コンテンツにスキップ

Ë

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Ëë Ëë
ラテン文字
Aa Bb Cc Dd    
Ee Ff Gg Hh    
Ii Jj Kk Ll Mm Nn
Oo Pp Qq Rr Ss Tt
Uu Vv Ww Xx Yy Zz
  • 太字で表した字は母音である。

Ë, ë は、Eトレマないしウムラウト(字形は同じ)を付した文字である。フランス語オランダ語アルバニア語ハンガリー語ルクセンブルク語等で使われる。

トレマとしての使用

[編集]

フランス語では、母音字の後にのみ用い、その音節が子音で終わっていれば [ɛ] の音を表す。また、男性形が -gu で終わる語の女性形の語末で、gue であれば [ɡ(ə)] を表すが、元の発音である [ɡy] を表すために guë と書かれる。

オランダ語では、例えば ie は「イー」と発音するが、ië だと「イエ」となる。

ウムラウトとしての使用

[編集]

ハンガリー語では正書法の E e の音価には実は2種類あり、「広い e」[ɛ] (nyílt e) と「狭い e」[e] (zárt e) を別々の音素として区別して表記する場合に「狭い e」を Ë ë と表記する。専らハンガリー語学と方言学で用いられるが、ハンガリーでは e と ë で意味を区別するだけではなく、文法もよりわかりやすくなるために、正書法でも「狭い e」を導入すべきだという意見もある。

アルバニア語とルクセンブルク語では、Ë ë はシュワー(曖昧母音)の [ə] の音を表す[1][2]

日本語上代特殊仮名遣いのローマ字表記では、ë は「乙類エ」を表す。「甲類エ (e)」とは異なる母音を表すが、具体的な音価は諸説あり未詳である。

符号位置

[編集]
大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
Ë U+00CB 1-9-34 Ë
Ë
Ë
ë U+00EB 1-9-65 ë
ë
ë

参考文献

[編集]
  1. ^ 直野敦『アルバニア語基礎1500語』(大学書林・1986年6月)ISBN 9784475010993
  2. ^ 『ニューエクスプレススペシャル ヨーロッパのおもしろ言語』(白水社・2010年7月)ISBN 9784560085400