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[[1980年代]]初頭、[[イギリス]]のチェリー・レッド、ラフ・トレード、ポストカード、[[ベルギー]]の[[クレプスキュール]]といった[[レコードレーベル|レーベル]]から、「[[パンク・ロック|パンク]]以降」を感じさせる新しい感覚の[[アコースティック]]・サウンドを奏でるアーティストが登場した{{sfn|辻󠄀口|2000|page=80}}。「ネオ・アコースティック」という呼称は、これらのアーティストまたはムーブメントに対して、日本の評論家やレコード会社が名付けたのが始まりとされる{{sfn|宮子|1998|pages=12-13}}。 |
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呼称の由来として、当時[[パンク・ロック|パンク]]以降に登場した様々な音楽スタイルに対して「ネオ○○」というジャンル名が与えられていたことが背景にある(ネオ・サイケ、ネオ・モッズなど)。この場合の「ネオ」は[[ポスト・パンク]]に近い意味合いであると思われ、音楽業界において「[[パンク・ロック|パンク]]が旧来の価値観を破壊した」という認識のもと、旧来の音楽スタイルと区別する意味で使われたものである。 |
呼称の由来として、当時[[パンク・ロック|パンク]]以降に登場した様々な音楽スタイルに対して「ネオ○○」というジャンル名が与えられていたことが背景にある(ネオ・サイケ、ネオ・モッズなど)。この場合の「ネオ」は[[ポスト・パンク]]に近い意味合いであると思われ、音楽業界において「[[パンク・ロック|パンク]]が旧来の価値観を破壊した」という認識のもと、旧来の音楽スタイルと区別する意味で使われたものである{{sfn|宮子|1998|pages=12-13}}。 |
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[[1980年代]]半ば頃まで、ネオアコは[[イギリス]]および日本の”少数の”[[リスナー]]に一定の人気を保っていた。[[1983年]]から[[1985年]]にかけては、[[アルバム]]が発表されるが、当時の日本においてネオアコのファンは、あくまで一部の洋楽リスナーに限定されていたと言っていいだろう。日本ではネオアコとされたオレンジ・ジュースだが、彼らの曲「リップ・イット・アップ」<ref> |
[[1980年代]]半ば頃まで、ネオアコは[[イギリス]]および日本の”少数の”[[リスナー]]に一定の人気を保っていた。[[1983年]]から[[1985年]]にかけては、[[アルバム]]が発表されるが、当時の日本においてネオアコのファンは、あくまで一部の洋楽リスナーに限定されていたと言っていいだろう。日本ではネオアコとされたオレンジ・ジュースだが、彼らの曲「リップ・イット・アップ」<ref>https://www.discogs.com/Orange-Juice-Rip-It-Up/master/220713</ref>はシックなどの影響を受けたダンサブルな曲だった。音楽的には、ニール・ヤング、ボブ・ディラン、[[バーズ]]をはじめとする[[1960年代]] - [[1970年代|70年代]]の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、イギリスの[[フォーク・ロック|フォーク]]と同様に[[アコースティック]]楽器を中心としているが、それらよりも「青臭く」て大人の視点が欠落した透明感のあるサウンドを特徴とする<ref name="タワレコ90-2">{{Cite web |author=北爪 啓之、柴田 かずえ、村尾 泰郎 |date=2009-06-10 |url=https://tower.jp/article/series/2009/06/10/100044100/100044101 |title=第90回 ─ ネオアコ(2) |website=TOWER RECORDS ONLINE |publisher=タワーレコード |accessdate=2020-02-03 }}</ref>。1980年代半ば以降は、アーティストの音楽性が洗練されていった影響もあり、この動きは一時下火となっていた。 |
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[[1989年]]、日本でネオアコから多大な音楽的影響を受けた[[フリッパーズ・ギター]]がメジャー・デビューしTVドラマの主題歌に使われた「恋とマシンガン」ブレイクを果た |
[[1989年]]、日本でネオアコから多大な音楽的影響を受けた[[フリッパーズ・ギター]]がメジャー・デビューした。TVドラマの主題歌に使われた「恋とマシンガン」でブレイクを果たして以後、彼らが影響を受けたネオアコのアーティスト達を様々な媒体で紹介した。また彼らが導火線の一つとなったとされる[[渋谷系]]の勃興も相まって、[[1990年代]]初頭にネオアコの人気が盛り上がり、多くの新しいファンを獲得した{{sfn|宮子|1998|pages=39}}。 |
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*[[ベル・アンド・セバスチャン]] ([[:en:Belle and Sebastian|Belle and Sebastian]]) |
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=== オーストラリア === |
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*[[ゴー・ビトウィーンズ]] ([[:en:The Go-Betweens|The Go-Betweens]]) |
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*[[ファンタスティック・サムシング]](Fantastic Something) - 1980年代に登場したヴェイス兄弟のユニット。ギリシャ生、米国育ち。一部では「ギリシャの[[サイモン&ガーファンクル]]」と呼ばれていた。唯一発表されたアルバム制作には、実際サイモン&ガーファンクルの楽曲制作にも長く携わっていたエンジニアの[[ロイ・ハリー]]が担当。 |
*[[ファンタスティック・サムシング]](Fantastic Something) - 1980年代に登場したヴェイス兄弟のユニット。ギリシャ生、米国育ち。一部では「ギリシャの[[サイモン&ガーファンクル]]」と呼ばれていた。唯一発表されたアルバム制作には、実際サイモン&ガーファンクルの楽曲制作にも長く携わっていたエンジニアの[[ロイ・ハリー]]が担当{{sfn|辻󠄀口|2000|page=12}}。 |
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=== 日本 === |
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*ペニー・アーケード<ref>{{Cite web |url=http://kilikilivilla.com/post/138655099754/news-20160216-penny-arcade-a-girl-from-penny |title=PENNY ARCADE / A GIRL FROM PENNY ARCADE |publisher=KiliKiliVilla |date=2016-02-16 |accessdate=2018-01-10 }}</ref> |
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*[[デボネア]]<ref>{{Cite web |url=http://kilikilivilla.com/post/165253395119/news-20170912-debonaire未発表音源集lost-and |title=Debonaire未発表音源集『Lost And Found』先行予約受付開始。 |publisher=KiliKiliVilla |date=2017-09-12 |accessdate=2018-01-10 }}</ref> |
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*[[ギターポップ]] |
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*[[フォーク]] |
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== 参考文献 == |
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*{{Cite book |和書 |author=辻󠄀口稔之(編・著) |coauthors=浅見広樹・岩渕尚史・岡 人史・金沢和重・鈴木哲哉・多澤佳代・中村清子・松本淑子 |date=2000 |title=ネオ・アコースティック |publisher=[[シンコーミュージック・エンタテイメント|シンコー・ミュージック]] |series=THE DIG PRESENTS DISC GUIDE SERIES |isbn=4-401-61650-2 |ref={{sfnref|辻󠄀口|2000}} }} |
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*{{Cite journal |和書|author=宮子和眞監修 |title=ギター・ポップ・ジャンボリー |date=1998 |publisher=[[ミュージック・マガジン]] |journal=MUSIC MAGAZINE 増刊 |volume=30 |issue=16 |ref={{sfnref|宮子|1998}} }} |
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==外部リンク== |
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2020年2月6日 (木) 15:12時点における版
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ネオアコとは、ポスト・パンクの流れから派生した音楽ジャンル/スタイルのひとつ。ネオ・アコースティック (neo acoustic) の略称。なおネオアコ(ネオ・アコースティックも含む)と言う言葉自体は和製英語であり、欧米では通用しない言葉である。
概要:歴史
1980年代初頭、イギリスのチェリー・レッド、ラフ・トレード、ポストカード、ベルギーのクレプスキュールといったレーベルから、「パンク以降」を感じさせる新しい感覚のアコースティック・サウンドを奏でるアーティストが登場した[1]。「ネオ・アコースティック」という呼称は、これらのアーティストまたはムーブメントに対して、日本の評論家やレコード会社が名付けたのが始まりとされる[2]。
呼称の由来として、当時パンク以降に登場した様々な音楽スタイルに対して「ネオ○○」というジャンル名が与えられていたことが背景にある(ネオ・サイケ、ネオ・モッズなど)。この場合の「ネオ」はポスト・パンクに近い意味合いであると思われ、音楽業界において「パンクが旧来の価値観を破壊した」という認識のもと、旧来の音楽スタイルと区別する意味で使われたものである[2]。
1980年代半ば頃まで、ネオアコはイギリスおよび日本の”少数の”リスナーに一定の人気を保っていた。1983年から1985年にかけては、アルバムが発表されるが、当時の日本においてネオアコのファンは、あくまで一部の洋楽リスナーに限定されていたと言っていいだろう。日本ではネオアコとされたオレンジ・ジュースだが、彼らの曲「リップ・イット・アップ」[3]はシックなどの影響を受けたダンサブルな曲だった。音楽的には、ニール・ヤング、ボブ・ディラン、バーズをはじめとする1960年代 - 70年代のアメリカ、イギリスのフォークと同様にアコースティック楽器を中心としているが、それらよりも「青臭く」て大人の視点が欠落した透明感のあるサウンドを特徴とする[4]。1980年代半ば以降は、アーティストの音楽性が洗練されていった影響もあり、この動きは一時下火となっていた。
1989年、日本でネオアコから多大な音楽的影響を受けたフリッパーズ・ギターがメジャー・デビューした。TVドラマの主題歌に使われた「恋とマシンガン」でブレイクを果たして以後、彼らが影響を受けたネオアコのアーティスト達を様々な媒体で紹介した。また彼らが導火線の一つとなったとされる渋谷系の勃興も相まって、1990年代初頭にネオアコの人気が盛り上がり、多くの新しいファンを獲得した[5]。
代表的なミュージシャン
イギリス
80年代
- アズテック・カメラ (Aztec Camera)[4][6]
- プリファブ・スプラウト (Prefab Sprout)[7]
- フェルト (Felt)[8]
- オレンジ・ジュース (Orange Juice)[4][9]
- ペイル・ファウンテンズ (The Pale Fountains)[10]
- エヴリシング・バット・ザ・ガール (Everything but the Girl)[11]
- フレンズ・アゲイン (Friends Again)[12]
- ウィークエンド (Weekend)[4]
- イースト・ヴィレッジ (East Village)[11]
- ジャスミン・ミンクス (The Jasmine Minks)[13]
- ザ・パステルズ (The Pastels)[14]
- アイレス・イン・ギャザ (Eyeless in Gaza)[15]
- ロータス・イーターズ (The Lotus Eaters)[16]
- ザ・ブルーベルズ (The Bluebells)[4][17]:パティ・ラベルのコーラスグループのブルーベルズとは異なる。
- フレンズ(Friends)[8]
- ヒット・パレード (The Hit Parade)[18]
90年代以降
オーストラリア
ギリシャ
- ファンタスティック・サムシング(Fantastic Something) - 1980年代に登場したヴェイス兄弟のユニット。ギリシャ生、米国育ち。一部では「ギリシャのサイモン&ガーファンクル」と呼ばれていた。唯一発表されたアルバム制作には、実際サイモン&ガーファンクルの楽曲制作にも長く携わっていたエンジニアのロイ・ハリーが担当[22]。
日本
関連項目
脚注
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 80.
- ^ a b 宮子 1998, pp. 12–13.
- ^ https://www.discogs.com/Orange-Juice-Rip-It-Up/master/220713
- ^ a b c d e 北爪 啓之、柴田 かずえ、村尾 泰郎 (2009年6月10日). “第90回 ─ ネオアコ(2)”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2020年2月3日閲覧。
- ^ 宮子 1998, pp. 39.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 8.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 50.
- ^ a b 辻󠄀口 2000, p. 13.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 49.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 17.
- ^ a b 辻󠄀口 2000, p. 10.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 37.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 42_.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 111.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 11.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 45.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 27.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 14.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 66.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 64.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 38.
- ^ 辻󠄀口 2000, p. 12.
- ^ 梶本聡 (2004年3月4日). “フリッパーズを知るための10の項目 TEN SENSES OF FLIPPERS GUITAR”. タワーレコード. 2020年1月6日閲覧。 - 初出は『bounce』 251号 (2004/2/25)
- ^ “BRIDGE INTERVIEW 2017”. ポプシクリップ。 (2017年4月23日). 2018年1月10日閲覧。
- ^ “ゴス少年だったカジヒデキ、思春期を振り返りアルバム「GOTH ROMANCE」制作”. 音楽ナタリー/ナターシャ (2019年4月10日). 2020年1月6日閲覧。 - 初出は『bounce』 251号 (2004/2/25)
- ^ “b-flower”. OTOTOY. 2018年1月10日閲覧。
- ^ “PENNY ARCADE / A GIRL FROM PENNY ARCADE”. KiliKiliVilla (2016年2月16日). 2018年1月10日閲覧。
- ^ “Debonaire未発表音源集『Lost And Found』先行予約受付開始。”. KiliKiliVilla (2017年9月12日). 2018年1月10日閲覧。
- ^ “ネロリーズ”. CDJournal. シーディージャーナル. 2020年2月6日閲覧。
参考文献
- 辻󠄀口稔之(編・著)、浅見広樹・岩渕尚史・岡 人史・金沢和重・鈴木哲哉・多澤佳代・中村清子・松本淑子『ネオ・アコースティック』シンコー・ミュージック〈THE DIG PRESENTS DISC GUIDE SERIES〉、2000年。ISBN 4-401-61650-2。
- 宮子和眞監修「ギター・ポップ・ジャンボリー」『MUSIC MAGAZINE 増刊』第30巻第16号、ミュージック・マガジン、1998年。