P級駆逐艦

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P級駆逐艦
HMS Partridge FL1961.jpg
基本情報
種別 駆逐艦
命名基準 "P"で始まる英単語
運用者  イギリス海軍
就役期間 1941年 - 1964年
建造数 8隻
前級 O級
次級 Q級
要目
基準排水量 1,550 トン
全長 107.9 m
最大幅 10.67 m
吃水 2.74 m
ボイラー 水管ボイラー×2缶
主機 蒸気タービン
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 40,000馬力
速力 37ノット
航続距離 3,340海里 (20kt巡航時)
燃料 重油472トン
乗員 176~212名
兵装45口径10.2cm単装砲×5基
39口径40mm4連装機銃×1基
70口径20mm単装機銃×4基
・53.3cm4連装魚雷発射管×1基
爆雷投射機×4基
爆雷×42~70発
FCS ・Mk.V**方位盤
FKC射撃盤 (対空用)
・FCB射撃盤 (対水上用)
レーダー ・281型→291型 早期警戒用
293型 目標捕捉用 (後日装備)
・285型 射撃指揮用
ソナー ・128型 探信儀 (ASDIC)
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P級駆逐艦英語: P-class destroyer)は、イギリス海軍駆逐艦の艦級。1940年度戦時予算に基づく第2次戦時急造艦隊として8隻が建造され、1941年から1942年にかけて順次に就役した。第二次世界大戦において船団護衛を務めたほか、大戦を生き抜いたパラディンとペタードの2隻は1950年代16型フリゲートへ改装された[1][2][3]

来歴[編集]

第二次世界大戦の勃発を受けてイギリス海軍は戦時緊急計画を発動し、まず1939年9月3日、第1陣としてO級が発注された。そして10月2日、第2陣として発注されたのが本級である[3]

当初計画ではO級の一部となる予定だったが、建造途上の1941年1月、45口径10.2cm単装高角砲(QF 4インチ砲Mk.V)5基を搭載するように変更されることになり、これにあわせて、"O"を冠した艦名から"P"を冠した艦名へと改名された。この改設計は工期に影響を与えない予定だったが、オンスローから改名したパケナムは5週間、オンスロートから改名したパスファインダーは4週間の遅延となった[3]

設計[編集]

上記の経緯より、設計はO級の小改正型、すなわちJ級の派生型であり、単煙突・船首楼型という船型も同様である[4]。機関も同様で、アドミラルティ式3胴型水管ボイラー(圧力300 psi (21 kgf/cm²)、温度326.7℃)、パーソンズ式オール・ギヤード・タービンによる2軸推進、出力40,000馬力である[5]。ただし本級では、配管系の配置に改良が加えられた[3]

一方、上記の経緯から艦砲は45口径10.2cm単装高角砲(QF 4インチ砲Mk.V)5基に変更された。このため、O級で搭載されていた後部魚雷発射管は省かれて、対艦兵器は21インチ4連装魚雷発射管1基のみとなった[2]。ただしピタード、パスファインダーでは10.2cm単装高角砲4基として、4連装魚雷発射管2基を搭載するように変更されて竣工した。また1945年初頭、ピタードでは10.2cm単装高角砲を全て撤去するかわりに45口径10.2cm連装高角砲(QF 4インチ砲Mk.XVI)2基を搭載した。射撃指揮装置はO級と同様で、285型レーダーを備えたMk.V**方位盤と、対空用のFKC(Fuze Keeping Clock)射撃盤と対水上用のFCB(Fire Control Box)射撃盤の組み合わせとされた[3]

近距離用の対空兵器としては、当初はJ級と同様に39口径40mm4連装機銃(QF 2ポンド・ポンポン砲)1基と62口径12.7mm4連装機銃2基を搭載する予定であった。しかしいずれも防空力としては不十分だったため大戦中に撤去され、1944年1月の時点では、70口径20mm機銃の連装・単装銃架2基ずつが標準的な装備となっていた。またピタード、ポークパインでは70口径20mm機銃の搭載までの間、高速魚雷艇と同型の62口径12.7mm連装機銃が搭載された[3]

同型艦[編集]

# 艦名 造船所 就役 その後
G06 パケナム
HMS Pakenham
嚮導艦
ホーソン・レスリー 1942年
2月4日
1943年4月16日、チーニョ船団の戦いにおいてイタリア海軍の水雷艇チーニョカシオペアと交戦後処分。
G69
F169[注 1]
パラディン
HMS Paladin
ジョン・ブラウン 1941年
12月
1945年11月に予備役編入。1954年に16型フリゲートへ改装。
1961年6月に退役。1962年に解体。
G41 パンサー
HMS Panther
フェアフィールド英語版 1941年
12月12日
1943年10月9日、エーゲ海スカルパント海峡ドイツ空軍Ju 87急降下爆撃機の攻撃により撃沈。
G30 パートリッジ
HMS Partridge
1942年
2月22日
1942年12月18日、地中海のオラン西方沖においてドイツ海軍VIIC型UボートU-565の雷撃により撃沈。
G10 パスファインダー
HMS Pathfinder
ホーソン・レスリー 1942年
8月13日
1945年2月11日、ラムリー島の戦いにおいて日本陸軍航空部隊飛行第64戦隊一式戦「隼」2機の急降下爆撃により大破。
本国帰還後予備役編入、1948年に解体。
G77 ペン
HMS Penn
ヴィッカース・アームストロング 1942年
2月10日
1950年に解体
G56
F56[注 1]
ペタード[注 2]
HMS Petard
1942年
6月15日
1946年9月に予備役編入。1953年に16型フリゲートへ改装。
1964年5月に退役。1967年に解体。
G93 ポーキュパイン
HMS Porcupine
1942年
8月31日
1942年11月11日、ジブラルタルの東130km沖で、ドイツ海軍のVIIC型UボートU-380の雷撃により大破。
船体は前後に分割の上ポーク(HMS Pork)及びパイン(HMS Pine)として宿泊艦として再利用の後、1947年に解体。

脚注[編集]

  1. ^ a b 16型フリゲートへの改装後に、新たに与えられたペナントナンバー
  2. ^ 建造当初の艦名はページステント(HMS Persistent)であったが、進水直前の1941年3月に改名

参考文献[編集]

  1. ^ Roger Chesneau, Robert Gardiner (1980). Conway's All the World's Fighting Ships 1922-1946. Naval Institute Press. p. 42. ISBN 978-0870219139. 
  2. ^ a b 中川務「イギリス駆逐艦史」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 96頁、 ISBN 978-4905551478
  3. ^ a b c d e f Norman Friedman (2012). “The War Emergency Destroyers”. British Destroyers & Frigates: The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1473812796. 
  4. ^ 岡田幸和「船体 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 158-163頁、 ISBN 978-4905551478
  5. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 164-171頁、 ISBN 978-4905551478

外部リンク[編集]