逃げ上手の若君
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逃げ上手の若君 | |
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ジャンル | 歴史漫画 |
漫画 | |
作者 | 松井優征 |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
発表号 | 2021年8号 - 連載中 |
発表期間 | 2021年1月25日 - 連載中 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『逃げ上手の若君』(にげじょうずのわかぎみ)は、松井優征による日本の漫画。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて2021年8号から連載中。
概要
松井優征にとって『暗殺教室』以来5年ぶりの新連載となる[1][2]。鎌倉時代から室町時代にかけて[3]、北条時行の生涯を描く歴史漫画である[1][2][3][4][5]。足利高氏によって鎌倉幕府が滅ぼされ[3][6][† 1]、北条家の一族郎党が次々と死を選ぶ中[2]、高氏の手から逃げ延び、諏訪頼重らとともに再起を期す時行の物語が展開される[6]。戦って死ぬことこそが武士の誉れとされた時代において[2][4]、敵から逃げることで英雄となった時行の生涯を[2][5]、史実をもとに描いている[2][3][4][5][7][8]。
第1話は『週刊少年ジャンプ』の2021年8号に掲載されたが[2][8]、その際に「駆け出す! 史上最も逃げ上手の英雄!!」[2]「史実スペクタクル逃亡譚」[2]などのキャッチコピーが掲載された。また、「逃げ若」との略称も掲載された。連載開始時、北条時行や南北朝時代を題材としたことが反響を呼び[2][5][6]、時行本人についても話題となった[2]。また、第1話はボイスコミック化され[9][10]、YouTubeにて公開された[9][10]。
登場人物
※リンクの無い人物は架空。
執権北条家
- 北条時行(ほうじょう ときゆき)
- 声 - 大塚琴美[9][10]
- 本作の主人公[11]。北条氏の惣領である得宗北条家の御曹司。鎌倉幕府の執権を務めた北条高時の二男として生まれた[8]。兄の北条邦時は庶子だったが[11]、時行は正室の子として生まれたため[12]、ゆくゆくは彼が家督を継ぐと目されており[11][13]、御内人 の摂津親鑑(せっつ の ちかあき/ 声 - 常盤昌平[9])の娘の摂津清子(せっつ の きよこ/声 - 赤星真衣子[9])には打算的な理由で未来の配偶者として狙われたりしていたが、父娘は鎌倉制圧時に死亡している。
- 武芸を苦手とする一方、逃げたり隠れたりする才能を持つ。鎌倉幕府滅亡後は頼重の下に身を寄せ[6]、武芸や学問の手解きを受ける[14]。
- 北条高時(ほうじょう たかとき)
- 声 - 林祐樹[9]
- 時行の父であり[12]、得宗北条家の当主。鎌倉幕府の総帥であるが[8]、政治的な権力は側近に握られており単なる傀儡となっている。新田義貞ら後醍醐天皇派によって鎌倉(相模国鎌倉郡)を鎌倉の戦いで制圧され、東勝寺合戦にて自刃し果てた。
- 北条邦時(ほうじょう くにとき)
- 声 - 矢部仁美[9]
- 時行の異母兄[12]。高時の長男として生まれたが、側室の子だったため跡目争いを防ぐためにも嫡男である時行が得宗北条家を継ぐべきと考えて家督に興味はない。伯父の五大院宗繁に裏切られ、後醍醐先帝派に捕らえられ処刑された。
- 名越高家(なごえ たかいえ)
- 声 - 軍司高希[9]
- 高時の父の四従弟。北条氏の一門である名越流北条家の当主。足利高氏らとともに後醍醐天皇ら討幕派を鎮圧するため京に向かったが、討幕派との戦い(船上山の戦い)で戦死する。
諏訪家
- 諏訪頼重(すわ よりしげ)
- 声 - 鈴木将之[9][10]
- 信濃国諏訪郡の神職。諏訪家は建御名方神の末裔と伝えられており[15][16]、建御名方神を祀る諏訪大社の大祝を代々務めていることから[† 2]、御神体として扱われる。そのため、彼も神性を帯びており、不完全ながらも未来を見通す能力を持ち、天候をも自在に操る[17]。一方で、諏訪家は諏訪郡を治める領主でもあり、得宗北条家の御内人でもあった[† 3]。頼重は京の天皇や出雲大社の出雲家と並ぶ現人神として敬われており[17][† 4]、その信仰心を背景にした武士団である諏訪神党を従える[18]。鎌倉幕府滅亡に際しては、北条高塒から依頼され、時行を匿う。しかし、奇行が多く胡散臭いため、時行からは「インチキ霊媒師」と呼ばれている。
- 諏訪雫(すわ しずく)
- 声 - 高木遥香[9][10]
- 頼重の娘。巫女のような装束を着用する。秘術や事務に優れた才能を発揮し、頼重を手伝う。少々毒舌家で、見るからに胡散臭い父のフォローを全然しないため、その都度頼重に文句を言われている。頼重としては、ゆくゆくは雫を時行の執事にし[19]、家政を取り仕切らせようと考えている[19]。
- 弧次郎(こじろう)
- 北条時行の郎党候補として諏訪頼重が抜擢した少年[20]。時行と同年齢だが[19]、この世代としては随一の刀の使い手と称される[20]。頼重としては、ゆくゆくは弧次郎を武将にし[20]、軍を率いさせようと考えている[20]。
- 亜也子(あやこ)
- 北条時行の郎党候補として諏訪頼重が抜擢した少女[20]。時行とは同年齢だが背が高く[19]、怪力の持ち主である[20]。また、芸才にも恵まれている[20]。頼重としては、ゆくゆくは亜也子を便女(下女)とし[20]、時行と陣中を共にさせようと考えている[20]。
足利家
- 足利高氏→足利尊氏(あしかが たかうじ)
- 声 - 野澤英義[9]
- 鎌倉幕府の御家人。文武に優れ人々の尊敬を集めており、英雄視されている。後醍醐天皇ら討幕派を鎮圧するために名越高家らと京に向かったが、実は後醍醐天皇と内通し、北条高時に対して反旗を翻し、京で鎌倉幕府の軍勢を六波羅の戦いにて打ち破る。それと同時に、新田義貞らに鎌倉を攻め落とさせ、遂には鎌倉幕府を滅ぼした[3]。倒幕後、後醍醐天皇から偏諱を与えられ、名を「尊氏」と改める[21]。にこやかな笑顔で公家たちの心を掴み[22]、自身の郎党らを朝廷に送り込む[23]。一方で、眼の中に複数の瞳が存在するなど[24]、人間離れした表現演出されてもいる。
- 高師直(こうの もろなお)
- 足利家の執事[25]。足利高氏が幼少の頃より仕えている[25]。
他、討幕陣営
- 新田義貞(にった よしさだ)
- 鎌倉幕府の御家人。後醍醐天皇派に参加し、足利高氏の子らとともに鎌倉を制圧する。
- 五大院宗繁(ごだいいん むねしげ)
- 得宗北条家の御内人。宗繁の妹である常葉前は、高時の側室となり、のちに邦時を産んでいる[11][12]。そのため、邦時は彼の甥にあたる[12]。北条家の姻族となることで出世を果たした[26]。後醍醐先帝派により鎌倉が制圧された際、高時から邦時を託されたが[12]、懸賞金欲しさに北条家を裏切って邦時を後醍醐先帝派に引き渡す[26][27]。しかし、あまりにも非道な所業であったため、呆れた新田義貞方から追い出される[26]。太刀で大木を叩き切るほどの腕を持つ[28]。
系図
- 登場人物に関連する北条氏の系図
源頼朝 | 五大院宗繁 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
北条政子 | 常葉前 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
北条邦時 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(政子の弟) | (高時の五世の祖) | (高時の高祖父) | 北条時頼 | 北条時宗 | 北条貞時 | 北条高時 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
北条時行 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(高時の正室) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(高家の高祖父) | (高家の曾祖父) | (高家の祖父) | (高家の父) | 名越高家 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(守時の高祖父) | (守時の曾祖父) | (守時の祖父) | (守時の父) | 北条守時 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(守時の妹) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
足利高氏 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
- 赤地に太字が主人公、緑地が鎌倉幕府の歴代執権である。
- 本作に登場した人物のみ人名を表記し、未登場の人物は人名を表記せず括弧で記載した。
- 係累縁者が多数に上るため、本作に登場した人物とそれに関連する北条氏の男系の系図のみを記載した。そのため、母方の系図は省略している。
- 名越高家は、「北条高家」と表記されることも多いが、第1話での表記に準拠し「名越高家」と記載した。
- 足利高氏は、のちに「足利尊氏」と改名するが、第1話での表記に準拠し「足利高氏」と記載した。
- 源頼朝、北条政子、常葉前は、『週刊少年ジャンプ』54巻7号(2021年9号)に第2話とともに掲載された「解説上手の若君」の「図解! 北条家系図」にて人名が明記されたため記載した[11]。
- 北条時頼、北条時宗、北条貞時は、『週刊少年ジャンプ』54巻9号(2021年11号)に第4話とともに掲載された「解説上手の若君」の「南北朝鬼ごっこ列伝その壱――五大院宗繁」にて人名が明記されたため記載した[29]。
脚注
註釈
- ^ まだ後醍醐天皇から「尊」の偏諱を与えられていない第1話では「足利尊氏」ではなく「足利高氏」と表記されている。
- ^ 諏訪大社は、1948年に改称するまでは「諏訪神社」、さらに以前は「諏訪社」とも呼ばれていたが、第4話では「諏訪大社」と表記されている。
- ^ 諏訪社の大祝は、御神体として諏訪明神と同一視され、現人神として扱われた。そのため、大祝を経た諏訪家の当主は、位階も神階である正一位とされた。執権である北条高時ですら位階は贈正四位下であり、鎌倉幕府の武家の中でも諏訪家は異色の存在であった。
- ^ 出雲大社は、1871年に改称するまでは「杵築大社」と呼ばれていたが、第4話では「出雲大社」と表記されている。
出典
- ^ a b “週刊少年ジャンプ:「暗殺教室」松井優征の5年ぶり新連載 「逃げ上手の若君」次号スタート - MANTANWEB(まんたんウェブ)”. MANTAN (2021年1月18日). 2021年1月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k ““北条時行”検索する人続出 ジャンプ新連載の主人公で史実描き話題 作者は『暗殺教室』松井優征氏 | ORICON NEWS”. オリコン (2021年1月25日). 2021年1月25日閲覧。
- ^ a b c d e “『逃げ上手の若君』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト”. 集英社 (2021年1月25日). 2021年1月25日閲覧。
- ^ a b c “『暗殺教室』作者、5年ぶり新連載開始 “逃げ上手”の英雄描いた史実の逃亡譚:中日新聞Web”. 中日新聞社 (2021年1月25日). 2021年1月25日閲覧。
- ^ a b c d 大宮高史 (2021年1月30日). “ジャンプ新連載「逃げ上手の若君」で注目 北条時行はどんな人物?歴史出版社に聞いた: J-CAST ニュース【全文表示】”. ジェイ・キャスト. 2021年1月30日閲覧。
- ^ a b c d 近藤正高 (2021年2月8日). “最終回『麒麟がくる』<本能寺の変>大胆解釈!完全にネタバレしている歴史ドラマになぜ震えるのか。改めて考える - QJWeb クイックジャパンウェブ”. とうこう・あい. 2021年2月8日閲覧。
- ^ 入倉功一 (2021年1月18日). “「暗殺教室」松井優征のジャンプ新連載決定!「彼方のアストラ」篠原健太の新作も|シネマトゥデイ”. シネマトゥデイ. 2021年1月18日閲覧。
- ^ a b c d “松井優征の新作は歴史の狭間で“逃げる”英雄を描く逃亡譚、ジャンプでスタート - コミックナタリー”. ナターシャ (2021年1月25日). 2021年1月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k ジャンプチャンネル (2021年2月8日). “【漫画】『暗殺教室』の松井優征が描く歴史上の逃亡譚!英雄の物語が幕を開ける!『逃げ上手の若君』1話 前編【ジャンプ/ボイスコミック】 - YouTube”. Google. 2021年2月8日閲覧。
- ^ a b c d e ジャンプチャンネル (2021年2月9日). “【漫画】『暗殺教室』の松井優征最新作‼後に英雄となる少年の激動の生涯が始まる...!『逃げ上手の若君』1話 後編【ジャンプ/ボイスコミック】 - YouTube”. Google. 2021年2月9日閲覧。
- ^ a b c d e 「解説上手の若君――図解! 北条家系図」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、120頁。
- ^ a b c d e f 松井優征「逃げ上手の若君――鬼ごっこ1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、130頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――鬼ごっこ1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、137頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――諏訪1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第9号、集英社、2021年3月1日、199頁。
- ^ 『阿蘇氏略系図(異本阿蘇氏系図)』。
- ^ 『神氏系図(大祝家本)』。
- ^ a b 松井優征「逃げ上手の若君――諏訪1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第9号、集英社、2021年3月1日、206頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――諏訪1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第9号、集英社、2021年3月1日、209頁。
- ^ a b c d 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、89頁。
- ^ a b c d e f g h i 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、89頁。
- ^ a b 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、83頁。
- ^ a b 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、85頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、84頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、87頁。
- ^ a b 松井優征「逃げ上手の若君――狩猟1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第10号、集英社、2021年3月8日、86頁。
- ^ a b c 松井優征「逃げ上手の若君――鬼ごっこ1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、132頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――鬼ごっこ1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、131頁。
- ^ 松井優征「逃げ上手の若君――鬼ごっこ1333」『週刊少年ジャンプ』第54巻第7号、集英社、2021年2月15日、144頁。
- ^ 本郷和人「解説上手の若君――南北朝鬼ごっこ列伝その壱――五大院宗繁」『週刊少年ジャンプ』第54巻第9号、集英社、2021年3月1日、194頁。
関連項目
外部リンク
- 『逃げ上手の若君』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト - 作品を紹介する集英社のページ
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