司]]プロデューサー本作の開発スタッフではない)は、本作のストーリーについて「パラレルワールドという解釈でいいのでしょうか?」と聞かれ「そのような解釈でいいと思います」と返答している</ref>。
本作のストーリーは、発売当時は悪魔城ドラキュラシリーズ最古であり「今明かされるドラキュラ伝説の過去」<ref>本作のパッケージ箱裏より</ref>、「ドラキュラの歴史の全てはここから始まっていく」<ref>「コナミマガジン」(コナミが発行していた無料情報誌)VOL.4より</ref>という触れ込みで発売された。
インターネットのサイトでは1999年に作成された悪魔城ドラキュラシリーズサイト「悪魔城ドラキュラの世界」の作品ストーリー年表には本作も記載されており、2005年に作成されたシリーズサイトの作品ストーリー年表ページには記載されていないシリーズ作品紹介ページ記載されている<ref group="注釈">なおゲーム誌「[[ゲームサイド]]」2009年2月号では、[[Wii]]3D対戦アクション『[[悪魔城ドラキュラ ジャッジメント]]』([[2009年]])の記事においてそのプロデューサー[[五十嵐孝司]](漆黒たる前奏曲の開発スタッフではない)は、本作のストーリーについて「パラレルワールドという解釈でいいのでしょうか?」と聞かれ「そのような解釈でいいと思います」と返答している</ref>。


=== ステージ構成 ===
=== ステージ構成 ===
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*ゲーム誌『[[ファミ通]]』の「[[クロスレビュー]]」では合計20点(満40点)<ref name="famitsu">{{Cite web |date= |url= http://www.famitsu.com/cominy/?m=pc&a=page_h_title&title_id=21065 |title= 悪魔城ドラキュラ 〜漆黒たる前奏曲〜 まとめ <nowiki>[ゲームボーイ]</nowiki> |website= [[ファミ通|ファミ通.com]] |publisher= [[KADOKAWA|KADOKAWA CORPORATION]] |accessdate= 2021-02-07}}</ref>となっている。
*ゲーム誌『[[ファミ通]]』の「[[クロスレビュー]]」では合計20点(満40点)<ref name="famitsu">{{Cite web |date= |url= http://www.famitsu.com/cominy/?m=pc&a=page_h_title&title_id=21065 |title= 悪魔城ドラキュラ 〜漆黒たる前奏曲〜 まとめ <nowiki>[ゲームボーイ]</nowiki> |website= [[ファミ通|ファミ通.com]] |publisher= [[KADOKAWA|KADOKAWA CORPORATION]] |accessdate= 2021-02-07}}</ref>となっている。


*本作は既に[[PlayStation (ゲーム機)|PlayStation]]などの次世代機が存在する時代に、ゲームボーイという低性能ハードの制約もあってゲームグラフィックは拙く、また十字架や聖水はグラフィックがあるだけで使えない<ref group="注釈">前々作『[[ドラキュラ伝説]]』([[1989年]])においても使用不可であったが前作『[[ドラキュラ伝説II]]』([[1991年]])では使用可能であった。</ref>。主人公が強すぎて難易度は低く<ref group="注釈">敵から受けるダメージが小さくゴリ押しでもボスを秒殺できる上、無敵能力のバーニングモードがゲーム難易度を押し下げている。</ref>、『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』では「今でいうコンシューマゲームを無理にアプリにした感じだった。やりごたえという点で不満の声は多かった」と記載している{{Sfn|懐かしゲームボーイパーフェクトガイド|2017|p=19}}。
*本作は既に[[PlayStation (ゲーム機)|PlayStation]]などの次世代機が存在する時代に、ゲームボーイという低性能ハードの制約もあってゲームグラフィックは拙くサブウェポンはソウルウェポンになっており、十字架や聖水はグラフィックがあるだけで使えない<ref group="注釈">前々作『[[ドラキュラ伝説]]』([[1989年]])も使用不可であったが前作『[[ドラキュラ伝説II]]』([[1991年]])では2つだけ使た。</ref>。主人公ソニアが強すぎてゲームの難易度は簡単で<ref group="注釈">敵から受けるダメージが小さくゴリ押しでもボスを秒殺できる上、無敵能力のバーニングモードがゲーム難易度を押し下げている。</ref>、『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』では「今でいうコンシューマゲームを無理にアプリにした感じだった。やりごたえという点で不満の声は多かった」と記載している{{Sfn|懐かしゲームボーイパーフェクトガイド|2017|p=19}}。


*ゲーム本『ゲームボーイパーフェクトカタログ』では、「強力なバーニングモードシステムでパワフルに敵を倒せるのが快感だ」と肯定的に評価している{{Sfn|前田尋之|2018|p=125|ps= - 「Chapter 2 ゲームボーイソフトソフトオールカタログ 1997年」より}}。
*ゲーム本『ゲームボーイパーフェクトカタログ』では、「強力なバーニングモードシステムでパワフルに敵を倒せるのが快感だ」と肯定的に評価している{{Sfn|前田尋之|2018|p=125|ps= - 「Chapter 2 ゲームボーイソフトソフトオールカタログ 1997年」より}}。

2021年3月15日 (月) 00:11時点における版

悪魔城ドラキュラ
漆黒たる前奏曲
ジャンル 横スクロールアクション
対応機種 ゲームボーイ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント名古屋
発売元 コナミ
プロデューサー 福井博幸
ディレクター 山下幸紀
プログラマー 山口佳輝
音楽 岡田蘭
岩田陽一
美術 内田和伸
シリーズ 悪魔城ドラキュラシリーズ
人数 1人
メディア 2メガビット+64KSRAMロムカセット
発売日 日本 199711271997年11月27日
アメリカ合衆国 199803111998年3月11日
ヨーロッパ 1998年
デバイス バッテリーバックアップ搭載
スーパーゲームボーイ対応
その他 型式:日本 DMG-ADNJ-JPN
アメリカ合衆国 DMG-ADNE-USA
ヨーロッパ DMG-ADNP-EUR
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悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』(あくまじょうドラキュラ ダークナイト プレリュード、英題: Castlevania Legends)は、1997年11月27日に日本のコナミから発売されたゲームボーイ横スクロールアクションゲーム

ゴシックホラーアクションゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズのゲームボーイ用ソフト3作目。主人公は、シリーズ初の女性主人公となる17歳の少女ソニア・ベルモンド[注釈 1]。ヴァンパイアハンターのソニアを操作し、鞭を武器に怪物が巣食う悪魔城に乗り込み魔王ドラキュラ伯爵打倒を目的とするステージクリア型アクション(ステージ内には多少の分岐要素もある)。無敵能力「バーニングモード」や精霊の力の「ソウルウェポン」という新要素も追加されており、アイテム収集によってエンディングが変化するマルチエンディング方式。キャッチコピーは「ドラキュラの歴史、今ここに始まる。」。

単色ゲームボーイであるが、対応しているスーパーファミコン用周辺機器のスーパーゲームボーイだと画面は13色カラーになり独自のピクチャーフレームが付く。開発はコナミコンピュータエンタテインメント名古屋で、プロデューサーは福井博幸、ディレクターは山下幸紀、音楽は岡田蘭および岩田陽一。

ゲーム内容

システム

悪魔城ドラキュラ」および「ドラキュラ伝説」「ドラキュラ伝説II」の項のゲームシステムに関する記述も参照

基本的なシステムはゲームボーイ版の前作『ドラキュラ伝説』1・2両作を踏襲している2D横スクロールのステージクリア型アクションであり、特徴だったロープにつかまっての上下移動や、鞭が2段階パワーアップで火球が発射されるなどが引き継がれている。本作ではしゃがみ歩きも可能である。

ステージ数は全6面で[注釈 2]、1つのステージが前作より長めに作られている。本作は『悪魔城ドラキュラXX』のようなちょっとしたステージ探索要素も持っており、ステージ内には分かれ道があってルートが分岐しているところもある。隠しステージやトラップ部屋もある。そしてステージのどこかにあるシリーズ伝統のサブウェポンとなるコレクションアイテムを集めることでエンディング内容が分岐変化する。

ソニアの基本武器はシリーズ伝統の鞭だが、サブウェポンは精霊の力をサブウェポンとして使う「ソウルウェポン」となっており、ソニアが一定時間無敵状態になってパワーアップする「バーニングモード」と共に本作のシステム的な特徴となっている。

バーニングモードは、ソニアの潜在能力を引き出す特殊能力で、体力ゲージの下のバーニングゲージを消費することで発動できる。発動中は一定時間無敵状態になってダメージを受けなくなり、攻撃力・移動スピード・ジャンプ力といったソニアの身体能力が2倍になる。発動後は、次のステージに行くか、ミスしてリスタートになるまで再使用できない。

ソウルウェポンは、本作でのサブウェポンに相当し、精霊の力を借りるという魔法のようなものになっている。道中でアイテムとして任意に取得するのではなく、ステージボスを倒していくことで解放され自動的に追加されていく。ハートを消費して使用するのは従来通り。攻撃や回復など5種類あり、風、水、炎、聖、魔の順で入手できる(魔は隠しウェポン)。セレクトボタンで表示される特殊アイテム画面で選択して随時切り替え可能。

ゲームモード

ゲームスタート時にゲームセレクトとして難易度を「スタンダードモード」か「ライトモード」か選べる。スタンダードモードは標準で、ライトモードは鞭が2段階パワーアップした状態でスタートする。本作には得点という要素はないが、クリアするまでに倒した敵の数がエンディングで「HIT SCORE」として表示される(HIT SCOREはセーブされない)。ゲーム途中から再開してプレイする場合は、前作はパスワード方式だったが、本作にはバッテリーバックアップが搭載されセーブ・ロード機能が付いている。セーブはステージ間でのみ可能。

アイテム

水晶
鞭が1段階パワーアップする。1個取れば1.5倍長く2倍の攻撃力の鞭になり、2個取れば火球の出る鞭になる。アイテムはロウソクを壊すと出現する。
ハート
ハートが1つ増える。ソウルウェポンを使用するために消費する。
体力が半分回復する。
1UP
残りプレイヤー数が1つ増える。

ソウルウェポン

時間を止める。画面全体の動きを止めることができる。ボスには無効。ステージ1のボスを倒すと覚える。ハート消費5。
体力回復。体力を全回復できる。ステージ2のボスを倒すと使用可能。ハート消費20。
フラッシュ攻撃。画面上の敵全体に鞭1発分のダメージを与える。ボスには無効。ステージ3のボスを倒すと使用可能。ハート消費5。
波動を飛ばす。前方に威力のある波動を飛ばし、鞭2発分のダメージを敵に与える。ステージ4のボスを倒すと使用可能。ハート消費1。
敵を全滅する。画面上の敵と敵の攻撃弾を一掃出来る。ボスには無効。隠しステージのボスを倒すと使用可能。ハート消費5。

コレクションアイテム

ステージ1のどこかにある。シリーズ定番のサブウェポンであるこれらのコレクションアイテムは、取得しても武器として使用も何もできないが、本作のマルチエンディングのキーとなっており、集めてクリアするとエンディングが変化する。
懐中時計
ステージ2のどこかにある。
短剣
ステージ3のどこかにある。
聖水
聖なる水が入った瓶。ステージ4のどこかにある。
十字架
隠しステージのどこかにある。

設定

ストーリー

中世トランシルバニア、悪魔の力を手に入れた男がいた。ドラキュラ伯爵。人々はその魔王に恐怖し、ただ暗黒時代に不安を唱えることしかできなかった。ドラキュラは超常の力と魔界より呼び出した闇の従者達を使い、絶望という暗黒をヨーロッパに広げていった。

時を同じくして不思議な力を持った1人の少女が片田舎の貴族の家庭で産声を上げた。普通の人間には理解できない大自然の超常的な存在と語り合える特殊な力を持っていた少女は、周囲の誰より早くその特異な力に気付いた祖父に「お前の力は決してお前のためだけに使ってはならない」と言い聞かされながら育った。少女が17歳のある夜、生き別れた父を探す旅の途中だというアルカードと名のる謎の青年と出会う事で運命の歯車はゆっくり動きだすのであった。惨劇は突然少女を襲った。館がドラキュラの下僕である異形の怪物たちに襲撃され、麓の町に出かけていた少女が戻った時には息も絶え絶えの祖父が残されていただけだったのである。「今こそお前の力を役立てる時だ…」祖父の遺言を心の中で繰り返し、少女は祖父の形見の鞭を手に、ドラキュラ打倒のため悪魔城へと向かった。

少女の名はソニア。後にヴァンパイアハンターとして、ベルモンド家の名を世に残す先駆けとなった存在である。

世界観

本作のストーリーは、発売当時は悪魔城ドラキュラシリーズ最古であり「今明かされるドラキュラ伝説の過去」[1]、「ドラキュラの歴史の全てはここから始まっていく」[2]という触れ込みで発売された。

インターネットのサイトでは、1999年に作成された悪魔城ドラキュラシリーズサイト「悪魔城ドラキュラの世界」の作品ストーリー年表には本作も記載されており、2005年に作成されたシリーズサイトの作品ストーリー年表ページには記載されていないがシリーズ作品紹介ページには記載されている[注釈 3]

ステージ構成

ステージ ステージ名 BGM 中ボス ボス
1 「城外」
:血ぬりの森
:嘆きの墓地
:城門前
Bloody Tears なし クリーチャーズ・バット
2 「城内」
:ゲストホール
:無限回廊
:書庫の間
:錬金術の間
城内 デスドラゴン
3 「時計塔」
:闇の時計塔
:格闘場
闇の時計塔 フライングウルフ 死神
4 「城最上階」
:城主の間
城最上階 メデューサー アルカード
5 「大聖堂」
:地下水脈
:ドラキュラ大聖堂
地下水脈 ミノタウロス ドラキュラ
隠し 「沈黙の牢獄」 沈黙の牢獄 なし 死刑執行人

キャラクター

ソニア・ベルモンド
本作の主人公。17歳。金髪で青い目。ヴァンパイアハンターとして、ベルモンド家の名を後の世に残す先駆けとなった女性。祖父に学んだ鞭さばきと、物心ついた時より人には見えない存在と語れる術を身につけていた。攻撃武器は鞭のみであるが(キャラクターイラストでは剣も所持している)、ソウルウェポンやバーニングモードという特殊能力を使える。ソウルウェポンはボス敵が生贄として捕獲している精霊たちの力を借りてサブウェポンとして使い、攻撃のほか回復も可能。バーニングモードはソニアが持っている天性の自己防衛能力で、発動中は無敵になり攻撃力や移動速度も2倍になるなど一時的に身体能力が飛躍的に上昇する。鞭は前作のクリストファー同様、2段階パワーアップで火球を撃てる。
アルカード
ステージ4のボスとして登場。『悪魔城伝説』で初登場したドラキュラの息子。ドラキュラを倒す望みを託すため、悪魔城のどこかで試練の時を待っている。『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』バージョンのような服装デザイン。近距離では剣で攻撃してきて離れると火弾を放ってくる。距離が開くとコウモリに変身して空を飛び反対側に移動する(コウモリ時は攻撃しても当たり判定が無い)。
ドラキュラ伯爵
最終ボス。悪魔城の城主である魔王。『ドラキュラ伝説』同様に、正面を向いたスタイルで瞬間移動して火弾を放ってくる。一度倒すと巨大な怪物の姿と化し、頭部が瞬間移動して8方向に火弾を放ってくる。
クリーチャーズ・バット
ステージ1のボス。人間にコウモリの能力を融合させ造りだされた人工生命体のコウモリ男。筋肉質で怪力と飛行能力をもち、羽を広げて頭上から襲い掛かってくる。
デスドラゴン
ステージ2のボス。ドラキュラがその手で倒し生ける屍として蘇らせた巨大なドラゴンのゾンビ。炎を吐いたり、瓦礫を降らせてくる。
フライングウルフ
ステージ3の中ボス。狼の肉体とコウモリの能力を融合させ造りだされた。腕が羽になっていて、空を飛び炎を吐いてくる。首も長いので見た目はウルフというよりワイバーンのようにも見える。
死神
ステージ3のボス。ドラキュラと血の契約を結んだ腹心。本作では足があり、服も人間のように着ている。宙を舞い、大きな鎌を振りかざして攻撃してくる。
メデューサー
ステージ4の中ボス。美しい女性姿の上半身と大蛇の下半身で蛇の髪をもつ。蛇に噛まれた者は石と化すと言われる[注釈 4]。サーベルで突いて斬りかかってくる。
ミノタウロス
ステージ5の中ボス。人間の体に猛牛の頭の怪物。手首には手錠とちぎれた鎖が付いている。超人的な怪力で、ジャンプして体当たりしてくる。
死刑執行人
隠しステージのボス。頭巾をかぶり顔を半隠しにした大男。ジャンプしながら大きな斧を振り下ろして襲い掛かってくる。
コウモリ
天井や木などにじっとぶら下がっているが、近づくとフラフラと不規則な動きで飛んでまとわりついてくる。
火の玉
ふわふわ揺れながら空中をまっすぐ飛び去っていく。
吸血虫
天井や木などに張り付いているが、近づくと落ちてきて、地を這ってくる大きなヒルのような虫。
ゾンビ
歩いてウロついている動く死体。
スケルトン
槍で武装している動く骸骨。槍を構えて直進してくる。
シャドー
得体の知れない影。上空から斜めに漂って向かってくる。
スケルトンヘッド
巨大な頭蓋骨。上の方で静止していて対面しているときは動かないが、背を見せると素早く向かってくる。
骨柱
頭部の骨を3つ重ねた柱。移動せず、火弾を放ってくる。
ジョッシュ
人のような姿で、背中が大きく曲がって猫背。左右に歩いているが、近づくとジャンプしながら追いかけてくる。
ブラックアーマー
耐久力が高い、大きな甲冑剣士。左右に歩いているが、急に剣で突進攻撃してくる。
タワーズガーディアン
常にロープにつかまって上下に移動しながら、火弾を吐いて攻撃してくる時計塔の番人。
吸血樹
移動せず、花を開いて毒の種を飛ばしてくる。
ジャイアントウォーム
地中を移動し口をあけて頭部を突き出してくる巨大なミミズのような虫。
スパイダー
地面を這う巨大なクモ。
半魚人
水中から飛び出てきて火弾を吐き、ジャンプしてくる。

音楽

サウンドトラック
  • 『悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOX』
2010年3月24日発売[3]。第1作であるディスクシステム用ソフト『悪魔城ドラキュラ』(1986年)からアーケードゲーム悪魔城ドラキュラ THE ARCADE』(2009年)までの悪魔城ドラキュラシリーズのゲームBGMの多くを収録したCD18枚組BOX[3]。内容はほとんどこれまでに発売されてきたサウンドトラックCDから音源をそのまま写した再収録であるうえに、作品ごとの収録曲数は元のサウンドトラックCDより多少削られて少なくなってしまっているが、このBOXで初CD化となる『悪魔城ドラキュラ』(MSX2版)、『悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん』(GB版)、『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(SS版などのレアトラック)、『悪魔城ドラキュラ THE ARCADE』、『悪魔城ドラキュラ THE MEDAL』のBGMが新規収録されている。
漆黒たる前奏曲のBGMはこれが初のサウンドトラックCD化であり、全19曲収録で未使用曲も1曲収録されている。

スタッフ

  • プロデューサー:福井博幸
  • ディレクター:山下幸紀
  • プログラマー:山口佳輝
  • グラフィック・デザイナー:内田和伸
  • サウンド・デザイナー:岡田蘭、岩田陽一
  • プロダクト・デザイナー:日吉司
  • スペシャル・サンクス:山田豊広、チーム・アペイロン

評価

評価
レビュー結果
媒体結果
ファミ通20/40点[4]
NintendoLife4/10stars[5]
Nintendo Power6.4/10点[5]
懐かしゲームボーイパーフェクトガイド否定的[6]
ゲームボーイパーフェクトカタログ肯定的[7]
  • 本作は既にPlayStationなどの次世代機が存在する時代に、ゲームボーイという低性能ハードの制約もあって、ゲームグラフィックは拙くサブウェポンはソウルウェポンになっており、十字架や聖水はグラフィックがあるだけで使えない[注釈 5]。主人公ソニアが強すぎてゲームの難易度は簡単で[注釈 6]、『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』では「今でいうコンシューマゲームを無理にアプリにした感じだった。やりごたえという点で不満の声は多かった」と記載している[6]
  • ゲーム本『ゲームボーイパーフェクトカタログ』では、「強力なバーニングモードシステムでパワフルに敵を倒せるのが快感だ」と肯定的に評価している[7]

関連商品

攻略本
  • KONAMI OFFICIAL GUIDE コナミ完璧攻略シリーズ21『悪魔城ドラキュラ -漆黒たる前奏曲- 公式完全ガイドブック』
発売:双葉社、発行:コナミ。1997年12月25日発行、1000円(税別)。A5判、80ページ。
Castlevania Resurrection
  • 悪魔城ドラキュラシリーズの3Dアクションゲームとして開発され、2000年頃に北米で発売予定だったドリームキャスト用ソフトであり、ソニア・ベルモンドが主人公の1人として登場しスクリーンショットなども公開されていたが、開発中にドリームキャストは失速し、『Castlevania Resurrection』は完成することなく開発中止となっている。

脚注

注釈

  1. ^ それまでのシリーズにもゲーム途中で使用可能になり選択して使える女性プレイキャラクターはいたが、単独女性主人公はソニアが初である。
  2. ^ ステージ5の途中にある6番目の隠しステージは行かなくてもゲームクリアできる。
  3. ^ なおゲーム誌「ゲームサイド」2009年2月号では、Wii用3D対戦アクション『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』(2009年)の記事においてそのプロデューサー五十嵐孝司(漆黒たる前奏曲の開発スタッフではない)は、本作のストーリーについて「パラレルワールドという解釈でいいのでしょうか?」と聞かれ「そのような解釈でいいと思います」と返答している。
  4. ^ 説明書のキャラクター紹介にはそのように書かれてあるが、ゲームには「石化」という要素はない。
  5. ^ 前々作『ドラキュラ伝説』(1989年)でも使用不可であったが前作『ドラキュラ伝説II』(1991年)では2つだけ使えた。
  6. ^ 敵から受けるダメージが小さくゴリ押しでもボスを秒殺できる上、無敵能力のバーニングモードがゲーム難易度を押し下げている。

出典

  1. ^ 本作のパッケージ箱裏より
  2. ^ 「コナミマガジン」(コナミが発行していた無料情報誌)VOL.4より
  3. ^ a b 『悪魔城ドラキュラ』シリーズ、CD18枚+DVDのベスト音楽集BOXが発売決定”. CDジャーナル. 音楽出版 (2009年12月22日). 2021年2月7日閲覧。
  4. ^ a b 悪魔城ドラキュラ 〜漆黒たる前奏曲〜 まとめ [ゲームボーイ]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2021年2月7日閲覧。
  5. ^ a b Castlevania Legends for Game Boy” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2021年2月7日閲覧。
  6. ^ a b 懐かしゲームボーイパーフェクトガイド 2017, p. 19.
  7. ^ a b 前田尋之 2018, p. 125- 「Chapter 2 ゲームボーイソフトソフトオールカタログ 1997年」より

参考文献

  • 前田尋之『G-MOOK154 ゲームボーイパーフェクトカタログ』ジーウォーク、2018年11月29日、100頁。ISBN 9784862978226 
  • 『M.B.MOOK 懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』マガジンボックス、2017年2月25日、19頁。ISBN 9784866400259 

外部リンク