Grey Skies

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Grey Skies
大貫妙子スタジオ・アルバム
リリース
録音 THE CROWN STUDIO
1976年6月12日-8月
ジャンル ロック
ポップス
レーベル PANAMCROWN
LP:GW-4023
プロデュース 大貫妙子
中根康旨 (for Crown Record)
大貫妙子 年表
SONGS ⁄ SUGAR BABE
1975年
Grey Skies
(1976年)
SUNSHOWER
1977年
『Grey Skies』収録のシングル
  1. 「愛は幻 / One's Love」
    リリース: 1976年(非売品)
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Grey Skies』(グレイ・スカイズ)は、1976年9月25日に発売された大貫妙子通算1作目のスタジオ・アルバム

解説[編集]

大貫妙子はシュガー・ベイブのメンバーとして3年弱の活動を経て、1976年クラウン・レコードと契約。ソロ・アーティストとして活動をはじめることになった。当時の様子を大貫は「シュガー・ベイブを離れて一人になったら、全く自信がなかった。もう、このままやめるんじゃないかと思ったし。でも、周りの勧めにより、続けていこうと。いつも、山下くんの影に隠れてピアノを弾いていただけの存在だったけど、そんな私にも何か可能性を感じてくれた人がいたんですね。話を進めてくれたのは、後に『ロマンティーク[注 1]と『アヴァンチュール[注 2]をプロデュースしてくださった牧村さんです。そういう意味では周りの人に恵まれていた」「乗り気ではなかったというか、不安は大いにありました。でも、シュガー・ベイブが売れてたわけじゃないし、ソロになって初めの第一歩だから、そんなにプレッシャーは無かったけど。それよりも、自分の好きな人とできるということで楽しかった。私が一緒にお仕事したいアレンジャーが何人かおりまして、頼んだら皆やってくれるというので、あの頃はスタジオに入ってヘッド・アレンジみたいな感じでワイワイっていう感じで作りました。でも、あんなにレコーディングで疲れたことはありませんでした。シュガー・ベイブの時っていうのは、自分のパートだけこなしてればよかったし、歌も数曲でよかったわけだし。でも、ソロでは全部自分でやらなければいけなかった。だから、緊張しちゃって。で、つきあう人も初めての人が多かったし、気を遣って、ものすごく疲れた」「それでも、まだ『グレイ・スカイズ』を出したときは半信半疑でした。これからどうやっていくかも具体的に考えられませんでした。とにかく、これからは自分でやっていこうと思った時に、やっぱり音楽的パートナーが必要だった。今までは山下くんというパートナーがいたわけで。いろいろな人とソロ・アルバムで仕事した中で、坂本さんとの出会いが、ものすごく自分にとって大きかったわけですね。まだ彼はそんなに有名ではなかったけれど、とても才能のある人だと思ったし、もう芽生え始めていましたから。その頃、新しいシンセサイザーが出だした頃で、いち早く取り入れて使っていました。随分、勉強熱心だったし、研究熱心だったから。『グレイ・スカイズ』の中でやってるんだけど、彼のアレンジで。坂本くんも、最初は私の仕事を通じて、いろいろ試しながらやってたようなところがある。でも、自分のやりたいものとはすごく近いところを持っていた、最初から。私のメロディーというのは、すごく器楽的なので、どこかクラシックの要素が強く、その点、坂本くんは基本的なところで、よく理解してくました」[1]と答えている。さらに「今まで詞を先に書いたことは一度もありません。全部メロディーが先です。この頃はヘッド・アレンジといって、前もってアレンジは考えてくるという事はしないで、スタジオに入ってみんなであーだこうだ言いながら作るシステムだったんです。1曲1曲に関して、そういう感じでのんびりやりました。ここで関わったアレンジャーたちとは後々もやはりずっと付き合っていく訳なんです」[1]と話している。

アルバムからのシングル・カットはなかったが、プロモーション用に「愛は幻」が、「One's Love」とのカップリングで制作された[注 3]

タイトルは英語で“曇り空”の意味。

曲目[編集]

SIDE A[編集]

  1. 時の始まり (3'53")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 山下達郎 ⁄ 大貫妙子
    フィフス・アヴェニュー・バンドが持っていたような、シャッフルの気持ち良さの感じで作られた曲[2]
  2. 約束 (3'48")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 山下達郎
    シュガー・ベイブ時代のレパートリーだった曲。ライブでも披露されていた。
  3. One's Love (3'55")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 細野晴臣 ⁄ 大貫妙子
    大貫によれば一時期、ジャズ寄りの志向があったという。ジャズまではいかないけれど3拍子で少しハネる感じの作品。ベン・シドランなどから影響を受けて出来たという[2]
  4. 午后の休息 (4'15")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 大貫妙子&Friends ⁄ 坂本龍一
    シュガー・ベイブを組む前に書いたオリジナル曲。ドラムレスでボンゴのリズムにギターが2本、そしてベースという小編成でレコーディングされたディスク・チャートでのデモ・テープの感じに近づけようということで、この編成になった。
  5. 愛は幻 (4'47")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 山下達郎 ⁄ 大貫妙子
    SONGS[注 4]を出した後、曲作りの面白さを自覚し始めた頃に書かれた曲。「時の始まり」と「約束」、そしてこの曲の3曲はシュガー・ベイブ時代のレパートリーだったので山下がアレンジを手がけている。

SIDE B[編集]

  1. Wander Lust (3'03")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 坂本龍一
    大貫によれば「こういった傾向の曲は、シュガー・ベイブ時代に出来なかったことの欲求不満というか、そんなものの塊みたいな曲なんです。で、少しジャジーなんです。感じとしては。だから『ワンダー・ラスト』や『ワンズ・ラヴ』とか、この辺りがハッキリと傾向の違いというか、シュガー・ベイブでやってきた事との。これから自分が志向していきたいというものの明確なひとつの形だったと思います。詞は『風の世界』と近い傾向があります。どの歌詞も、表現が非常に感覚的ですね」[2]という。
  2. (3'53")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 細野晴臣 ⁄ 大貫妙子 ⁄ 坂本龍一
    この曲について大貫は「ちょうど20歳の頃からひとり暮らしを始めたので、都会の中でひとりで暮らしていく時の、やはり時々淋しいという気持ちがありますよね。そういうものを歌にした」[2]と答えている。
  3. いつでも そばに (4'07")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 大貫妙子 ⁄ 坂本龍一
    大好きだったというスティーヴィー・ワンダーを意識して書かれた曲[2]
  4. When I Met The Grey Sky (5'49")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 矢野誠
    ジョニ・ミッチェルを意識して作られた曲[2]。牧村憲一は後年、この曲に後の大貫のヨーロピアン指向を感じていたと語っていた[1]
  5. Breakin' Blue (5'36")
    作曲 : 大貫妙子、編曲 : 坂本龍一
    少しゴスペルっぽいピアノの曲のイメージで作られたというインストゥルメンタル[2]

クレジット[編集]

Produced & Directed by TAEKO OHNUKI ⁄ YASUSHI NAKANE (for Crown Record)
Assistant Direction by AKIRA IKUTA (for OUR HOUSE)
Engineered & Re-mixed by SHINICHI TANAKA / KAZUHIRO ICHIHASHI
Coordinated by KENICHI MAKIMURA
Drawing by MICHIKO OHSHIMA
Art Direction & Jacket Design by KAORU WATANABE
photography by KAZUMI KURIGAMI
Recorded at THE CROWN STUDIO, TOKYO
June, July & August, 1976
 
Special Thanks to
細野晴臣
矢野誠
山下達郎
坂本龍一
長門芳郎
沓澤玄
国吉征之
TIN PAN ALLEY
 
中野督夫 : from Sentimental City Romance, CBS/SONY
徳武弘文 : from Last Show
かしぶち哲郎 : from Moon Riders
佐藤博 : from Nippon Columbia
佐藤信彦 : from Ginga Tetsudo
 
All Songs by 大貫妙子

CD:CRCP-20408 (Taeko Ohnuki CROWN YEARS Paper Sleeve Collection)[編集]

解説[編集]

2007年、大貫監修・書下ろしセルフライナー収載による紙ジャケット仕様限定盤にて再発。シュガー・ベイブ結成直前の1973年に録音されたロック喫茶“ディスク・チャート”でのデモ・セッション「午后の休息」(歌詞違い)、デビュー・アルバム制作直前に録音された「約束」の未発表デモ音源と、アルバム未収録のシングル「明日から、ドラマ」をボーナス・トラックとして収録。2007年リマスタリング音源を使用。

収録曲[編集]

  1. 時の始まり (3'53")
  2. 約束 (3'49")
  3. One's Love (3'56")
  4. 午后の休息 (4'15")
  5. 愛は幻 (4'47")
  6. Wander Lust (3'04")
  7. (3'53")
  8. いつでも そばに (4'07")
  9. When I Met The Grey Sky (5'49")
  10. Breakin' Blue (5'36")
    BONUS TRACKS
  11. 明日から、ドラマ (3'32")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 松任谷正隆
    Single ZP-23 / 1977年3月5日リリース
    大貫は「マンタにデモ・テープを聴いてもらったらとても気に入っていただいて、レコーディングに入ったんですが、そのときに結構詞の問題が引っかかって、曲の分かりやすさっていうのもやはりそうですが、詞も分かりにくいとダメだと。今までは自分の私事の詞が多かったので、もっと広がるものという事で、ユーミンのマンションに押しかけまして、ユーミンも色々アドバイスしてくれたんです。色々みんなで絵を描いたりしてこういうシーンは言葉にするとどうなるかというのを延々やりまして、できたのが『明日から、ドラマ』なんです。ユーミンは確か『思い思いに生きて』というタイトルが絶対良いって言ったんですが、例えばパルコのコピーとかああいうのが一般的には“ナウい”と言われていた感じが流行っていた時期だったので『明日から、ドラマ』がすごくコピーっぽいということでタイトルはこうなった」[2]という。
  12. 約束 ※Previously unissued demo (2'59")
    作詞・作曲 : 大貫妙子
    シュガー・ベイブ解散間もない1976年5月にクラウン・スタジオにて録音されたデモ・ヴァージョン。
  13. 午后の休息 ※Previously unissued demo (3'50")
    作詞・作曲 : 大貫妙子、編曲 : 大貫妙子&Friends
    ディスク・チャートで店を閉めた深夜に店のスタッフでもあった小宮康裕や徳武弘文らが集まって行われていたセッションで1973年初期にレコーディングされた、大貫によるオリジナル曲のデモ・テープのうちの1曲。アルバムに収録されたヴァージョンとは歌詞が異なる。

クレジット[編集]

スタッフ[編集]

“Taeko Ohnuki CROWN YEARS”
監修 : 大貫妙子
クリエイティブ・ディレクション : 長門芳郎 (BELIEVE IN MAGIC)
マスタリング : 中里正男 (ONKIO HAUS)
 
制作 : 久保隆 (NIPPON CROWN)
デザイン : 吉本栄 (BELIEVE IN MAGIC)
デザイン・コーディネーター : 大槻恭子 (NIPPON CROWN)
協力 : 国吉静治、原田奈津子 (PROMAX)、日笠雅水、牧村憲一

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ROMANTIQUE1980年7月21日発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8049
  2. ^ AVENTURE1981年5月21日発売 RCA ⁄ RVC LP:RHL-8507
  3. ^ 「愛は幻 c/w One's Love」 1976年 PANAMCROWN EP:S-9
  4. ^ シュガー・ベイブSONGS1975年4月25日発売 NIAGARAELEC LP:NAL-0001

出典[編集]

  1. ^ a b c 大貫妙子「MUSICIAN FILE 大貫妙子徹底研究」、『ミュージック・ステディ』第3巻第4号、ステディ出版、1983年10月30日、 68-95頁。“ファイル・インタビュー”
  2. ^ a b c d e f g h 大貫妙子「MUSICIAN FILE 大貫妙子徹底研究」、『ミュージック・ステディ』第3巻第4号、ステディ出版、1983年10月30日、 96-107頁。“Talking About My Songs”