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FCバスの後継車種。2017年10月の[[東京モーターショー]]で初めて公開された。<br>2018年3月7日にリース販売開始<ref>[https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/21862392.html トヨタ自動車、量販型燃料電池バス「SORA」を発売](トヨタグローバルニュースルーム)2018年3月29日閲覧。</ref>。燃料電池車のバスとしては国内で初めて国交省の型式認証を所得した。2018年3月現在、都営バスに3台導入されている<ref>[https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/bus/2018/bus_p_201803287863_h.html 量産型燃料電池バスが導入されました](東京都交通局ホームページ)2018年3月29日閲覧。</ref>。<br/>
FCバスの後継車種。2017年10月の[[東京モーターショー]]で初めて公開された。<br>2018年3月7日にリース販売開始<ref>[https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/21862392.html トヨタ自動車、量販型燃料電池バス「SORA」を発売](トヨタグローバルニュースルーム)2018年3月29日閲覧。</ref>。燃料電池車のバスとしては国内で初めて国交省の型式認証を所得した。2018年3月現在、都営バスに3台導入されている<ref>[https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/bus/2018/bus_p_201803287863_h.html 量産型燃料電池バスが導入されました](東京都交通局ホームページ)2018年3月29日閲覧。</ref>。<br/>


2018年9月6日、民間のバス会社では初めて[[京浜急行バス]]が2019年春に導入することを発表した<ref>[http://www.keikyu-bus.co.jp/topics/2018/0906_1467.html 燃料電池バス「SORA」を導入します!](京浜急行バスホームページ)2018年9月7日閲覧。</ref>
2018年9月6日、民間のバス会社では初めて[[京浜急行バス]]が2019年春に導入することを発表した<ref>[http://www.keikyu-bus.co.jp/topics/2018/0906_1467.html 燃料電池バス「SORA」を導入します!](京浜急行バスホームページ)2018年9月7日閲覧。</ref>。


==その他==
==その他==

2018年9月11日 (火) 08:46時点における版

トヨタ・FCHVトヨタ自動車が生産する燃料電池電気自動車である。なお、トヨタはこれを燃料電池と二次電池のハイブリッドシステムであるとし、Fuel Cell Hybrid Vehicle(燃料電池複合型自動車)の略としてFCHVの名を与えている。2004年3月現在、日米で12台が稼働している。

トヨタFCHV(メガウェブ
中央に見えるのがパワーコントロールユニットで、燃料電池スタックはパワーコントロールユニットの下に搭載されている
FCHVアドバンスド
松崎(まんざき)交通に貸与されてハイヤーとして運行されるFCHVアドバンスド

概要

2002年12月より日本アメリカで限定リース開始、12月2日に中央官庁(内閣府, 国土交通省, 経済産業省, 環境省)へ貸し出された。ベース車はクルーガー(SUVの一種)。値段はリースのみで日本では月額120万円、アメリカでは1万ドル。AWD。

特徴

動力源には最大出力90kWのトヨタ製燃料電池スタック「トヨタFCスタック」と、二次電池として21kWニッケル水素電池を搭載し、モータ(80kW 260N.m)を駆動する電気自動車。燃料電池スタックと二次電池をPCU(パワーコントロールユニット)で繋ぎ、走行・車両の状況に合わせ、それぞれを最適に制御している(状況によっては燃料電池の発電停止、アイドルストップも行っている)。直流コンバータ等PCUによる複数電源の接続は、最大電流に制限を加える等デメリットも存在する。直流コンバータ等が不要となるキャパシタを搭載したホンダ・FCXとは正反対の設計思想を持っている。燃料は高圧水素を使用し、35MPaの高圧タンクに搭載する。10・15モードで航続距離330km。

2002年当時のホンダ・FCXがカナダのバラード社製スタックを搭載し車両を発表したように、他自動車メーカーが燃料電池専門メーカー製のスタックを搭載する中、自社製スタックを搭載、技術力をアピールしたが、一般への認知度は低い。

その他、ボディーパネルの一部アルミ化や、リヤスポイラー・床下フラット等による空力特性の改善、フロンガスを使用しないCO2エアコンを搭載する等、新規技術を多数織り込んでいる。

氷点下30度の低温環境で起動・走行試験が可能だが、燃料電池自動車の弱点である凍結の問題はクリアーできていない。

発表当時の張社長の「数億円はする」とのコメントから、コスト低減も重大な課題と認識されている。

2007年に登場した改良バージョンのFCHV-adv(アドバンスド)では航続距離延長のため水素タンクの充填圧力を70MPaに強化、システムの改良と併せて10・15モード燃費で航続距離は830kmに延びている。

歴史

仕様

  • 全長: 4735mm
  • 全幅: 1815mm
  • 全高: 1685mm
  • 重量: 1860 kg
  • 乗車定員: 5人乗り
  • 最高速度: 155km/h
  • 最低地上高: 180mm
  • タイヤ外径: 704mm
  • 最小回転半径: 5.7
  • ドア数: 5ドア

路線バスタイプ

乗用車タイプと並行して路線バス向けも開発されており、FCHV-BUSとその後継のFCバスが存在する。

FCHV-BUS

FCHV-BUS(第三世代)


知多乗合(現在はトヨタ自動車に返却)

子会社である日野自動車との共同開発で、ベース車はブルーリボンシティノンステップバス(KL-HU2PMEE)である。

  • 第一世代(FCHV-BUS1)
FCHVのコンポーネントをバスに搭載した試作車。燃料電池スタックは90kWのものを1基、電動機は80kWのものを2基搭載、水素タンクは25MPa・150Lのものを屋根上の前部に5基搭載した。
  • 第二世代(FCHV-BUS2)
2002年の東京モーターショーで一般公開される。燃料電池スタックを90kWのものを2組に、水素タンクは容量は150リットル5基のままだが充填圧力が35MPaに増強、設計上の航続距離は250kmを確保した。国土交通大臣認定を受けて2003年8月から2004年12月まで東京都交通局に1台が貸し出され、都営バス深川営業所路線バスとして東16系統(東京駅 - 豊洲駅 - 東京ビッグサイト)と海01系統(門前仲町 - 豊洲駅 - 東京テレポート駅)を中心に運行された。
  • 第三世代
2005年日本国際博覧会(愛・地球博)の長久手会場と瀬戸会場を結ぶシャトルバスとして8台(実際には何らかの事情で9台)が製作された。各部のマイナーチェンジが施され、水素タンクは35MPa・150L 7基に増強して航続距離350kmを確保、配管の短縮化のため屋根の中央部に搭載された。冷房装置の関係か側窓はすべて固定窓を採用、空調効率を上げるため窓をラッピングフィルムで覆っている。
万博閉幕後は2006年3月に知多乗合に1台が貸し出されて知多半田駅 - 常滑駅間と中部国際空港島内の路線バスおよび駐車場シャトルバスとして2009年12月まで営業運行に供され、7月には中部スカイサポート(2007年4月よりANAグランドサービス中部)に2台が貸し出されて中部国際空港内のランプバスとして運行されている。2010年10月には名鉄バスに1台が貸与されて2012年11月までとよたおいでんバス豊田東環状線で特定日に運行されていた。また、2012年10月より2014年3月まで関西国際空港内のエアロプラザから第二ターミナルビルを結ぶシャトルバスにも導入された[1]。他にもトヨタ自動車に返却された車両が自動車や燃料電池、環境関連のイベントで試乗車として登場するほか、東京マラソンや2007年に大阪で開催された世界陸上ではスタッフカーとして使用されたことがある。
2010年12月16日から2013年9月12日まで、羽田空港新宿駅東京シティエアターミナルを結ぶ東京空港交通リムジンバスにおいて実証実験が行われた。ノンステップバスがベースのため、定員は25名に抑えられ、前面や客室は日野・セレガ(2代目)に似た形状としている。

FCバス

FCバス


2015年から実証試験を開始したFCバス

形式名はTFCB。FCV「ミライ」用に開発された技術を織り込んだ新型燃料電池バス。登場当初前面と後部のデザインはこれまでの試作車と同様にブルーリボンシティの物を流用していたが、側面は側窓下部のモールがなくなり中扉も引き戸からプラグドアに変更されるなどすっきりした仕上げとなっていた。2014年にフロントとリアを中心に大幅な外装リニューアルを受け、その結果ブルーリボンシティの面影はほぼ無くなっている。FCスタックは114kWのものを2基、電動機は110kWのものを2基搭載、水素タンクは70MPaのものを屋根上に8基搭載した。リアドライブ方式。

  • 試作車
実証実験のため豊田市に無償で貸し出され、名鉄バスに委託してとよたおいでんバス豊田東環状線(豊田市駅 - 三河豊田駅)で2015年1月9日から3月31日までと同年7月6日から8月31日まで営業運行が行われた。同年9月1日から11月30日まではとよたおいでんバス藤岡・豊田線の豊田市駅 - 藤岡中学校間で営業運行を行う[2]
  • 量産車
上述の各車種での走行実証を踏まえ、2017年初頭にトヨタブランドで「トヨタFCバス」として発売が開始される。外観はミラー類が樹脂一体成型品から従来品に変更された事以外は2015年に実証実験を行った車両とほぼ同一である。初年度は同年2月 - 3月にかけて東京都交通局にリース方式で2台が納入され、同年3月21日より都05-2系統(東京駅丸の内南口 - 東京ビッグサイト)/都05-2急行系統(東京駅丸の内南口 - 東京ビッグサイト)で路線バスとして運行を開始した[2][3][4][5]

SORA(ZBC-MUM1NAE)

FCバスの後継車種。2017年10月の東京モーターショーで初めて公開された。
2018年3月7日にリース販売開始[6]。燃料電池車のバスとしては国内で初めて国交省の型式認証を所得した。2018年3月現在、都営バスに3台導入されている[7]

2018年9月6日、民間のバス会社では初めて京浜急行バスが2019年春に導入することを発表した[8]

その他

トヨタL&F・燃料電池フォークリフト

トヨタグループでは他にダイハツ工業から軽自動車版としてムーヴEV-FCとムーヴFCV-K-2タントFCHVが、豊田自動織機(トヨタL&F)からは燃料電池を搭載したフォークリフト"FCHV-F"が登場しており、これらには30kWのトヨタ製燃料電池スタックが搭載されている。(RF駆動)

関連項目

脚注

  1. ^ 水素燃料電池バス走行実証開始! - 新関西国際空港株式会社
  2. ^ トヨタ自動車、2017年初めより、燃料電池バスをトヨタブランドで販売 トヨタグローバルニュースルーム(2016年10月21日 トヨタ自動車)
  3. ^ 都営バスで燃料電池バスによる運行を開始!(2017年2月24日 東京都交通局プレスリリース)
  4. ^ トヨタブランドのFCバス1号車、東京都へ販売…都営バスとして3月より運行”. レスポンス (2017年2月24日). 2017年2月25日閲覧。
  5. ^ 燃料電池バス運行開始のお知らせ(2017年3月15日 東京都交通局プレスリリース)
  6. ^ トヨタ自動車、量販型燃料電池バス「SORA」を発売(トヨタグローバルニュースルーム)2018年3月29日閲覧。
  7. ^ 量産型燃料電池バスが導入されました(東京都交通局ホームページ)2018年3月29日閲覧。
  8. ^ 燃料電池バス「SORA」を導入します!(京浜急行バスホームページ)2018年9月7日閲覧。

外部リンク