ATR (航空機メーカー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ATR
Aerei da Trasporto Regionale
Avions de Transport Régional
種類 コンソーシアム(共同事業体)
設立 1981年
業種 航空宇宙産業(輸送用機器)
外部リンク www.atr-aircraft.com/
テンプレートを表示
ATR
IATA
-
ICAO
EVX
コールサイン
Green Spirit[1]
テンプレートを表示

ATRAvions de Transport Régional )は2つの航空機メーカー、フランスアエロスパシアルイタリアアエリタリア1982年に興したコンソーシアム(共同事業体)である。

概要[編集]

貨物機として使われるATR 42(Fiji Link

アエロスパシアルはEADSを経てエアバス・グループに、アエリタリアはアレーニア・アエロナウティカを経てレオナルド S.p.Aに合流しており、現在はエアバス・グループとレオナルド S.p.Aがそれぞれ半数の株式を所有する。

ラインナップはターボプロップ機のATR 42およびストレッチ型のATR 72の生産に限定し、エンジンやアビオニクスの改良を繰り返すことで完成度を高めている。同クラスのリージョナルジェットターボファンエンジン搭載)と比べ燃費が良く、貨物機としても使えるように大型のカーゴドアを装備しているなど、短距離や採算の取れにくい地方路線向けの堅実な設計である。またグラスコックピット炭素繊維強化炭素複合材料を取り入れるなど先進的な要素も取り入れている[2]。また、半分出資するレオナルド S.p.Aは傘下にアグスタウェストランドを抱え、同社の開発しているAW609とATR42-600Sは空港設置拡張困難な離島航路市場では競合する可能性がある。

競合機のボンバルディアDHC-8-Q400シリーズからの乗り換えを狙い、リージョナル航空会社や大手航空会社の近距離路線向けに売り込まれており、カリビアン航空アズールブラジル航空トランスアジア航空LOTポーランド航空チェコ航空日本エアコミューター北海道エアシステム天草エアライントキエアなどが採用している。

2003年ターボファンエンジン搭載のリージョナルジェットを生産すると発表したが、後に計画は中止された。

機体リスト[編集]

フィンランド航空 ATR 42
ATR 72-500, Air Dolomiti
  • ATR 42 - 最初の共同開発機である双発ターボプロップの近距離用旅客機。座席数は42-52席。1984年8月16日に初飛行。
  • ATR 72 - ATR 42のストレッチ型。座席数は64-72席。1985年パリ航空ショーで発表された。貨物機使用もある。
    • ATR 72ASW - レオナルド S.p.Aが改造した哨戒機

いずれも最新型は-600型である。

日本での動き[編集]

  • 2015年6月15日、日本エアコミューターが、2017年の運航開始を目指し、ATR42-600型機の導入を決定し、確定8機、オプション1機の購入契約を締結した[11]2017年4月26日から運航開始した[12]
  • 2018年7月18日、北海道エアシステムがATR42-600型機3機(確定 2 機、オプション 1 機)の発注に関する覚書を締結した[13]2020年4月12日から運航開始した[14]

脚注[編集]

  1. ^ ATR Fleet Details and History”. 2023年1月23日閲覧。
  2. ^ 「リージョナルジェットより景色も燃費も良い」特集・ATRシェーラーCEOに聞く日本戦略
  3. ^ “「小型旅客機の“価格破壊者”:仏ATR参入で、国産ジェットに新たな不安」”. 日経ビジネス (2007年7月16日): 14頁. 
  4. ^ 新航空会社リンク、ATR72を日本初導入 上場視野に”. Aviation Wire (2012年10月10日). 2014年7月31日閲覧。
  5. ^ ATR enters the Japanese market”. ATR Aircraft Press Releases (2012年10月9日). 2014年7月31日閲覧。
  6. ^ 国土交通省、ATR社製のATR72-212A 型航空機の型式証明を交付”. レスポンス (2013年10月28日). 2013年10月28日閲覧。
  7. ^ 国交省、ATR72に型式証明交付 リンクが14年春運航へ”. Aviation Wire (2013年10月29日). 2014年7月31日閲覧。
  8. ^ 天草エアライン、機体更新を検討 候補に仏機”. くまにちコム/熊本日日新聞 (2012年12月12日). 2012年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月28日閲覧。
  9. ^ 天草エアライン、日本初のATR 42-600を導入 引き渡しは2015年末”. フライチーム (2014年7月23日). 2014年7月28日閲覧。
  10. ^ オリエンタルエアブリッジ、ATR42型の導入検討 16年に更新機方針 19年~20年に現有機構造寿命で”. 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社 (2013年12月11日). 2014年7月28日閲覧。
  11. ^ 日本エアコミューター、ATR42-600型機の導入を決定”. 日本航空プレスリリース (2015年6月15日). 2015年6月16日閲覧。
  12. ^ https://www.aviationwire.jp/archives/118369
  13. ^ 北海道エアシステムATR42-600型機発注に関する覚書を締結”. 北海道エアシステム (2017年7月18日). 2017年7月18日閲覧。
  14. ^ https://www.aviationwire.jp/archives/196222
  15. ^ 航空機(ATR72-600)のリース契約を締結しました”. トキアビエーションキャピタル (2021年9月21日). 2023年8月22日閲覧。
  16. ^ 新潟=札幌(丘珠)線 運航ダイヤ並びに運賃のお知らせ”. トキエア株式会社 (2023年7月26日). 2023年8月22日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]